映画『死刑にいたる病』ネタバレ解説考察|タイトルの意味、雅也の変化、ラストについてなど | 映画鑑賞中。

映画『死刑にいたる病』ネタバレ解説考察|タイトルの意味、雅也の変化、ラストについてなど

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サスペンス

5/6(金)に公開した映画『死刑にいたる病』の解説、考察をしています!

東京で鬱屈した大学生活を送っていた筧井雅也の元に、24人以上の高校生を殺害したシリアルキラー(連続殺人犯)榛村大和から手紙が届いた。
「最後の1件だけは冤罪なんだ。証明を協力してほしい」という榛村の頼みを聞いた雅也は、真相を確かめるために事件の調査を始める。

結末に触れる内容を書いています。
まだ見ていない方はご注意ください(__)

 

死刑にいたる病

制作年:2022年
本編時間:128分
制作国:日本
監督:白石
脚本:高田亮
原作小説:『死刑にいたる病』櫛木理宇 著
この作品はPG12の年齢制限があります。
拷問等、殺傷描写がみられるためです。(映倫参照)
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主要キャスト紹介

死刑にいたる病
(引用:https://siy-movie.com

筧井 雅也かけい まさや岡田健史
東京のFラン大学の法学部に通う栃木出身の大学生20歳。
友人はおらず孤独で鬱屈している。
死刑囚の榛村大和から手紙をもらい、東京拘置所を訪ねる。

 

死刑にいたる病
(引用:https://www.anemo.co.jp

榛村 大和はいむら やまと阿部サダヲ

栃木県にあるパン屋『ロシェル』を経営する傍ら、高校生の男女を監禁・拷問の末に殺し続けてきた42歳のシリアルキラー。
24人の殺人事件の容疑者として逮捕され、9件の起訴を経て死刑判決を受けた死刑囚。
雅也が中学生の頃はロシェルによく通っていた。

 

金山一樹…岩田剛典
加納灯里(雅也の同級生)…宮崎優
筧井衿子(雅也の母)…中山美穂
筧井和夫(雅也の父)…鈴木卓爾
佐村弁護士…赤ペン瀧川
根津かおる(9件目の被害者)…佐藤玲
滝内(榛村の知人)…音尾琢真
クラタ(雅也の同級生)…大下ヒロト
農夫…吉澤健
山の持ち主…岩井志麻子
相馬(金山の元同僚)…コージ・トクダ
被害者たち…神岡実希、川島鈴遥、大原由暉、山時聡真、竹村浩翔、清水らら、濱佑太朗 ほか

あらすじ紹介

東京の大学で孤独なキャンパスライフを送っていた筧井雅也(岡田健史)の元に1通の手紙が届きます。
手紙の送り主は死刑囚の榛村大和(阿部サダヲ)でした。

榛村は雅也の地元でもある栃木県でパン屋『ロシェル』を営んでいた男ですが、可愛い笑顔と職業とは裏腹に、高校生ばかりを誘拐・監禁・拷問の末に殺害していた快楽殺人者でした。

榛村の事件が明るみになったのは、当時監禁されていた女子高生が逃走して警察に駆け込んだからでした。
逮捕・起訴された榛村は法廷で反省の素振りを一切見せず「僕が逮捕されたのは慢心したせいです。もし人生をやり直せるなら、二度と油断したりしません」と発言して世間を震撼させました。

雅也の実家は『ロシェル』の近くにありました。
雅也は中学生の頃、学校と塾の間の時間をいつもロシェルで過ごしていました。
厳しい父親を持つ雅也は、父とは対照的にいつも優しい榛村が大好きでした。
手紙には「君にお願いしたいことがある」と書かれていますが、パン屋の客の1人に過ぎなかった雅也に榛村が頼みたいことなど検討が付きませんでした。

雅也が恐る恐る拘置所の面会室に行くと、榛村はパン屋で会っていた当時と変わらない笑顔を見せました。
榛村の頼みとは『有罪判決が出た9件の殺人の内、最後の1件だけは冤罪なので証明するのを手伝ってほしい』というものでした。

 

解説・考察、感想など

阿部サダヲさん好きなのでわくわくしながら見てきました!
連続ドラマ『池袋ウェストゲートパーク』や『僕の魔法使い』で阿部サダヲファンになった私にとって猟奇的な役は目新しかったものの、阿部サダヲと中山美穂の20歳のシーンにはどうしてもコメディを感じてしまいました。(そういうとこが好きだから個人的には良いんですが、作風には合ってなかった気がしました)

全体的に重暗く、面会のシーンは『凶悪』だったり仕切りガラスの反射をうまく使うシーンは『三度目の殺人』っぽさがありました。

基本的には原作小説に忠実だったと思いますが、小説を読んでいないと伝わりにくい部分もあったので、気になったシーンや浮かんだ疑問を書いていきます。

 

榛村の犯行の傾向と9件目の事件の違いをおさらい

死刑にいたる病
(引用:https://www.fashion-press.net

榛村が犯行を否定した9件目の事件についておさらいします。

榛村が目をつけるのは男女問わず必ず16歳~18歳で、清潔感があって真面目で賢い優等生タイプの子ばかりです。
指と爪に対する拷問に特にフェティシズムを感じ、爪と指に行う拷問が最大の楽しみだったようです。

1~8件の被害者はこれらの特徴が当てはまりますが、9件目の被害者女性『根津かおる』だけはターゲット層でもなく殺害方法も全く異なっていました。
根津かおるの年齢は23歳でしたし、他8件の被害者が漏れなく指が欠損していたのに対して、彼女の指は10本すべて残っていて、犯人が手を加えた様子はありませんでした。

これらの状況証拠から、雅也も根津かおるを殺した犯人が榛村ではない可能性を意識して調査を始めます。

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24件の殺人容疑で9件しか起訴されなかった理由

榛村は24件の殺人容疑で逮捕されていましたが、実際に起訴できたのは9件でした。
この9件は榛村が起こした直近の事件で、不起訴になってしまった15件は証拠不十分だったのです。

冒頭、雅也のナレーションとともに榛村の犯行の様子が再現されたときに「決まった手順で処理をする」という説明とともに榛村は死体を焼いて灰を庭に埋めていました。

この時の榛村は恐らく彼の証言で言う『慢心する前』で、今までは必ず死体を焼いて灰にしてから処分していたのです。
しかし警察は何年たっても真相に近づきもしないため、気が緩んだ榛村は死体を焼くのをやめて、生のまま庭に埋め始めたのです。

それら8件の死体が庭から出てきて証拠になるわけですが、それ以前の死体はちゃんと手順通り焼いていたため、榛村が生前の被害者たちと交流があったことはわかっても、殺害の物的証拠が出なかったということなのでしょう。

 

9件目の事件の犯人と犯行の経緯

結論から言うと、根津かおるを殺したのもやはり榛村大和でした。

調査の過程で、一度は雅也が拘置所で出会った長髪の青年金山一樹(岩田剛典)が犯人ではないかと思われましたが、金山もまた榛村に翻弄されていた被害者だったのです。

続いて犯行の経緯です。榛村には、過去に交流があったものの条件を満たさなかったために手を付けなかった『元ターゲットたち』が大勢います。
雅也も榛村にお気に入り登録されていた子どもの1人でしたが、雅也が榛村と交流があったのは小学~中学生の頃で榛村の標的外だったので事なきを得ています。

また、榛村大和が榛村織子と暮らしていた頃に参加していたボランティア活動で、榛村はそこで知り合った被虐待児の心をもてあそんで、織子にバレないように虐待行為をしていました。
その被害者が金山一樹、金山の弟、根津かおるでした。

榛村は支配欲が非常に強く、彼らのような『元ターゲットたち』にもそこはかとない執着を持っていました。

監禁していた高校生に逃げられて逮捕を悟った榛村は、最低限の殺人の証拠を隠滅してから金山一樹に接触し、待ち合わせ場所に根津かおるが通りかかる場所を指定した上で、金山に「僕は君の代わりに誰を痛めつけたらいいの?」と質問して金山が根津かおるを指差すように仕向けました。

榛村はそのまま根津かおるを追いかけて山に連れていき、極度の潔癖症だった彼女を菌だらけの泥沼に放り投げ、いたぶってから殺しました。

榛村が根津かおるの殺害に要した時間を考えると、刑を軽くするために出来ること(埋めた遺体などの残った証拠を全て処分出来れば、逃げた子だけに対する罪になり死刑は逃れられる可能性もあった)だったり、もしくは逃亡する時間があったような気がしますが、榛村は高校生が逃げた時点で証拠隠滅も逃亡もせず死刑を覚悟して、保身に時間をかけるよりも、逮捕直前まで拷問殺人を楽しむことを選んだのです。

他の証拠を隠滅したり逃亡しようとしなかったのは、榛村が度が過ぎるほどの完璧主義者であることも表していたように思えます。

 

根津かおるを殺した理由

死刑にいたる病
(引用:https://instagrammernews.com

榛村は死刑執行されるその時まで『元ターゲットたち』の誰かと交流を持ち、支配し続けるネタのひとつにするために根津かおるを殺しました。

榛村は雅也以外の元ターゲットたちにも似たような文面の手紙をたくさん送っています。
しかし、雅也のような疎遠だった彼らをおびき寄せるには『ただ会いたい』だけでは動機が弱いので、雅也の手紙にも書かれていた『頼みたいこと』で冤罪を自作自演することで元ターゲットたちの興味を引こうとしたのです。

榛村は逮捕を覚悟したとき(爪を捨てた時)に死刑までの時間をどう過ごすか考えた上で根津かおるを殺し、指や爪に何もしなかったのは、別人の犯行に見せかけるためにあえて触らなかったということです。

また、逮捕が迫り限られた時間の中でどう楽しむかも考えての上だったとも思われます。
殺す場所に泥沼を選んだのも、彼女が極度の潔癖症だと知っていたからです。

元ターゲットが何人引っかかったのかはわかりませんが、少なくとも雅也と加納灯里は引っかかっていたのでもう何人かはいるのかもしれません。

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榛村は雅也に何をさせたかった?

榛村は手紙をたくさん出した中から引っかかった雅也に対して実の父親であるかのような演技をして雅也を操ろうとしていました。
榛村は雅也を使ってかおるの事件を嗅ぎまわらせることで、金山一樹に精神的揺さぶりをかけて遊んでいた(榛村は金山を支配していることを実感したかった)のです。

金山一樹はあの時に根津かおるを指差しただけでしたが、金山はその後彼女がどうなるのか半分知っていたので、根津かおるの死に対して強い罪の意識があります。
榛村にはそれがわかるので、あえて他人に根津かおる事件を嗅ぎまわらせていたのです。

榛村は雅也が榛村を父親と思い込み心酔していく様子を見ていたかったようですが、雅也は金山が持っていた榛村からの手紙を見て無事に目が覚めました。

どうでも良いんですが、もし金山があの時に根津かおるではなく元ターゲットでも何でもない全くの赤の他人を指差していたらどう動くのか地味に気になりました。

面会室から出てくる榛村大和

死刑にいたる病

©2022映画「死刑にいたる病」製作委員会

雅也が榛村に会いに面会室に行ったとき、ガラスをすり抜けて雅也の指に触れたり、面会室の壁を通り抜けて雅也の首根っこを掴みながら語り掛けるシーンが印象的でした。

現実的にはありえないあれらのシーンには、榛村が雅也をはじめとする元ターゲットに抱く執着の強さが表現されていたように見えました。
特に壁をすり抜けて首根っこを掴むシーンは、榛村から心が離れかけている雅也に対し、得意の話術で心を繋ぎ止めようと食い下がるのを表現していたように感じます。
首根っこを持つのは榛村の『支配欲』の表れです。

次のページに続きます!

2ページ目は『榛村大和と雅也の母の関係』、『タイトルの意味』、『原作小説について』などです。

コメントお待ちしてます

  1. よしだ より:

    死刑にいたる病の考察を拝見させて頂きました。
    映画を見終わった後、腑に落ちない箇所が多くあったので、ネットで考察を調べたところ、こちらのサイトの考察に辿り着きました。
    他のサイトよりも考察がしっかりされており、腑に落ちない箇所も理解することがてきたので、とても気持ち良かったです。ありがとうございました。

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