「三度目の殺人」ネタバレ解説|器の意味、事件の真相など5の考察 | 映画鑑賞中。

「三度目の殺人」ネタバレ解説|器の意味、事件の真相など5の考察

サスペンス

映画「三度目の殺人」についての解説、考察をしています!

それは、ありふれた裁判のはずだった。
殺人の前科がある三隅(役所広司)が、解雇された工場の社長を殺し、火をつけた容疑で起訴された。
犯行も自供し死刑はほぼ確実。
しかし、弁護を担当することになった重盛(福山雅治)は、なんとか無期懲役に持ち込むため調査を始める。
何かが、おかしい。調査を進めるにつれ、重盛の中で違和感が生まれていく。(引用:映画『三度目の殺人』公式HP)より

制作年:2017年
本編時間:124分
制作国:日本
監督:是枝裕和
脚本:是枝裕和
原作:是枝裕和

キャスト&キャラクター紹介

重盛朋章福山雅治


(引用:https://ameblo.jp/karin-suh

三隅の弁護人を担当する、『勝ち』にこだわる弁護士。
死刑を求刑された被告人の三隅を減刑させるために働く。
結果至上主義で非常に合理的な性格のため、事件の真相・真実にはあまり興味がない。

 

三隅高司役所広司


(引用:https://www.iza.ne.jp

強盗殺人の容疑をかけられた被告人。
30年前にも同じ罪で服役している。
殺人の罪は認めているものの、重盛が事件の話を聞きに行くたびに供述の内容をコロコロ変えて弁護士側を困らせる。
相手の感情が読み取れる特技がある。

 

山中咲江広瀬すず


(引用:https://www.cinemacafe.net

三隅が殺した男の娘、高校生。
片足が悪く、歩くときは片足を引きずっている。

・その他のキャスト

摂津(重盛の弁護士仲間)…吉田鋼太郎
川島(重盛の部下の新人弁護士)…満島真之介
篠原(検察官)…市川実日子
服部亜紀子(重盛の弁護士事務所の事務員)…松岡依都美
山中美津江(咲江の母、被害者の妻)…斉藤由貴
重盛彰久(重盛の父)…橋爪功
重盛ゆか(重盛の娘)…蒔田彩珠
裁判官…井上肇
留萌の警察官…品川徹
桜井(工場の従業員)…高橋努
三隅のアパートの大家…根岸季衣
留萌のバーの男…山本浩司
検察官(篠原の上司)…岩谷健司
店長…中村まこと ほか

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あらすじ紹介※ネタバレなし

平成29年12月。結果にこだわり続けて実績を積み重ねてきた弁護士の重盛は、仕事仲間の弁護士・摂津から、強盗殺人事件の裁判の弁護人の依頼を受けた。
その事件とは、同年10月11日に多摩川の河川敷で50歳の食品工場の社長・山中ミツオが殺されて燃やされたという事件だ。
この事件の容疑者として逮捕された三隅高司は、以前 山中の工場で働いていたが、9月末で解雇になっていた男だった。
三隅は山中の殺害を自白している。

彼はおよそ30年前にも、強盗殺人の罪で捕まって服役していた過去があった。
今回は二度目なので、このままいけば三隅は死刑になるだろう。
なぜ摂津が重盛にこの仕事を依頼したのかと言うと、『三隅の供述がコロコロ変わり、自分には手に負えないと感じたから』らしい。

12月5日。重盛が初めて三隅と面会すると、三隅は罪を認めた上で、動機は『酒を飲んでいて、思い付きで殺した』と答えた。
この動機も前回の供述とは違っていたようで、一緒に面会に来ていた摂津は苛立っていた。

その後、警察署へ出向いて三隅が山中から奪った財布を見た重盛は、財布にガソリンがついていたのを見て『財布を奪うつもりで殺したのではなく、殺してから財布を盗ろうと思いついたのだ』と判断した。
重盛は、三隅の罪の動機を『強盗目的の殺人』ではなく『怨恨による単純殺人と窃盗』に変えることで減刑を求める方針で裁判を進めることにした。
※単純殺人と窃盗の方が罪が軽い

12月16日。発売された週刊誌に三隅の事件の特集が組まれていて、その内容は重盛たちを慌てさせた。
記者は三隅に独占取材を行ったらしく、そこで三隅は『中山の妻に依頼されて、保険金目当てで殺した』と発言したと書かれていて、再び犯行動機が変わっていたからだ。
重盛は急いで三隅に会いに行って事情を聞くと、三隅は「中山の妻の美津江に頼まれてやった。携帯のメールにやり取りが残っている。美津江には『黙っていたら悪いようにはしないから』と言われた」と発言した。
三隅の携帯を確認すると、美津江が三隅に「あの件、50万円でお願いします」とメールを送っていて、10月の頭には給料とは別に50万円が三隅の口座に振り込まれていた。
重盛たちは急遽、方針を『共謀共同正犯』に変え、主犯を美津江だと主張して減刑を狙うことにした。
※共謀共同正犯:複数人で犯罪の計画を立てて実行した罪のこと。
このことはテレビのニュース番組でも取り上げられ、世間では三隅と美津江が不倫関係にあったのだろうと騒がれた。

数日後。重盛は三隅の人間性を探るため、三隅が住んでいたアパートを訪れた。
そして大家さんとの会話で、殺された山中の娘で高校生の咲江が時たまここを訪れていたと知って驚いた。
三隅の部屋には大きな鳥かごがあった。
大家さん曰く三隅は小鳥を飼っていたらしいが、今は死んでしまってアパートの裏庭にお墓を作っていたそうだ。
重盛は部屋から出た後で裏を見に行くと、そこには小石を十字架の形に並べた綺麗なお墓が作ってあった。
山中の遺体が燃やされた跡も十字の形になっていたことを思い出しながら、重盛は小鳥のお墓を掘り返した。

その後、重盛は三隅に会いに行き、お墓に埋まっていた5匹のカナリヤのことを訊ねた。
重盛は最初は「病気になって死んでしまった」と言っていたが、後に「逮捕されたら世話出来なくなるし、逃がしても生きていけないだろうから、1匹だけ逃がしてあとは殺した」と明かした。
さらに咲江との関係を問い詰めると、笑ってはぐらかすばかりだった。

解説・考察や感想など※ネタバレありき

真相が何なのかも明かされないまま終わり、モヤモヤした方が多かった作品だったのではと思います。
このモヤモヤ感は是枝監督の意図だったと解釈しています。
でも、やはりモヤモヤは解消していきたいので、どこになぜモヤっとするのか考えていきたいと思います。

本当の犯人は結局誰なのか?


(引用:https://www.iza.ne.jp

事件の真相・犯人・動機など全てが伏線のみで、きちんと明かされないまま終わりますが、事件を起こした犯人自体は三隅だと解釈して良いんだと思います。
冒頭で、三隅が山中を殺害するシーンがあります。
あれは『あくまで殺人を犯したのは三隅だ』と観客に示すためだったと思っています。

三隅が『器』とはどういう意味なのか

重盛は三隅を『器』と表しますが、30年前に北海道で三隅を逮捕した警察官も「三隅は空っぽの器のような男」と言っていました。
三隅には他人の気持ちや考えていることを読み取れるサトリのような特殊能力があったので、その能力のことを『器』と表していたと考えられます。
言い換えると、他人への共感能力が異常に高くて、三隅自身も相手の感じていることと同じ気持ちになってしまうということです。

本来の三隅は良くも悪くも空っぽな人間で、特徴がないことが特徴というような男です。
ここから、空っぽの器を持つ三隅をイメージしながら書きます。
三隅の持つ器には他人の感情が入ってしまうことがあります。
他人の感情が器に入ると、その感情に三隅自身が乗っ取られてしまうんです。
誰の感情でも入ってしまうんでしょうが、三隅と波長が合う人物(重盛、咲江など)と接すると、より多く影響を受けてしまうような印象を受けました。
そして器がいっぱいになると、空っぽにするための行動を起こします。

その行動が山中を殺すことだったわけですが、三隅は憑依状態というか乗っ取られてやったことなので、動機を聞かれても明確には答えられません。
それに器の影響もあるので、質問した相手が「こう答えて欲しい」と考えながら質問してしまうと、三隅は相手が答えて欲しい答えを言ってしまうというのが、三隅の供述がコロコロ変わっていた原因です。

事件の真相は?


(引用:http://blog.imalive7799.com

三隅は供述をコロコロ変えて観客を翻弄しますが真実は明かされることなく、観客には死刑判決だけがポンと渡されるような形で物語は終わります。

ここは三隅の供述はあてにならないものとして置いといて、起こった事実と周辺人物の発言は真実と考えれば、話の筋が通る気がします。

30年前に三隅が殺したのは借金取りの男でしたが、警察官は「借金取りは皆から恨まれていたが、三隅自身はあいつを恨んでいなかった。なのに殺したのは三隅だったから不気味だ」というようなことを言っていました。
なので、三隅は町の皆の借金取りへの恨み、『いなくなればいいのに』という思いで『器』が満たされてしまい犯行に及んだのでしょう。

そして今回の件では、三隅は山中の娘の咲江に強く共感して『器』は咲江の感情で満たされ、山中の殺害に至ったのだと思われます。
裁判の最中、咲江は重盛の事務所に現れて、実の父親である山中に日常的に性的虐待を受けていたことを明かしています。
咲江は山中を恨み、死んでほしいと思っていました。
三隅は咲江の発言通り、彼女の代わりに山中を殺した というのが真実なんだと思います。
三隅が重盛の父親に出していたハガキの中で「娘と一緒に雪のケーキを作った時、娘が手袋をしていなかったので、私のを半分渡した」という文章も、三隅と咲江がある意味 共謀していたことを示す伏線です。

3人目の被害者・加害者は誰? タイトルにある「三度目」は、三隅自身のことを指します。

裁判中、三隅が犯行を否定した理由

裁判が始まった後、咲江が重盛の事務所に現れて、三隅の刑を少しでも軽くするために、咲江が山中に性的虐待を受けていたことを証言したいと申し出ます。
重盛は次の公判の前にこのことを三隅に伝えると、途端に三隅は犯行自体を否定し始めました。
これがほぼ決めてとなって三隅は裁判官の信用を無くし、死刑判決を下されます。
突然無実だと言い出したことについて裁判の後に理由を聞くと、三隅は「俺はただの人殺しだ。」「もしそうだったら、良いストーリーだな」というような発言をしています。

三隅が理由をはっきり答えないあたり、犯行を否定した時のこと自体の記憶があまりないとも捕らえられます。
三隅は無実発言をした時、恐らく重盛の「咲江の精神面や将来を守ってあげたい」という感情を感じ取り、そうなるように動いてしまったのでしょう。

三隅に死刑判決が出て裁判が終わった後、重盛が頬をぬぐうシーンがあります。
三隅と咲江も同じ行動をしていたので、重盛自身も殺人を犯したこと、重盛自身もそのことに気付いたことを示す隠喩です。
重盛は、三隅が今になってから無実を主張することが裁判官の心証を損なうことをわかっていながら、三隅がそうすることを許します。
つまり、重盛は咲江に証言させないために、三隅にとって不利になる発言をすることを許し、死刑になるように誘導したことになります。
三隅が発言を翻した後に関係者が集まって議論した際、重盛が裁判をやり直すように強く主張しなかったことがその証拠です。

十字路の真ん中にぽつんと立ち、あたかも十字架の真ん中に立っているように見えた重盛は、殺人の罪を背負って生きていくことを表しています。

司法の仕組みについて

裁判や関係者が集まって打ち合わせをするシーンは、実際に弁護士、検察官、裁判官を集めて模擬裁判や

本作の言葉を借りると『司法の船に乗っている者たち』にもそれぞれ事情があることが明かされています。
裁判官は、裁判をより数多くこなすことで評価が上がります。
そのため、裁判官は1つの1つの裁判をスケジュール通りか、それより短く終わらせることに執着します。
人間を生かすか殺すかを決める三隅の裁判ですら、裁判官は顔色一つ変えずにとにかくスケジュール通りに終わらせようとしていました。
彼らは人の生死を決めることに慣れてしまい、裁判官のはずなのに倫理観がマヒしています。
こういう点もモヤモヤというか胸糞悪さを感じますが、これが司法の現実なのだと監督は訴えているのだと感じます。

弁護士の中で唯一 偏った考えを持たないというか、平等な倫理観を持っていたのは新人弁護士の川島だけでしたが、裁判を続行する理由を摂津に教えてもらった時は素直に納得していました。
司法にとって大切な平等さも、少しずつ「司法の仕組み」によって捻じ曲げられていくのだと感じてしまいます。

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