「ユージュアル・サスペクツ」解説・考察|伏線回収、真実と嘘の見極め、ソゼのその後など | 映画の解説考察ブログ - Part 2

「ユージュアル・サスペクツ」解説・考察|伏線回収、真実と嘘の見極め、ソゼのその後など

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クライムドラマ

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『ユージュアル・サスペクツ』の意味

Kevin Spacey, Stephen Baldwin, Gabriel Byrne, Benicio Del Toro, and Kevin Pollak in The Usual Suspects (1995)
(引用:https://www.imdb.com

本作のタイトル「ユージュアル・サスペクツ usual suspects」は直訳すると『いつもの(常連の)容疑者たち』となり、本作で言うところの『面通し捜査』をするような時に毎回容疑者候補として招集されるような犯罪歴のある人物のことを言います。
ソゼはキートン、マクマナス、ホックニー、フェンスターが『ユージュアル・サスペクツ』であることを利用して彼らを集めた、とコバヤシが明かしてましたね。

 

キントの話の真実と嘘は?

The Usual Suspects (1995)
(引用:https://www.listal.com

キントが語った内容の真実と嘘の線引きについては制作に関わったスタッフの間でも意見が分かれるそうで、つまりこの疑問には答えがなく、観客に委ねられているようです。

ここでは私なりの解釈を書くことになりますが、注目したいのはキントが警察署で話していた『明らかな嘘』の内容です。
明らかな嘘というのは近場にあった情報を繋ぎ合わせた作り話のことですが、この嘘って本筋とは関係ないどうでも良い話ばかりです。

具体的に言うとグアテマラのコーヒー園の話、カルテットを組んだ話などです。
大事なキートン達に関する話で確かな嘘だとわかるのは、弁護士コバヤシとレッドフットが偽名であること位です。
あの時どうでも良い話をしなくても、レッドフットとコバヤシが偽名なのは調べていけば後に嘘だとわかるので、キントがなぜわざわざクイヤンにわかりやすくどうでも良いホラ話を挟んでいたのかというと、明らかなウソの話を混ぜて真実と嘘の判別を難しくしたりクイヤンがいつ真実に気が付くかというスリルを味わっていたという理由位しか考えられません。
自分自身を偶像化するキントはかなりプライドの高い人物と見受けられるので、クイヤンの傲慢な態度や「俺はお前より賢いぞ」等の言葉に相当ムカついたと思われます(笑)

真実と嘘の話ですが、警察の調べでわかっている真実は

・面通しで5人が集められたこと
・キートンとイーディが恋仲だったこと
・ニューヨークで宝石商が強盗被害に遭い、汚職警官が50人逮捕されたこと
・麻薬船が焼かれて27人の遺体が見つかったこと
・取引内容は密告屋マルケスの売買だったこと
・マルケスは当時強制送還手続き中で、その手配をしていた弁護士がイーディだったこと
・マルケスが銃殺されたこと
・イーディが殺されたこと

です。
キートンとイーディについては本当に恋仲だったのか確かな証拠はありませんが、クイヤンがキートンを捕まえに来たときにキートンの仕事の席に彼女も同席していたことや、彼女の働きでキートンが面通し後に素早く釈放されたことなどもあるので、恋人だったのは間違いないかなと判断しました。

これらの事実を交えながら大きな嘘をつくのは難しいと思うので、『キントは物陰に隠れてソゼがキートンを殺すのを見ていた』ことと、コバヤシとレッドフットの偽名以外の大筋は本当だったんじゃないかな~と考えています。

キントは物陰に隠れていたのではなく、背広に着替えてキートン、マクマナス、ホックニーを殺して、船に火を着けて9100万ドルを回収してコバヤシに預け、また元の服装に戻って警察が来るのを待っていたことになります。
数秒に渡って何度か映し出されていた物陰のアップシーンでも、キントや他の誰かの顔や人影は全く映っていません。
なので、物陰には本当は誰も居なかったのでしょう。

ソゼが逃げずにあえて捕まった理由は、自分以外に生存者がいたことを知ったからだと思います。
ソゼは生き残りの男(コバッシュ)の名前と居場所と、ソゼの顔を見たかどうかや、その他ソゼの正体を体を知る者がいないかを探るのが目的で、警察内部で捜査状況を黙って見守るのが一番早く情報が得られると判断したからだと思います。
そして、コバッシュがソゼの顔を見たことを知り、じき警察に顔が割れることも悟ったので、どうせバレるなら、それまで刑事をおちょくって捜査を混乱させてやろうと思ったのではないでしょうか。

キートンとキントは面通しで出会う前よりもさらに数年前に面識があると言っていたので、キント(ソゼ)は顔を変えることもなくちょこちょこヴァーバル・キントとして街に現れて、仕事を依頼した人間がちゃんと仕事しているかどうか確認したり、仕事を頼めそうな人探しを自ら行っていたのかもしれません。




マルケスの取引の詳細

マルケスの取引の詳細がわかりづらく感じたので整理します。
キートンたちが『麻薬の取引現場を襲え』とソゼから命令されて麻薬船を襲いますが、そこに麻薬はありませんでした。
後のコバッシュの供述と警察の調べで取引内容は麻薬ではなくマルケスの売買だったことがわかります。

マルケスを9100万ドルで誰かが買おうとしていて、コバヤシは取引相手が誰なのかまではキートンたちに説明していませんでしたが、この買い手というのはソゼ本人です。

ソゼが『マルケスを買いたい』とアルゼンチン組織に持ちかけて、組織とマルケスを一か所に集め、キートンたちに襲わせて組織を全滅させ、ソゼ(キント)は仕上げにマルケス、キートン、ホックニー、マクマナスを殺し、金は元々自分の物なので回収してコバヤシなどに預け、警察に捕まるために現場に残っていた、というのがあらすじだと解釈しています。

 

ソゼは次は何をする?


(引用:https://www.cinemablend.com

ソゼのその後の行動について考察していきます。
ソゼが警察に入り込んだ目的はもう1人の生存者コバッシュの名前と居場所を突き止めることだったので、当然この後ソゼはコバッシュを殺しに行く、もしくは誰かを雇って殺しに行かせるでしょう。

さらに、ソゼの正体は警察内部に割れてしまったので、もしもクイヤンが汚職警官なら買収すればする話ですが、もし違うなら、キントの身分を捨てて何もかも一新するか、逃亡して拠点を変えざるを得ないのではないでしょうか。

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感想などお気軽に(^^)

  1. 実際は全然そういう風なやりとりはなかったのかなと。お より:

    素晴らしい解説ですね!特に、ケヴィン・スペイシー演じる男(彼はアカデミー助演賞をもらっているので主人公じゃないんですね!)が、なぜあえて警察に捕まったのかと言う所の考察、うなりました。個人的にあの映画を見て感じたのは、変な話、すべて、彼の頭の中の空想と言う風にも考えられるのかなと。最後の船の爆破後の状況くらい(警察が実況見分している)と、取り調べの映像以外はすべて、特にアクションシーンその他全て彼の空想というふうにも言えるのかなあと思っています。実際は全然そういう風なやりとりはなかったのかなと。

  2. 匿名 より:

    はじめまして。
    先ほどCSの放送で久しぶりにこの作品を観て、懐かしくなって色々な考察や感想を見てまわっているうちにこちらに辿り着きました。
    解説も感想も楽しく読ませていただいたのですが、、、
    あらすじ:結のラストの文と解説の中の数カ所で、コバヤシの名前がハシモトになってしまっています。
    通りすがりに失礼いたしました。

    • mofumuchi より:

      匿名さん

      コメントありがとうございます!
      確認したところ、7か所ハシモトになっておりました笑
      最近読み直せずにいたので気が付きませんでした。。
      ご指摘感謝します。ありがとうございましたm(__)m

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