映画「誰も知らない」ネタバレ解説|明達のその後の考察、元となった事件の概要など | 映画鑑賞中。

映画「誰も知らない」ネタバレ解説|明達のその後の考察、元となった事件の概要など

ヒューマンドラマ(クライム)

映画「誰も知らない」のあらすじ紹介、解説、考察をしています!

母親に育児放棄された4人の子どもたちの壮絶な日常を是枝裕和監督が描いた問題作。
本作が映画初主演・初出演だった柳楽優弥が、カンヌ国際映画祭で男優賞を史上最年少で受賞して話題になった。

誰も知らない [DVD]

制作年:2004年
本編時間:141分
制作国:日本
監督・脚本:是枝裕和

キャスト&キャラクター紹介


(引用:https://cinema-press.com

福島明柳楽優弥

福島家の長男12歳。
男を作って出ていった母・けい子に頼まれて妹弟の面倒を見る。
長男らしい真面目な性格で、姉弟からはもちろん特にけい子から過剰に頼りにされている。
姉弟にはけい子が帰ってこない理由を「仕事で忙しいから」と偽っている。

 


(引用:https://koyuro.com

福島京子北浦愛

明の妹。年齢は作中で明かされないが、10~11歳位。
けい子が徐々に不在がちになる本当の理由を悟り始めている。
家族思いの優しい性格。

 


(引用:https://www.imdb.com

福島茂木村飛影

明と京子の弟。8~9歳位。遊び盛りでいつも騒がしい。
前の住居では、茂の遊ぶ声や物音で周囲に子どもたちの存在がバレそうになったため、現在の部屋に引っ越した。

 


(引用:https://www.imdb.com

福島ゆき清水萌々子

4〜5歳の末っ子。子どもたちの中では誰よりも母親が必要な年齢。
アポロチョコのイチゴ味が好物。

 


(引用:https://www.imdb.com

水口紗希韓英恵

不登校の中学生。
不登校を親に隠すため、朝から夕方まで制服姿で外で時間を潰している。
昼間に明たちと会うことが多く、いつの間にか仲良くなった。
明たちの置かれている状況を知り、力になろうとする。

 


(引用:https://koyuro.com

福島けい子YOU

4人兄弟の母親。
子ども達の世話を全て明に押し付けて新しい男と同棲を始める。
真実を明だけには打ち明けているが、下の3人には内緒にしている。
子どもたちを冗談で笑わせる陽気な性格だが、基本的に自分のことで精一杯。
恋多き女で4人の父親は全員違う。
子どもたちの出生届も出しておらず、学校にも行かせようとしない。

 

・その他のキャスト

宮嶋さなえ(コンビニ店員)…タテタカコ
杉原(ゆきの父親、タクシー運転手)…木村祐一
京橋(明の父親、パチンコ屋店員)…遠藤憲一
中延司(コンビニ店長)…平泉成
広山潤(コンビニ店員)…加瀬亮
吉永忠志(大家)…串田和美
吉永江里子(大家の妻)…岡本夕紀子
少年野球の監督…寺島進 ほか

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あらすじ前半

ある夏の日、2DKのアパートに福島けい子(YOU)、12歳の息子 (柳楽優弥)、 長女の京子(北浦愛)、次男の(木村飛影)、4歳の妹ゆき(清水萌々子)がの5人家族が入居した。
けい子は表向きには明と2人暮らしを装い、京子、茂、ゆきの3人の存在は世間に隠していた。
理由は子どもたちの出生届を出していないため学校に通わせていなかったり、4人のシングルマザーだと借りられる物件が限られたりと、様々な問題があったからだ。
子どもたちの父親は全員違う。
明以外の3人は外出一切禁止、京子は洗濯する時だけベランダに出ることを許されていた。
家事は主に明と京子の仕事で、けい子は家事をせず日中は働いて、夜は友人や同僚と遊んで深夜に帰宅することが多かった。
けい子はよく冗談を言って子どもたちを笑わせたりする陽気な性格で、子どもたちもけい子が大好きだった。


(一家団らん中の福島家 引用:https://www.imdb.com

子どもたちはたまに「学校に行きたい」と言うが、けい子は「勉強なら家で出来るし、父親がいないからいじめられるよ」と叱り、学校に行かせる気配はなかった。
秋頃のある朝。明が目覚めるとけい子がおらず、テーブルの上に『明へ お母さんはしばらく留守にします。よろしくね』と書かれたメモと、15万円程度の現金が置かれていた。
メモとお金を見た時、けい子は男の所に行ったのだと悟った。
けい子が「好きな人ができた」と以前 明に言っていたからだ。
明は兄妹達には「仕事の関係でしばらく帰ってこない」と伝えた。

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1か月以上、明は何とかやりくりしてけい子の帰りを待ったが戻って来ず、家賃や光熱費の支払いでお金は残り1万円程になった
危険を感じた明は ゆきの父親のタクシー運転手(木村祐一)と、明自身の父親のパチンコ店店員(遠藤憲一)を訪ねて援助を頼んだが、ゆきの父親からは援助してもらえず、明の父親は「新しい彼女が金遣い荒くて、お金無い」と5千円もらえただけだった。


(父親を訪ねている明 引用:https://www.imdb.com

残金が5千円を切った頃、突然けい子が帰って来た。
けい子はいつもの調子で「久しぶり~!」と言いながら、子どもたちに大阪のお土産を渡した。
茂とゆきは嬉しそうにけい子を迎えたが、真実を知っている明と、本当の理由を何となく気付いていた京子は不満気な表情だった。
本当はどこに行ってたの?」と聞く京子に、けい子は「仕事で大阪に居たの!」とイラついた様子で答えた。

数時間後。けい子はまた荷物をまとめて出かける準備をすると「クリスマスまでに帰るから」と子どもたちに伝えた。
荷物持ちで駅まで付き添うことになった明は、駅まで行く途中、お金に困って父親たちに援助を求めたことを伝えると、けい子は「5千円?もっとくれても良いのにね!困ったらまた行きなね!」とあまりにも的外れな反応をした。
歩きながら「相手に俺たちのこと話したの?」と聞くと、けい子は不機嫌そうに「その内話すわよ!」と答えた。
その後、ドーナツ屋に連れて行ってもらった明は「母さんは勝手過ぎる」と不満をぶつけたが、けい子は「一番勝手なのはあんたたちの父親よ!私は幸せになっちゃいけないの?」と怒って屁理屈を言い始め、明は返す言葉がなくなった。
その後、けい子は「お金、すぐ送るから。クリスマスまでに絶対帰って来るから!」と言い残し、笑顔で駅のホームへ向かった。

その後、けい子から現金が送られてきたが、クリスマスになっても帰ってこなかった。
明は最寄りのコンビニでクリスマスケーキが値下がりするのを待ち、買って帰った。
その日の夜、食器洗いしながら「私が酷いこと言ったから、帰ってこないのかな」とこぼす京子に、明はすぐに「絶対ちがう!仕事が長引いてるだけだから」と答えた。

我慢できなくなった明は昼間、公衆電話からけい子の勤務先に電話したが、「福島けい子は先月いっぱいで退職しました」と告げられた。
家に帰った明は、けい子からの現金書留を頼りに差出住所の電話番号を調べて電話をかけた。
「はい、山本です」と電話に出た声の主は確かにけい子だったが、明はけい子が『他人の姓』と名乗ったことがショックで何も話せず、無言で電話を切った。

けい子が帰ってこないままお正月になった。
明はポチ袋を買いに行き、帰りに偶然会った顔見知りの女性コンビニ店員、宮嶋(タテタカコ)に頼み、ポチ袋に自分と姉弟の名前を書いてもらった。

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明はポチ袋に4千円ずつ入れて「お母さんからお年玉もらったよ」と言い、3人に手渡した。
京子はピアノが欲しくてお年玉を毎年貯金していた。
今年のポチ袋の『京子ちゃん』という筆跡が他の袋と全く違ったので、本当はけい子からのお年玉ではないことに京子は気付いていたが、何も言わなかった。

数日後。その日はゆきの5歳の誕生日だった。
ゆきが「お母さんは今日絶対に帰って来る!駅まで迎えに行く!」と言って聞かないので、明はけい子の言いつけを破ってゆきと駅まで行くことにした。
アパートから出た時に大家の吉永夫妻(串田和美、岡本夕紀子)と出くわし、明は聞かれてもいないのに「親戚が泊まりに来てる」と言い訳をした。
明とゆきは駅でしばらくけい子を待ったが、彼女が改札から現れることはなかった。
帰り道、寂しそうなゆきに、明は「いつかモノレールに乗って、羽田空港で飛行機を見ようね」と励ました。


(駅から帰る明とゆき 引用:https://www.imdb.com

春休みの時期になると、茂はベランダでひとり遊びするようになり、止める者はいなかった。
明には同い年の男の子2人の友達が出来た。
明は友達が出来たことが嬉しくて、けい子からの仕送りでゲームを購入して友達を自宅に呼んだ。
明の家に親がいないことを知ると、2人はいつまでも部屋に入り浸ったり、食べ物などをやたらと明におごらせようとした。
友人が京子、茂、ゆきをぞんざいに扱うので、特に京子とゆきは不快感を態度で訴えたが、明は友人を失うのが嫌だったので何もしなかった。

ある日、アキラと友人2人がいつものコンビニに居た時、友人の1人が明の目の前でおもちゃを万引きした。
友人は明にも万引きさせようとしたが、いつも優しくしてくれる店員を裏切りたくなかったので何もしなかった。
明の態度を見た友人は「つまらない。もう遊ばない」と言い捨て去っていった。


(明に万引きさせようとする少年 引用:https://www.imdb.com

春休みが終わり、友人2人は中学校に入学した。
明は放課後に2人が学校から出てくるのを待ち「新しいゲーム買ったから遊ばない?」と誘うが、1人は塾、もう1人は他の友人からと遊ぶと断られた。
友人が「ブカブカでダサい」と文句を言いながら履いていたピカピカの白いスニーカーが、明には輝いて見えた。


(下校中の友達を見つめる明 引用:https://www.imdb.com

夏が近づいてきた。けい子からの送金は途絶えていて、家賃や光熱費が払えなくなった。
困った明はコンビニで働かせてもらえないかと宮嶋に頼んだが、16歳以上でないと働けなかった。
宮嶋は「児童相談所とかに相談した方がいいよ」と言うが、明は「前に相談したことがあるけど、4人一緒に住めなくなりそうになったからいやだ」と答えた。

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あらすじ後半※ネタバレしてます

残りの生活費が5千円を切った時、京子がお年玉の4千円を出してきた。
明は「いいよ、ピアノ買うんだろ」と断ったが、京子は「もういいから」と明にお札を握らせた。
その後、明は外出禁止の言いつけを破って4人でコンビニに出かけ、即席麺やおやつを買い込んだ。
帰りに道端に生えていた食べられそうな実や花の種を収穫し、土を拾い、カップ麵の空き容器に土を入れて種を蒔いた。
その日、電気が止まった。


(植物に水をあげる茂 引用:https://www.imdb.com

本格的に熱くなってきた頃に水道も止まった。
飲み水、洗い物、歯磨きや体を洗うことも公園でするようになった。
明に声変わりが始まり、京子に「風邪引いたの?」と心配された。

この頃から、明達は不登校の中学生 水口紗希と仲良くなる。
紗希は不登校を親に言えず、いつも制服姿で家を出て、外で時間を潰して夕方に帰宅していた。
紗希は京子やゆきの姉のような存在になり、平日の昼間は明達と過ごす時間が増えていった。


(階段で遊ぶ明、京子、茂、ゆき、紗希 引用:https://toughy.hatenablog.com

もうお金は小銭しか無かった。
コンビニの宮嶋や広山(加瀬亮)が店長の目を盗んで余り物の弁当やパンをくれるので、食事は主にコンビニ食で食いつないだ。

明が不在のある昼間、家賃滞納の件で大家の妻がけい子を訪ねてきた。
ドアの鍵をかけていなかったため居留守も使えず、居合わせた京子と紗希は「お母さんは仕事で大阪にいます」と答えると、大家の妻は諦めて出ていった。


(大家が訪ねて来て固まる紗希、京子、ゆき 引用:https://cinemagene.com

その後、紗希は明に「私がお金を作ってくるよ」と言い、携帯をつつき始めた。
紗希は駅でサラリーマン風の中年男性と落ち合い、カラオケ店に入った。
数時間後、紗希は男と別れ、カラオケ店の前で待っていた明に一万円を差し出した。
明はそのお金が汚らわしい気がして受け取れず、紗希の手を振り払い走って帰った。

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ある朝、くちゃくちゃと聞こえる音で明が目覚めると、茂がお腹が空いたのか紙を噛んでいた。
心配した明は茂のためになけなしの小銭を使ってコンビニでカップ蕎麦を買い、お湯を入れて戻ると茂が居なくなっていた。

外に探しに出ると、茂は道端の空きスペースで同世代の男の子達とラジコンで遊んでいた。
腹が立った明は「ふざけんなよ!」とラジコンを蹴り飛ばし、家に帰った。
茂は「物に当たるな!」と反論しつつも明を追いかけて帰り、一緒に蕎麦を食べた。


(カップそばのかき揚げを頬張る茂 引用:https://www.imdb.com

けい子は帰って来る気配がないし、お金が無くて家賃も払えず、アパートをいつ追い出されてもおかしくない。
働くことも出来ないし、妹弟の世話もしなければならない。
児相や役所に相談するしか方法が無いのはわかっているが、兄妹4人で暮らせなくなるなら行きたくない。
救いのない状況にいら立った明は売れそうな物を探して押入れを漁った。
けい子のスカートに手を伸ばすと、京子が「それは売っちゃダメ!触らないで!」と怒り出した。
明は「もう帰ってこねぇよ!」と怒鳴ったが、京子はスカートを持って押入れに立てこもった。

明は頭を冷やそうと外に出て、グラウンドのフェンスの傍で少年野球を眺めていた。
すると、明に気付いた野球監督(寺島進)が「君、何年生?」と声をかけてきた。
今日は他のチームと練習試合をする予定なのに突然休んだ子どもが居て、監督は代わりを探していた。
明は小学生に混ざって試合に参加し、バットの持ち方や打ち方を教わった。


(明に声をかける少年野球の監督 引用:https://www.imdb.com

試合が終わって明が帰宅すると、ゆきが倒れて動かなくなっていた。
小さな声で「椅子から落ちた」と京子と茂が言った。
ゆきは椅子に立ってベランダから外を見ようとして落ちた。
恐らくけい子の帰りを待っていたのだろう。
明は公衆電話に走ってけい子に電話したが、けい子と繋がる前にお金が無くなってしまった。
困った末に、明はドラッグストアで湿布を盗み、出来る限りの介抱をして回復を待った。

翌朝。ゆきを触ると冷たくなっていた。
死んだことを悟った明は紗希に会いに行き、事情を説明して助けを求めた。
明と紗希は、ゆきが大好きだったアポロチョコイチゴ味をコンビニであるだけ購入して部屋に戻ると、けい子から現金書留が届いていた。
中には数万円と『明へ みんなをヨロシクネ!頼りにしてるわよ!』というメモが添えられていた。

明達は、ここに引っ越した時に使った旅行用のトランクケースにゆきを入れた。
お気に入りだったサンダルを遺体に履かせながら、京子が「ゆき、大きくなったね」と呟いた。

明は紗希と一緒にトランクを部屋から運び出すと、モノレールに乗って羽田空港に向かった。
飛行機を見ようと約束していた明は、次々に離着陸する飛行機をしばらく眺めた後、近くの河川敷に紗希と一緒に穴を掘り、遺体をトランクごと埋めた。


(朝方までかかってゆきを埋めた明と紗希 引用:https://www.imdb.com

ゆきが居なくなったことが大人に気づかれることはなかった。
明はけい子にも、ゆきが死んだことを報告していない。
紗希は、再び兄弟たちと一緒に過ごす時間が増えた。
いつものようにコンビニで売れ残りの食材をもらい、公園で水を調達すると、明たちはアパートに帰っていった。


(帰宅途中の明、京子、茂、紗希 引用:https://cinemagene.com

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解説・考察や感想など!


(引用:https://www.imdb.com

ようやく鑑賞出来た作品。
柳楽優弥さんの演技を初めて拝見したのが、映画『闇金ウシジマくん Part2(’14)』のストーカー役や、連続ドラマ『ゆとりですがなにか(’16)』のポン引き役で、本作のキャラクターとはかけ離れていたので、演技の幅の広さに感心しました。

本作は、1988年に起きた『巣鴨子供置き去り事件』を元に、監督が10年以上にわたって取材を行い構想を練り、映像化された作品です。
この事件の詳細を知ると、本作が軽めに修正されていることがわかります。

巣鴨子ども置き去り事件とは


(引用:https://unsplash.com

事件の概要

1988年、埼玉県で4人の子どもを持つシングルマザー(当時40歳)の育児放棄が原因で、当時2歳だった三女が命を落とした他、様々な問題が明るみになり、母親、長男、長男の友人が逮捕された事件です。

ネグレクトが問題視されていた当時でも、極端に酷いケースとして注目を集めました。

1988年4月、部屋が不良(長男の友人達)のたまり場になっていたことと、子どもしか住んでいないことに気付いた大家が通報したことから事件が発覚します。

まず、通報を受けた警察官が子どもたちから話を聞いて、保護者が長期不在だと判明。子どもたち3人が保護されます。

映画では長男(12歳)、長女(10歳位)、次男(8歳位)、次女(4歳位)の兄妹構成でしたが、当事件は長男(14〜15歳)、長女(6〜7歳)、次女(3〜4歳)、三女(2〜3歳)という構成です。

いずれも全員父親が違っていて、さらには子どもたち全員の出生届が出されていない、いわゆる『無戸籍児』でした。

無戸籍児について説明を添えておくと、出生届が出されていないために戸籍が無く、社会から認知されていない存在です。
戸籍がないため学校にも通えていないし、存在が知られることもありませんでした。
これらの点から既に母親の責任感の無さが垣間見えます。

その後、家宅捜索が行われると、押し入れの中から白骨化した乳幼児の遺体が発見されます。
この子は順番としては長女と次女の間の子で、その後亡くなっていた男の子でした。
母親が遺体を消臭剤と共にビニールにくるみ、押入れにしまい込んで放置していたのです。
次男も他の子と同様無戸籍児なので、事件が明るみになるまで存在していたことすらわからなかったのです。

事件が報道されると、母親が警察に出頭しました。
母親は1987年10月から、長男に子どもたちの世話を任せて愛人宅に住んでいたことを明かしました。
子どもたちと再会した母親が、警察に『三女がいない』と訴えます。
保護されていたのは長男、長女、次女の3人でしたが、母親は5人子どもを産んでいて、三女が見つかっていないのです。

1973年生まれの長男→保護
1982年生まれの長女→保護
1983年生まれの次男→1985年に死亡。押入れの遺体。
1984年生まれの次女→保護
1985年生まれの三女→行方不明

その後の聞き取り調査で、三女は殺されて埼玉県秩父市内にある雑木林の中に捨てられていたことが判明しました。
三女は、長男の友人2名(当時12歳)に『おもらししたから』という理由で折檻(暴行)を受けて亡くなりました。
その後、悪臭がしたため山に埋めたのだそうです。

長男と友人の不良少年2人は、映画では万引きの強要をきっかけに疎遠になっていましたが、本事件では母親が出ていってから割とすぐ子どもたちの部屋に入り浸るようになり、事件が発覚した頃には1人が居候同然に住んでいたようです。

彼女を殺したのは長男の友人ですが、原因は間違いなく母親の育児放棄にあります。
その後の裁判で、母親は『保護責任者遺棄致死』の罪で『懲役3年、執行猶予4年』の判決が下りました。
長男は『傷害致死及び死体遺棄』の罪で東京家庭裁判所に送致され、特殊な状況下に置かれていた事などが考慮されて教護院に送られました。
この長男は教護院から出た後、学校へ通うことを希望して中学校に入学し、生徒会長を務めたとのこと。

三女の殺人に関与した少年2人も未成年だったため、長男同様教護院に送られました。
この2名のその後は不明です。

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母親について

母親は、事件が起こった1988年からさかのぼること15年前の1973年、夫となる男性と一緒に暮らしていて長男を設けましたが、長男が6歳の頃に夫が蒸発します。
その後、長男の就学通知が来ないことを不審に思った母親が役所を訪ねると、夫に頼んでいたはずの長男の出生届も、婚姻届すらも出されていなかったことが発覚しました。
出生届を出していないことが母親にわかるタイミングで父親が失踪している辺り、確信犯的なものを感じます。

「婚姻届けを出した」と嘘を付かれて6年以上も事実婚状態で一緒に暮らし、挙句突然他に女を作って逃げられたショックは想像を絶するものがありますが、母親は長男のことを役所に相談などもせず、そのまま放置しています。

その後、数々の男性との恋愛を経て長女、次女、三女を続けざまに産みますが、いずれの父親とも破局しており、誰の出生届も出していません。

母親は1987年の10月、長男にお金を渡して妹たちの世話を頼むと、恋人と同棲するためにアパートからひとりで出ていきました。
その後、母親はたまに子供たちが待つ部屋に様子見程度に帰っていたようですが、お正月以降は様子を見にくることもなくなり、お金が毎月現金書留で送られてくるのみになります。
最初は約8万円あった金額も徐々に減っていき、仕送りが無い月もあったようです。

小学校1年生程度の妹に加え、幼稚園児以下の2人の妹の責任をたったひとりで背負わされた長男がどんな思いで生活していたのか、本人以外には想像もつきません。

整理のために時系列にまとめたので合わせて記載します。

1973年 10月 長男を病院で出産。
1979年     夫が蒸発。婚姻届けと長男の出生届の未提出が発覚。
1982年 11月 長女を自宅で出産。
1983年 11月 次男を自宅で出産。
1984年   9月 次女を自宅で出産。
1985年   2月 次男死亡。押入れに遺棄。
               9月 三女を自宅で出産。
1987年   10月 巣鴨に引っ越し。
         母親不在がちになり、子ども達だけになる。
        長男が不良少年2人とつるむようになる。
1988年   1月 母親が完全に帰ってこなくなる。電気等が止まる。
             2月 この月から家賃滞納。
             4月 長男の友人が三女を殺害。雑木林に遺棄。
             7月 事件発覚。母親、長男、友人2人逮捕。
             8月 子どもたち5人の出生届と2人の死亡届を提出。
 

明たちのその後を考察


(引用:https://cinemagene.com

ゆきが居なくなった後も変わらない生活を続ける様子で終わってしまいましたが、個人的にはYOU演じる母親が逮捕されるまでが見たかったです(切実)
監督は『身近に助けが必要な子どもがいるのに気付かない、または見て見ぬフリをする大人たち』にも焦点を当てているように感じました。
そのため、逮捕までの流れをあえて描かず、観客に『この子たちをどうすれば救えるか、あなたならどうするか』を考えて欲しかったのかもしれません。 

本題の明たちのその後ですが、実際の事件でもそうだったように、大家が通報して保護されることになるのでしょう。
滞納の件で大家が自宅を訪ねていましたし、大家は平日の昼間に学校に行かず、制服姿で部屋に居る紗希も目撃していますから、少なくとも疑問を抱くはずです。
自由に外出するようになった明以外の子どもを何度も見かければ、さすがにおかしいことに気が付くでしょう。
それに、このまま滞納が続けば大家が然るべき対応をせざるを得なくなります。

大人に頼ることを諦めた明の心情を考えると心がギュッとなり、無責任な母親や父親の男たちに怒りがこみあげてきます。
自ら助けを求めないと、助けが必要かどうかを他人が知ることは難しいんだな、という事もわかりました。
深刻な状況なのに、どこかほのぼのとする音楽や子どもたちや母親の楽し気な表情(特に種や土を拾っていたシーンや、旅行用カバンから茂とゆきが出てくるシーン)が、危機感を麻痺させます。
子どもを持つ親に限らず、一度は見て欲しい作品です。

・是枝裕和監督作品

・柳楽優弥出演作品

 

・参考記事

・オワリナキアクム:巣鴨・置き去り事件
・MATOMEDIA:巣鴨子ども置き去り事件の長男と母親の現在!知的障害の噂やその後も解説

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