映画『セブン』ネタバレ解説|箱の中身、ジョン・ドゥの犯行動機、ラスト考察など | 映画の解説考察ブログ

映画『セブン』ネタバレ解説|箱の中身、ジョン・ドゥの犯行動機、ラスト考察など

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クライムドラマ

映画『セブン』のあらすじ紹介、解説、考察をしています!

定年退職まで残り1週間となった殺人課の敏腕刑事サマセットが、感情的な新人刑事のミルズと猟奇連続殺人事件の犯人を追う。
1996年MTVムービーアワードで『最優秀悪役賞』を受賞したケヴィン・スペイシーの演技も必見!

Se7en

原題:SE7EN
制作年:1995年
本編時間:127分
制作国:アメリカ
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
OP曲:『CLOSER』ナイン・インチ・ネイルズ
ED曲:『THE HEARTS FILTHY LESSON』デヴィッド・ボウイ

 

主要人物紹介

SE7EN
© New Line Productions, Inc.
ウィリアム・サマセットモーガン・フリーマン
定年退職間近の敏腕刑事。
退職まであと1週間になり、何事もなく終わることを願っていた矢先に連続殺人事件を担当することになってしまう。
相棒になった新任刑事のミルズに犯罪者心理を応用して捜査するように教える。

 

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デイビッド・ミルズブラッド・ピット
6年目の中堅刑事。自ら死亡して田舎町に配属されて妻と共に引っ越してきた。
サマセットと相棒を組み、殺人事件の捜査を積極的に担当したがるが、サマセットにも署長にも認めてもらえず不満が溜まる。
サマセットとは正反対の感情的な性格。

 

Se7en
© New Line Productions, Inc.
ジョン・ドゥケヴィン・スペイシー
連続殺人事件の犯人。
尋問した刑事の話によると『知識も教養もあるが完全な異常者』。
ジョン・ドゥも偽名であり本名も経歴も不明。
定期的に指の皮を削って指紋を除去している。

 

トレーシー(ミルズの妻)…グウィネス・パルトロー
刑事…ダニエル・ザカパ
警察官…ジョン・カッシーニ
大食の被害者…ボブ・マック
医師…ピーター・クロンビー、レグ・E・キャシー
分署長…R・リー・アーメイ
ドアの文字を削る男…ジョージ・クリスティー
図書館の夜警…ホーソーン・ジェームス
グールド弁護士(強欲の被害者)…ジーン・ボーカン
グールド夫人…ジュリー・アラスコグ
タルボット地方検事…リチャード・ラウンドトゥリー
監察官…アルフォンソ・フリーマン
ビクター(怠惰の被害者)…マイケル・リード・マッケイ
FBI…マーク・ブーン・ジュニア
肉欲の被害者…キャット・ミューラー
娼婦を殺した男性…リーランド・オーサー
高慢の被害者…ハイジ・シャンツ
マーク(ジョン・ドゥの弁護士)…リチャード・シフ ほか

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あらすじ紹介

日曜日

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1995年6月。アメリカの都心部で殺人課に5年勤務したミルズ(ブラッド・ピット)は、自ら志願してとある田舎町の警察署に異動しました。

ミルズと相棒を組まされた定年間近のベテラン刑事 サマセット(モーガン・フリーマン)は定年退職まで残すところあと7日だったので、血の気の多いミルズに「7日間は何もせず黙って様子を見てろ」と命じました。

 

月曜日

ミルズの着任早々1件目の殺人事件が起こりました。
被害者は超肥満体型の男で、調査の結果、長時間食べさせられ続けた末に殺されたことがわかりました。
犯行現場には『gluttony(大食)』という文字が残されています。

連続殺人になると予想したサマセットは、署長に「これは6日じゃ片付かない。私以外を使え」と言いますが、署長は「他に適任者が居ない」とサマセットに担当するよう命じました。

ミルズは「俺が担当する」と主張しますが、無視されて悔しい思いをします。

 

火曜日

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荒稼ぎしていたことで有名なグールド弁護士が殺されているのが見つかりました。
殺害現場には『GREED(強欲)』という文字が残されています。

サマセットは署長から「退職は事件解決後にしてほしい」と頼まれますが、サマセットは予定通りの退職を希望して責任者をミルズに譲り、サポート役に徹底することにしました。

サマセットはこの事件が聖書に登場する『七つの大罪』になぞらえた殺人で、あと5件は殺人が続くだろうと予想していました。

『七つの大罪』は、キリスト教の教えに登場する『人間を死に至らしめる感情や欲望』のことです。
『大食』『強欲』『怠惰』『憤怒』『高慢』『肉欲』『妬み』の七つです。

サマセットは図書館で関連書籍を読み漁り、ミルズに『カンタベリー物語』とダンテの『神曲』を読むように促しました。

ミルズは読書が苦手なのか、分厚い本に向かって悪態をつきます。




水曜日

その日、ミルズの妻トレーシー(グウィネス・パルトロー)がサマセットを夕食に招待して、ミルズと3人で食事しました。
食事の後に事件の資料を見直していると、サマセットは『七つの徳目』と『七つの大罪』は中世で聖職者が説教に使った題材だったことから、犯人は被害者に痛みであがないをさせているのではないかと推理しました。

『七つの徳目』とは、キリスト教の教えの1つで『人間が徳を積むための基本的な感情や行動』です。
『知恵』『正義』『勇気』『節制』『信仰』『希望』『愛』の七つです。

ミルズとサマセットは被害者の妻グールド夫人に犯行現場の写真を見てもらい、壁に掛けられた絵が上下逆さになっていることを知りました。
そして、絵の裏側の壁に『HELP ME(助けて)』と指紋で書かれているのを発見します。

「誰の指紋か特定するのに時間がかかる」と言われ、2人は警察署で寝てしまいました。

 

木曜日

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壁に付いていた指紋は、過去に少女暴行などの犯罪歴を持つビクターという男のものだとわかりました。

ビクターは『強欲』の被害者グールド弁護士の力添えで刑期を短縮した人物でもあります。
署長は彼が犯人と断定し、SWATを手配して自宅に突撃しますが、ビクターは約1年前から犯人に監禁されていた被害者でした。
瀕死状態のビクターが寝ているベッドの壁には『SLOTH(怠惰)』と書かれています。

ミルズとサマセットがビクターの部屋から出た直後、どこからか事件をかぎつけた記者が現れてミルズの写真を撮るので、怒ったミルズはすぐに記者を追い払いました。

その日の夜、サマセットにトレーシーから電話がありました。
「この町で知り合いはあなたしかいない」と言うトレーシーが哀れになり、明日の朝相談に乗る約束をしました。

 

金曜日

金曜日の朝、サマセットはトレーシーから妊娠したと相談を受けました。
サマセットは、彼自身も恋人が居た頃に子どもが出来たことがあったが、悩んだ末に堕ろした過去を打ち明けました。
「私は産みたい」というトレーシーに、サマセットは「堕ろすならミルズには悟られるな。生むなら全力で甘やかしてやれ」とアドバイスしました。

その後サマセットは知り合いのFBIと取引して、図書館で七つの大罪に関わる書籍を借りている人物をピックアップしてもらいました。
この町に住む人間で、関連書籍を網羅していたのはジョン・ドゥという男1人だけでした。

サマセットとミルズがジョン・ドゥの住所を調べて自宅に行くと、ちょうど帰ってきたドゥは突然発砲してきました。
攻防戦の末に逃げられてしまいましたが、ドゥが怪しいのは確かです。

その後、ミルズはホームレスを買収して「アパートに住んでいる男が怪しい」と通報させて捜査の許可を得ました。
ドゥの部屋は物が多く、拷問器具や工具に加え、これまでの3件の事件に関する道具や写真などの証拠が揃っています。
まだ発覚していない事件の証拠品もありました。

部屋を探った結果、ジョン・ドゥは3人目の被害者ビクターのアパートに現れた記者だったことが判明しました。

 

土曜日

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ジョン・ドゥの自宅の調査を続けますが、不思議なことに指紋が全くありません。
ドゥが書き溜めていた2000冊におよぶ日記をサマセットが読みふけっていた時、ドゥ本人から電話がありました。
ドゥは「君達の捜査は見事だ。おかげで私も計画を変更せざるを得なくなった」とだけ告げて電話を切りました。

次の事件の手がかりを探して、ドゥの部屋にあったレシートの皮革店に行っていた時、娼婦の遺体が見つかったと通報がありました。
殺された娼婦はドゥの部屋にあった写真に写っていたブロンド女性で、犯行現場には『LUST(肉欲)』と書かれています。

サマセットとミルズはそれぞれ関係者を尋問しますが、ジョン・ドゥに関する手がかりは得られませんでした。

 

日曜日※ネタバレ注意

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今日はサマセットの最後の出勤日です。
ジョン・ドゥにより美人モデルが殺されました。
犯行現場にはやはり『pride(高慢)』と血文字で書かれています。

警察署に戻ったサマセットは、「この事件が解決するまでミルズのサポートを続けたい」と言いますが、ミルズは「俺だけで大丈夫だから安心して引退しろ」とそっけないです。

その時、血まみれのジョン・ドゥ(ケヴィン・スぺイシー)が自らサマセットとミルズの前に姿を現し、そのままあっけなく逮捕されました。

ドゥは指紋を残さないために、指先の皮を自ら削り取っていました。
ドゥの経歴は白紙に近い状態で、銀行でのやり取りは現金の出し入れだけで収入源も全くの謎です。
それは『ジョン・ドゥ』が偽名であることを意味しますが、本名を知る手掛かりは出てきません。
尋問での会話から、ドゥは人並み以上の教養と知能があることと、完全な異常者であることはわかりました。

その後、現れたジョン・ドゥの弁護士を通して、ドゥは今日の18時にサマセットとミルズだけに残り2体の死体の隠し場所を案内したいと言いました。

周囲が反対する中ミルズが同意して、サマセットもミルズに従う形でドゥを車に乗せて走り始めます。
ドゥは車内で「私は普通の人間だが、この仕事には特別な意味がある。全て終われば、その結末は人には理解しにくいが、認めざるを得なくなる」と意味深に語りました。

ドゥはサマセットとミルズを郊外の高圧線の鉄塔が立ち並ぶ場所に連れてきました。
ミルズがドゥを車から降ろしてすぐ、遠くから1台のバンがこちらに向かってくるのが見えました。
バンを運転していたのは配達業者で「ミルズ宛に荷物がある」と言い、60サイズ程度の小さい段ボールをサマセットに渡しました。

爆弾かもしれないと緊張が走る中、中身を確認したサマセットは驚いて固まります。
すると、ドゥはミルズに「可愛いトレーシーの首だ」と告げました。
ドゥは彼自身を七つの大罪の『妬み』、感情的なミルズを『憤怒』になぞらえて、ミルズにドゥを殺させることで事件を完結させようとしていました。
ドゥの意図を察したサマセットはミルズを止めようとしますが、ミルズは感情をこらえきれず、ドゥを射殺してしまいました。

ミルズは殺人の現行犯で逮捕・連行されます。
署長にミルズの今後を任せたサマセットは、刑事を引退して帰路につきました。




事件の概要まとめ

1件目:大食

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『肉欲』の被害者は超肥満体型の男性で、食糧庫のような部屋でトマトソースに突っ伏して死んでいました。
男は手足をきつく縛られ、足元には食べた物を吐き戻したバケツがありました。

調査の結果、被害者は12時間以上食べさせられ続けていたことがわかりました。
ジョン・ドゥは彼が嘔吐しても糞尿を垂れ流しても食べさせ続け、食べられなくなったら暴行し、男は暴行の末に内臓破裂で死亡しました。
ドゥは肥満男に食べさせ始めてから殺すまでの間、追加の食材の買い出しに2回出かけた以外はずっとそばにいたと思われます。

その後、肥満男の胃袋から出てきた金属片を調べると、犯行現場の冷蔵庫の後ろの壁に『gluttony(大食)』と脂で書かれているのを発見しました。
一緒に置かれていた手書きのメモには『Long is the way. AND Hard , that out of hell leads up to Light(地獄から光に至る道は長く険しい)』と書かれていて、これはミルトンの『失楽園』からの抜粋です。

 

2件目:強欲


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2件目の犠牲者は違法に荒稼ぎしていたことで有名だったグールド弁護士です。
犯行現場である弁護士事務所の床には『GREED(強欲)』と血文字で書かれ、部屋に飾られていた被害者の妻の写真にも血で落書きされていました。

被害者の死因は失血死です。
弁護士は下着姿で拘束され、右手に肉切り包丁を持った状態で腹部に無残な傷が沢山ありました。
死体の隣には天秤が置かれ、1ポンド(約454g)の肉片が乗せられています。
現場にあったメモには『One pound of Flesh, No more No less No cartilage, No BONE but only flesh. This task done … And he would Go Free.(1ポンドの肉を差し出せば、彼は解放される)』と書かれていました。
これはシェイクスピア『ベニスの商人』からの抜粋です。

ジョン・ドゥは土曜日の夜~月曜にかけてグールドに自らの肉を1ポンド切り取らせました。
肉を差し出せば解放する約束だったようですが、弁護士は失血死してしまいました。

弁護士の妻の写真の落書きにも意味があり、妻は犯行現場に飾られていた絵が上下逆さまになっていると気づきました。
その絵を掛けていた部分の壁に、指紋で『HELP ME(助けて)』と書かれていました。

 

3件目:怠惰

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3人目の被害者は少女暴行と強盗の前科を持つ男ビクターです。
ビクターはジョン・ドゥに1年前から自宅ベッドに監禁拘束されていて、消臭剤だらけの部屋の中で寝かされていました。
部屋の壁には『SLOTH(怠惰)』と書かれています。

ビクターは餓死寸前だったものの、まだ生きていました。
正確に言うと、サマセットとミルズが発見した時にギリギリ生きているように調整されていました。
麻薬を含む様々な薬品を投与した形跡があり、片方の手首と唇とまぶたが切り取られていました。
舌はビクターが自ら噛み切っていました。(自殺しようとしたか、食料にした)
尿道には管が通してあり、トイレ対策までしてあります。
切り取った手は2件目の犯行現場に手がかり(HELP ME)を残すのに使われていました。
1年に渡る監禁と薬物投与で彼の脳は軟化(壊死)していて、意思疎通できる状態ではありませんでした。

ジョン・ドゥはビクターの監禁初日からサマセットとミルズが彼を発見する1年間、様子を毎日写真に撮ってベッド脇の小箱にまとめていました。

ビクターが住んでいたアパートの大家は、家賃はいつも郵便受けに入れられていて滞納も苦情も一度も無く、理想の住人だったと証言しました。

唯一生きて見つかった犠牲者ですが、医師の見立てでは彼はもう歩くことも出来ず、薬物漬けで脳も軟化しているため、生きて病院から出られる可能性は無さそうです。

次のページに続きます!

次はジョン・ドゥが読んでいた本、ミルズが言いかけたことなどです。




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