映画『愚行録』解説考察|田中武志と光子、その他周辺人物に関する疑問と謎について | 映画の解説考察ブログ - Part 2

映画『愚行録』解説考察|田中武志と光子、その他周辺人物に関する疑問と謎について

※この記事にはPRが含まれています。
※この記事にはPRが含まれています。
愚行録 サスペンス

2ページ目

渡辺正人が田向浩樹を「良い奴」と言うのはなぜ?


(引用:https://twitter.com

田向浩樹(小出恵介)の同期で友人だった渡辺(眞島秀和)は、繰り返し田向を『良い奴だった』と言っていましたが、渡辺が語ったエピソードは一般的には性格の悪さが露見するもので『良い奴』という言葉がひどく浮いて感じました。

しかし、渡辺自身が田向を良い奴だと思っていたのは本当だったようで、過去のエピソードからも2人の考え方が似ていたのは明らかです。

例えば新入社員だった山本礼子の件では、渡辺は「お互い様」と言っていました。
つまり、田向と渡辺は山本に酷いことをしたけれど、山本も2人に対して同じくらい酷いことをしたと言いたいのです。

田向と渡辺が気に入らなかったのは、山本の恋愛観や結婚観です。
2人は山本が結婚を急いでいることや、社内の男性なら誰でも良いと思っていることを感じて嫌悪感を抱きました。

山本は渡辺のアプローチにも簡単に落ちていますし、彼女が誠実で一途な人だったら渡辺の作戦自体が成り立たなかったはずです。
渡辺と田向にとっては、そういう山本の誠実さに欠ける行動に対してそれなりの対応をしただけで、むしろ彼女の欠点に気付かせてやった位に思っていたのでしょう。

また、渡辺の言う『良い奴』というのは、田向は渡辺にとって価値観の合う数少ない友人という意味だったのでしょう。

山本礼子のキャラクターというか行動は、光子と非常によく似ています。
また、結婚に引いてしまう男性心理や、結婚したいことがにじみ出る女性は、男性から『痛い女』認定されてしまうこともよくわかります。
男性だって肩書きしか見ていない女性と結婚したいとは思わない人が多いのではないでしょうか。

また原作小説で、渡辺は他にも田向のエピソードをいくつか語っているのでざっくり紹介します。
田向と渡辺が入社して数年後、田向は合コンで出会った女性(山本ではない別の女性)に本気の恋をしますが、その女性は合コンに同席していた田向の同期の男Aとの交際を決め、田向は振られてしまいます。

すると田向は上司に根回しを行い、Aを出世争いから脱落させて地方に転勤させてしまいました。
田向は元々Aを内心見下していて、恋でも仕事でも絶対に負けるはずがないと思っていたのでプライドが傷ついて逆上したのです。
渡辺は田向本人からAの左遷の裏話を聞き、田向のプライドの高さと執念深さに驚きました。

 

夏原友季恵が尾形孝之と交際した理由は?


(引用:https://mdpr.jp

夏原、宮村、尾形の関係について考えます。
感情を表に出さない夏原が宮村をどう思っていたのか正確に捉えるのは難しい(特に映画だけだと)ですが、彼女は尾形が宮村を嫌いになるように仕向ける発言をしています。
それが「宮村さんは尾形さんの恋人なら、もう少し尾形さんを褒めてあげても良いのにね」です。
この発言の意味は「宮村は周囲に尾形の悪グチを言っている」ということです。

この忠告だけならまだしも、夏原と尾形の交際期間の短さを考えると、やはり夏原が尾形と付き合ったのは宮村と尾形を破局させることだけが目的だけだったと思われるので、やはり夏原もまた腹黒い人格だったようです。

夏原は全員から好かれていないと気が済まない完璧主義者で、宮村はそういう夏原の性格を見抜いたからこそあえて親しくしなかったと思われますが、そんな宮村が気に入らなかった夏原は、宮村の恋人を奪うことでマウントを取ったというのが実際だったのではないでしょうか。
夏原自身の方が格上であるということを恋人を奪うことで示したのです。

尾形と夏原の交際期間は映画では明かされませんが、小説では2人は約1か月弱しか交際しておらず、尾形は夏原と手すらつなげかったと語っています。




稲村恵美の子どもの父親は?

愚行録

©2017『愚行録』製作委員会

田向の元恋人の稲村恵美(市川由衣)は、「犯人がわかった」と言い田中を呼び出しますが、犯人が誰なのかについては明言しません。
恵美は「その人、自分が単なる入れ物に過ぎないことに気付いて、壊れちゃったんでしょうね」と言い、さらに恵美の子供の父親が田向であることもほのめかします。
つまり恵美は『田向の不倫に気付いた田向友季恵(夏原)が激怒して一家心中したに違いない』と言いたいのです。

田向は常に複数人と同時に恋愛するような男だったようですが、恵美の発言からは少なくとも恵美の本命は大学時代からずっと田向だったことが感じられました。

そんな恵美が田向が死んでどこか冷静だったのは、彼女が長年抱き続けていた田向と夏原に対する嫉妬や憎しみから解放された安心感が勝っていたからではないでしょうか。
恵美が田向の妻が犯人だと思ったのは、恵美自身に『田向の妻に選ばれなかった悔しさ』と『田向に選ばれた女に対する嫉妬』が渦巻いていたからです。

自信満々に事件の真相を推理した恵美でしたが、真相とは違っていたため武志に殺されることなく取材は終わります。

 

夏原友季恵は田中光子に何をした?

夏原友季恵と田中光子の関係について考えます。
光子は夏原の紹介で内部生を何人も紹介されて、恐らくその全員と肉体関係を持っています。
光子は将来有望な結婚相手を捕まえるために大学入学したようなものでした。
そのため光子は『昇格』した夏原に憧れていたこともあり、次々に紹介を受け入れました。

しかし、内部生は『普通の家柄』の光子と真剣交際する気はなく、最初から体目当てでした。
光子は父から受けた虐待のせいか貞操観念が低すぎたのと、『金持ちなら誰でも良い』と思っているのがにじみ出ていたことも要因になり、せっかく紹介してもらっても上手くいきません。
光子が大学で結婚相手を見つけられなかったのは「軽すぎた」からです。

夏原は、そういう内部生の目的を知った上で光子を彼らに紹介し続けました。
本当に友達だったら光子に多少の注意や警告をするはずですが、そのようなことも一切していません。

恐らく夏原は、光子がルックスで男子生徒から注目を集めていたことも、光子が婚活目的で大学に入ったことにも気づいて気に入らず、内部生に対する『点数稼ぎ』と光子の女としての評価を落とすために紹介していたと思われます。

完全に推測ですが、夏原が大学時代に付き合ったのは尾形だけで、田向を紹介されるまで独身だったのも、夏原自身も光子に男を紹介することで男性全般に対する不信感が芽生えたからなのかもしれません。

 

田向浩樹と夏原友季恵の馴れ初めは?

2人の馴れ初めが気になっていたんですが、映画でその辺は一切出てきませんでした。
小説には、田向の上司が夏原友季恵の叔父で、田向は上司から縁談話を持ちかけられて夏原と結婚したと書かれています。

田向は上司から夏原友季恵を紹介されると、当時付き合っていた彼女数人とすっぱり別れて夏原との結婚を決めています。
田向が夏原と結婚しようと思ったのは恋愛ではなく、出世目的だったことがにじみ出ています。
田向は浮気性なので出世が絡まないと結婚する気にはなれなかったのでしょうね。

以上です!この記事がお役に立てていたらハートマークを押してもらえると嬉しいです(^^)

¥この記事の筆者を応援する¥




・関連記事

映画『愚行録』関連商品を楽天で検索する! 

映画『愚行録』は〈楽天TV〉で見られます!月額利用料無し、単品レンタル可能です。

〈U-NEXT〉で映画『愚行録』が見られます!31日間無料キャンペーン実施中。
※このページの情報は2023年11月時点のものです。最新の配信状況はサイトにてご確認ください。

関連記事

感想などお気軽に(^^)

タイトルとURLをコピーしました