映画『愚行録』ネタバレ解説|登場人物についてなど14の考察 | 映画鑑賞中。 - Part 2

映画『愚行録』ネタバレ解説|登場人物についてなど14の考察

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ミステリー

感想・解説や考察など

タイトルから暗い話だろうなとは思いつつ、観た後しばらくどんより感を引きずりましたが、周辺人物の証言から中心人物の性格がリアルに浮き彫りになっていくのが面白く、引き込まれました。

映画を見た後、原作小説が気になって読んだのですが、かなり分厚くて不安だったものの、かなり読みやすくてほとんど一気読みできました。
原作との違いも含めて内容を深追いしてみます。

バスに乗る武志


(引用:https://adventure-mensclub.com

冒頭、武志は初老のサラリーマンに指摘されて渋々おばあさんに席をゆずり、嫌がらせとして自分自身が足に障害を抱えている演技をして、リーマンとおばあさんが気まずそうにしている様子を見ていました。
『愚行』にふさわしいシーンですよね(笑)
このシーンは、武志がいわゆる『信頼できない語り手』だと強調していたように見えました。
話が進んで武志が父親から暴力を受けていた過去がわかると、武志がバスで愚行を行った相手が彼の父親世代位の男だったので、武志は自分の父親世代の男に漠然とした嫌悪感があるのかな~と、行動原理が理解できた気になります。
まぁでも、初対面の人に「席譲りなさいよ、何ボサッとしてるんだ」とか命令口調で強要されたら誰でもイラっとしますよね。

一方、ラストで若い妊婦に自ら席を譲るのは、妊婦と光子が重なったためだと推測しています。

 

光子が虐待していた理由

光子はネグレクトで逮捕されていましたが、本人は『あの子は元々食が細い』、『ちょっと子育てが下手なだけで逮捕なんて、警察の人もひどい』と発言していたことから、育児放棄していた自覚がそもそも無かったのでしょう。
たしか新聞記事に、千尋が動かないことに気付いて不安になった光子が自ら救急車を呼んで、病院が警察に通報したようなことが書かれていた気がします。

杉田医師に『あの子全然笑わない』、『抱きしめたくても、体が動かない』と話してことから、光子は千尋に対して愛情が持てないことを悩んでいた様子も見られます。
個人的には千尋が笑わないことが武志に似ている(父親である)ことを示す伏線だったのかなと、後で思いました。

小説では、光子の育児の様子がもう少し詳しく書かれています。
光子は『立派な母親』になるつもりで育児に奮闘したことや、その具体的な育児方法を武志に語っていますが、彼女は根本的に赤ちゃんが赤ちゃんだと理解できず、自分と対等に見ているような発言がたくさんあって、結果的にネグレクトだと言われても仕方ないような育て方をしています。

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光子にまとわりつく手

ベッドに寝ている光子の全身に多くの手がはい回る描写が何回かあります。
不気味な腕が何本も出てきて光子を覆っていたのは、今まで彼女を利用してきた多くの男たちや夏原のような女だったり、彼らに陥れられた光子が心に抱えた闇を現わしていたように見えました。
まとわりつく手が毛の生えてない中世的で不気味なぬるっとした手で、手の性別の判断が付きにくかったことも、男女問わず光子を利用した人たちを抽象的に表していたように感じます。

 

渡辺正人と田向浩樹


(引用:https://twitter.com

田向浩樹の友人だった渡辺は、繰り返し田向を『良い奴だった』と言っていましたが、渡辺が語ったエピソードは一般的にみると性格の悪さが露見するものだったので『良い奴』という言葉がひどく浮いて感じました。
しかし、渡辺自身が田向を良い奴だと思っていたのは本当だったようです。
過去のエピソードから、渡辺と田向が性格的に非常に似ていたのは明らかです。

例えば新入社員だった山本礼子の例では、渡辺が「お互い様」と言っていたように、彼らは山本に悪いことをしたとは少しも思っていなかったようです。
彼らにとって山本の『尻軽さ』は結婚相手として見られない原因であると共に、彼女の真の狙いが社会的地位の高い男性との結婚であり、そういう男性なら誰でも良いと思っていることが、行動に透けて見えたからです。
その行動は、彼女が簡単に田向から渡辺にターゲットを乗り換えた点にあります。

渡辺と田向にとっては、そういう山本の誠実さに欠ける行動に対してそれなりの対応をしただけなので、彼女に悪いことをしたとは考えていないということです。
2人はむしろ、彼女の性格を矯正してやった位に思っていたのではないでしょうか。
そして、彼女がそれなりに誠実であればこの作戦は成功していないし、このような仕打ちもしていなかったのでしょう。

渡辺の言う『良い奴』というのは、価値観の合う数少ない友人という意味での『良い奴』だったのではないかと感じました。

山本礼子のキャラクターというか行動原理は、光子と非常によく似ています。
また、結婚に引いてしまう男性心理や、結婚したいことがにじみ出る女性は、男性から『痛い女』認定されてしまうこともよくわかります。

ちなみに原作小説で、渡辺は他にも田向のエピソードをいくつか語っているのでざっくり紹介します。
入社したての頃、田向担当の分譲マンションを購入した客が、些細なことを理由にゴネて最終的にストーカー化して精神的に追い詰められていたことや、そのストーカーの件が解決した直後に山本礼子達との飲み会があったこと、その数年後、田向は合コンで出会った女性に割と本気の恋をしますが、その女性は同じ合コンに同席していた田向の同期の男Aと交際を決め、田向は振られてしまいます。

すると田向は上司に根回しを行って、その同期Aを出世争いから脱落させて地方に転勤させてしまいました。
田向がそこまでした理由は、田向は同期Aを内心見下していて、絶対に負けるはずがないと思っていた人物だったからで、簡単に言うと田向はプライドを傷つけられたのです。

個人的には映画の渡辺の話のシーンで『初対面の人にこんな話よくできるな』と違和感を感じましたが、小説内では『自分と田向がどれほど仲が良かったかを証明するエピソードとして、ちょっとえぐめの話もします』という前置きがありました。

 

夏原友季恵が尾形孝之と交際した理由


(引用:https://mdpr.jp

夏原、宮村、尾形の関係について考えます。
まず、元恋人の尾形が発言していたように、宮村はかなりの『見栄っ張り』なので、宮村が夏原をどう思っていたかについては尾形の見解『かなり対抗意識を燃やしていた』が正しいでしょう。
宮村の話しっぷりからも、隠し切れない気の強さや負けず嫌いな性格がにじみ出ていたように感じました。
それに、宮村と夏原は親しかったわけでもないのに、宮村が夏原の性格の深い部分まで考察できていたのも、彼女が注意深く観察していた証拠です。

感情を表に出さない夏原は、宮村をどう思っていたのか正確に捉えるのは難しく(特に映画だけだと)、ほとんど行動だけで推測するしかないですが、夏原は尾形が宮村を嫌いになるような発言をしています。
それが「宮村さん、尾形さんの恋人なら、もう少し尾形さんを褒めてあげても良いのにね」です。
裏を返すと、宮村は周囲に尾形のグチを言っていると告げていることになり、少なくとも夏原は宮村を良く思っていないことが表れています。
夏原は誰からも好かれていないと気が済まない完璧主義者で、宮村は夏原の反感を買い、マウントを取られた というのが実際だったのではないでしょうか。
自分の方が格上であることを、尾形を宮村から奪う形で示したのだと推測します。

小説で夏原は、宮村が尾形のグチを喋っている一部始終をテープレコーダーに録音して尾形に聞かせた上で、別れることを勧めています。
また、尾形と夏原の交際期間は映画では明かされませんが、小説では2人は約1か月しか交際しておらず、尾形は夏原と手をつなぐことすら許してもらえなかったと語っています。

また、小説では田中が取材を行った当時、宮村も尾形もそれぞれ既婚者で、別々のパートナーがいます。

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稲村恵美と田向浩樹


(引用:https://eiga.com

田向の大学時代に交際していた稲村恵美は、田中を「犯人がわかった」と言い呼び出しますが、犯人が誰なのかについては明言しません。
その代わり、恵美は「その人、自分が単なる入れ物に過ぎないことに気付いて、壊れちゃったんでしょうね」という発言の後、彼女の子供の父親が田向であることも暗に示しています。
つまり、稲村と田向はお互いの結婚後も恋愛関係が続いていて、不倫に気付いた田向友季恵が壊れて一家心中したと言いたいのでしょう。

稲村の発言によると、田向は性格の異なる女性数人と同時に恋愛関係を築くことでバランスを取っていたらしく、簡単に言うと1人の女性に落ち着くことが出来ない浮気性タイプだったことがわかります。
お互いに結婚後も関係が続いていたことや、稲村の「父のために父の会社の社員と結婚した」など、明らかに恋愛結婚ではないような発言から、少なくとも稲村の本命はずっと田向だったんだろうな、と言葉の端々から感じられました。
田向も稲村も、本来のパートナーに欠けている部分を埋めるために付き合っていたことが垣間見えます。
本命の田向が死んでも稲村がどこか冷静だったのは、彼女が一番望んでいたポジションにいる田向の妻・友季恵に対する嫉妬から解放されたことへの安堵もあったのではないでしょうか。
田向がたとえ生きていても、稲村が田向の妻になれる可能性はなかったからです。
とにかく、稲村の予想は外れていたため、殺されることなく取材は無事に終わります。

ちなみに、映画では田向と稲村は同じ大学、山岳サークルの同級生だったようでしたが、小説では、稲村は田向の大学の近くにある短期大学生で、2人が所属していたのはスキー部でした。
また、映画では省略されてしまいましたが、田向の二股の相手だった『イズミ』のことも小説には詳しく書かれています。
ざっくり紹介すると、稲村が田向に好意を抱いた時、田向にはイズミという1つ年上の彼女がいましたが、稲村は諦めきれず田向に告白します。
田向は「君のことをよく知らないし、イズミとは気心が知れてるから別れるつもりはない。それでも良いなら」と言います。
稲村は『しばらくはお試し期間のようなもので、無事に彼女に昇格すればイズミとは別れてくれる』と解釈し、二股承知での付き合いが始まります。
しかし、明らかにお試し期間が終わった後でも田向はイズミと別れません。
しびれを切らした稲村が「私かイズミかそろそろ選べ」と問い詰めると、田向は「束縛する女は嫌いだ。どっちかを選ぶなんて話なかったろ。それに、最初にイズミと別れる気は無いと言ったじゃないか。」と答えます。
田向は最初から恋人を1人に絞るつもりはなかったということです。
ショックを受けた稲村は、イズミに田向の浮気を告げてから別れています。

 

光子はなぜ私立大学に入れたのか

映画で明かされていた武志と光子の生い立ちだけ聞くと、2人は貧乏で私立大学の学費をどうやって工面したのか謎のままですが、小説より、もう少し詳しい2人の生い立ちがわかります。
光子が産まれる頃、すでに両親の関係は破綻して別居していました。
母の孝子は、武志と生まれたばかりの光子を祖母父に預けて愛人と暮らします。
しばらく安泰でしたが、光子が4歳の頃に祖母が癌で倒れて面倒が見られなくなり、2人は孝子の元に返されます。
ほぼ同時期に、別居していた孝子の夫が戻ってきて4人での暮らしが始まります。
そして映画内で語られていたような虐待を受けながら育ち、特に光子は父親からの性的虐待に加えて、母からも泥棒猫呼ばわりされていじめられ、ひどい環境に置かれています。(映画では、光子への性的虐待を孝子が知ったのは夫が出て行った後ですが、小説では早い段階で気付いています)
武志は母親からは比較的可愛がられていましたが、どちらかというと光子を傷つけるためにあえて武志をかわいがるというような類のものでした。

その後、武志が高校生の頃に孝子と夫はようやく離婚して、孝子は新しい恋人と生活するために再び武志と光子を一人暮らしになった祖父に預けます。
この祖父が一流会社の元重役だったためそれなりの金持ちでした。
光子が大学入学する頃には祖父は他界していましたが、2人にまとまった遺産を残してくれていて、それで私立大学に通うことができたと書かれています。

 

宮村が殺された理由


(引用:https://twitter.com

彼女が殺された理由は、持ち前の鋭い洞察力で犯人が光子ではないかと言い当てて、武志にその推理を披露したからです。
それに加えて、宮村は光子について『あぁはなりたくない』など光子を蔑む発言も連発していたのも、余計に武志の殺意を煽ったと思われます。

なお、映画では武志は宮村を店内で殺して犯人を尾形に偽装しようとしていましたが、小説では、宮村を帰宅中の夜道で殺し、通り魔の犯行に見せかけています。

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田中光子と夏原友季恵

夏原友季恵と田中光子の関係について考えます。
光子は夏原の紹介で内部生を何人も紹介されて、恐らくその全員と肉体関係を持っています。
光子は将来有望な結婚相手を捕まえるために大学入学したようなものでした。
そのために、昇格した夏原にも強い憧れを抱いたこともあり、次々に紹介を受け入れました。
しかし、内部生たちは『普通の家柄』の彼女と真剣交際する気は全くなく、最初から体目当てで紹介を夏原に頼んでいました。
光子は幼少時からの虐待で貞操観念が壊れていて、よかれと思って簡単に肉体関係を持ってしまうのと、『金持ちなら誰でも良い』と思っているのがにじみ出ていたことも要因になり、せっかく紹介してもらっても長続きしません。
内部生たちの対応は、浩樹の「そんな軽い女、イヤじゃん」と一致します。

夏原は、そういう内部生の目的を知った上で光子を彼らに紹介し続けました。
本当に友達だったら光子に多少の注意や警告をするはずですが、そのようなことも一切していません。

恐らく夏原は、光子の内部生への執着に内心呆れながらも、彼女が特別美人で内部生の目を引いていたために中山のようにはあしらえず、宮村の言うように内部生に対する『点数稼ぎ』として仕方なく光子を紹介していた節があったと思われます。
完全に推測ですが、夏原が好意を抱いた内部生も光子と仲良くなりたがったなど、嫉妬したタイミングもあったのではないでしょうか。

夏原が文應の内部生の誰とも交際しなかった(少なくとも描かれていなかった)のも、光子を通して内部生の裏の顔を知ったことが関係あるのかもしれません。
夏原の大学時代の恋人は、映画でも小説でも尾形孝之しか登場しません。

 

田向浩樹と夏原友季恵

2人の馴れ初めが気になっていたんですが、映画でその辺は一切出てきませんでした。
小説にもあまり書いてなかったんですが、田向が働いていた会社の上司の姪が夏原友季恵です。
田向はその上司に気に入られて友季恵を紹介されると、当時付き合っていた彼女をバッサリ切り捨ててすぐに友季恵との結婚を決めたと書かれています。

 

光子が笑う理由


(引用:https://www.youtube.com)

千尋が死んだことを杉田医師から知らされた時、光子は笑っています。
我が子が死んだのに笑うなんて不自然ですが、光子は落ち込んだ時や憎い両親を思い出した時などに笑ってしまう癖があるようです。
辛すぎるから雰囲気だけでも明るくしたくて笑う癖がついているというか、壮絶な過去を持つ人は「もう笑うしかない」「笑い話にしないとやってられない」など自虐的な発言をされているのよく見る気がするので、光子もそういう心境だったのではないでしょうか。
何回かそれらしいシーンがあって、ひとつは光子が内部生の大友と肉体関係を持った翌日、大友が行く幼馴染の家族との食事に光子が一緒に行きたいと言いますが、大友は断ります。
断られたのが家柄のせいだと悟った時、光子は笑っています。
杉田医師に対して、両親からの虐待について詳しく話す時も、独り言で田向一家を殺した時のことを話すときも、笑っています。
千尋が死んだ後に武志と面会で会った時も、目に涙をためながら、笑顔で「ごめんね」と謝罪してます。
小説の光子も、ずっと笑いながら喋っているんじゃないかな、と思うような口調で台詞が書かれています。

千尋が死んだことを聞かされた時、光子は絶対になりたくないと思っていた『虐待する親』に彼女自身がなってしまっていたことに対し、辛すぎて笑ってしまったように私には見えました。
「でもね、私はあの子に手をあげたことは一度もなかったよ」と言ったのは、彼女が『あの両親とは絶対に違う』ということを武志に認めてもらいたかったからでしょう。

もう一つ光子の気になった癖が、耳たぶをよく触ることです。
心理学的に、耳たぶを触るのは『体の一部を触って安心したい』『感情をコントロールしたい』『甘えたい』などがあります。
他にも理由はありますが、光子に該当しそうな理由は上記3つでした。

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犯行動機

犯行動機について、光子は「頭の中で何かがプツッと切れた」、「もう夏原さんのようにはなれないと言われた気がした」と発言していました。
小説でも、犯行動機を光子本人は「私にもわからない」とも発言していますが、嫉妬心からの犯行であることが明かな描写をされています。

田向浩樹は、光子が『まさに捉まえたかったような男』だったので、ムカムカして殺し、リビングに居た男の子(映画には登場しない田向家の長男)は『頭も育ちもよさそうで、許せなかった』から殺し、夏原は、『光子がなりたかった通りの素敵なお母さんになっていた』から殺し、女の子は『かわいそうかなと思ったけど、1人だけ残してもしょうがないし、いい女になったらムカつくから』殺したと書かれています。

小説での光子が語った犯行動機について、印象に残ったフレーズを一部引用します。

それでどうして殺すことになるのかなんて、あたしに訊かないでよ。あたしだってわからないんだから。
ともかく、もう切れちゃったのよ。大事なものが切れたの。
それを切ったのは夏原さんだから、責任取ってもらわなくちゃって思った。  (引用:小説『愚行録』より)

 

嫉妬が原因なのはわかるんですが、光子は世の中で唯一特別で大好きな武志と結ばれて、その人との子供も授かって幸せだったはずなのに、なぜ田向一家を殺したのか不思議です。

やはり光子が探していた『兄のような男』と結ばれることが一番の願いで、兄本人と結ばれたことは最後の手段だったのかもしれません。
光子は自分の中にある嫉妬心をずっと心の底に隠して無視し続けていたけれど、夏原が幸せそうにしているのを見たのをきっかけに、あふれ出てしまったということではないでしょうか。

この告白は杉田医師が居ない間にひっそり行われていましたが、小説では武志を相手に語っていたものなので、映画においても、光子は目の前に武志がいるつもりで話していたのだと思われます。

 

武志が取材していた本当の目的


(引用:https://twitter.com

武志が田向家殺人事件を調べていた理由は、表向きは記事にするためですが、本当の狙いは、光子が犯人だと知る人物がいるかどうかを調べて、もしいたら、その人物を殺害することにありました。

小説にはもっと詳しく動機が書かれていて、光子を守るための他に、光子が一緒に殺してしまった田向浩樹が殺されても仕方ないような人物だったかどうかを確認するためでした。
その理由は、光子が『夏原さんの旦那さんには悪いことしちゃったな』と気に掛ける発言をしていたからで、武志は光子の罪の意識を少しでも軽減してやるために、ついでに田向浩樹の人物像も探ったということです。

武志と光子

「千尋の父親は誰にも知られたくない」という発言と、光子が受けていた性暴力のインパクトで、橘弁護士は千尋の父親が武志と光子の父親だと思い込みますが、千尋の父親は武志であることが明かされます。

年齢から計算すると、千尋は光子が33歳の時の子どもですが、光子が妊娠する前後の武志との暮らしは映画にも小説にも全く描かれていないので、詳細は謎です。
なので完全に推測になりますが、武志が警察署に行った時、光子は「半年ぶり位?」と発言していたので、少なくとも2人は一緒に住んではいなかったことがわかります。
光子は何度も発言していましたが『秘密が大好き』で、武志と離れて暮らした方がより秘密は守られるので、そうした方が良いと考えていた可能性が高いです。

一方武志は、光子の口から『秘密』と出る度に表情が暗くなります。
彼は『秘密』を重荷に感じていたようで、それは小説にも書かれています。
なので、武志にとっては秘密から物理的に離れるために一緒に暮らしていなかったと受け取れます。
しかし、光子が「私はお兄ちゃんだけだよ、大好きだよ」と言う時、武志は何とも言えない嬉しそうな表情をします。
恐らく、お互いにとってお互いだけが唯一無償の愛を注げて、与えてもらえる存在だったのです。

武志の行動自体は光子への愛や責任感であふれているので、武志は単純に光子との恋愛が『禁忌』であることが耐えられないだけなのかもしれません。
小説では、武志の光子に対する好意はもう少しはっきり表れていて、光子に「夏原さんより綺麗だよ」、「夏原さんは光子が美人だから嫉妬していたんだよ」というような発言をしている風に書かれています。

さらに小説にヒントを探すと、光子は『お兄ちゃんみたいなお金持ちの男』を求めて大学に入り、夏原さんに沢山紹介してもらったけど、全員ろくでもないヤリ逃げ男ばっかりで、光子がお兄ちゃんだけが特別な存在だとに気付いたのは大学卒業後と書かれいるので、2人が関係を持つようになったのは光子の大学卒業後なのでしょう。

ただ、母の孝子が2人の秘密を知っていたのが、一緒に暮らしていた大体の期間や、不仲だったことなどから考えてもなぜなのか謎ですが、女の勘で気付いてしまったんですかね。
ちなみに、小説には光子が話す昔話としての孝子は登場しますが、孝子本人は登場せず、橘弁護士も登場しません。
小説で千尋の父親が誰なのかわかるのは、光子の会話の中からです。

 

以上です!お読みくださりありがとうございました(^o^)

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