映画『セブン』ネタバレ解説|箱の中身、ジョン・ドゥの犯行動機、ラスト考察など | 映画の解説考察ブログ - Part 3

映画『セブン』ネタバレ解説|箱の中身、ジョン・ドゥの犯行動機、ラスト考察など

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クライムドラマ

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ジョン・ドゥはなぜ事件を起こした?

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© New Line Productions, Inc.

ジョン・ドゥは、人間が定めた法律を無視して、神が定めたとされる『七つの大罪』を冒している人物を裁くことで、人々がいかに日常的に罪を犯しているかを気付かせようとしました。

最後の『憤怒』の犠牲者にミルズを選んだのは、殺人犯を捕まえるのが仕事のはずのミルズ(刑事)が怒りに駆られて殺人を犯すことで、神が決めた罪の前で人間が決めた倫理観や法律がいかに無意味であるか、
人間が定めた法律よりも、神が定めた七つの大罪を重要視する方が、後に深刻な事件に発展するのを未然に防げる(神が考えた罪がより優れている)など世間に考えさせたかったのではないでしょうか。

以下、ジョン・ドゥの印象的だった発言を抜粋します。

Wanting people to listen, you can’t just tap them on the shoulder anymore.
You have to hit them with a sledgehammer.
And then you’ll notice you’ve got their strict attention.
人にものを聞かせたければ 手で肩を叩いてもダメだ ハンマーを使うのだ そうすれば人は本気で聞く

ジョン・ドゥが使った『ハンマー』が、今回の事件です。
こちらも何かの引用かと思ったんですが、ネットで調べるだけでは出てきませんでした。
ドゥの持論なのかもしれませんが、もし何かわかったら追記します。

 

But when this is done…when it’s finished…it’s going to be…
People will barely be able to comprehend.
But they won’t be able to deny.
このすべてが終われば、その結末は人には理解しにくいが、認めざるを得なくなる

『認めざるを得なくなる』は、七つの大罪(法律で罰していない、世間的には小さな罪)を軽視し続けることがいかに大きな罪を生むか、ということだと思われます。

 

あの肥満男は自分で立つことも出来ず あのまま人前に出れば誰もがあざ笑い 食事中にあいつを見れば食欲は消え失せる
あの弁護士は生涯をかけて強欲に金を稼ぐためにあらゆる嘘をつき 人殺しや強姦魔を街に放ってきた
あの女は心が醜くて見かけだけでしか生きられなかった
ヤク中など腐った肛門愛好者だ それにあの性病持ちの娼婦
この腐った世の中で 誰が本気で奴らを罪のない人々だと?
だが問題は もっと普通にある人々の罪だ
我々はそれを許している それが日常で些細なことだから 朝から晩まで許してる だがもう許されぬ 私が見せしめをした
私のしたことを人々は考え それを学び そして従う 永遠にな

七つの大罪を犯すことや、それを軽視する現代社会がいかに罪深いかを語っています。




トレーシーからの電話

ジョン・ドゥが署に現れる直前、ミルズは同僚から「トレーシーから電話があった」と言われています。

この電話は何を意味していたのでしょうか。
時系列としてはミルズが家を出て、『高慢』の犯行現場を調べて署に戻るまでの間にかかってきていたようです。

ちょうど、ドゥがミルズ宅に侵入してトレーシーを襲ったであろう時間帯とも一致します。
しかし、ドゥの口から電話の件が一言も出なかったので、ドゥはトレーシーが署に電話したことを知らなかった可能性もあります。

電話があったことをミルズに伝えた警察官にも異変を察した様子はなかったので、恐らくですがトレーシーの要件はドゥとは関係無く(侵入前)、『ミルズに妊娠を伝えるためにディナーの約束をしようとした電話』だったのではないかと思っています。(あまり自信は無いですが)

 

段ボールの中身は?

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© New Line Productions, Inc.

ジョン・ドゥが手配してサマセットが中身を確認した段ボールの中身が映ることはありませんでした。
その中身については、色んな方が考察されています。
私はあの段ボールの中身は『トレーシーが無事ではないことがわかる何か』が入っていたのではと思っています。

トレーシーが無事なら、ミルズが何度も聞いていた「彼女は無事か?箱に何が入ってる?」という質問に、サマセットが無言を貫くことはしないはずです。
何も答えないということが、トレーシーが無事ではないことを意味しています。

それに、ミルズはジョンを殺した後にすぐ箱の中身を確認しに行っています。(ここは順序的に箱の中身確認→ジョン殺害の方が筋が通る気もします)
その後、逮捕されたミルズの絶望的な表情からも、彼女の死が示唆されていたのではないでしょうか。

一方で、もし彼女が殺されていたとしたら、今までの事件のように『罪を犯した本人』を裁いてきたドゥのやり方に反しているような気もしますが、ドゥの目的はミルズを『憤怒』させてドゥを殺させることだったので、そのための方法と考えたら納得できる気がしています。

また、憤怒は七つの大罪の中で最も重い罪でもあるので、あえて生かす方が殺すよりも重い罰だという考えもあるのかもしれません。

 

サマセットはなぜミルズを止めなかった?

ミルズがドゥに銃を向けた時、サマセットはミルズが試されていると説明して止めようとしますが、ミルズとドゥの間に立ちはだかるなど体を張ろうとまではしませんでした。

個人的な見解ですが、この時サマセットはミルズが『憤怒』になってドゥの罠にはまるのか、あるいは刑事としての職務を全うするか(ミルズが試練に耐えられるかどうか)を見届けたい気持ちもあり、同時にドゥが体を張ってまで守る価値は無いとサマセット自身も思っていたことがにじみ出た立ち位置だったように感じました。

一方でミルズの選択は、人間は簡単には(1週間賢者と過ごした程度では)変われないというシビアなメッセージだったように思います。

 

もうひとつの結末

この記事を書くにあたってブルーレイ版を鑑賞したんですが、この特典の中に、制作過程で発案されていた『別の結末』が収録されていました。

それは絵コンテだけで実際に撮影はされなかった結末ですが、内容は以下です。

サマセットが届いた段ボールを開ける

中身を見て驚き、罠だと悟ってミルズとドゥを引き離そうとする

ドゥが「中身はトレーシーの首だ」とジョンに告げる

怒ったミルズはドゥを殺そうとする

サマセットがミルズより先にドゥを撃ち殺す

サマセットは「私はもう老いぼれだ。君は刑事を続けるべきだ」と言い残して逮捕される

というものです。

ここでも箱の中身は登場せず、ドゥを殺すのがミルズではなくサマセットという点が違います。
このもう一つの結末を考えても、やはり箱の中身はトレーシーであることがより濃厚になります。

 

ラストの解釈

ヘミングウェイが書いてた『この世は素晴らしい 戦う価値がある』と
後の部分は賛成だ

サマセットは基本的に現代社会に対して悲観的です。
彼が当時の恋人との子どもを諦めてしまったのも、こんな悲惨で不条理な世の中に子どもを生み育てて社会に出すことが、いかに子どもにとって酷なことかと思わざるを得なかったのでしょう。

サマセットに見えている社会は、冒頭の刑事が『殺された人物の子どもが犯行の瞬間を見たかどうか』を気にしないシーン(人々がいかに他人に無関心か)、警察署から出て乗ったタクシーの窓から見たゴッサムシティ並みに犯罪だらけの風景、サマセットにとっても希望だったトレーシーが殺されてしまったことなど、随所に現れています。

だから、サマセットは『この世は素晴らしい』には同意が出来ません。

一方で『戦う価値がある』に賛成するのは、社会の腐敗は酷い有様ですが、トレーシーや子ども達を守り、ミルズのような将来を担う世代を正しく導くためにしなければならないことがある、という意味だと感じました。

以上です!読んで頂きありがとうございました。
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