『ドニー・ダーコ』解説考察|裏設定を知らなくても大丈夫だけど一応把握しておきたい | 映画鑑賞中。

『ドニー・ダーコ』解説考察|裏設定を知らなくても大丈夫だけど一応把握しておきたい

ドニーダーコ SF

映画『ドニー・ダーコ』の解説、考察をしています!

今更ながら観ました。ギレンホール姉弟の初々しさが垣間見えるのは嬉しかったですが、やっぱり難しかったです。

裏設定を知らなくても大丈夫な解釈から、『タイムトラベルの哲学』を元にした、ウサギの正体、ドニーの運命などについて考察します。

この記事は本作を鑑賞済みの方向けの解説記事です。
未だ観ていない方はネタバレにご注意ください。

本作のあらすじ記事はこちらです↓

『ドニー・ダーコ』ネタバレあらすじと感想|世界の終わりに青春を謳歌した少年
映画『ドニー・ダーコ』のあらすじと感想を紹介しています!精神不安を抱える高校生ドニー・ダーコの前に現れた謎のウサギ。ウサギは「あと28日と6時間と42分と12秒で世界が終わる」と告げた。若かりしジェイク・ギレンホールの怪演にも注目。原題:D
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作品概要

ドニー・ダーコ

原題:Donnie Darko
制作年:2001年
本編時間:113分
制作国:アメリカ
監督・脚本:リチャード・ケリー

ドニー・ダーコ/D(di)(著者) 【中古】afb

 

主なキャスト&キャラクター

・ドニー・ダーコジェイク・ギレンホール
主人公の高校生。精神不安定。ウサギの着ぐるみに世界の終わりを告げられる。

・グレッチェン・ロスジェナ・マローン
ドニーの恋人になる美人転校生。

・フランクアジェームズ・デュバル
ウサギの着ぐるみの中の人。姉エリザベスの恋人。

・ローズ・ダーコメアリー・マクドネル
ドニーの母。

 

とりあえず裏設定なしで理解してみたい

映画のあらすじ位は映画の中だけで完結して外部情報に頼りたくないという思いがあります。

裏設定を知らなければわからないなんて不親切すぎると個人的には思います。
本作に関してはヒントとなる公式サイトがもう存在しないっぽいのですから尚更です。

そこで、裏設定なしで理解するヒントを探していた結果、作中にタイトルだけ登場したマーティン・スコセッシ監督の『最後の誘惑(1988)』にたどり着きました。

この映画はイエス・キリストが悪魔に騙されるお話なんですが、ドニー・ダーコの原作と言えるのではと思うほど話が似ているので「裏設定?そんなの知るか!」と思っていた私のような者は、『ドニー・ダーコ』は2000年版『最後の誘惑』だったと思えば大体のモヤモヤは落ち着く気がしました。

『最後の誘惑』のあらすじを知りたい方は以下をどうぞ。

映画『最後の誘惑』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?
映画『最後の誘惑』のネタバレあらすじと感想。ストーリーを結末まで起承転結で分かりやすく簡単に解説しています。映画ライターや読者による映画感想も数多く掲載。

以降は裏設定ありきの解説、考察をしていきます。

 

『タイムトラベルの哲学』の内容と照らし合わせる

Donnie Darko
(引用:https://www.inverse.com

この作品の流れを理解するには『死神おばば』ことロバータ・スパロウの著書『タイムトラベルの哲学』(架空の本)の中身を把握しなければいけません。
ですが、残念ながら作中で本の内容はほとんど明かされません。(不親切)

公式サイトで『タイムトラベルの哲学』が読めたみたいなんですが、探しても見つからず、ファンサイトにそれらしきものが残っていたのでそちらを元に内容を整理します。

一時的な世界と28日6時間42分12秒の関係

タイムトラベルの哲学では『プライマリーユニバース(主宇宙)』と『タンジェントユニバース(主宇宙に接している接宇宙)』という2つの宇宙(世界)があります。

普段は『プライマリーユニバース(以下、主宇宙)』しか存在しませんが、何かが引き金になって『タンジェントユニバース(以下、接宇宙)』が生まれます。

ドニーと科学教師モニトフの会話に出ていた『宇宙』と『外宇宙』のことですが、プライマリーユニバースやタンジェントユニバースなどの単語は作中に登場しません。(不親切)

接宇宙は主宇宙のパラレルワールドのようなもの(コピー世界)ですが、非常に不安定なため数週間で消滅してしまうという特徴があります。
つまりフランクが言う『28日6時間42分12秒』は、接宇宙が消滅するまでのタイムリミットのことだったんですね。

接宇宙が発生する原因は不明ですが、その兆候として必ず金属製の『アーティファクト(人工物)』がどこからともなく現れます。
このアーティファクトは主宇宙から移動してきた物です。

照らし合わせると、本作の舞台はタンジェントユニバースで、その兆候であるアーティファクトが飛行機のエンジンです。

そして、アーティファクトを主宇宙に返還しないまま接宇宙が消滅してしまうと、ブラックホールが発生して主宇宙ごと消滅してしまう危険性があるというす設定が登場します。

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ドニーの使命とは?

接宇宙が発生した瞬間に『リビングレシーバー(生ける受信者)』という役割の人物が自動的に決められます。

リビングレシーバーの使命は『アーティファクトをプライマリーユニバースに返還すること』(=『エンジンを主宇宙に返還する』)です。そんな使命があったとは。

そのリビングレシーバーに選ばれたのが、エンジンの落下地点にいたドニーです。

リビングレシーバーに選ばれた人物は特殊能力が使えるようになります。
それは、サイコキネシス(念力)、怪力火と水を使って事態を操る能力です。

振り返ってみると、学校の水道管を破壊したり、銅像の頭に斧をめり込ませたり、カニングハムの家に放火してましたね。
念力はドニーがエンジンを返還する時に使っていました。

さらに、リビングレシーバーは悪夢、幻覚、幻聴に苦しめられる傾向があります。
この傾向はウサギのフランクと関係しています。(後述)

 

ウサギのフランクは何者だったのか

Donnie Darko
(引用:https://indiehoy.com

ドニーの前に現れていたウサギフランクは幻覚のようにも見えますが、最終的にフランクが殺されることを考えると、ドニーが見ていたのはフランクの幽霊のようでした。

『タイムトラベルの哲学』の内容に当てはめると、フランクは死んでから『マニピュレイテッド・デッド(操られる死者)』というこれまた使命を持つ存在です。

マニュピレイテッド・デッドは、接宇宙の世界で死亡した人物が担うことになります。
接宇宙で死亡したのはフランクとグレッチェンでしたが、グレッチェンは亡霊として現れたりはしないので、役割を与えられるのは1人だけということなのでしょう。

このマニュピレイテッド・デッドは接宇宙の時間の中を自由に移動することが出来るというタイムトラベルの能力を持つので、順序としては、フランクは10/30に死んだ後に10/2のエンジン落下の直前まで時間を遡ってドニーの前に亡霊として現れていたということです。

マニュピレイテッド・デッドの使命は『リビングレシーバーが確実にアーティファクトをプライマリーユニバースに返還するようにフォローすること』(=ドニーが確実にエンジンを主宇宙に返還するよう仕向けること)です。

フランクは接宇宙では死んでしまいますが、主宇宙では死なないかもしれないので、生き残る可能性にかけてドニーにちゃんとエンジンを返還させようと必死だったのです。

フランクがウサギの着ぐるみを着ていた理由は、単純にはハロウィンパーティーの仮装だからですが、ウサギに関するアメリカで有名なジンクス的なものを調べてみると色々ありました。

『ウサギは生命力のシンボル』

『ウサギの人形は悪魔から身を護る魔除けのアイテム』

『ウサギは魔女に呪物として扱われていた』

以上の3つが有名なジンクスのようです。
ハロウィンだったことを考えると、真ん中の魔除けとしてのウサギだった可能性が高い気がします。

 

デッドフランクがドニーに水と火の犯行をさせた理由

デッドフランクの目的は『ドニーにエンジンを主宇宙に返還させること』です。
デッドフランクは『結果』を知っているので、きっかけとなる行動をドニーに確実にしてもらう必要があります。

補足情報として『マニュピレイテッド・デッドはリビングレシーバーに強い影響力を持つ』という設定があるので、基本的にドニーはデッドフランクの言うことに無条件に従ってしまう傾向があります。

まず、学校の水道管破壊は『グレッチェンとの交際開始』と関係しています。
デッドフランクはドニーとグレッチェンが確実に付き合うための行動でした。(ドニーにとってグレッチェンが大切な人になり、彼女の死を受け入れがたいものにするため)

そしてカニングハム宅の放火は、巡り巡ってローズとサマンサが10/31早朝の飛行機に乗る原因になります。
家族も被害に遭うことで、ドニーにより強く「主宇宙に戻らなければ」と思ってもらうためだと思われます。

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ドニーはいつ使命に気付いたのか

ドニーが自分の使命に気が付いたのは、『タイムトラベルの哲学』を手に入れた10/10以降です。
10/18には本を読み終わっていたので、この頃には本の内容と自分自身とを照らし合わせて状況を理解し、後は確信を欲しがっているような雰囲気でした。

そして、恐らく確信を得たのが映画館でウサギの中の人が死んだフランクだとわかった時です。

 

10/30のドニーの行動を整理

グレッチェンが死んだ後、ドニーはどうすれば彼女が死なずに済むのか考えた結果、リビングレシーバーとしての使命を果たして接宇宙を手順通りに消滅させる決意をしました。

接宇宙でグレッチェンは死んでしまいましたが、彼女もフランクと同様に主宇宙に戻れば死なないかもしれないからです。

グレッチェンの遺体を抱えて自宅に戻った時、屋根の上に雲から伸びる穴があるのは偶然ではなく、ドニーが念力を使ってそこに【タイムトラベルの穴】を出現させたのです。

『タイムトラベルの哲学』情報では『穴は水で出来ている』という設定があるので、雨雲を使って穴を作ったということなのでしょう。(これも作中で教えて欲しかった)

そしてエンジンを送り返すために、その時近くを飛んでいた飛行機のエンジンを念力で取り外して穴を通して主宇宙に送り返しました。

『10/31に飛んでいる飛行機のエンジン』と、『10/2に落下したエンジン』は別物なんじゃないの?と思いますが、一応同じもの(厳密に考えると別)です。
厳密にというのは、エンジン2つは同じ物体(コピー)ですが、10/2に落下したエンジンは『落下後』、10/31のエンジンは『落下前』のものです。
これは接宇宙の中に2つあってはいけない物で、どちらかを返還する必要があったのです。

理論的に考えれば10/2に落下したエンジンを返すべきだと思いますが、こっちは恐らくFAAが回収&所有しているため、時間が無かったドニーは10/31に飛行中だったもう1つのエンジンを返還する方法を選んだのでしょう。
変な話ですが、返還するのはどちらでも良かったということになります。(成功しているので)

そして、エンジンを返還した時にドニーは気付いていなかった(?)のかもしれませんが、その飛行機にはローズとサマンサが搭乗していました。

 

全て夢になった

ドニーがエンジンを主宇宙に返還したことで接宇宙が消滅して、時間軸は主宇宙に戻りました。

接宇宙でリビングレシーバーと接触した人間は、主宇宙に戻ると接宇宙での体験がすべて『夢』に変わります。

マイケル・アンドリュースの『マッド・ワールド』が流れるシーンは、ドニーと接触した人達の『接宇宙での28日間』が夢に変わった瞬間を描いています。

夢は起きた瞬間に大半を忘れてしまいますが、印象的な部分だけは覚えていることもあります。

カニングハムは逮捕で人生詰んだ夢、フランクはドニーに殺された夢を見たことになったのです。

ローズが木にもたれてふらついていたのは、恐らく接宇宙で飛行機に乗っていたことが影響して乗り物酔い状態になっていたと思われます。
そう考えるとサマンサは意外と平気そうでしたね。

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ロバータ・スパロウの正体とドニーが死んだ理由

ロバータ・スパロウは尼僧時代、ドニーと同じように接宇宙でリビングレシーバーに選ばれた存在だったのでしょう。

どのような接宇宙だったのかはわかりませんが、スパロウは接宇宙から主宇宙に戻った後も生きたのです。

『タイムトラベルの哲学』を執筆したことが、リビングレシーバーだけは接宇宙での出来事も夢に変わらない(ちゃんと記憶に残る)ことを意味していると共に、リビングレシーバーには生きる選択肢もある(使命を果たした後に必ず死ぬ必要はない)ことを示しています。

つまり、ドニーは主宇宙に戻った瞬間にこれから何が起こるかわかるので、すぐに部屋から飛び出していれば生き残ったはずなのに、あえて死を選んだということになります。

理由はドニーが死ぬ運命を受け入れることが出来たからではないでしょうか。

ドニーがエンジン墜落で死ぬ運命になっていることは、父親の発言「ドニーも同じ運命だったのかも」、スパロウの発言「生き物は孤独に死ぬ」、瞳の中のドクロの絵、ドニー自身が『孤独な死』を異常に恐れていたことから何となくわかります。

ドニーは接宇宙でグレッチェンと恋愛の楽しさを知り、両親(特に母ローズ)の愛情も心から感じることができました。
同時に、運命に逆らう代償のように大切な人を失う可能性が高いことも知り、運命を受け入れることを選んだのでしょう。

内面的な要素を考えると、ドニーは自分自身の将来の姿をロバータ・スパロウに重ねてしまったことも死を選んだ理由かもしれません。

彼女が孤独なのは、やはり死ぬ運命に逆らって生きることを選んだことに対する代償だったようにも見えます。
ドニーも接宇宙で大切な人を失うので、運命に逆らうと大切な人を失う設定があるような気がします(『タイムトラベルの哲学』のサイトには書かれてませんでしたが)

しかも、タイムトラベルの記憶が消えなかったスパロウは、接宇宙での強烈な体験に囚われて郵便受けから離れられなくなっていました。
恐らくスパロウが体験した接宇宙では郵便受けが重要な役割を果たしたのでしょう。

次のページに続きます。

後半は『細かい疑問』、『登場人物たちのその後』です。

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