映画『溺れるナイフ』ネタバレ考察|ラストの意味、カナの心理など考えました。 | 映画鑑賞中。

映画『溺れるナイフ』ネタバレ考察|ラストの意味、カナの心理など考えました。

ヒューマンドラマ(恋愛)

映画『溺れるナイフ』のあらすじと考察をしています!

東京から浮雲町に引っ越してきた15歳の人気モデル夏芽と、不思議な雰囲気を持つ同級生コウの恋物語。

制作年:2016年
本編時間:111分
制作国:日本
監督:山戸結希
脚本:井土紀州、山戸結希
原作:別冊フレンド『溺れるナイフ 』ジョージ朝倉

キャスト&キャラクター紹介

望月夏芽(もちづきなつめ)小松菜奈

親の都合で東京から浮雲町に引っ越してきた15歳の少女。
東京では芸能活動をしていて人気が出始めていたため、引っ越しを不満に感じている。
同級生の航一朗と恋に落ちる。

長谷川航一朗菅田将暉

浮雲町にすむ15歳の少年。周囲からは『コウちゃん』や『コウ』と呼ばれている。
染めた金髪の髪がよく似合う。
地主の息子で態度がでかいが、周囲はそれを当然だと思っている。

大友勝利重岡大毅(ジャニーズWEST)

夏芽とコウの同級生。魚屋の息子でコウの親友。
2人の関係を優しく見守りながらも、密かに夏芽に恋心を抱いている。

松永カナ上白石萌音

夏芽とコウの同級生。
コウに幼い頃からずっと片思いしているが、叶わぬ恋と割り切って夏芽とコウの恋を見守る。

・その他のキャスト

広能晶吾(ひろのうしょうご)…志摩遼平(ドレスコーズ)
蓮目匠(はすめたくみ)…嶺豪一
長谷川航司朗(航一郎の祖父)…堀内正美
望月芽衣子(夏芽の母)…市川実和子
望月鉄男(夏芽の祖父)…ミッキー・カーチス
望月直樹(夏芽の父)…斉藤陽一郎
望月竜太(夏芽の弟)…伊藤歩夢
教師…河原健二
夏芽のマネージャー…水澤紳吾
コウの友人…夛留見啓助
夏芽の同級生…金子理江黒宮れい國武綾
浮雲町の住民…水野愛子 ほか

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あらすじ前半

ある年の夏、15歳の人気モデル望月夏芽(小松菜奈)は東京から父親の故郷の※浮雲町に引っ越してきた。
※浮雲町は架空の地名。
理由は夏芽の父 直樹(斉藤陽一郎)が実家の民宿を手伝うためだったが、雑誌の表紙を飾る程の人気があった夏芽は芸能活動をやめさせられたことや、超が付く程の田舎町への引っ越しに不満を感じていた。

引っ越しが完了した日、夏芽は海の中に立つ鳥居の向こう側で金髪の美少年コウ(菅田将暉)が海に浸かってぼんやり波に揺られている姿を目撃した。 
夏芽がコウに見惚れていると、夏芽の存在に気付いたコウが「誰にも言うなよ!」と言いどこかに行ってしまった。


(夏芽が目撃したコウ 引用:https://www.instagram.com

その後、転校先の中学校に始めて登校した夏芽は、同じクラスでコウと再会する。
有名人の転校に生徒たちは騒ぎ、転校初日から夏芽は同級生に囲まれて質問攻めにあった。
そんな夏芽の様子をコウは興味なさげに、時々冷めた視線を投げかけた。
誰かが持ってきていた、夏芽が表紙を飾る雑誌を見たコウは「こんな都合のえぇ顔の女、東京にはウジャウジャおるやろ」と酷評。
怒った夏芽は、コウが鳥居の海に入っていた事を大きな声でバラすと、教室がざわついた。
クラスメイトで漁師の息子の大友(重岡大毅)が「また神さんの海(神様の海)に入ったんか!父ちゃんがいま船に乗っとるんじゃ!何かあったらどうしてくれるんじゃ!」と怒鳴った。
コウは「祟られるかもしれんな。お前らは行ったらあかんど!」と教室から出ていった。
クラスの空気に夏芽が呆気にとられていると、クラスメイトのカナ(上白石萌音)が「前に、あそこで他所から来た旅行者が釣りをして、そのせいで海が荒れたことがあるんよ」と教えてくれた。
夏芽は偶然じゃないのかと思ったが、大友が「神さんがおる、おらんの話じゃなくて、あの鳥居はこの町の皆が大事にしとるんじゃ!だから、お前も近づくな」と付け加えた。

その日の放課後、海でコウと夏芽は偶然会った。
コウ「口の軽い女じゃのう!」
夏芽「あんたは神様を信じてないんだね」
コウ「いや、神さんは普通におるやろ」
夏芽「じゃあ何で鳥居に入るの?あぁ、そっか、スリル味わってんのか。ここ何もないから、それくらいしか暇潰しないもんね」
コウ「そうじゃのう。人生、これ確かに暇つぶしじゃ!えぇもん見したるからこっち来い」

コウは夏芽を鳥居の近くに連れていくと、夏芽を道連れに鳥居の向こうの海に一緒に飛び込んだ。
「これでお前も祟られてしまうのう!」と笑うコウに、夏芽が「あんたもじゃん!」と言うと、コウは「あほう!俺はえぇんじゃ!海も山も、この町のもんは全部俺の好きにしてえぇんじゃ!」と答えた。


(夏芽を海に落としたコウ 引用:https://www.youtube.com

翌日。コウは学校を休んでいた。
カナや大友に事情を聞くと、コウは病欠などではなく「自由人だから来ていないだけ」だと言う。
コウは浮雲町の大地主で権力者の長谷川家の子なので、コウのある程度のわがままは許されていることを知った。
だからコウが気分次第で学校に来なくても、授業をさぼっても、教師も誰も注意しない(気に留めない)のだ。
また、コウの実家長谷川家は面職人の家系で、浮雲町の祭りなどで使われるお面は全て長谷川家で作られたものだった。

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その後、夏芽に有名写真家の広能晶吾(志摩遼平)から写真集出版のオファーが舞い込んだ。
夏芽は広能を知らずピンと来なかったが、夏芽の母 芽衣子(市川実和子)は「広能晶吾って、すごいじゃない!若くて綺麗なうちに撮っといてもらうのも良いかもね~」と好反応だった。

その後、広能が夏芽に会いに浮雲町に来た。
夏芽が「早く東京に戻りたいです。ここには居場所無くて」と言うと、広能は「なんで?東京で撮った雑誌の表紙でも今と同じような表情してたじゃん」と笑う。
夏芽が「何で私なんか撮りたいんですか?」と聞くと、広能は「君はカメラの前じゃないと呼吸出来ないみたいだから」と答えた。
広能の「良い写真撮って、一緒にもっと遠くまで行こう」という言葉に胸を打たれた夏芽は写真集を出すことに決めた。

夏芽と広能が森の中で写真撮影していた時、コウが突然現れて広能に石を投げつけた。
コウは「俺の町で何しよるんじゃ!この森も、その女も俺のもんじゃ!」と怒鳴ると逃げていった。
夏芽はコウを追いかけたが、捕まえられず逃げられてしまった。
疲れて地べたに仰向けになった夏芽に、広能はカメラのシャッターを切った。
夏芽が「私、あいつに負けたくなくて写真集のこと決めたんです」と告白すると、広能は「もう勝ってるよ。あの子、君のこと『俺のもんじゃ!』って言ってたじゃない」と笑った。


(写真撮影中の夏芽と広能 引用:https://news.livedoor.com

写真集が完成した頃。
放課後、夏芽はカナと喋っていて、夏芽が着けていたブレスレット(写真撮影の時にスタッフが小道具として用意していて、そのままもらったもの)がコウとお揃いの色違いだと指摘された。
夏芽はお揃いだと知っていて着けていたが、あえて知らなかったフリをした。
コウの青いブレスレットは、長谷川家一族であることを示す特別なものだそうだ。
その時、たまたまコウが通りかかったので、夏芽は写真集が出来たことを知らせた。
コウは夏芽をひとけの無い水路に連れてきてから夏芽の写真集を見た。
「ホントはあんたに見せつけるために撮ったけど、なんか、私じゃないみたいだよね」と言う夏芽に、コウは「お前、いつもこんな目で俺のこと見よるぞ。」と認めた。
夏芽が「私、ずっとコウちゃんのこと、近くで見てたいんだと思う」と告白すると、コウは持っていた缶ジュースを渡して夏芽にキスをした。
それから、夏芽はコウへの好意を隠すのをやめ、コウの居る浮雲町に居たいと思うようになった。


(キスする寸前の夏芽とコウ 引用:https://xn--vcki1fxhx43muydhn0fs65b.net

ある日の放課後。コウを追いかけて川原に来た夏芽は、映画のオファーが来たことをコウに明かした。
「でも、コウちゃんとの時間が減るの嫌だから、断っちゃおうかな」という夏芽に、コウは「つまらんのう。お前だけはわかっとると思っとったわ。
力があったら使いたいんちゃうんか?」と言った。
夏芽が「コウちゃんは、芸能界に入ってる私のことが好きなの?それならさ、私、映画受けるよ。コウちゃんが決めて!」と聞いた。
コウが黙っているので、夏芽が「私のこと好きじゃないの?」と叫ぶと、コウは「お前はキレイじゃけぇ、自分のもんにしたろう思っとったが、もうええわ」とつまらなそうに言った。
夏芽が「そんなのいや!私、コウちゃんのいう通り面白く生きて見せるから!コウちゃんが後悔する位、面白くなる!その時に何か言っても知らないから」と怒った。
すると、コウは腕につけていた長谷川家の証のブレスレットを「これやる。守ってくれるかもしれん」と夏芽にくれたので、夏芽のエンジ色のブレスレットと交換した。
それから2人は自然に仲直りして、夏芽は映画のオファーを受けることにした。


(ブレスレットを交換する夏芽とコウ 引用:https://cinemagene.com

浮雲町で毎年夏に開かれる『火祭り』の日。
夏芽は浴衣、コウはキナリ色の作務衣でお祭りデートをした。
夜に行われる火祭りの儀式は男だけで行われるため、夏芽が「離れるのはイヤ!」と駄々をこねると、コウはキスで夏芽を黙らせた。

その後、コウは松明をを持ち、お手製のキツネのお面を付けて火祭りの儀式が始まった。
夏芽が儀式中のコウに見とれていた時、夏芽の民宿の客で火祭りの見学に来ていた蓮目匠(嶺豪一)が走って来た。
蓮目が「大変だ、君のおじいちゃんが倒れて病院に運ばれた。一緒に行こう」と言うので、夏芽は蓮目に連れられて車に乗った。
夏芽が蓮目の車に乗った頃、コウが腕につけていた夏芽のブレスレットが切れたので、コウは夏芽を危険を察知して蓮目の車を追いかけた。
蓮目のウソはすぐにわかり、カナと大友は大人たちに事情を話して通報してもらった。


(夏芽に愛の告白をする蓮目 引用:https://blog-imgs-140.fc2.com

蓮目の狙いは夏芽に愛の告白をして身も心もひとつになることだった。
蓮目は2人きり車内で「驚かないで聞いてほしいんだけど、夏芽ちゃんを初めて見た時から不思議な運命を感じてたんだ。僕は夏芽ちゃんとひとつになるべきだと思ってる。さっき夏芽ちゃん、生意気そうな男の子とキスしてたでしょ。僕のために練習してくれてたんだよね?これからが本番だよ」とあまりにも独りよがりな告白をすると、蓮目はひとけのない林の中で車をとめて、夏芽にキスしようとした。
夏芽は叫んで蓮目を突き飛ばし、車から飛び出して走った。
コウが助けに来てくれたが、コウは蓮目に見つかって石で殴られた上ボコボコに殴られた。
夏芽は橋の下に隠れてコウが来るのを待ったが、現れたのは蓮目だった。
夏芽は恐怖のあまり気絶した。
その後、押し倒されたところを、通報を受けた警察や男性陣が助けに来てくれて、夏芽は助かった。
その後、蓮目と夏芽の両親は示談でケリをつけ、夏芽の映画の話も断った。

あらすじ後半※ネタバレしてます

約1年後。夏芽は高校一年生になっていた。
浮雲町には高校は恐らくひとつしかなく、大友、カナとも同じ学校だった。
夏芽とコウは火祭りの日以来会っておらず、関係は自然消滅していた。
夏芽が襲われた事件は噂に尾ひれがつき、夏芽は押し倒されただけだったのに強姦されたことになっていた。
ネットで検索しても、夏芽の強姦に関する記事がたくさんヒットした。

夏芽はあの日以来ファンの恐ろしさを思い知り、おしゃれや肌の露出、目立つ行動を極力控えるようになっていた。
友達も作らず、夏芽のクラスメイトの女子たちは、夏芽のことが話題に上がるたびに『火祭りの日の強姦事件』の話で盛り上がっていた。
そんな女子たちに、大友は「お前ら、品がないのう」と不快感を示した。

ある日、帰ろうとしていた夏芽にカナが声をかけて来た。
カナは高校に入ってから大人っぽく成長し、髪型や服装もおしゃれになっていた。
夏芽に「やっと話せた!心配してたんよ?ブレザー似合うね!お人形さんみたいやわ」というカナに、夏芽も「カナちゃんも可愛いよ」と返すと、カナは恥ずかしそうに笑った。
カナは「コウちゃんに会いたかったら、港に行ったらいいよ。最近はあの辺にたむろしちょる。」と教えてくれた。


(高校で夏芽に話しかけたカナ 引用:https://images.cinema.ne.jp

ある日の昼休憩。大友は校庭の隅で1人でお弁当を食べていた夏芽の所にやって来て「一緒に食べようや」と誘った。
会話の中で自然とコウの名前があがり、大友は「コウは最近変な奴らとつるむようになって暴れとるらしい」と心配していた。
大友が夏芽にコウと別れた理由を聞くと、夏芽は「今更聞く?・・・会わないことがお互いに傷つかない唯一の方法だったから」と明かした。
大友は「お前にとって、コウのことは『今更』なんか?」と不思議がった後「でも、お前の気持ちはなんとなくわかる。あの頃、お前とコウは特別輝いて見えた」と言った。
それから、夏芽と大友は自然とよく一緒にいるようになった。
大友はいつも夏芽を笑わせてくれて「なんか困ったら、いつでも俺に言っていいよ」と優しかった。


(椿の蜜を吸って遊ぶ夏芽と大友 引用:https://rf0818.hatenablog.com

ある日、夏芽が大友と一緒に帰っていた時、スクーターに乗るコウとすれ違った。
久しぶりに見たコウは、以前よりも尖った雰囲気がさらに増していた。
夏芽はコウから目が離せなくなったが、追いかけたりはしなかった。

別の日、夏芽は下校中にたまたまコウと再会し、逃げていくコウを追いかけて海に出て、ボートに2人きりになった。
久しぶりに会ったのに、コウは「お前、パンツ見えとるぞ」とおどけるので、イラついた夏芽は「何考えてるの?!クソヤンキー!前髪長すぎ!性格悪すぎなんだよ!!」と怒鳴る。
コウは笑って見せつけるように前髪をかき上げる。
夏芽は涙目で「何で逃げるの?コウちゃんが来てくれるの、ずっと待ってたんだよ!」と叫ぶと、コウはポケットからナイフを取り出して自慢げに見せて来たので、夏芽は呆れた。
コウは「逃げとるのはお互い様じゃろ?青春ごっこなんてやめーや。お前は逃げ場があってよかったのう」と言った。
コウは夏芽が大友の優しさに逃げていると言いたいのだ。
「何であいつ(蓮目)をやっつけてくれなかったの?」と座り込む夏芽に、コウは「俺たちはどうやら幻想を見合っとったようじゃのう。」と言った。
怒りが抑えられなくなった夏芽はコウを海に突き飛ばし、自分も海に飛び込んだ。
やがて海から顔を出すと、コウは「お前、不細工じゃのう!」と笑うので、夏芽は「コウちゃんのせいだ!」と殴った。
コウは「痛々しゅうて、お前の顔見とれんわ。お前は面倒くさいわ。お前の人生に巻き込まれるんはもうゴメンじゃ!もう俺に関わらんで」と言った。


(ボートの上で話す夏芽とコウ 引用:https://www.m-on-music.jp

翌日、夏芽は大友に告白されて付き合うことにした。
夏芽が交際を決めたのは、大友といると楽しいし、自然体でいられるからだった。
「俺が笑わせちゃる!」という大友の意気込みを聞いて、夏芽は「頑張らなくていいよ」と笑った。

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その頃、コウは今年の火祭りでつけるお面作りに専念していた。
コウが作るお面を見た祖父の船司朗(堀内正美)は「なんちゅう顔の面を作るんじゃ。そんなもん付けたら魂焼き尽くされて、身体も捧げることになるぞ」と注意した。
コウは「上等じゃ!」と笑った。

久しぶりに夏芽のマネージャーから電話があった。
マネージャーは「そろそろほとぼりも冷めてきたし、芸能活動再開しない?やっぱり夏芽ちゃん人気高いんだよね!広能さんが、今度は夏芽ちゃんを主演に映画を考えてるって言ってるんだ」という。
夏芽はほとんど即答で断ると、マネージャーは「台本がもう出来てるんだよ。送るから、目を通すだけでも。お願いね」と電話を切った。
届いた台本を読むと、主人公の女の子がレイプされるシーンがあった。

数日後、広能が夏芽に会うために高校の門の前に来ていた。
夏芽が動揺していると、広能は「夏芽ちゃんが全然返事くれないから、直接交渉しようと思ってたけど、なんか会ってみたら撮る気なくしたから、もういいや。実際に会ってみないとわかんないもんだね」と言った。
夏芽は「だって、レイプシーンがあるってひどすぎませんか?なんでこれ以上晒し者にならなきゃいけないの!?」と問い詰めると、広能は「良いじゃん、晒しもので!あんたもそういう変態でしょ?」といらついた表情を見せた。
広能は、人気が出るほどプライバシーが無くなる芸能界にいる人間は皆、少なからず変態だと考えていた。
夏芽の声を聞きつけて大友が近くに来ると、広能は夏芽と大友を見て「この子、新しい彼氏?君たちお似合いだよ」と笑って行ってしまった。
傷ついた夏芽は、大友が呼び止めるのも聞かずに走り去った。

数日後、夏芽は喧嘩した直後のコウと再会した。
2人は広場の傍にあるコウの隠れ家に行き、2人きりになった。
「なんで、自分をすり減らすようなことするの?コウちゃんだけでも、キラキラしたままでいて欲しいよ」と夏芽が言うと、コウは「お前の輝かしいコウちゃんはもう死んどるんじゃ」と答えた。
夏芽はカッとなり「じゃあ私達、あいつ(蓮目)の呪いにかかったままなんだね!」と大声で言うと、寝ていたコウは起き上がった。
「海も山も、全部コウちゃんの物だよ。コウちゃんが遊んじゃいけない物なんて無いよ。そういう風に触ってよ」
と言うとコウは夏芽にキスして、お互いに初めてのセックスをした。
終わった後、コウは「もう会うんを最後にしよう」と言い出した。
夏芽が理由を聞くと、コウは「お前は俺のことなんか追い越してくれや。
初めて会うた時、お前のことが光って見えた。もうお前の天職はわかっとる。
お前に神さんは要らんじゃろ。俺はここに残って神さんと生きる」と言う。
コウは、夏芽は芸能界が向いているから東京に戻るべきだと言いたいのだ。
夏芽は「じゃあ私もここに残る!コウちゃんともう離れたくない!」と言うが、コウはそっぽを向き「遠くまで行けるんが、お前の力じゃ。俺は、お前に何もしてやれんのじゃ。誇り高くおりたかったわ」と涙声で言った。
コウはあの事件以来、夏芽を助けられなかったことにショックを受け、自信を失い夏芽から逃げ、うっぷんを晴らすように喧嘩に明け暮れていたのだ。
コウは「もう姿見せんでくれ」とつぶやき、ナイフを夏芽の方に投げた。
夏芽はナイフを拾うと泣きながら出ていった。
その日の夜、夏芽はペディキュアの色を全てネイビーに塗り替えた。

翌日。夏芽は大友に「東京で映画に出ることにした」と言い別れを切り出した。
大友は「遠距離でも良いし、勝手に決めんなや」というが、夏芽は「無理なの」とうつむいたままだった。
別れの理由にコウのこともあると悟った大友は、泣きながら『俺ら東京さ行くだ』を歌い上げた後、潔く「わかった!友達に戻ろう!東京でがんばれよ!」と笑った。


(カラオケバーでの夏芽と大友 引用:https://vod-halloffame.com

夏芽は東京に戻って芸能活動することに決めた。
「芸能界って厳しいじゃろ?あんなこともあったし、大丈夫なん?」と心配する近所のおばあちゃんに、夏芽の父 直樹は「何があっても俺の娘ですから。それに、結局親は見守るしか出来んのです」と答えた。

夏芽にとって2回目の火祭りの日。
コウは去年と一緒で祭りの儀式に、大友は今年は儀式に参加せず、両親が出店するイカ焼き屋の手伝い、カナも両親の手伝いをしていた。
祭りの儀式が始まった頃、カナが長谷川家では見ていない天狗のお面をした不審人物を見かけた。
近くにいた大人に話しても「あんなのもあった気がする」と相手にされなかったので、カナはコウの所に走って不審人物のことを告げ「やっぱり夏芽ちゃんは災いの元じゃ!もう近づかん方が良い!」と言った。
不審人物が蓮目だと直感したコウは「あいつ、殺す」とつぶやき隠れ家に走った。

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その頃、夏芽はコウの隠れ家にひとりで来ていた。
コウとの思い出に浸っていると、隠れ家の入り口が開く音がして、真っ赤な天狗のお面を付けた蓮目が入って来た。
「夏芽ちゃん、お待たせ。今日は僕たちの記念日だね。」と言いながら近づく。
夏芽はコウのナイフをかざして逃げようとしたが、蓮目に押さえつけられて押し倒された。
暴れる夏芽に、蓮目は「怖がらなくて大丈夫だから!」と言いながら暴力をふるった。
夏芽は「コウちゃん助けて!」と叫び、そのまま気を失った。
夏芽はおぼろげにコウとカナが自分を助けに来て、コウが蓮目をやっつける現場を見た気がしたが、夢か現実かわからなかった。
その後、カナが血まみれのコウのナイフを見せて「明日、全部海に沈める。もう二度とコウちゃんと会わんで」と睨みつけて立ち去ったので、夏芽はコウと蓮目の乱闘が現実だったことを知った。
蓮目はコウのナイフを拾い夏芽に近づくと「俺が今ここで死んだら、明日の新聞に夏芽ちゃんと俺の写真が並ぶんだ。僕は夏芽ちゃんの一生消えない影になる」と言い、自らの首を切って自殺していた。
蓮目の遺体やコウのナイフは全て海に沈められ、無かったことにされた。


(授賞式の夏芽 引用:https://www.amazon.co.jp

その後、上京した夏芽は広能が監督の映画に出演し、ジパング国際映画祭で最優秀賞主演女優賞を獲得した。
授賞式でのコメントが終わり席に戻った夏芽に、広能は「ちゃんと呼吸出来てるね」とほほ笑んだ。
特別カットとして夏芽演じる主人公ユキコが上京するシーンが流れ始めると、夏芽はコウとビッグスクーターに2人乗りしながら語り合う場面を想像していた。
夏芽は「私は活躍するたび、コウちゃんの背中が見えるよ。私はこれからもコウちゃんをずっとずっと思い出すんだよ!」と言った。
コウは「ここであったことは何も気にせんでえぇ。お前が天下取るとこ、俺に見せてくれや!ずっと見ちょるけのう」と答えた。
夏芽は「この山も海も、全部コウちゃんのものだ!私もコウちゃんのものなんだ!!」と笑顔で叫んだ。
それからも夏芽は東京で芸能活躍、コウは浮雲町で生活する日々が続いた。
2人はお互いがお互いの神さんになり、お互いを心の支えに生きていくことにした。


(精神的につながっている夏芽とコウ 引用:https://prcm.jp

・主題歌
『コミック・ジェネレイション』ドレスコーズ
・挿入曲
絶対彼女 』大森靖子
ハンドメイドホーム 』大森靖子
水星 』オノマトペ大臣&tofubeats
『めぐり逢えたら』堀越千史
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考察や感想など


(引用:https://eigaland.com

原作未読です。とにかく小松菜奈と菅田将暉が美しい映画でしたが、個人的には意図がわからない追いかけっこのシーン(特に夏芽の写真集を見るまでの)は要らなかったなと思いました(笑)
あと熱狂的なファンの蓮目が夏芽を襲うシーンは、どうしても役者さんが小松菜奈に気を遣っているような触り方をしているように見えてあまり迫力がなかったのも残念でした。
行動などで理解出来ない点もいくつかあったけど、全て主演2人のキラキラ感でカバーされていたな~というのが感想です。

コウ演じる菅田将暉は、15歳の繊細な少年を演じるために体重を約15㎏も絞ったのだとか。
その他、本作の内容で気になった点を考察します。

夏芽とコウちゃんが別れた理由

1回目の火祭りの際の事件の後、夏芽とコウちゃんは自然消滅で別れています。
夏芽は別れた理由を大友に「会わないことがお互いに傷つかない唯一の方法だったから」と答えています。
蓮目に襲われた時、コウちゃんは夏芽を助けられなかったことで自分自身に絶望し、自分がまだ子どもだと再認識させられたのでしょう。
コウちゃんは夏芽を見ると嫌な思い出がよみがえるため、会えなくなったのです。

夏芽は事件の後もコウちゃんが会いに来てくれるのを待ち続けていましたが、世界最強と思われたコウちゃんが蓮目にあっさりやられてしまったことは彼女なりにショックだったでしょう。
夏芽は、コウが来てくれるのを待ってはいたけれど自分から会いに行かなかったのは、コウの心境を察して待っている方が良いと判断したからではないでしょうか。

個人的な感想ですが、事件に気付いたコウちゃんが夏芽を助けに来て蓮目に殴られた時、夏芽がコウちゃんを助けようともせずに逃げたのが納得いかないというか薄情に見えました。
あと、度々夏芽が気絶したり起きたりするのも見ていてモヤッとしました。
睡眠薬を盛られたとか事情があるならまだしも。
突然気絶して、突然起きて「行けー!」とか叫んでるとこは「これはこういう演出だ!」と心の中で割り切らないと見ていられませんでした。

夏芽のペディキュア

大友と映画デートに行く約束をした後、夏芽は久しぶりにお洒落してみようとペディキュアを塗ります。
そのペディキュアの色に、夏芽の心の中を占める人物と割合が現れています。
夏芽は5本の指の内、4本はネイビーを塗りました。このネイビーはコウです。
ネイビーなのは、夏芽の中でコウと海が結びついているからです。
そして、薬指だけに大友を表す鮮やかなえんじ色を塗っています。
大友がえんじ色なのは、椿の花の蜜が甘いことを教えてくれたのが夏芽にとって印象的だったからです。
大友は指一本分しかありませんが、恋人を連想する薬指に塗っているという点が、『普通の幸せ』に憧れた夏芽が、大友に気持ちが傾きつつある様子を描いています。

その後、コウと再会した夏芽はコウが大好きだと再確認し、薬指だけえんじ色にしていたペディキュアをネイビーに塗り直します。

蓮目が自殺した理由


(引用:https://vod-halloffame.com

蓮目は2回目の火祭りの際、また浮雲島に現れて夏芽を襲った末に自殺します。
この時、蓮目は「俺が死んだら夏芽ちゃんと俺の写真が並んで、俺は夏芽ちゃんの一生消えない影になる」と発言しています。
蓮目の目的は、死ぬことで新聞記事に一緒に載った上、夏芽の心に一生巣食ってやろうということだったようです。
しかしカナがその後、証拠隠滅のために蓮目と凶器を海に捨てたので、蓮目の願いは叶いませんでした。

カナが証拠隠滅した理由


(引用:https://www.club-typhoon.com

蓮目の自殺後、証拠隠滅したのはカナでした。
さらに、今まで夏芽に優しかったカナの態度が豹変した理由について考えます。
まず、カナはずっとコウが好きだったこと、モデルとしての夏芽のファンだったことが行動の理由にあります。
言い換えると、カナは夏芽とコウを神格化していたのです。

カナはコウに好意を抱いていましたが、普通の女の子である彼女自身はコウの恋人として釣り合わないと思っていました。
そこに、コウと同じくキラキラした存在である夏芽が現れたので、2人がお似合いだと感じたカナは、コウへの気持ちを殺してコウと夏芽の恋を応援します。
その後、1度目の火祭りの後にコウと夏芽が別れた後も、カナは夏芽にコウと会うように促しています。
恐らく、この時もカナは2人にヨリを戻してもらって理想の素晴らしいカップルになってほしいと思っています。
カナの心境は、一般人が芸能人の恋愛を見守るような感覚に近かったのではないでしょうか。

しかし2度目の火祭りの日、見慣れない天狗のお面を目撃したカナはコウにそのことを告げて「夏芽ちゃんは災いの元だから、もう近づかない方が良い」と発言します。
つまり、もう夏芽はコウにふさわしくないと思っていたのです。
カナの心境が変わったのは恐らく、夏芽が大友と付き合ったから。
この選択が、カナにとっての夏芽が『神』ではなくなった原因ではないかと思っています。
夏芽が『普通の男の子(大友)』を選んだのを知った時、カナの中で夏芽が『漫画のヒロインのような憧れの存在』から『顔が良いだけの男たらし』に変わってしまったのでしょう。

蓮目の自殺の後、カナが率先して全ての証拠を海に沈めています。
これはコウを犯罪者にしないための行動で、カナのコウに対する憧れ、好意は残っていたのでしょう。
一方で、夏芽に対する感情は冷めたので「もうコウちゃんに近づくな」とにらみつけています。

夏芽が映画に出れたのはなぜ?

夏芽に主演映画のオファーが来た時、夏芽に会いに来た広能は「会ったら撮る気失くした」と言い東京に帰ってしまいますが、その後上京した夏芽は広能の映画に主演で出ています。
おそらく広能の「撮る気失くした」などの発言は、感じたことをそのまま言葉にしたものだったのでしょうが、晒し者になるのがいやで『一般人』になりかけていた夏芽に、広能が発した最後のメッセージだったのでしょう。

脚本にはレイプシーンが組み込まれていて、完全に夏芽のための脚本に仕上がっていました。
実際にレイプ事件で注目を集めた夏芽が主演じゃないと映画を作っても意味がないので、広能にとってもあの時にただお願いするのではなく、一度断って夏芽の中にある芸能人としてのプライドを傷つけることで火をつけようとしたのでしょう。
夏芽はまんまと広能の罠にかかり、芸能界復帰しました。

 

タイトル『溺れるナイフ』


(引用:https://eightxjohnnist.hatenablog.com

タイトルの意味について。
蓮目が自殺に使い、その後カナが海に捨てて沈んでいった『溺れたナイフ』そのものと、ナイフのように尖って独特の輝きを放っていたコウが、蓮目の事件から自信を失くして悪に身を染め、精神的に溺れていく様子の両方が表れているタイトルだと感じました。
個人的にはかっこ良いタイトルだと思います。

 

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・主要キャストの出演作品

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