「バニラ・スカイ」ネタバレ解説|現実に戻れたのか、夢と現実の境目など考察。 | 映画鑑賞中。

「バニラ・スカイ」ネタバレ解説|現実に戻れたのか、夢と現実の境目など考察。

SFドラマ

映画「バニラ・スカイ」に関する疑問を考察・解説しています!
誰もが羨むような生活を送る出版社の若手社長デイヴィッドが、一目ぼれした女性ソフィアとの出会いをきっかけに、人生が思わぬ展開へ転がり始める。
映画「あの頃ペニー・レインと」のキャメロン・クロウ監督作品。

原題:Vanilla Sky
制作年:2001年
本編時間:137分
制作国:アメリカ
監督・脚本:キャメロン・クロウ
制作:キャメロン・クロウ、トム・クルーズ、ポーラ・ワグナー
原案:アレハンドロ・アメナーバル、マテオ・ヒル
原作映画:『オープン・ユア・アイズ 』(1997)

 

キャスト&キャラクター紹介


(引用:https://www.filmjackets.com

デイヴィッド・エイムス・Jrトム・クルーズ
幼いデイヴィッド…ロビー・ウォルシュ

NY大手出版社の社長33歳独身貴族。
父親が社長をしていた出版社の息子。
両親が事故で他界し、この若さで社長を引き継いだ。


(引用:https://kurio.id

ソフィア・セラノペネロペ・クルス

ブライアンが図書館で一目惚れしてデイヴィッドの誕生日パーティーに連れてきたスペイン系美人。
そのパーティーでデイヴィッドも彼女に夢中になった。
ダンサーとして成功しようとNYに越してきた。

 


(引用:https://moviescreenshots.blogspot.com

ジュリー・ジアーニキャメロン・ディアス

デイヴィッドのガールフレンド。
デイヴィッドが『フランクな関係』を望んでいるので表面的には彼の調子に合わせているが、内心は本命になりたがっている。
美人でプライドが高く嫉妬心が強い。
デイヴィッドがソフィアに夢中になってから次第に精神不安定になり、徐々にストーカー化する。

 


(引用:https://photos1.blogger.com

ブライアンジェイソン・リー

デイヴィッドの会社社員で親友、良き相談相手。
『持てない男』を題材に本を執筆中。
モテモテのデイヴィッドを羨ましく思っている。

 

 


(引用:https://www.thisisbarry.com

マッケイブカート・ラッセル

デイヴィッド担当の精神分析官。
殺人事件の容疑者であるデイヴィッドに真実を語らせようとする。

 

・その他のキャスト

エドモンド・ヴェンチュラ(LE社員)…ノア・テイラー
トーマス・ティップ(弁護士)…ティモシー・スポール
レベッカ・ディアボーン(LE社員)…ティルダ・スウィントン
アーロン(看守)…マイケル・シャノン
7人の役員…マーク・ブラムホールジャック・ホールデイヴィッド・ルイソンジェニファー・グリフィンアダム・ルグラントジョン・ケプリーロビン・バン・シャーナー
デイヴィッドの秘書…デライナ・ミッチェル
出版社の社員…シャローム・ハーロウジョニー・ガレッキ
パーティーの招待者…オオナ・ハートイワナ・ミルセヴィッチ
ポメランツ医師(形成外科医)…アーマンド・シュルツ
ベルリンの医師…レイ・プロシア
その他の医師…キャメロン・ワトソンロバートソン・ディーン
青いコートの男…ティム・ホッパー
リビー…アリシア・ウィット
ベアトリス(会社の受付)…キャロライン・バーン
司会者…キャノン・オブライエン(本人役)
バーのウェイター…マーティ・コリンズ ほか

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あらすじ紹介

主人公は出版社の若社長33歳独身のデイヴィッド・エイムス・Jr(トム・クルーズ)。
彼は現在仮面を着けた状態で『殺人の容疑者』として独房に監禁されていた。
多くを語らないデイヴィッドに、精神分析官のマッケイブ(カート・ラッセル)は「何があったのか話してくれないと、俺も君を助けるための仕事が出来ない。
裁判まで時間が無いんだ」と焦った表情で語り掛けると、デイヴィッドは少しずつ話し始めた。

デイヴィッドの父親は大手出版社の社長だったが、両親は約10年前に不慮の事故で他界し、両親から莫大な財産と父親の会社の51%の株を受け継いだ上、社長の座も引き継いだ。

デイヴィッドは現在33歳、仕事も順調、超セレブで誰もが羨むような生活を送っていたが、いつもどこか孤独で不安を抱えていた。
とびきり美人の恋人ジュリー(キャメロン・ディアス)もいたが、デイヴィッドは人と本気で付き合うのが怖く、彼女とも『フランクな関係』を望んでいた。

ある日、デイヴィッドは自分自身の誕生日パーティーを自宅リビングで開き、多くの知人を招待した。
そこで、親友のブライアン(ジョナサン・リー)が図書館で口説き落として連れてきたというスペイン系美女ソフィア(ペネロペ・クルス)と知り合った。
デイヴィッドはソフィアに一目惚れし、ブライアンそっちのけで彼女との会話に没頭した。

数日後。デイヴィッドは初めてソフィアの自宅に行き、朝まで一緒に過ごした。
肉体関係はなく、夜はお互いの似顔絵を描いたり、語り合ったり、一緒にテレビを見たりとまったり過ごし、朝が来てデイヴィッドが帰る直前に初めてキスをした。


(デート中のデイヴィッドとソフィア 引用:http://nerdculturepodcast.com

ソフィアの家から出た直後、デイヴィッドの前にジュリーが現れた。
嫉妬心むき出しのジュリーの気迫に負けたデイヴィッドは彼女の車に乗り、話し合いをすることにした。
怒り狂うジュリーをデイヴィッドは何とか鎮めようとしたが彼女は収まらず、そのまま衝突事故を起こしてデイヴィッドと無理心中を図った。

その後ジュリー死亡、デイヴィッドは生き残ったが、右側の顔と腕に大きな怪我を負った。

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解説・考察や感想など

本作は夢と現実の境界が曖昧で、結末もいくつかの解釈の余地があるようなので、私なりの考察、解説をしていきます!

何が現実で何が夢だったのか


(引用:https://photos1.blogger.com

デイヴィッドは永久的にリアルな夢が見られるシステムを供給している会社(EL)と契約し、150年位夢を見続けていたことが明らかになりますが、デイヴィッドの現実と夢の境界線はどこだったのでしょうか。

これは終盤に救護員のヴェンチュラが『路上で目が覚めた朝』からが夢のつなぎ目だと語っています。
つまり、路上で眠るより前は現実、それ以降はELがデイヴィッドに提供した夢だということです。

・現実の流れまとめ
デイヴィッドは出版社の若社長で超セレブだった。
→女優の卵ジュリーと肉体関係のあるフランクな関係を続けていた。
→誕生日パーティーでダンサーの卵ソフィアに一目ぼれ
→ジュリーが嫉妬してストーカー化
→ソフィアの家で一晩過ごした後、ジョリーと話し合いをするために彼女の車に乗って事故にあった。
→ジュリーは死亡、デイヴィッドは顔と右半身に大きな怪我を負った。
→イケメンだったデイヴィッドの顔は醜く歪み、ひどい容姿になった。
→手術後、デイヴィッドは腕利きの形成外科医に何とかするよう頼むがさじを投げられ、代わりに傷の自然治癒力を高めるという美容マスクをもらう。
→デイヴィッドが勇気を出してソフィアに会いに行くと、ソフィアは再会を喜んでくれて、2人はまた会う約束をした。
→ソフィアとナイトクラブで会う約束をしたので行ってみると、そこにブライアンもいた。
→デイヴィッドは機嫌を悪くしてお酒をしこたま飲み、酔った勢いで自虐的で卑屈な冗談を言いまくり、2人に見放される。
→そのままソフィア宅近くの路上で眠る。

ヴェンチュラによると、ここまでがデイヴィッドが実際に生きてきて体験した現実で、ソフィアに起こされてからはELがデイヴィッドに提供した夢での疑似体験になります。
以下はヴェンチュラが語ったデイヴィッドの現実でのその後です。

・デイヴィッドの本当のその後
路上で二日酔いでひとりで目覚め、帰宅。
(ソフィアとはそれっきり会っていない。)
→自宅にこもりがちになった。
→頭痛に悩まされるようになり医師に相談するが「現代医療では治せない」とさじを投げられてどうしようもなくなる。
→人生に絶望していたところ、インターネットでELの存在を知り、会社に行ってみた。
→EL社員だったヴェンチュラから話を聞き、契約を交わす。
→自宅で服薬自殺。
→ELで凍結処理を施され、夢の世界に入る
→約150年が経過し、現在に至る。

以上が現実に起きたことで、上記以外のソフィアとの恋人生活や精神分析官のマッケイブとのやり取りなどは、全てELが提供した夢ということになります。
上記『デイヴィッドの本当のその後』はELが記憶から削除して夢の記憶に塗り替えた、とヴェンチュラは語っていました。

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デイヴィッドが殺したのは誰?


(引用:https://www.filminquiry.com

冒頭で、デイヴィッドは『殺人の容疑がかかっている』とされ、独房に留置されていましたね。
終盤で明らかになりますが、デイヴィッドが殺したのは『自分自身』です。

ヴェンチュラや精神分析官のマッケイブが語っていたように、精神状態は常に夢に多大な影響を及ぼしています。
デイヴィッドが自殺した記憶はELに消されていましたが、無意識のうちにデイヴィッドは生きる道を選ばなかったことへの悔しさ・無念、罪悪感が心に残っていて、それが夢に影響し、結果自分自身を留置所へ入れていたのだと思われます。

 

デイヴィッドは現実に戻れたのか?


(引用:https://www.digitaldomain.com

夢を見続けていたことを知ったデイヴィッドは現実に戻る決意をしてビルの屋上から飛び降りますが、次に目が覚めた時、本当にデイヴィッドはバニラスカイ(甘い夢)から脱出して現実に行くことができたのでしょうか?

デイヴィッドのその後についてはネット上でも様々な考察がなされていますが、私自身は、ストーリーの流れを汲んでデイヴィッドは現実世界に戻ったと考えています。

EL社員(ティルダ・スウィントン)が『契約すると死後1時間以内に冷凍処理されて、冷凍されている間はリアルで素敵な夢を見る事ができる』と話していて、デイヴィッドも服薬して倒れてから1時間以内に契約通り冷凍処理されているようです。
ブライアンがデイヴィッドのお葬式を行ったのは、ELと契約したことを秘密にしていたか、デイヴィッドが目覚めるのは医療が発達するずっと未来のことで、再会するのが難しいと知っていたから、のどちらかでしょう。
(ベンチュラの言い方だとブライアンもソフィアも契約のことは知らない雰囲気でしたが)

デイヴィッドがELと契約した理由はうつ状態だったであろうことも1つだと思いますが、大きな理由は当時の医療では治せないと言われた事故後の慢性的な頭痛と、顔をもとに戻す技術が未来で発達していることを期待したからだと思われます。
ただ、ベンチュラが話していた通り、150年後の医療は発達して頭痛も顔も元に戻すことは出来ますが、デイヴィッドにもう資産はほとんど残っていないので、生き返ってもすぐに手術を受けるのは難しいでしょう。
それに、ソフィアやブライアンももう死んでいるので、夢から覚めるともう二度と会うことはできません。

それでもデイヴィッドが生き返ることを望んだのは、周囲の人物たちが語っていた『人生には酸っぱさ、苦さがあるからこそ甘さが感じられる』という言葉を身を持って体験したくなったから、ジュリーが言っていた『あなたにとっての幸せは何?』という言葉の答えを見つけたくなったからでしょう。
それに、ジュリーへの罪悪感、自殺への後悔が深層心理に残る状態では、また記憶を消去して夢に戻っても似たような悪夢を繰り返してしまうだろうことをデイヴィッドは悟ったのではないでしょうか。

つまり、デイヴィッドは心の問題に直面するため(克服するため)に現実に戻る決意をした、ということです。

今まで人生の『甘さ』しか知らなかったデイヴィッドは、事故での怪我とソフィアへの失恋で初めての『苦さ』を経験しましたが、そこから立ち直ることを半ば諦めて全てを未来に先送りして『幸せな夢の世界』に逃げる事を選びました。
しかし、夢の世界の中でデイヴィッドは無意識のうちに現状に甘んじている自分に気付き、疑問を抱きます。
この『これでいいのか?』という思いやジュリーに対する仕打ちへの罪悪感、自殺したことへの後悔が悪夢を生み出し、精神分析官のマッケイブを登場させ、彼と一緒に捨て去った記憶を取り戻します。
ちなみにラストでマッケイブが自分の名前を言えなかったのは、デイヴィッド自身が『ここは夢の中だ』という確信を得たいと強く思ったから、また、マッケイブがデイヴィッドの作り出したキャラクター(理想の父親像)であることを示すため、だと思われます。

個人的には植物状態や仮死状態、などではなく『死後』に凍結されたのに、生き返れるという話自体に疑問を感じたんですが、皆さまはいかがでしたか?
でも本当に死亡したという前程で考えてしまうと、全て死後の体験ではないかという話になってしまいますし、ELも関係なくなってしまうので、大げさに『死んだ』と言っているけれど、実際には仮死状態に近い(生き返る余地がある)と解釈した方が考察のしがいがありますよね!

作中に何度も「Open your eyes.」と囁く声が流れます。
単純に「目を覚まして」という意味でもありますが、本作の原作映画のタイトル「オープン・ユア・アイズ」にも由来しています。
また、問題から逃げて甘い夢ばかり追いかけていたり、現状に甘んじるばかりでなく、生きる目的や、あなたにとって幸せとは何かを考えること、問題に立ち向かう勇気を持って欲しい、などのデイヴィッドや視聴者に対するメッセージが込められていたように感じました。

難解映画と言われている作品の1つですが、皆さまはどのように感じましたか?
お時間があれば感想をコメントくださるとうれしいです!(^^)

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