『室井慎次 敗れざる者』で起きた事件まとめ、日向杏の父親、目的、タイトルの意味ネタバレ解説考察 | FILM LAB|映画の解説考察ブログ

『室井慎次 敗れざる者』で起きた事件まとめ、日向杏の父親、目的、タイトルの意味ネタバレ解説考察

室井慎次 敗れざる者 サスペンス・ミステリー
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 映画『室井慎次 敗れざる者』の解説・考察記事です!

本作では、警察を辞めて故郷の秋田で暮らす室井慎次のまわりで、過去の事件とつながる死体遺棄事件や、謎の少女・日向杏の登場など、穏やかな生活を揺るがす出来事が次々と起こります。

この記事では劇中で起きた事件を整理しながら、音松の昔話の意味、室井が警察を辞めた理由、日向杏の目的や父親などについて考察します。

鑑賞済の方向けの記事です。

制作年:2024年
本編:115分
監督:本広克行
脚本:君塚良一

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キャスト紹介

室井 慎次…柳葉敏郎
警察を早期退職し、現在は故郷の秋田で少年たちと暮らす。
事件の被害者・加害者家族を支援しながら、穏やかな生活を送っている。

森 貴仁…齋藤潤
室井が養子に迎えた高校生。通称タカ。読書好き。
母親をヤクザの男に殺された被害者遺族。
進路に悩んでいる。

柳町 凛久…前山くうが・前山こうが
室井が養子に迎えた不登校の小学生。通称リク。
父親が強盗犯であり現在は服役中。

日向 杏…福本莉子
室井の自宅倉庫で見つかった16歳の少女。
青島が過去に逮捕した猟奇殺人犯・日向真奈美の娘。
杏が持っていた里親からの手紙には「問題行動が多く手に負えないため室井に預けたい」という趣旨の内容が書かれていた。

・警察関係者
新城賢太郎(秋田県警察本部長)…筧利夫
乃木真守(北大仙署地域課)…矢野悠馬
桜章太郎(捜査一課)…松下晃平
緒方薫(警視庁捜査一課)…甲本雅裕
坂村正之(刑事企画課長)…升毅
明石幸男(管理センター)…赤ペン滝川
沖田仁美(警察庁長官官房審議官)…真矢みき
仁狩英明(捜査一課管理官)…西村直人

・北大仙の住人
大川紗耶香(タカの同級生)…丹生明里
石津百男(石津牧場)…小沢仁志
石津紀子(百男の妻)…飯島直子
長部音松(地区長)…木場勝己
市毛きぬ…(市毛商店の店主)…いしだあゆみ
森下孝治(秋田刑務所・看守部長)…遠山俊也

・その他
奈良育美(弁護士)…生駒里奈
森麻絵(タカの母親)…佐々木希
松木敬子(児童相談所職員)…稲森いずみ
井戸川伸(麻絵を殺したヤクザ)…木村知貴
リクの父親…加藤浩次
瀬川吉雄(被害者)…三宅弘城(写真出演)
国見昇…マギー(〃)
高橋健三…入江雅人(〃)
三島龍也 – 森下能幸(〃)
中島高志 – 木村靖司(〃) ほか

・過去映像のみの出演
日向真奈美(杏の母親・猟奇殺人犯)…小泉今日子
青島俊作(警視庁刑事部捜査支援分析センター)…織田裕二
恩田すみれ…深津絵里
真下雪乃…水野美紀
和久平八郎…いかりや長介
真下正義…ユースケ・サンタマリア
魚住二郎…佐戸井けん太
神田総一朗…北村総一朗
秋山晴海…斉藤暁
袴田健吾…小野武彦
中西修…小林すすむ
栗山孝治…川野直輝
小池茂…小泉孝太郎
小原久美子(弁護士)…田中麗奈
安西昭次(強盗犯)…保阪尚希

解説・考察・感想など

『室井慎次 敗れざる者』で起きている事件の概要

本作で起きた事件の概要を書き出します。
ちなみにこの映画は『前編』なので、本作ではまだ解決しません。

・死体遺棄事件

故郷の秋田で隠居生活を送っていた室井慎次(柳葉敏郎)の自宅付近の土壌から瀬川吉雄という男の人骨が見つかりました。

瀬川は、室井がかつて担当した映画2(レインボーブリッジを封鎖せよ!)の事件で犯人の1人として逮捕された男で、長年刑務所にいましたが、2年前に出所していました。

そして出所後に再犯し、警察が追っていた強盗犯グループの1人でした。

しかも、人骨の周辺からは以前の事件と同じく『洋梨』が見つかりました。

室井は過去の事件の関係者として、秋田県警察本部長となっていた元同僚の新城賢太郎(筧利夫)から直々に捜査への協力を依頼されます。

・地区住民から歓迎されていない室井

室井は地区長などの住民たちから歓迎されておらず、どちらかと言うと排除されかけています。

理由は、室井は地区の会合に一切参加しないことと、室井が犯罪被害者だけでなく「加害者」家族の支援(里親活動)を行っており、警戒や偏見の目で見られているためです。

・日向真奈美の娘、日向杏が現れる

室井の自宅倉庫に突然16歳の少女が現れます。

この少女は、室井が過去に関わった事件の犯人・日向真奈美(小泉今日子)の娘です。

室井は杏を次の行き先が見つかるまで面倒をみることに決めますが、杏はタカとリクに、室井に関する嘘をついて関係を壊そうとしたり、室井の私物を物色するなどして怪しさ満点です。

杏が室井の前に現れた目的も、次作で明らかになります。

 音松(木場勝己)の話の意味は?

音松が室井に話して聞かせた昔話は、秋田の伝承をもとにした「お種の伝説」です。

ある旅人が、この町を気に入って泊まった夜、夢に土地の神様が出てきます。
旅人は神様に「ここに住みたい」とお願いしました。
次の日、家の前に美味しそうな果物がなっていたので旅人がそれを食べると、旅人は蛇になってしまい、湖に棲み付いたという話です。

音松は、この話を聞かせたあと「わかったな?」とすごみます。

旅人は望み通りこの土地に住めたものの、蛇になってしまったという点から、音松が言いたいのは恐らく「仮に室井がここに住みついたとしても、先住民たちが室井たちを認めることは永久に無い(だから出ていけ)」ということだと思われます。

室井はなぜ警察をやめた?

室井が警察を辞めたのは、青島との約束が果たせないと確信したからです。

室井は映画4「新たなる希望」で警察庁組織改革推進委員会を立ち上げて委員長を5年間務め、かつて青島俊作と交わした「現場の警察官が正しく評価される組織をつくる」という約束を果たそうと尽力してきました。

しかし、警察内部の権力闘争や政治的思惑、組織の巨大な壁に阻まれ、組織改革委員会は解散させられてしまいました。

室井は自身の力不足と敗北感を抱き、責任を取る形で警察を早期退職しました。

日向杏の目的は?

杏が室井の家に来た目的がわかるのも、次作『生き続ける者』でになりますが、本作での日向杏の行動をおさらいします。

・里親からの手紙を持って室井のもとに現れる
・室井に見つかる数週間前から、室井宅近辺の森に潜伏していた(飲食はどうしていたのか謎が残る)
・室井がいない隙に金庫や私物を物色した
・タカとリクに「室井に殴られた」「室井が里親になったのは金のため」などの嘘をつき、関係に亀裂を入れようとする
・倉庫に火をつけた(恐らく)

杏がついた嘘でタカとリクは室井を疑った瞬間もありましたが、これまでの室井の態度などから、タカとリクも「おかしいのは杏だ」と気づき始めています。

杏の行動でおかしいと思うのは、普通の非行少女なら元警官の室井の所には行かない気がする(封筒のお金を使って友人の所や繁華街などに行く方が自然)という点と、室井宅の周辺に何日も潜伏していたことです。

これらのことから、杏は何か目的があって室井宅に入り込んでいるのは確かです。
次作で真相が明かされるのが楽しみです。

また、過去の事件で室井と日向真奈美は直接会ったりしたことはないはずというのも謎めいたポイントです。

日向杏の父親は?

杏の父親は、恐らく日向真奈美が洗脳していた元ソーシャルワーカーの須川圭一(森廉)ではないかという説が濃厚です。

須川は映画3(ヤツらを解放せよ!)で起きた一連の事件の実行犯で、逮捕されていて現在も服役中だと思われます。

当時、真奈美と須川は恋愛関係にあり、時には須川が書類を偽装するなどして2人で外泊していたこともあったので、須川が父親である可能性は高いと思われます。




タカの母親を殺したヤクザはなんと言ってた?

タカが室井と拘置所へ面会に行った際、タカの母親を殺した井戸川は、秋田弁で次のように語りかけていました。

「あぁ、あのわらしか
あっぱさにで めんけーつらっこだごだ」

標準語にすると「あぁ、あの子どもか
母親に似て可愛い顔をしてるなぁ」という意味です。

井戸川はこの発言の後にあくびをするなどしていて、とても弁護士が言っていたように反省しているとは思えない態度でした。

タカが真剣に「あんたみたいな大人にはなりたくない」と言うと、井戸川はしけた態度で面会室から出ていきました。

その後、井戸川は罪を認めたと奈良弁護士から報告を受けました。

タカの発言で井戸川が自分の行動を見直すあたり、井戸川にも子どもがいるのかもしれません。

室井の倉庫を燃やしたのは誰?

室井の敷地内にある倉庫を燃やした犯人が明かされるのは、次作「室井慎次 行き続ける者」でになりますが、予想では日向杏以外に考えられない気がします。

杏は母親・日向真奈美の性格を色強く受け継いでおり、室井の家に来たのも偶然ではなく意図的でした。

室井や子どもたちの日常を揺さぶり、混乱を生じさせるための嫌がらせ・試みとして放火したと考えられます。

タイトル『敗れざる者』の意味

警察組織の改革を果たせず敗北感を抱いて退職し、自身を「負け犬」とまで言った室井ですが、
故郷の秋田で傷ついた子供たちと向き合い、彼らを守ろうとする生き様は、形を変えた室井なりの「正義」です。

「組織での戦いには敗れたが、人としての信念や生き様においては敗れていない」という意味がタイトルに込められています。

後編『生き続ける者』への注目ポイント

後編「室井慎次 生き続ける者」を観るにあたって個人的に注目したいポイントをまとめました。

・新城賢太郎(筧利夫)や沖田仁美(真矢ミキ)の動向
警察を去った室井の志を、現職に残った者たち(警察官として生き続けている者たち)がどう受け止めているのか。

・日向杏の変化
真奈美の影に囚われている杏が、室井の不器用だが温かい愛情に触れることでどう変わっていくのか。

・青島俊作との「約束」
直接登場しないものの、劇中で強く漂う青島の存在感が後編でどのように昇華されるのかも気になるポイントです。

まとめ

『室井慎次 敗れざる者』では、警察を辞めた室井慎次が秋田で少年たちと暮らす中、過去の事件につながる死体が発見され、再び事件と向き合うことになります。

さらに、日向真奈美の娘・日向杏が突然室井の前に現れ、タカやリクとの関係を揺さぶるなど、室井の穏やかな生活にも異変が起こります。

警察組織の改革に敗れた室井が、それでも子どもたちを守ろうとする姿には、『敗れざる者』というタイトルにつながる意味が感じられます。

前編では事件や杏の行動に多くの謎が残されているため、それぞれの出来事が何を意味するのかを考えながら観ると、より興味深い作品です。

これから次作『室井慎次 生き続ける者』を見るのが楽しみです!

以上です!読んでくださりありがとうございました。
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