映画『ユージュアル・サスペクツ』のあらすじ紹介・解説・考察をしています!
本作を初めて見たのは中学生の頃だったと思います。
当時は細かい内容はよくわかっていませんでしたが、思わぬどんでん返しに衝撃を受けたことは覚えています。
今回久しぶりに観てみたんですが、やっぱり面白かったです。
キント演じるケヴィン・スペイシーの表情の演技はやっぱりすごいです。
・本作のネタバレあらすじ記事はこちらです↓
映画『ユージュアル・サスペクツ』概要紹介
原題:The Usual Suspects
制作年:1995年
本編時間:106分
制作国:アメリカ
監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー
あらすじ紹介
ロサンゼルスの桟橋で麻薬船の爆破事故が起きた。
事件の生存者は2名。無傷で生き残り逮捕された生存者の1人ヴァーバル・キントは、「約6週間前にニューヨーク警察署で行われた『面通し』で、5人の常連容疑者(ユージュアル・サスペクツ)が出会ったことが事件の始まりだった」と捜査官に語り始めた。
主要人物紹介
(引用:https://www.imdb.com)
ディーン・キートン…ガブリエル・バーン
汚職事件で解雇された元刑事。
退職後は弁護士の恋人イーディと共に堅気な生活を送る努力をしていたが、面通しがきっかけで再び犯罪に手を染める。
(引用:https://www.imdb.com)
ヴァーバル・キント…ケヴィン・スペイシー
通称『おしゃべり(ヴァーバル)キント』と呼ばれる詐欺師。
左半身に障害があり、左手と左足がうまく使えない。
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※本ページの情報は2022年2月時点のものです。最新の配信状況はサイトにてご確認ください。
解説・考察、感想など
内容について、ざっくりとは理解出来るけど、真実と嘘が織り混ざっていると思うと細かい部分がよくわからなくなってきます。
手探りで考察していこうと思います!
伏線をおさらい
最後のどんでん返しに繋がる伏線をいくつ見つけられましたか?
私も完璧ではないと思いますが、復習もかねて伏線のおさらいをします。
(引用:https://www.imdb.com)
冒頭のキートンがカイザーに撃たれる前、カイザーの正体を見たキートンが「脚の感覚が無いよ」と言います。
これは障害者のフリをしていたキント(カイザー)に対して皮肉を言っていたというのが結末を知ってからわかります。
(左手でたばこに火をつけるキント 引用:https://3brothersfilm.com)
同じく冒頭で、暗くてあまり良くは見えませんが、カイザーの持ち物である金のライターと金の腕時計が登場し、カイザーが左利きであることが強調されます。
結末シーンでキントが警察署に預けていた金のライターと腕時計を受け取り、左半身の障害は演技で本当は左利きであることが明かされるので、これもカイザーがキントだと示す伏線です。
冒頭でマクマナス、ホックニー、フェンスター、キートンの順に警察に連れ行かれるシーンがありますが、キントだけは捕まるシーンがありません。
これもキントに対する違和感を感じさせる演出なのではないでしょうか。
ラビン巡査部長がクイヤン捜査官に、キントが保釈される経緯の説明をしていた際「キントの弁護士と話した検事は態度が豹変して罪が大幅に軽くなった」という話が出ます。
この弁護士というのは恐らくコバヤシ(偽名ですが)のことで、カイザーと繋がる伏線です。
(引用:https://www.imdb.com)
キントがラビン巡査部長の部屋に入った際、ラビンのデスク後ろにあるボードをまじまじと眺めたり、部屋にあるものを見つめていました。
これは、キントがこれからどういう話を刑事に話そうかと考えを巡らせている場面です。
トルコ製のシガレットケースを見つめていたのも、意味ありげにシガレットケースが大きく映し出されたのも、回想に登場するソゼの容姿も含めて、キントが語った『カイザー・ソゼのトルコ時代の過去』が作り話だと示す伏線になります。
作中でも説明がありますが、キントのファーストネームのヴァーバル(verbal)には『言葉の』という意味があり、転じてキントには『お喋りキント』というあだ名がありました。
またこちらは作中で説明はありませんが、カイザー・ソゼの『カイザー』にはドイツ語で『王様』、『ソゼ』はトルコ語で『お喋り』という意味があります。
繋げると『カイザー・ソゼ』は『お喋りの王様』になり、『お喋り』繋がりでソゼの正体がキントであることの伏線になります。
キントの作り話のひとつです。
「イリノイ州でカルテットを組んでいた時、バリトンのデブ男がひどいストレス症だった」と語っていますが、これはキントが部屋のボードに貼ってあった情報を繋ぎ合わせた作り話です。
これもボードの情報を元にキントが作った話の1つです。
ラビン巡査部長が持ってきてくれたコーヒーを飲んだ時、キントが「グアテマラのコーヒー園で働いていた時に美味いコーヒーを飲んだ。こんな小便(みたいなひどい味のコーヒー)とは大違いだ」と言い、ラビンをイラつかせます。
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コバヤシの名前がキントの口から出る前の段階で、キントがクイヤンのコーヒーカップの裏をじーっと見ているシーンがあります。
これもキントが作り話(偽の名前)を考えている表情を写しているものです。
(引用:https://www.rolexmagazine.com)
キートンが右腕に時計をしているのがよくわかるシーンが2.3回あります。
一般的に腕時計は聞き手と逆側に着けるので、「キートンは実は両利きで、本当は左利きなの?」とミスリードを誘いますが、実際には腕時計をどちらの腕に着けるかは本人の自由ですし、このシーン以外にキートンが左利きかもしれない事を示す描写は見当たりません。
それに、麻薬船を襲撃する命に関わる大事な局面でもキートンは銃を右手に持っていたので、右利きで間違いないでしょう。
なので『腕時計は利き腕と逆につけるもの』という一種の思い込みを利用して『キートンがソゼなのでは?』と観客にミスリードさせるための演出だと思われます。
クイヤン捜査官が、過去にキートンが裁判でピンチになった際に自身の死を偽装して有罪を免れた話をしていました。
このキートンの過去が、クイヤンがキートンの死を疑っている大きな理由でもあり、私たち観客もキートンがソゼだと疑う理由になります。
ソゼ目線で考えると、キント(ソゼ)はキートンのこういった過去を知ってソゼの正体をかく乱するために彼を選んだんだろうと推測できます。
レッドフットに頼まれた仕事の際、売人に銃を突きつけて脅したのはキートンでしたが、売人を撃ったのはキントでした。
このシーンで重要なのは「え、あなたが撃つの?」という違和感だと思います。
キントは「人殺しを避けたいから」とキートンを仲間に誘っていたのに、あの場面ではためらいなく売人を殺していたので不思議に思いました。
このシーンでキントの正確な射的能力が明らかになることと、ソゼ自身はあの売人を消したがっていたこともあるので、キント=カイザーの伏線になります。
キントはカイザーの存在を知らなかったと言っていたにも関わらず、カイザーのトルコ時代の伝説をクイヤンに語るなど、やけにカイザーに詳しいです。
それに、キント自身がカイザー伝説に振り回されているフリをしながらやたらとカイザーを持ち上げる発言も多いので、キントがカイザーを語る場面もカイザー=キントの伏線です。
次のページに続きます
2ページ目は『タイトルの意味』、『真実と嘘』、『マルケスの取引』、『ラストの後キントは何をする?』です。
感想などお気軽に(^^)
素晴らしい解説ですね!特に、ケヴィン・スペイシー演じる男(彼はアカデミー助演賞をもらっているので主人公じゃないんですね!)が、なぜあえて警察に捕まったのかと言う所の考察、うなりました。個人的にあの映画を見て感じたのは、変な話、すべて、彼の頭の中の空想と言う風にも考えられるのかなと。最後の船の爆破後の状況くらい(警察が実況見分している)と、取り調べの映像以外はすべて、特にアクションシーンその他全て彼の空想というふうにも言えるのかなあと思っています。実際は全然そういう風なやりとりはなかったのかなと。
はじめまして。
先ほどCSの放送で久しぶりにこの作品を観て、懐かしくなって色々な考察や感想を見てまわっているうちにこちらに辿り着きました。
解説も感想も楽しく読ませていただいたのですが、、、
あらすじ:結のラストの文と解説の中の数カ所で、コバヤシの名前がハシモトになってしまっています。
通りすがりに失礼いたしました。
匿名さん
コメントありがとうございます!
確認したところ、7か所ハシモトになっておりました笑
最近読み直せずにいたので気が付きませんでした。。
ご指摘感謝します。ありがとうございましたm(__)m