映画『愚行録』ネタバレ解説|登場人物についてなど14の考察 | 映画鑑賞中。

映画『愚行録』ネタバレ解説|登場人物についてなど14の考察

ミステリー

映画『愚行録』の解説、考察をしています!
絵に描いたような幸せな家族、田向一家3人が惨殺された事件から1年。
記者の田中武志は後追い取材を続け、犯人につながる手がかりを追う。

制作年:2017年
本編時間:120分
制作国:日本
監督:石川慶
脚本:向井康介
原作小説:『愚行録』貫井徳郎 著
スポンサーリンク

キャスト、キャラクター紹介

愚行録
(引用:映画『愚行録』公式サイト

田中武志妻夫木聡

出版社『蒼幻社』に勤める週刊誌の記者。
未解決の田向家一家殺人事件を取材する。
取材を始める少し前に実の妹が逮捕されている。

 
愚行録
(引用:映画『愚行録』公式サイト

田中光子満島ひかり

田中の妹。実娘の千尋に対する育児放棄の疑いで逮捕、勾留されている。
兄の武志を誰よりも信頼している。
罪悪感を持たない発言が多いため、精神鑑定を受けることになる。

 
田向浩樹小出恵介

一家殺人事件の被害者。当時は37歳で、大手不動産会社に勤めていた。
夏原友季恵と結婚し、女の子を授かり幸せな生活を送っていたが、自宅で殺害されていた。

 
田向友季恵(旧制:夏原)…松本若菜

一家殺人事件の被害者。当時36歳の田向の妻。
田中が取材する彼女の大学時代の知人は皆、彼女を旧姓で呼ぶ。
モデルのようなスタイルと容姿から、大学時代は男女を問わず人気者だった。
夫の浩樹と同じく自宅で殺されていた。

 

橘美紗子(弁護士)…濱田マリ
杉田茂夫(精神科医)…平田満
渡辺正人(田向の同僚)…眞島秀和
宮村淳子…臼田あさ美
稲村恵美(田向の元交際相手)…市川由衣
尾形孝之(宮村の元交際相手)…中村倫也
山本礼子(新入社員)…松本まりか
三橋孝子(武史、光子の母)…山本容莉枝
大友祐一(内部生)…小林竜樹
中山唯(宮村の友人)…相馬有紀実
垣内早苗(田向の元恋人)…橘美緒
バスの乗客…酒向芳
岩田(田中の先輩)…高橋洋
丸山(田中の上司)…山崎直樹
文應の内部生…前田公輝植田健李千鶴
文應の外部生…小園茉奈
三橋(孝子の夫)…田野良樹 ほか

 

あらすじ前半

武志と光子


(警察署から出た田中と橘 引用:https://twitter.com

東京で週刊誌の記者をしている田中武志(妻夫木聡)は、数日前に保護責任者遺棄容疑で逮捕された妹の田中光子(満島ひかり)の面会に訪れて衣類などを差し入れた。
光子は約半年ぶりとなる武志との再会を素直に喜んでいた。

面会の後、武志は弁護士の(濱田マリ)から「光子に精神鑑定を受けさせた方が良い」と勧められた。
彼女の態度や発言に、育児放棄に対する罪悪感が全く感じられないかったからだ。
光子の娘で3歳児の千尋は、保護された時は1歳児程度の体重しかなかったそうだ。
また、2人の両親とは何年も疎遠のため、光子が頼れる身内は武志しかいない。

 

田向一家殺人事件

仕事に戻った武志は、未解決の『田向家一家殺人事件』の取材を始めた。
今から約1年前に起きた、夫婦と一人娘が自宅で惨殺された事件だ。
遺体は包丁で何度も刺されていたので、警察は犯行動機を怨恨と見て捜査していたが、現在も容疑者すらあがっていない。
殺された夫・田向浩樹(小出恵介)は有名私立大学出身で大手不動産会社に勤めるエリート。
妻の友季恵(松本若菜)も夫の大学と同ランクの有名私立大学出身で、誰もが羨むような美人でもあった。
娘も母親似の美人で、まさに絵に描いたような幸せな家族だった。
事件の後、近所住民は次の被害者になることを恐れて次々に引っ越した。

 

渡辺正人への取材


(武志と渡辺 引用:https://cinemagene.com

武志は、田向浩樹と同期入社で友人だった関西出身の渡辺正人(眞島秀和)に取材を行った。
渡辺と田向は同じ大学だったものの、入社試験の時に初めて出会って意気投合し、それから事件発生までの約15年は親友とも言える交友関係を築いていたそうだ。

渡辺は「あいつは本当に良い奴だった。事故ならまだしも、殺されるなんて考えられない」と心中を語った後、田向と女絡みで最も印象的だった出来事を話した。
それは2人の入社2年目の春、新入女子社員との親睦会がきっかけだった。
その飲み会で、田向は新入社員の山本礼子(松本まりか)とその日の内に男女の仲になった。

数か月後、渡辺は田向から「山本さんとは遊びのつもりだったのに、彼女はそうじゃないみたいで困ってる」と打ち明けられた。
渡辺が真剣交際を勧めると、田向は「初めて会った日にやっちゃう女、嫌だよ」と苦笑いするので、渡辺は田向を助けてやることにした。

渡辺は、田向と山本の関係を知らないテイで山本に近づいて肉体関係を持ち、数週間恋人のような関係を続けた。
彼女の気持ちが完全に渡辺に移った頃、渡辺は山本に「俺と田向が友達なの知ってるよな?」と責めて別れを告げた。

その後、田向と渡辺は、山本のエロさについて語り合いながら楽しく飲み明かしたそうだ。
それから約2年後、山本は彼女の後輩社員と結婚して寿退社し、現在は子供も生まれて幸せにしているらしい。

取材を終えた後、渡辺は「田向が死んだことがやっと身に染みてきた。なんであんな良い奴が殺されなあかんねん」と泣いていた。

 

満島ひかり&石川慶監督、「愚行録」引っさげベネチア映画祭に初参加! : 映画ニュース - 映画.com
(杉田医師と話す光子 引用:https://eiga.com

その頃、光子は精神科医の杉田医師(平田満)の元で精神鑑定を受けていた。
彼女は幼い頃、母親からネグレクトを受けていて、武志が世話してくれたことなどを打ち明けて「もし生まれ変わっても、お兄ちゃんだけはそのままが良い」と語った。

スポンサーリンク

宮村淳子への取材

武志は、田向友季恵の大学時代の知人で同じクラスだった宮村淳子(臼田あさ美)を取材した。
宮村は現在、出身大学の近くで美味しいハーブティーが売りのカフェを経営している。

宮村と夏原(友季恵の旧姓)の出身大学『文應』は、幼稚園から大学までの一貫校で、エスカレーター式に大学入学した生徒は『内部生』、よその高校から来た生徒は『外部生』と呼ばれていた。

内部生は家柄も立派で裕福な生徒の集まりのため、外部生にとって内部生は憧れの存在であり、内部生たちにその自覚はあった。
大抵の外部生は内部生グループに仲間入り(昇格)したがったが、内部生は彼らを家柄や両親の職業などでふるいにかけるので、昇格できる外部生はほんの一握りだった。

宮村も夏原も外部生だったが、彼女らのクラスで一番最初に昇格したのが夏原だった。
彼女は育ちもそれなりに良く、何よりもルックスが良かったからからだろうと宮村は語った。
夏原は誰にでも平等で優しかったので、内部生に憧れる外部生は夏原の取り巻きになっていたという。

宮村は「夏原さんは、取り巻きの女の子達が彼女を真似るのは許すけど、彼女と同列になることは絶対に許しませんでした。
実際、彼女の取り成しで昇格した生徒がいなかったことがその証拠です」と語った。


(睨み合う大学生当時の宮村と夏原 引用:http://blog.livedoor.jp

宮村自身は文應特有の格差社会を嫌悪して内部生に近づかなかったが、ある日、夏原に声をかけられて1度だけ内部生主催の合コンに参加した。
宮村が夏原と関わったのはこの合コンだけだったが、後に宮村は当時の恋人で同級生の尾形孝之(中村倫也)と、夏原が原因で別れていた。
尾形が夏原に惚れて、宮村に別れを告げたのだ。

宮村は「夏原さんは私に憧れていたから尾形を奪ったんだと思う」、「彼女はそういう人だから、誰かから恨みを買っていてもおかしくないし、だからああいう死に方をしたことは不思議じゃない」と真顔で話した。

 

尾形孝之への取材

武志は、宮村淳子と夏原友季恵の元交際相手の尾形孝之を取材した。
尾形は、宮村への未練発言もしつつ「夏原さんは他の子と違って俺の話をちゃんと聞いてくれた。だから好きになったんです」と打ち明けた。

宮村が夏原をどのように言っていたか聞いた尾形は「逆ですよ!淳子が夏原さんに憧れていたんですよ。実際、夏原さんに憧れてる人は多かったですし」と笑った。
尾形は宮村をけなす一方で、夏原については褒めちぎるばかりだった。


(尾形を取材する田中 引用:https://times.abema.tv

取材中、尾形がたばこの吸い殻を持て余していたので、田中は持っていた携帯灰皿を差し出した。

その後、田中は記事を書き上げたが、雑誌の表紙に大きく取り上げられたのは芸能人のスキャンダルだった。
田中の先輩の岩田(高橋洋)は「結局しょうもないスキャンダルに持っていかれちまうんだから、必死で取材するのが空しくなるよ」と正直な心境を語った。

スポンサーリンク

あらすじ後半※ネタバレしてます

稲村恵美への取材


(取材中の稲村恵美 引用:https://twitter.com

週刊誌が発売した日の夜「私は田向浩樹を誰よりも知っていて、犯人にも見当がついている」と電話があった。
電話の主は、田向の大学時代の元恋人の稲村恵美(市川由衣)という人物だった。
彼女は大学卒業後、父親の会社(商社)の倒産をきっかけに帰省して、現在は父親の会社の元社員と結婚して専業主婦をしていた。

稲村は、大学時代の田向の女絡みのトラブルを打ち明けた。
稲村と田向は同じサークルで、入学当初の数か月付き合っていたが、田向の二股が原因で別れてからしばらく疎遠だった。

就活が始まる頃、田向から突然連絡があり、興味本位で会ってみた。
すると、田向は「商社への就職を狙っているから恵美の父を紹介して欲しい」と言う。
稲村は図々しさに呆れたが、二股された仕返しがしたくなり「彼氏としてなら紹介してあげても良い。ただしあなたは2番目ね」と告げてヨリを戻し、父親を紹介した。

しかしその後、田向は「実は、不動産が本命なんだ」と言い出して、別の不動産会社から内定が出たから稲村の会社は断ると告げた。
稲村が不審に思って問い詰めると、田向は不動産会社の社長の娘で同級生の垣内早苗という女と関係を持ってコネで内定をもらったことがわかった。

怒った稲村は、垣内と田向を呼び出して「私たちは田向に利用されている」と垣内に告げた。
二股を知って驚いた垣内が問い詰めると、田向は「君が社長の娘だから近づいた点は否定しない。でもコネがあるなら使った方が良いし、家柄を含めて2人とも好きになった。
卒業後の最初の就職先は、今後の人生を左右する最も重要なポイントだ。
将来持つ妻や子供を絶対に幸せにしたいから、今出来ることはなんだってする」と熱く語った。

稲村が「利用された私たちは何なの?」と聞くと、田向は「君たち2人は僕の嫁候補だったけど、今日でその可能性はなくなった」と答えた。
その後、田向は垣内の父の会社の内定も蹴り、現在の就職先は何のコネも使わずに実力で受かっていた。

稲村は「犯人は妻の友季恵で、浮気されたことに絶望して一家心中したんだと思う」と告げた。
稲村はその根拠を示すように、稲村が連れてきていた男の子の赤ちゃんが、田向と稲村の子どもであることも暗に示した。

武志が『田向家一家殺人事件の新しい犯人像』として稲村の証言を元にした記事を提出すると、その週の雑誌の表紙になり、大きく取り上げられた。

 

光子の虐待と大学時代

その後、武志は橘弁護士に呼び出された。
幼い頃の両親との生活を聞かれた田中は、彼自身も光子も実の父親から虐待を受けていたことを明かした。
武志は暴力だけだったが、光子は小3の頃から長期に渡って性暴力を受けていた。

武志は中学生頃に気付いて何度も止めようとしたが、当時は父親の方が力が強く、敵わなかった。
成長と共に力関係は逆転し、武志が高校生の頃、光子を襲おうとした父を何度も殴って家から追い出したと明かした。
橘が千鶴の父親を尋ねると、武志は「それだけは俺にも教えてくれない」と答えた。

その後、武志は宮村に呼ばれて閉店後の彼女の店に行った。
宮村は「田中光子さんという同級生が、夏原さんにひどい目にあわされていたのを思い出しました。
彼女が夏原さんに劣らない美人だったことが原因だったのかもしれません」と語りはじめた。(※宮村は、田中武志と光子が兄妹なのを知らない)


(大学に走る光子 引用:https://motion.nowtice.net

実は光子も夏原、宮村と同じ年次に文應大学の商学部に入学していた。
光子は当時の心境を「最低な生活から抜け出したくて、勉強を必死で頑張って受かった」と語った。

光子は美人で多くの男子生徒の目を引いていたが、彼女は『一般家庭育ち』だったため昇格できなかった。
しかし、光子は内部生との繋がりを人一倍求めていて、内部生も彼女と遊びたがったので、夏原は何人もの内部生に光子を紹介した。

やがて紹介しつくされると誰も光子の相手をしなくなり、宮村が卒業する頃には彼女を大学で見かけなくなったという。
宮村は「私が田中光子さんだったら、夏原さんを殺したくなると思う」と締めくくった。

武志は宮村を店にあった鈍器で殴り殺し、店の灰皿の中に尾形のたばこの吸い殻を入れて立ち去った。

その後、宮村淳子殺害の容疑者として尾形孝之が警察に逮捕された。

 

事件の真相

田向一家を殺害した犯人は光子だった。
光子は犯行当日、たまたま夏原と彼女の娘を見かけて、話がしたくて近づいたが無視された。
そのまま光子が後をつけると、彼女は23区内にある素敵な一戸建てに住んでいて、いかにもエリートらしい夫が居て、幸せそうにしていた。
その光景を見て切れた光子は、夜になるのを待ってから田向家に行き、鍵が開いていた裏口から侵入し、キッチンで包丁を手に入れて3人を次々に殺害した。

という内容を、光子は誰かに告白でもするように1人で喋っていた。
その時、緊急の電話で席を外していた杉田医師が、千尋が亡くなったことを光子に告げた。

橘弁護士は、武志と光子の母・三橋孝子(山本容莉枝)の話を聞くために、彼女の自宅を訪れて千尋の死を伝えた。
橘が、三橋の元夫が光子と千尋の父親という前提で話をしていると、孝子は「あなた、知らなかったんですか?」と尋ねた。
橘は孝子の様子から、千尋の父親が田中武志だと察して目を見開いた。

映画『愚行録』は〈U-NEXT〉で配信中です!
※本ページの情報は2022年1月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

 

解説・考察は次ページです!

内容は、登場人物それぞれの心理、武志の取材の目的、バスの描写、光子にまとわりつく手、原作小説との違いなどについてです!

感想などお気軽に(^^)

タイトルとURLをコピーしました