映画『溺れるナイフ』のあらすじと考察をしています!
「タイトルの意味」「夏芽とコウが別れた理由」「ペディキュア」「蓮目が自殺した理由」「カナが夏芽を嫌いになった理由、なぜ証拠隠滅した?」「夏芽が広能の映画に出れたのはなぜ?」など書いてます。
ネタバレありきの解説考察記事です。本作をまだ見ていない方はご注意ください。
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キャスト&キャラクター紹介
©ジョージ朝倉/講談社 ©2016「溺れるナイフ」製作委員会
望月 夏芽…小松菜奈
親の都合で東京から浮雲町に引っ越してきた15歳の少女。
東京では芸能活動をしていて人気が出始めていたため、引っ越しを不満に感じている。
同級生の航一朗と恋に落ちる。

©ジョージ朝倉/講談社 ©2016「溺れるナイフ」製作委員会
長谷川 航一朗(はせがわこういちろう)…菅田将暉
浮雲町にすむ15歳の少年。周囲からは『コウちゃん』や『コウ』と呼ばれている。
染めた金髪の髪がよく似合う。
地主の息子で態度がでかいが、周囲はそれを当然だと思っている。

©ジョージ朝倉/講談社 ©2016「溺れるナイフ」製作委員会
大友 勝利(おおともしょうり)…重岡大毅(ジャニーズWEST)
夏芽とコウの同級生。漁師の息子でコウの親友。
コウと夏芽の恋を見守りながらも、密かに夏芽に恋心を抱いている。

©ジョージ朝倉/講談社 ©2016「溺れるナイフ」製作委員会
松永 カナ…上白石萌音
夏芽とコウの同級生。
コウに幼い頃からずっと片思いしているが、叶わぬ恋と割り切って夏芽とコウの恋を応援している。
蓮目匠…嶺豪一
長谷川航司朗(航一郎の祖父)…堀内正美
望月芽衣子(夏芽の母)…市川実和子
望月鉄男(夏芽の祖父)…ミッキー・カーチス
望月直樹(夏芽の父)…斉藤陽一郎
望月竜太(夏芽の弟)…伊藤歩夢
教師…河原健二
夏芽のマネージャー…水澤紳吾
コウの友人…夛留見啓助
夏芽の同級生…金子理江、黒宮れい、國武綾
浮雲町の住民…水野愛子 ほか
あらすじ紹介
あらすじ起
ある年の夏。東京に住む15歳の人気モデル望月夏芽(小松菜奈)が父親の故郷である※浮雲町に引っ越します。
※浮雲町は架空の地名です。
引越しの理由は夏芽の父 直樹(斉藤陽一郎)が実家の民宿を継ぐために脱サラしたからですが、夏芽は芸能活動を強引にやめさせられたことや、ド田舎への引っ越しに不満だらけでした。
引っ越した日、夏芽は鳥居のある海で金髪の美少年長谷川コウ(菅田将暉)と出会いました。
(鳥居の向こう側のコウ 引用:https://www.instagram.com)
夏休みが終わり、転校先の中学校に初登校した夏芽は、コウが同級生でさらに同じクラスだったことを知ります。
転校初日、有名人の夏芽は同級生に囲まれてチヤホヤされる中、コウだけは夏芽が写る雑誌を酷評しました。
怒った夏芽はコウが鳥居に入っていた事をバラすと、教室がざわつきます。
その鳥居には『浮雲島の神様』がいると信じられていて、鳥居に入ると神様が怒って海が荒れるという迷信もあり、町のルールで鳥居に入ることは禁じられていました。
クラスメイトの大友(重岡大毅)が怒ると、コウは教室から逃げていきました。
その日の放課後。鳥居の近くでコウと出くわした夏芽は、「神さんを信じる」と言うコウに、それならなぜルールを破って鳥居に入るのか聞きました。
すると、コウは「俺はえぇんじゃ!この町のもんは全部俺の好きにしてえぇんじゃ!」と笑いました。
翌日。夏芽はコウが浮雲町の大地主の長谷川家の子だと知りました。
だからコウはこの島ではある程度のわがままは許されて、気分次第で授業をさぼっても誰も何も言わないのです。
また、長谷川家は面職人の家系で、浮雲町の祭りなどで使われるお面は全て長谷川家で作られたものだとクラスメイトのカナ(上白石萌音)が教えてくれました。
あらすじ承
その後、夏芽に有名写真家の広能晶吾(志摩遼平)から写真集のオファーが舞い込みます。
夏芽はコウに認められたい一心でオファーを受けました。
撮影が終わると写真集はすぐに完成しました。
夏芽はコウに写真集を見せて告白すると、コウは夏芽にキスをしました。
それから夏芽はコウと付き合うことになり、芸能活動も東京もどうでもよくなりました。
(キスする寸前の夏芽とコウ 引用:https://xn--vcki1fxhx43muydhn0fs65b.net)
写真集の発売から数週間後。今度は夏芽に映画のオファーが来ました。
迷った夏芽がコウに決めてもらおうとするとコウは不機嫌になったので、夏芽は自分で考えて映画のオファーを受けることにしました。
浮雲町で毎年夏に開かれる『火祭り』の日になりました。
夏芽にとっては初めての火祭りで、夏芽はコウとお祭りデートを楽しみます。
お祭りのメインとなる『火祭りの儀式』は男性だけが参加します。
夏芽がコウの舞踏に見とれていた時、夏芽の父の民宿の宿泊客である蓮目匠(嶺豪一)が現れて「君のおじいちゃんが倒れた。一緒に病院に行こう!」と言います。
慌てた夏芽は蓮目の車に乗りました。
同じ頃、コウは夏芽とお揃いのブレスレットが切れたことで夏芽の危険を察知して探しはじめます。
蓮目が夏芽を連れ去ったことに気づいたカナと大友は、大人に事情を話して通報してもらいました。
(夏芽に愛の告白をする蓮目 ©ジョージ朝倉/講談社 2016「溺れるナイフ」製作委員会)
蓮目の正体は夏芽が芸能活動を始めた当初からの熱狂的ファンで、夏芽目当てで浮雲町に来ていた男でした。
蓮目の目的は夏芽と身も心も1つになることでした。
蓮目は夏芽に愛を告白し、林の中に車をとめてキスを迫りました。
夏芽は車から飛び出して逃走します。
コウが助けに来てくれましたが、コウは蓮目にボコボコにやられてしまいました。
夏芽は橋の下に隠れてコウを待ちましたが、現れたのは蓮目だったので夏芽は恐怖のあまり気絶してしまいます。
その直後、通報を受けた警察と島の男性陣が助けに来てくれて夏芽は助かりました。
事件は示談で片が付き、夏芽の『レイプ未遂事件』は世間を騒がせました。
夏芽は傷心から芸能活動出来なくなり、映画のオファーは断りました。
あらすじ転
夏芽は高校一年生になりました。
大友、カナも同じ高校です。
夏芽とコウは火祭りの日以来会っておらず、自然消滅していました。
夏芽の事件の噂は世間に広まり、噂に尾ひれがついて今では強姦されたことになっています。
夏芽は有名になることの恐ろしさを知り、おしゃれや肌の露出、目立つ行動を極力控え、人間不信から友達もまともに作れなくなっていました。
ある日、夏芽はカナと久しぶりに話をしました。
カナは高校生になってから髪型や服装もおしゃれになってあか抜けています。
カナは「コウちゃんに会いたかったら、港に行ったらいいよ」と教えてくれました。
ある日の昼休憩。夏芽は大友と久しぶりに喋って一緒にお弁当を食べました。
大友と話してに久しぶりに笑った夏芽は、それから自然と大友と一緒にいる時間が増えるようになりました。
(椿の蜜を吸って遊ぶ夏芽と大友 引用:https://rf0818.hatenablog.com)
ある日、夏芽が大友と下校していた時、不良友達とつるんでいるコウとすれ違います。
話しかけはしませんが、夏芽はコウから目が離せませんでした。
別の日、夏芽はコウと出くわしたので話をしようとしますが、コウは逃げてしまいます。
夏芽はコウを追いかけて強引に話し合いをしようとすると、コウは「もう俺に関わらんで」と夏芽を突き放しました。
翌日、夏芽は大友に告白されて付き合うことにしました。
大友といるとコウを忘れられそうな気がしたからです。
数日後、久しぶりに夏芽のマネージャーから電話があり、広能監督の主演映画のオファーがありました。
夏芽は即答で断りますが、マネージャーは「実はもう台本が出来てる。送るから読んで!」と言うので、夏芽は台本だけ見てみることにします。
その後届いた台本には夏芽の役である主人公がレイプされるシーンがあり、明らかに夏芽の強姦未遂事件をネタにした内容でした。
傷ついた夏芽は、その後マネージャーからの連絡を無視しました。
数日後、広能が夏芽に会いに浮雲町に来ました。
夏芽が「レイプシーンがあるなんてひどい」と言うと、広能は「変態だから芸能界に入ったんじゃないの?」と開き直ります。
広能は、夏芽と大友カップルを見て鼻で笑うと「会ってみたら撮る気なくした」とあっさり帰ってしまいました。
数日後、夏芽は喧嘩して傷だらけのコウと遭遇し、お祭り広場の傍にある隠れ家に入りました。
この時、夏芽とコウは流れに任せて初めて肉体関係を持ち、夏芽は改めてコウが好きだと確信します。
しかし、コウは「もう会うのは最後にしよう」と言います。
夏芽は東京で芸能活動を再開し、コウは浮雲町で神様と生きる方がお互いに合っているからそうした方が良いというのがコウの意見でした。
夏芽は「離れたくない!」と食い下がりますが、コウは「俺はお前に何もしてやれん」と泣きました。
コウはあの事件以来、自信喪失していたのです。
コウは「お前にはもう会いたくない」とつぶやいてナイフを投げました。
夏芽はナイフを拾って泣きながらコウと別れました。
翌日。夏芽は大友に「芸能活動を再開するために東京に戻るから別れよう」と切り出しました。
コウが本当の理由だと悟った大友は、潔く「友達に戻ろう!東京でがんばれよ!」と笑いました。
あらすじ結
夏芽にとって2回目の火祭りの日。
火祭の儀式が始まる頃、カナは見慣れない天狗のお面をした不審人物を見かけました。
不審者が蓮目だと直感したコウは一目散に走りだしました。
その頃、夏芽が隠れ家で思い出に浸っていると、真っ赤な天狗のお面を付けた蓮目が現れました。
夏芽はコウのナイフをとり出して威嚇しますが、蓮目に殴り倒されてしまいます。
夏芽はおぼろげな意識の中で、コウが蓮目をやっつける場面を見た気がしましたが、夢か現実かわかりませんでした。
その後、夏芽はカナに血まみれのコウのナイフを見せられて、コウと蓮目の乱闘が現実だったことと、蓮目が死んだことを知りました。
カナは「明日、全部海に沈める。もう二度とコウちゃんと会わんで!」と怒鳴りました。
夏芽が気絶している間、蓮目は夏芽を強姦しようとしていました。
駆けつけたコウは必死で戦いますが、ナイフは蓮目が手にしました。
緊張が走る中、蓮目は「僕は夏芽ちゃんの一生消えない影になる」と言うと、自ら首を切って自殺しました。
蓮目の遺体、血の付いた衣類、コウのナイフは全て海に葬られました。
(授賞式の夏芽 引用:https://www.amazon.co.jp)
その後、上京した夏芽は広能監督の映画に出演し、ジパング国際映画祭で最優秀賞主演女優賞を受賞しました。
授賞式の最中、夏芽はコウとビッグスクーターに乗りながら、これからも芸能界で頑張ると報告する場面を想像します。
それからも夏芽は東京で芸能活動、コウは浮雲町で生き、ふたりが再会することは無さそうです。
夏芽はコウの、コウは夏芽の『神さん』であり、お互いの心の支えです。
(精神的につながっている夏芽とコウ 引用:https://prcm.jp)
考察や感想など
(引用:https://eigaland.com)
原作未読です。
この映画がわかりにくいと言われるのは、菅田さん演じたコウちゃんの発言が常に遠回しで意図がわかりにくい点にあると思いましたが、原作のコウちゃんもそんな感じだったんでしょうか。
とにかく小松菜奈と菅田将暉が美しい映画でしたが、個人的には意図がわからない追いかけっこのシーン(特に夏芽の写真集を見るまでのくだり)は要らなかったかなと思いました(笑)
あと蓮目が夏芽を襲うシーンは、蓮目役の俳優さんが小松菜奈に気を遣っている触り方をしているように見えて迫力がイマイチなのも残念でした。
全体的に主演2人のキラキラ感でカバーされていたな~というのが正直な感想です。
ここからは気になった点を考察します。
夏芽とコウが別れた理由
1回目の火祭りの際の事件の後、夏芽とコウは自然消滅で別れています。
夏芽は別れた理由を「会わないことがお互いに傷つかない唯一の方法だった」と答えています。
コウは長谷川家という浮雲町の中では特権階級的な家庭に生まれ、小さい頃から何でも思い通りになる環境で育ってきたため、自信と全能感に溢れていました。
しかし蓮目に喧嘩で負けた時、コウは夏芽を助けられなかったことに絶望し、コウ自身がまだ大人には勝てない子どもであると実感させられたのでしょう。
言い換えると、コウは蓮目に負けた時が生まれて初めての挫折だったのです。
レイプ未遂事件から、コウは夏芽を見るとあの時の敗北感を思い出してしまうため、会えなくなったのではないでしょうか。
一方で夏芽は事件の後もコウが会いに来てくれるのを待ち続けていましたが、世界最強と思われたコウちゃんが蓮目にあっさりやられてしまったことは彼女なりにショックだったでしょう。
夏芽がコウに自分から会いに行けなかったのは、付き合うのも別れるのも、全ての『選択』をコウちゃんに押し付けて逃げていたからだったように感じます。
夏芽のコウに対する受け身っぷりは幼なさを示していたようにも見えました。
個人的な感想ですが、コウちゃんが蓮目に殴られている間、夏芽はコウちゃんを助けようともせず逃げたのが納得いかないというか薄情というか自分のことしか考えてないように見えました。
あと、2回目の祭りの時に夏芽が気絶したり起きたりするのも『?』でした。
薬でも盛られてたならわかるんですが、何も無く突然気絶して、突然起きて「行けー!」とか叫んでたとしたら謎が深まります(笑)
夏芽のペディキュア
大友と映画デートに行く約束をした後、夏芽は久しぶりにペディキュアを塗ります。
そのペディキュアの色に、夏芽の心の中を占める人物と割合が現れています。
夏芽は5本の指の内、4本はネイビーを塗りました。このネイビーはコウです。
ネイビーなのは、夏芽の中でコウと海が結びついているからです。
そして、薬指だけに大友を表す鮮やかなえんじ色を塗っています。
大友がエンジ色なのは、椿の花で遊んだことが夏芽には印象的だったからでしょう。
大友は指1本分しかありませんが、恋人を連想する薬指に塗っているという点が『普通の幸せ』に憧れた夏芽が、大友に気持ちが傾きつつある様子を描いています。
その後、コウと再会した夏芽はやっぱりコウが好きだと再確認し、ペディキュアを全色ネイビーに塗り直します。
蓮目が自殺した理由
©ジョージ朝倉/講談社 2016「溺れるナイフ」製作委員会
蓮目は2回目の火祭りの際、また浮雲町に現れて夏芽を襲った末に自殺します。
この時、蓮目は「俺が死んだら夏芽ちゃんと俺の写真が並んで、俺は夏芽ちゃんの一生消えない影になる」と発言しています。
蓮目の目的は、夏芽と両想いになれないのなら、蓮目が死ぬことでもう一度世間を騒がせて、後に夏芽とセットで思い出される「あの人」的な存在になることで夏芽の『影』になりたい、ということだったようです。
しかしカナが証拠隠滅したので、蓮目の願いは叶いませんでした。
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感想などお気軽に(^^)
映画を見て、よく分からず..モヤモヤしたので、考察している方を探していました。
この方の考察ページが1番上に出てきて読んでみたら、もう分かりやすすぎて納得しました。頭のいい方なのだろうなぁと。
この考察・解説のおかげで、映画の評価が自分の中で上がったので、イイネボタンがないかと探していたところコメント欄があったので書かせていただきました。
すごく分かりやすくて感謝です。
他のも読ませていただきます!!
雫さん
こんにちは、管理人です。
わかりやすいと感じて頂けて嬉しいです!
雫さんのコメントを拝見していいねボタンを設置しました。
必要性を感じず設置していませんでしたが、私も頂けたコメントにイイネ出来るようになったので今では重宝しています。
ありがとうございました(^^)
とっても読みやすく、わかりやすく、丁寧な考察ですね。
きょう映画を観たばかりで、わからない部分もあったのですが、
こちらのブログを読んでとてもすっきりしました。
ぱずるさん
読みやすいと言っていただけて感動しました(T_T)
励みになります。コメントありがとうございました(^^)