映画『ヘルドッグス』ネタバレ解説考察|室岡の過去、内部抗争の整理など | 映画鑑賞中。

映画『ヘルドッグス』ネタバレ解説考察|室岡の過去、内部抗争の整理など

ヘルドッグス クライムドラマ

映画『ヘルドッグス』のあらすじ紹介、解説、考察をしています!

反社会組織への潜入捜査を命じられた闇落ち警察官 兼高昭吾(岡田准一)と周辺の人間模様を描いたドラマ。
鑑賞済みの方向けの解説考察記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。

ヘルドッグス

制作年:2022年
本編時間:145分
制作国:日本
監督・脚本:原田眞人
原作小説:『ヘルドッグス 地獄の犬たち』深町秋生 著
この映画はPG-12の年齢制限があります。
暴力的な物語で、殺傷・流血および違法薬物の使用の描写がみられるためです。(映倫より一部抜粋)




主要キャスト

兼高 昭吾 / 出月 梧郎岡田准一
警察官から復讐に生きる殺人犯に堕ちた男。本名は出月五郎。
組織犯罪対策課の阿内に抜擢されて関東最大の暴力団組織『東鞘会(とうしょうかい)』への潜入捜査を行う。

室岡 秀喜坂口健太郎
通称サイコボーイ。東鞘会お抱えの暗殺部隊『ヘルドッグス』の一員。
大量殺人で死刑になった親の子どもとして特異な環境で育った。
人殺しや拷問を難なくこなすサイコパス。

十朱 義孝(とあけ よしたか)…MIYAVI
実力だけでトップに上り詰めた東鞘会の若き会長。
実力と適正を正確に見極めて組織内の人事を決めるインテリヤクザ。

阿内 将酒向芳
兼高を潜入捜査官に抜擢した警察庁のエース。

土岐勉(三羽ガラス)…北村一輝
吉佐恵美裏(土岐の愛人、兼高のセフレ)…松岡茉優
衣笠典子(霊感マッサージ師)…大竹しのぶ
熊沢伸雄(三羽ガラス)…原光夫
三神國也(東鞘会組長)…金田哲
大前田忠治(三羽ガラス)…大場泰正
杏南(室岡の幼馴染み)…木竜麻生
お歯黒(東鞘会)…吉田壮辰
番犬…村上淳
佐代子(熊澤の妻)…赤間真理子
俵谷(華岡組)…田中美央
恭子(ホステス)…杏子
ルカ(女殺し屋)…中島亜梨沙
衣笠の常連…尾上右近 ほか

 

あらすじ紹介

交番勤務の巡査 出月梧郎(岡田准一)はスーパーの女性従業員4人が殺された強盗殺人事件をきっかけに復讐者に転身し、失踪してから数年かけて事件の加害者数人を全員殺害しました。

出月は最後のターゲットを殺した直後に自首しますが、組織犯罪対策課の刑事 阿内(酒向芳)は出月の生い立ちと性格を調べて潜入捜査員に最適と判断し、出月に『兼高昭吾』という新しい戸籍を与えて警察官に復職させた上で、組員7000人を超える関東最大の暴力団組織『東鞘会』への潜入捜査を命じました。

兼高は阿内の指示で東鞘会お抱えの暗殺部隊『ヘルドッグス』のメンバー室岡秀喜(坂口健太郎)に近づいて組織の一員となり、約1年は東鞘会ナンバー2の 土岐(北村一輝)の忠犬となり暗殺活動に勤しんで組織内で信頼を得ました。

兼高はエス(警察のスパイ)仲間であるヤクザ御用達のマッサージ師 典子(大竹しのぶ)と定期的に情報交換しながら組織の動向を阿内に密告しながらヤクザ生活を送ります。

そんな中、兼高と室岡が東鞘会のトップ十朱(MIYAVI)の専属ボディーガードを任されることになると、阿内は「十朱が持っている警察庁幹部の極秘情報が入ったパソコンを盗んでこい」と兼高に命じました。

 

解説・考察・感想など

兼高と室岡が沖縄で殺したのは誰?

冒頭で兼高と室岡は沖縄の廃墟に潜伏し、廃墟の下見に来ていたヤクザらしき男を殺しました。

この男は喜納という東鞘会の敵対組織『和鞘連合』の残党です。
兼高が東鞘会に潜入する4年前、東鞘会のトップだった5代目組長の氏家必勝が獄中死しました。

5代目の死後、必勝が6代目に指名していた神津太一と、氏家の実子 氏家勝一との間に後継者問題が起こり、氏家勝一は『和鞘連合』を新設して東鞘会から脱会しました。
その後、氏家は神津を暗殺してメキシコに逃亡し、7代目には神津の右腕だった十朱義孝(MIYAVI)が選ばれました。

十朱が東鞘会のナンバー1で、ナンバー2は『東鞘会三羽ガラス』と呼ばれる土岐勉(北村一輝)、熊沢伸雄(原光夫)、大前田忠治(大場泰正)です。
熊沢は十朱の秘書を担当しています。

東鞘会は和鞘連合への仇討ちを行い、冒頭で兼高と室岡が殺した男 喜納は日本に残っていた和鞘連合幹部の最後の1人でした。

 

三神(金田哲)はなぜ兼高を目の敵にしていた?

東鞘会の下部組織に『三神組』があり、その組長が三神(金田哲)です。
三神はヤクザには珍しく有名私立大学に進学した経歴を持ちますが、カネへの執着からマルチ商法にハマり逮捕され大学を除籍になりました。

三神はまともな会社に就職できず、マルチ商法で若い半グレから多くの恨みも買っていたためヤクザの道を選び、海外進出を目論んでいた東鞘会で巧みな話術と語学力を重宝されて組長の地位を得ました。

ナメられたらおしまいの極道の世界で、三神は度胸と戦闘力が無いことにコンプレックスを持ち、ボクシングなど習得しようとしますが挫折しています。

そんな三神なので、暗殺部隊ヘルドッグスで武力を武器にのし上がり、頭も切れる兼高に嫉妬していたのです。

 

兼高と室岡が十朱のボディーガードになる経緯

十朱の敵である氏家勝一は、関西最大の暴力団組織『華岡会』の協力を得て東鞘会会長の座を狙っていました。

つまり氏家は現在の東鞘会のトップ(十朱、土岐、熊澤、大前田)を殺して東鞘会を取り戻そうとしていたのです。

メキシコに逃げていた氏家が帰国したのは、東鞘会の十朱たちを暗殺する準備が整いつつあったからでした。
東鞘会が探偵に調べさせた所、華岡会は中東地域で名のしれた極悪非道の何でも屋オリバー・ヘンドリクソンを雇って日本に連れてきていることがわかりました。

華岡会と氏家がヘンドリクソンに十朱たちの暗殺を依頼したかもしれなかったため、兼高や室岡が十朱のボディーガードをすることになりました。

 

十朱が華岡会の構成員と会ったのはなぜ?

十朱が高級クラブで会った男2人は、俵谷と金村という華岡組の構成員でした。

華岡会は氏家勝一が和鞘連合を結成した頃から氏家を支援しています。
同会は名古屋と神戸に拠点を置いていて、俵谷と金村は関西勢で、俵谷は幹部候補の若衆です。
華岡組の本拠地は元々は神戸でしたが、現在の組長が名古屋出身のため拠点が名古屋に移り、それに伴い関西勢と中京勢は関係が悪化しつつあります。

華岡組は東京進出を狙っているため、氏家に恩を売って東京進出の足がかりにするべく支援しているのです。
一方で関西勢と中京勢は仲が悪いため、俵谷と金村のように東鞘会に積極的に内部情報を漏らす構成員がいました。

氏家勝一が東鞘会の6代目組長神津を暗殺してメキシコに逃亡していた間、東鞘会は神津の仇討ちとしてヘルドッグスを使い和鞘連合の幹部人を殺し、残るターゲットは氏家だけになった頃、氏家が日本に戻っている情報が土岐に舞い込みました。

氏家の帰国を知ったら十朱が氏家の命を狙うことは明白なので、関西勢も氏家帰国の件は東鞘会に対して極秘にしていたものの、土岐と恵美裏の恐るべき情報網で氏家の帰国は東鞘会に知られてしまいました。

十朱は氏家の居場所を探るために俵谷と金村に会いましたが、奇襲をしかけるためにあえて氏家の帰国を知らないフリをして俵谷と金村に接していたのです。

オリバー・ヘンドリクセンを雇ったのは華岡組組長(中京勢)だったので、十朱は俵谷に「名古屋はなぜヘンドリクセンを雇ったのか」「俺達を殺すつもりか」と聞くと、俵谷は「組長の本当の思惑はわからないが、多分俺達関西勢への脅しだろう」とごまかそうとします。

ここで、十朱は俵谷と金村に3億円を渡して「そんな噂程度の話では安心できない。この金を資金にしてヘンドリクセンを雇った真相を突き止めて欲しい」と頼みました。

突然大金を渡された俵屋と金村は、十朱の依頼にどう答えるか、華岡組の組長と氏家勝一に相談することにします。
大金を渡せばすぐにでも氏家に会うだろうと予測していた十朱は、3億のアタッシュケースにGPS発信機をしかけていました。

こうして氏家の居場所は東鞘会にバレ、十朱は暗殺部隊を放って勝一を華岡組もろとも皆殺しにして仇討ちを果たしました。

 

タイトル『ヘルドッグス』の意味

本作のタイトル『ヘルドッグス』は直訳すると地獄の犬ですが、兼高は潜入捜査官で『警察の犬(スパイ、回し者)』であることや、十朱の用心棒(番犬)としての役割もこなしていたので、兼高(出月)の仕事内容を表現したタイトルだと思いました。

 

室岡の過去

サイコボーイと呼ばれた室岡は大量殺人で死刑になった父を親に持ち、過酷な幼少時代を過ごしたことが仄めかされていましたが、具体的にはほとんど語られません。

原作小説に描かれている室岡の過去をまとめます。
室岡はいわゆる医師家系の息子で、室岡の父も祖父も曽祖父も医師の、賢く裕福な家庭に生まれました。

室岡の父 充(みつる)は大学病院に勤める外科医でしたが、結婚して秀喜が生まれた頃から『ヴェーダ天啓の会』というカルト宗教団体の教祖 六波羅萬代(ろくはらばんだい)熱狂的な信者になってしまいました。

ヴェーダ天啓の会は六波羅がメディアに露出して知名度を上げ、最盛期には約2万人の信者がいた全国規模の新興宗教団体です。

充は外科医の経歴を買われてヴェーダが経営する病院の院長になり、やがて幹部に出世します。
一方で六波羅は会の勢力が増すにつれて精神を病み、終末思想と日本政府の破壊を目論む暴君になりました。
秀喜はヴェーダ組織の中で育ち、10歳頃から六波羅の世話係をさせられ、夜は頻繁に性的虐待を受けました。

また映画でも話されていましたが、秀喜はヴェーダが開発した新薬の人体実験も受けさせられていて、食事を半年以上与えられず点滴だけの飢餓状態で過ごした時期があり、そのせいで満腹中枢が壊れて満腹を感じにくくなっています。

六波羅の暴走で信者は減って熱狂的な信者だけが残り、同会は日本での大量殺戮を計画しますが、警察に阻止されて六波羅と幹部陣は逮捕され、秀喜は児童養護施設に預けられました。

次のページに続きます!




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