「ユージュアル・サスペクツ」ネタバレ解説|伏線回収と考察!ソゼのその後は? | 映画鑑賞中。

「ユージュアル・サスペクツ」ネタバレ解説|伏線回収と考察!ソゼのその後は?

サスペンス
映画『ユージュアル・サスペクツ』のあらすじ・解説・考察を書いています!

ロサンゼルスの桟橋で麻薬船の爆破事故が起きた。
無傷で生き残った唯一の男ヴァーバル・キントに捜査官が話を聞くと、コトの発端は約6週間前の面通しで5人の犯罪者が出会ったことから始まると語り始めた。
監督は映画『X-メン』(2000)のブライアン・シンガー。

 
原題:The Usual Suspects
制作年:1995年
本編時間:106分
制作国:アメリカ
監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー

キャスト&キャラクター紹介


(引用:https://www.imdb.com

ディーン・キートンガブリエル・バーン

汚職事件で解雇された元刑事。
その後は恋人のイーディと共に全うな日々を送っていたが、面通しでキントらと出会ったことがきっかけで再び犯罪に手を染める。

 


(引用:https://www.imdb.com

ヴァーバル・キントケヴィン・スペイシー

通称『おしゃべり(ヴァーバル)キント』と呼ばれる詐欺師。
一見神経質で大人しそうな小者に見えるが、何をしでかすかわからない危なさがある。
左半身に障害があり、左手と左足がうまく使えない。

 


(引用:https://www.imdb.com

マイケル・マクマナススティーヴン・ボールドウィン

フェンスターと組んで盗みで生計を立てている強盗のプロ。
フェンスターいわく『良い奴だがクレイジー』な人物。

 


(引用:https://www.imdb.com

トッド・ホックニーケヴィン・ポラック

爆薬のプロ。
キントいわく『開き直りで生きている』人物。
恐らくメンバーの中で一番短気で気性が荒い。

 

Benicio Del Toro in The Usual Suspects (1995)
(引用:https://www.imdb.com

フレッド・フェンスターベニチオ・デル・トロ

マクマナスの相棒の強盗屋。
ヒスパニック系で派手な服装、頭は良いがどこかぶっとんでいる。

 


(引用:https://www.imdb.com

デヴィッド・クイヤン捜査官チャズ・パルミンテリ

関税局の特別捜査官。
プエルトリコで起きた事件捜査のためキントら5人を勾留した。

 

・その他のキャスト

イーディ・フィネラン(キートンの恋人)…スージー・エイミス
コバヤシ(弁護士)…ピート・ポスルスウェイト
ジャック・ベア(FBI捜査官)…ジャンカルロ・エスポジート
ジェフ・ラビン巡査部長…ダン・ヘダヤ
アーコシュ・コバッシュ(火傷の男)…モーガン・ハンター
通訳…ケン・ダリー
レッドフット…ピーター・グリーン
エメラルドの運び屋…ポール・バーテル
宝石商…カール・ブレスラー
プルマー医師…クリスティーン・エスタブルック
ウォルター医師…クラーク・グレッグ
似顔絵師…ミシェル・クラニー
汚職警官…ヴィト・ダンブロージオ
カイザー・ソゼの妻…スマダー・ハンソン
アルトゥーロ・マルケス(ソゼを見た男)…カスチュロ・ゲッラ
マルケスのボディガード…ピーター・ロッカ ほか

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あらすじ:起

カリフォルニア州サンペドロの桟橋で1隻の船が爆破され、船と周辺の海から遺体が27体見つかった。
爆破された船はマフィアの麻薬密輸船で、そこにあったはずの麻薬と9100万ドルは未だ見つかっていない。
警察はマフィア同士の抗争が事件の原因とみていた。

この爆破事件には2人の生存者がいた。
1人は全身にひどい火傷を負ったハンガリーマフィアの一味の男アーコシュ・コバッシュ(モーガン・ハンター)で、危険な状態のため病院で処置を受けていた。
コバッシュはぶつぶつとハンガリー語で喋り続けているので、聞き取り調査に来ていたFBI捜査官のベア(ジャンカルロ・エスポジート)は急いで通訳を要請した。

一方、ほぼ無傷で生き残った詐欺師の男ヴァーバル・キント(ケヴィン・スペイシー)は重要参考人としてサンペドロ署に勾留されていたが、言ってしまえば『小者』のキントの保釈のために市長や知事が動いたため、この事件の裏に大きな黒幕がいることは明らかだった。
知事は情報を一切明かさず警察にキントの保釈のみを命じ、キントは取り調べでも何も喋らない。
どうしても真実が知りたかった関税局捜査官のクイヤン(チャズ・パルミンテリ)は、担当刑事のジェフ・ラビン巡査部長(ダン・ヘダヤ)に頼み込み、保釈されるまでの約2時間キントと話をさせてもらった。
この事件はクイヤンの元同僚で元汚職警官のキートン(ガブリエル・バーン)が関わっていて、キントは「キートンは死んだ」と証言しているが、まだ本人だと確認出来る遺体はなかった。
クイヤンはキートンが死んだことが信じられず、わざわざニューヨークから来たのだった。
キントが話したがらないので、クイヤンが脅し文句を並べて強要すると、キントは渋々話し始めた。

爆破事件の6週間前。ニューヨークにいたキントはある事件の『面通し』のため警察署に勾留され、同じ理由で一緒に勾留された元汚職刑事のキートン、強盗2人組のマクマナス(スティーヴン・ボールドウィン)とフェンスター(ベニチオ・デル・トロ)、爆薬のプロのホックニー(ケヴィン・ポラック)と出会った。
※面通し…容疑者を集めて事件関係者に容疑者の容姿や声を確認させて犯人を割り出す捜査方法。

Kevin Spacey, Stephen Baldwin, Gabriel Byrne, Benicio Del Toro, and Kevin Pollak in The Usual Suspects (1995)
(面通しで集められた5人 引用:https://www.imdb.com

面通しが終わった後の檻の中で、マクマナスが金儲け(犯罪)の話をキントらに持ちかけた。
それは稼げる金額もリスクも高いが、死人を出さずに済ませるには5人必要だという。
フェンスター、ホックニー、キントはふたつ返事で話に乗ったが、キートンはまっとうに生きようと奮闘中だったため、話も聞かずに断った。

拘置所から解放された翌日、キントがキートンを説得しに現れた。
キントは「一度汚点が付いた奴が堅気になるのは簡単じゃない。資金を作ってからやり直せばいい。
どの道4人でもやるが、君が加わらないと死人が出る。」と頼み込んだ。
キートンは弁護士の恋人イーディ(スージー・エイミス)と出会ってから人生をやり直そうとインテリア関係の仕事を始めたが、クライアントはキートンの過去(犯罪歴)を知ると去っていくため上手く行かず、現在キートンはほとんど彼女に養ってもらっている状態だった。
さらに、キートンは今回の面通しのせいで交渉中だったクライアントも逃げてしまっため、やけくそで仲間に加わることにした。

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あらすじ:承

仕事の報酬はうまく行けば300万ドル以上になり、それを5人で山分けするので、1人60万ドル程度になる。
その詳細は、南米から来る運び屋が大量のエメラルドをロサンゼルスのレッドフットという宝石商人に売るためにニューヨークを通過するので、そのエメラルドと所持金をニューヨークで強盗する、というものだった。
実はニューヨークでは、こういう運び屋は『小遣い稼ぎ』したい地元の警察官がパトカーで彼らを護送して多額のタクシー代をせしめていた。
マクマナスは、護送中のパトカーを派手に襲って汚職警官の存在を世間に知らせ、儲かる上にニューヨーク警察に恥をかかせるという計画を立てていた。

犯行当日。キートンらは運び屋を護送中のパトカーをバン4台で取り囲み、エメラルドと警官の『タクシー代』を奪うと、パトカーに可燃性の液体をかけて火を放った。


(燃えるパトカーから非難する運び屋と警察官 引用:https://www.imdb.com

死者が出ることはなく、警察よりも早くマスコミが現れて事件は大きなニュースになり、汚職警官50人が芋づる式に検挙された。
こうしてキントたちは大満足で仕事を終えた。

5人が隠れ家に戻った後、マクマナスは「エメラルドを運び屋の代わりにレッドフットに売りに行く」と言うので、今度は5人で取引場所のロサンゼルスへ行くことになった。
キートンはイーディに事情を説明できず、結局なにも告げずに後ろ髪を引かれる思いで空港に行った。

ここまで黙って聞いていたクイヤン捜査官は「お前はキートンを信頼しているようだが、あいつをよく知ってる俺から見れば、奴は根っからの悪人だ。
女を大事にするなんて信じられない!」と、キートンの恋愛話を信じなかった。

クイヤンの話では、キートンは3件の殺人容疑、7件の罪で告訴された過去があり、裁判になるとキートンに都合の良いように証人が証言をコロッと変えるか、死ぬかしたことが何度もあったそうだ。
最後は詐欺罪で有罪になり警察を解雇され、5年の実刑をくらい、その間に囚人3人を殺したと噂があった。
2年前のキートンが殺人容疑者になった裁判では、証人がキートンに不利な証言をする予定だった日、キートンは爆発事故で自身の死を偽装して『被疑者死亡』で裁判を終わらせ、その3ヶ月後に前述の証言者が『不慮の事故』で死んだこともあったそうだ。
今回の事件でもキートンは死亡したことになっているが、クイヤンはキートンがまた『死んだフリ』をしているのではないかと疑っていた。

その頃。もう1人の生き残りアーコシュ・コバッシュのいる病院に通訳と似顔絵師が到着し、聞き取り調査が行われていた。
コバッシュによると、その日はコカインの取引をする予定だったが『カイザー・ソゼ』という悪魔のような男が現れて、大勢が殺されて船が爆破されたと語った。


(クイヤン、ベア、ラビン 引用:https://www.imdb.com

コバッシュは「俺はカイザー・ソゼの顔を見てしまった!命を狙われるからしばらく保護して欲しい」と警察に訴えていた。
ベア捜査官はカイザー・ソゼの人相を聞き出し、似顔絵師にイラストを描かせた。

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あらすじ:転

キントの話の続き。
キント達5人はロサンゼルスに到着して宝石商のレッドフット(ピーター・グリーン)に会った。
エメラルドと金の交換を終えた後、レッドフットが『宝石商から宝石を強盗する仕事』を持ちかけてきた。


(レッドフットとキートン 引用:https://www.imdb.com

詳しく聞くと、今現在ロスのホテルに宿泊しているテキサスの宝石商が持っている宝石と、大金を盗み出して欲しいというものだった。
宝石はレッドフットに、大金がキント達の報酬という好条件だったので、キートン以外は乗り気だった。
キートンは「仕事は1つだけのはずだ」と渋ったが、4人に引きずられて結局引き受けることにした。

5人はホテルで宝石商が駐車場に来るのを待ち伏せし、銃で脅して宝石と金を奪って逃げる予定だった。
だが、宝石商は銃を向けても頑なにスーツケースを離さない。
しびれを切らしたキントが宝石商の頭を銃で撃ち抜き、マクマナスがボディガード2人を殺してしまった。
その後、スーツケースを開けると中身は宝石と金ではなく、ヘロインだった。

レッドフットを問い詰めると、レッドフットは「弁護士から振られたヤマだったから何も知らなかった」と答えた。
キントが「その弁護士に会わせろ」と言うと、レッドフットは「弁護士もお前たちに会いたがってる」と言うので、5人は謎の弁護士と会うことにした。

5人はホテルの一室で弁護士のコバヤシ(ピート・ポスルスウェイト)と会った。
コバヤシは「ボスから君たちに仕事を預かっている」と告げた。
それは死者が出るかもしれないとても危険な仕事だが、1日で終わり、9100万ドルの報酬が手に入るというものだった。
金額に目の色が変わる5人だったが、ボスが『カイザー・ソゼ』だと聞いた途端、キント以外の4人の表情が曇った。

コバヤシは、5人全員が過去にソゼの『所持品』を盗むか壊すかしたことにソゼが怒っていることや、そもそも『面通し』を仕組んだのもそぜソゼだったことや、面通しの事件の犯人がホックニーだったことを明かした。
5人は「ソゼの物とは知らなかった」と断ろうとするが、コバヤシは「ソゼ氏は借りの清算を求めている。これは命令だ」と告げた。

彼らの清算のための仕事とは、アルゼンチンの犯罪組織が数日後にサンペドロの桟橋で9100万ドルの麻薬取引をするため、5人にはそれを阻止して麻薬ごと船を焼いて欲しい、というものだった。
ソゼの主な収入源は麻薬売買によるもので、現在勢力を広げているアルゼンチン組織は商売敵だという。
ソゼの目的は『アルゼンチン組織の仕事の邪魔』なので、9100万ドルは報酬として生き残った者で山分けすればいい、と付け加えた。
最後にコバヤシは「これはソゼ氏からのプレゼントだ」と、アタッシュケースをテーブルの上に置いて去った。
恐る恐るアタッシュケースを開けると、中には5人の名前が書かれた封筒が5通入っていて、中身はそれぞれが18歳から犯した全ての犯罪歴と共犯者の名前、キートンに至ってはイーディの盗撮写真も添えられていた。


(アタッシュケースを開けるキートンと集まる一同 引用:https://www.imdb.com

ソゼは裏社会では名の知れた麻薬王だが、彼の顔を知っている人間は誰もおらず、様々な恐ろしい伝説や、本当は実在しないのではないかという噂さえある都市伝説のような人物だった。
有名な話は、ソゼがトルコで麻薬の売人をしていた時代にライバル組織に目をつけられ、ソゼは自宅を特定されて妻と子どもを人質に取られた。
帰宅して、自宅にライバルマフィアが居ることに気付いたソゼは、銃で妻子を撃ち殺し、敵の下っ端を一人だけ生かして皆殺しにした。
ソゼが家族を殺したのは『いっそ殺した方が救いになる』と考えたからだそうだ。
妻子の葬式の後、ソゼは自宅に侵入した男の家族と友人を皆殺しにした上、自宅と職場を焼き払って復讐したという。
その後、ソゼはこつ然と姿を消して伝説の人物になったそうだ。
キントだけがカイザー・ソゼを知らなかったので、コバヤシが帰った後に4人に教えてもらってようやく事態を把握した。
キントはクイヤン刑事に「ソゼのすごいところは自身の存在自体を『謎』にしたことだ」と語った。

翌朝。ソゼに怯えたフェンスターがエメラルドの報酬金を持って逃走した。
その日の夜、コバヤシからフェンスターの居場所を知らせる連絡があり行ってみると、浜辺近くの鍾乳洞で彼の遺体が見つかった。
フェンスターを埋葬した後、キートンは「ソゼなど実在しない。言いなりになんてなるものか。コバヤシを殺ろう」と提案した。

キートンら4人はロサンゼルスのとあるオフィスビルに仕事をしに現れたコバヤシを拉致し、改装中のフロアに連れ込んだ。
銃を突きつけた時、コバヤシは「これから会う仕事の相手はイーディだ」と告げ、キートンは動揺する。


(コバヤシに銃を突きつけるマクマナス 引用:https://www.imdb.com

コバヤシは彼女を人質に取るために仕事の依頼をしたことを明かし「仕事を遂行しなければ、キント、マクマナス、ホックニー君の家族も一人ずつ酷い目に合わせる」と脅し文句を残してイーディが待つ会議室に入っていった。

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あらすじ:結

マフィアの船は4人が想像していたよりも大きく人数も多かったので、大勢のマフィアを相手に船を爆破して麻薬と金を奪って逃げ切るのはかなり困難で、4人の中の誰かが死ぬか、最悪全員死ぬことになるのは目に見えていた。

ソゼの仕事の日、それぞれの配置に着くと、キートンはキントに「お前はここに隠れてろ。俺達が死んだらお前が金を持って逃げて、イーディに全て話せ。
もし俺が死んだら『努力はした』と彼女に伝えてくれ」と言うと、船に向かった。
その後、船の中に麻薬は無く、桟橋の側に停めてある車の荷台に9100万ドルをホックニーが発見するが、何者かに殺された。
キートンとマクマナスは船を爆破する準備をしていたが、どこからともなく現れた黒い背広姿の男に2人とも殺された。
男はキートンと数分話した後に撃ち殺し、船に火を着けて逃げた。
この背広の男こそがカイザー・ソゼで、キントは一部始終を物陰からずっと見ていたという。

クイヤンが「お前は銃を持ってたろ。なぜキートンを助けなかった?」と問い詰めると、キントは「怖くて動けなかった。俺はこんな体(左手足麻痺)だ。奴を殺そうとしてもし弾が外れたら、どうなるかは俺にもわかる」と怯えた表情で答えた。

その後、クイヤンに捜査報告が入り、船に麻薬がなかった理由が明らかになった。
アルゼンチン組織の目的は麻薬ではなく、ある男の売買だった。
その男は、船の焼け跡から遺体で発見されたアルトゥーロ・マルケス(カスチュロ・ゲッラ)というアルゼンチンマフィアの一味で、マルケスの額には焼かれる前に銃で撃たれた跡があった。
マルケスは、逮捕されたくない一心で警察にカイザー・ソゼを含む犯罪組織50人の名前を密告した男だった。
さらに、彼の当時の法的手続きを任されていたのはイーディだった。
つまり、アルゼンチン組織にマルケスの取引を持ちかけたのはソゼ自身で、ソゼの目的はマルケスとアルゼンチン組織を一網打尽に殺すことだった。


(ソゼに怯えるマルケス 引用:https://twitter.com

クイヤンはソゼの正体はキートンだと推理した上で「お前たち4人はアルゼンチン組織を皆殺しにするために奴に選ばれたんだ。
奴がお前を助けたのは、お前がまぬけだったからだ。
キートンがソゼだと、お前が思いもしなかったのがその証拠だ。
お前の免罪措置は、仕事に対する報酬だ。
奴は今回も本当はまだ生きていて、奴の正体を知った今、お前は命を狙われるだろう。警察に保護してもらうべきだ」と告げた。
さらに、イーディが昨日殺されたことも明らかになり、ソゼの正体がキートンである可能性はさらに濃厚になった。

この頃、キントが釈放される予定の時間は過ぎていた。
キントは「いや、キートンは死んだ。俺はこの目で見たんだ!
それにキートンがカイザー・ソゼなんて、信じられるわけがない!
俺を逮捕しておいて今度は保護するだと?警察なんてくそくらえだ!」と言い出て行った。

数分後。クイヤンはコーヒーを飲みながら、キントと話していた部屋のボードに貼られた大量の資料を眺めていて、あることに気が付き呆然とした。
キントの供述に登場した5人とイーディ以外の人物の名前(レッドフット、コバヤシなど)は、ボードに貼られた資料に載っていた名前だったり、クイヤンのマグカップの裏に印字されている会社名だと気づいたからだ。
キントが喋っていた事件とは関係のない『身の上話』も、全てその辺にあった資料を見て想像で作り上げたでっち上げだとわかった。
つまり、キントが話していた内容は何が真実で何が嘘なのかもわからない話だったということだ。
ちょうどその時、アーコシュ・コバッシュのいる病院からクイヤン宛てにカイザー・ソゼの似顔絵のファックスが送られてきて、その人相はキントそっくりだった。
クイヤンは急いで署の外に出たが、キントはもうどこにも居なかった。

キントは署から出てから数分は左足を引きずりながら歩いていたが、やがて普通に歩き出し、道路脇で立ち止まると左手で器用にライターを持ちタバコに火を着けた。
そして、隣に停まっている高級車に乗り込むと、運転手のコバヤシと共に街に消えていった。

 

・挿入曲
『le sons et parfumes tournent dans l’air du soir』C・ドビュッシー

『STEPPIN’ OUT』ポール・ネルソン

ユージュアル・サスペクツ【動画配信】

 

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解説・考察や感想など

The Usual Suspects (1995)
(引用:https://www.imdb.com

本作を初めて見たのは中学生の頃だったと思います。
当時は細かい内容はよくわかっていませんでしたが、思わぬどんでん返しに衝撃を受けたことは覚えています。
今回久しぶりに観てみたんですが、やっぱり面白かったです。
キント演じるケヴィン・スペイシーの表情の演技はやっぱりすごいです。

内容について、ざっくりとは理解出来るけど、真実と嘘が織り混ざっていると思うと細かい部分がよくわからなくなってきます。
ということで、手探り状態ではありますが考察していこうと思います!

伏線をおさらい

最後のどんでん返しに繋がる伏線をいくつ見つけられましたか?
私も完璧ではないと思いますが、復習もかねて伏線のおさらいをします。

・「脚の感覚が無いよ」


(引用:https://www.imdb.com

冒頭のキートンがカイザーに撃たれる前、カイザーの正体を見たキートンが「脚の感覚が無いよ」と言います。
これは障害者のフリをしていたキント(カイザー)に対して皮肉を言っていたというのが結末を知ってからわかります。

・金のライターと腕時計と左利き


(左手でたばこに火をつけるキント 引用:https://3brothersfilm.com

同じく冒頭で、暗くてあまり良くは見えませんが、カイザーの持ち物である金のライターと金の腕時計が登場し、カイザーが左利きであることが強調されます。
結末シーンでキントが警察署に預けていた金のライターと腕時計を受け取り、左半身の障害は演技で本当は左利きであることが明かされるので、これもカイザーがキントだと示す伏線です。

・キントが捕まるシーンだけが無い

冒頭でマクマナス、ホックニー、フェンスター、キートンの順に警察に連れ行かれるシーンがありますが、キントだけは捕まるシーンがありません。
これもキントに対する違和感を感じさせる演出なのではないでしょうか。

・キントの弁護士と話した検事の態度が豹変

ラビン巡査部長がクイヤン捜査官に、キントが保釈される経緯の説明をしていた際「キントの弁護士と話した検事は態度が豹変して罪が大幅に軽くなった」という話が出ます。
この弁護士というのは恐らくコバヤシ(偽名ですが)のことで、カイザーと繋がる伏線です。

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・ラビンの部屋をまじまじと見るキント


(引用:https://www.imdb.com

キントがラビン巡査部長の部屋に入った際、ラビンのデスク後ろにあるボードをまじまじと眺めたり、部屋にあるものを見つめていました。
これは、キントがこれからどういう話を刑事に話そうかと考えを巡らせている場面です。

トルコ製のシガレットケースを見つめていたのも、意味ありげにシガレットケースが大きく映し出されたのも、回想に登場するソゼの容姿も含めて、キントが語った『カイザー・ソゼのトルコ時代の過去』が作り話だと示す伏線になります。

「ヴァーバル・キント」、「カイザー・ソゼ」という名前

作中でも説明がありますが、キントのファーストネームのヴァーバル(verbal)には『言葉の』という意味があり、転じてキントには『お喋りキント』というあだ名がありました。
またこちらは作中で説明はありませんが、カイザー・ソゼの『カイザー』にはドイツ語で『王様』、『ソゼ』はトルコ語で『お喋り』という意味があります。
繋げると『カイザー・ソゼ』は『お喋りの王様』になり、『お喋り』繋がりでソゼの正体がキントであることの伏線になります。

・カルテットを組んでいた話


(引用:https://www.pinterest.jp

キントの作り話のひとつです。
「イリノイ州でカルテットを組んでいた時、バリトンのデブ男がひどいストレス症だった」と語っていますが、これはキントが部屋のボードに貼ってあった情報を繋ぎ合わせた作り話です。

 

・グアテマラの話

これもボードの情報を元にキントが作った話の1つです。
ラビン巡査部長が持ってきてくれたコーヒーを飲んだ時、キントが「グアテマラのコーヒー園で働いていた時に美味いコーヒーを飲んだ。こんな小便(みたいなひどい味のコーヒー)とは大違いだ」と言い、ラビンをイラつかせます。

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・クイヤンのカップの底を見つめるキント


(引用:https://www.listal.com

コバヤシの名前がキントの口から出る前の段階で、キントがクイヤンのコーヒーカップの裏をじーっと見ているシーンがあります。
これもキントが作り話(偽の名前)を考えている表情を写しているものです。

 

・右腕に時計をしているキートン


(引用:https://www.rolexmagazine.com

キートンが右腕に時計をしているのがよくわかるシーンが2.3回あります。
一般的に腕時計は聞き手と逆側に着けるので、「キートンは実は両利きで、本当は左利きなの?」とミスリードを誘いますが、実際には腕時計をどちらの腕に着けるかは本人の自由ですし、このシーン以外にキートンが左利きかもしれない事を示す描写は見当たりません。
それに、麻薬船を襲撃する命に関わる大事な局面でもキートンは銃を右手に持っていたので、右利きで間違いないでしょう。
なので『腕時計は利き腕と逆につけるもの』という一種の思い込みを利用して『キートンがソゼなのでは?』と観客にミスリードさせるための演出だと思われます。

・キートンが過去に死を偽装した話

クイヤン捜査官が、過去にキートンが裁判でピンチになった際に自身の死を偽装して有罪を免れた話をしていました。
このキートンの過去が、クイヤンがキートンの死を疑っている大きな理由でもあり、私たち観客もキートンがソゼだと疑う理由になります。
ソゼ目線で考えると、キント(ソゼ)はキートンのこういった過去を知ってソゼの正体をかく乱するために彼を選んだんだろうと推測できます。

・キントが麻薬売人を殺したこと


(引用:https://screenrant.com

レッドフットに頼まれた仕事の際、売人に銃を突きつけて脅したのはキートンでしたが、売人を撃ったのはキントでした。
このシーンで重要なのは「え、あなたが撃つの?」という違和感だと思います。
キントは「人殺しを避けたいから」とキートンを仲間に誘っていたのに、あの場面ではためらいなく売人を殺していたので不思議に思いました。

このシーンでキントの正確な射的能力が明らかになることと、ソゼ自身はあの売人を消したがっていたこともあるので、キント=カイザーの伏線になります。

・キントがやけにソゼに詳しい

キントはカイザーの存在を知らなかったと言っていたにも関わらず、カイザーのトルコ時代の伝説をクイヤンに語るなど、やけにカイザーに詳しいです。
それに、キント自身がカイザー伝説に振り回されているフリをしながらやたらとカイザーを持ち上げる発言も多いので、キントがカイザーを語る場面もカイザー=キントの伏線です。

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『ユージュアル・サスペクツ』の意味

Kevin Spacey, Stephen Baldwin, Gabriel Byrne, Benicio Del Toro, and Kevin Pollak in The Usual Suspects (1995)
(引用:https://www.imdb.com

本作のタイトル「ユージュアル・サスペクツ usual suspects」は直訳すると『いつもの(常連の)容疑者たち』となり、本作で言うところの『面通し捜査』をするような時に毎回容疑者候補として招集されるような犯罪歴のある人物のことを言います。
ソゼはキートン、マクマナス、ホックニー、フェンスターが『ユージュアル・サスペクツ』であることを利用して彼らを集めた、とコバヤシが明かしてましたね。

キントの話の真実と嘘は?

The Usual Suspects (1995)
(引用:https://www.listal.com

キントが語った内容の真実と嘘の線引きについては制作に関わったスタッフの間でも意見が分かれるそうで、つまりこの疑問には答えがなく、観客に委ねられているようです。

ここでは私なりの解釈を書くことになりますが、注目したいのはキントが警察署で話していた『明らかな嘘』の内容です。
明らかな嘘というのは近場にあった情報を繋ぎ合わせた作り話のことですが、この嘘って本筋とは関係ないどうでも良い話ばかりです。
具体的に言うとグアテマラのコーヒー園の話、カルテットを組んだ話などです。
大事なキートン達に関する話で確かな嘘だとわかるのは、弁護士コバヤシとレッドフットが偽名であること位です。
あの時どうでも良い話をしなくても、レッドフットとコバヤシが偽名なのは調べていけば後に嘘だとわかるので、キントがなぜわざわざクイヤンにわかりやすくどうでも良いホラ話を挟んでいたのかというと、明らかなウソの話を混ぜて真実と嘘の判別を難しくしたりクイヤンがいつ真実に気が付くかというスリルを味わっていたという理由位しか考えられません。
自分自身を偶像化するキントはかなりプライドの高い人物と見受けられるので、クイヤンの傲慢な態度や「俺はお前より賢いぞ」等の言葉に相当ムカついたんだと思われます(笑)

真実と嘘の話ですが、警察の調べでわかっている真実は

・面通しで5人が集められたこと
・キートンとイーディが恋仲だったこと
・ニューヨークで宝石商が強盗被害に遭い、汚職警官が50人逮捕されたこと
・麻薬船が焼かれて27人の遺体が見つかったこと
・取引内容は密告屋マルケスの売買だったこと
・マルケスは当時強制送還手続き中で、その手配をしていた弁護士がイーディだったこと
・マルケスが銃殺されたこと
・イーディが殺されたこと

です。
キートンとイーディについては本当に恋仲だったのか確かな証拠はありませんが、クイヤンがキートンを捕まえに来たときにキートンの仕事の席に彼女も同席していたことや、彼女の働きでキートンが面通し後に素早く釈放されたことなどもあるので、恋人だったのは間違いないかなと判断しました。

これらの事実を交えながら大きな嘘をつくのは難しいと思うので、『キントは物陰に隠れてソゼがキートンを殺すのを見ていた』ことと、コバヤシとレッドフットの偽名以外の大筋は本当だったんじゃないかな~と考えています。
キントは物陰に隠れていたのではなく、背広に着替えてからキートン、マクマナス、ホックニーを殺して、船に火を着けて9100万ドルを回収してコバヤシに預け、また元の服装に戻って警察が来るのを待っていたことになります。
数秒に渡って何度か映し出されていた物陰のアップシーンでも、キントや他の誰かの顔や人影は全く映っていません。
なので、物陰には本当は誰も居なかったのではないでしょうか。
可能性があるとすればもう一人の生き残りのコバッシュ位ですが、あそこにいたらそもそも火傷しないと思うので、コバッシュは全く別の場所というか燃えている船内のどこかでソゼを目撃したんでしょう。

ソゼが逃げずにあえて捕まった理由は、自分以外に生存者がいたことを知ったからだと思います。
ソゼは生き残りの男(コバッシュ)の名前と居場所と、ソゼの顔を見たかどうかや、その他ソゼの正体を体を知る者がいないかを探るのが目的で、警察内部で捜査状況を黙って見守るのが一番早く情報が得られると判断したからでしょう。
そして、コバッシュがソゼの顔を見たことを知りじき警察に顔が割れることも悟ったので、どうせバレるなら、それまで刑事をおちょくって捜査を混乱させてやろうと思ったのではないでしょうか。

キートンとキントは面通しで出会う前よりもさらに数年前に面識があると言っていたので、キント(ソゼ)は顔を変えることもなくちょこちょこヴァーバル・キントとして街に現れて仕事を依頼した人間がちゃんと仕事しているかどうか確認したり、仕事を頼める人探しを自ら行っていたのかもしれません。

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マルケスの取引の詳細

マルケスの取引の詳細がわかりづらく感じたので整理します。
キートンたちが『麻薬の取引現場を襲え』とソゼから命令されて麻薬船を襲いますが、そこに麻薬はありませんでした。
後のコバッシュの供述と警察の調べで取引内容は麻薬ではなくマルケスの売買だったことがわかります。
マルケスを9100万ドルで誰かが買おうとしていて、コバヤシは取引相手が誰なのかまではキートンたちに説明していませんでしたが、この買い手というのはソゼ本人です。
ソゼが『マルケスを買いたい』とアルゼンチン組織に持ちかけて組織とマルケスを一か所に集め、キートンたちに襲わせて組織を全滅させ、ソゼ(キント)は仕上げにマルケス、キートン、ホックニー、マクマナスを殺し、金は元々自分の物なので回収してコバヤシなどに預け、警察に捕まるために現場に残っていた、というのがあらすじだと解釈しています。
もし違っていたら誰かご指摘ください笑

ソゼは次は何をする?


(引用:https://www.cinemablend.com

ソゼのその後の行動について考察していきます。
ソゼが警察に入り込んだ目的はもう1人の生存者コバッシュの名前と居場所を突き止めることだったので、当然この後ソゼはコバッシュを殺しに行く、もしくは誰かを雇って殺しに行かせるでしょう。

さらに、ソゼの正体は警察内部に割れてしまったので、逃れるためにキントの身分は捨てて、新しい身分を手に入れて成形したり、別の他人に成りすましてカイザー・ソゼとして裏社会で活躍し続けるのではないでしょうか。

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コメント

  1. 実際は全然そういう風なやりとりはなかったのかなと。お より:

    素晴らしい解説ですね!特に、ケヴィン・スペイシー演じる男(彼はアカデミー助演賞をもらっているので主人公じゃないんですね!)が、なぜあえて警察に捕まったのかと言う所の考察、うなりました。個人的にあの映画を見て感じたのは、変な話、すべて、彼の頭の中の空想と言う風にも考えられるのかなと。最後の船の爆破後の状況くらい(警察が実況見分している)と、取り調べの映像以外はすべて、特にアクションシーンその他全て彼の空想というふうにも言えるのかなあと思っています。実際は全然そういう風なやりとりはなかったのかなと。

  2. 匿名 より:

    はじめまして。
    先ほどCSの放送で久しぶりにこの作品を観て、懐かしくなって色々な考察や感想を見てまわっているうちにこちらに辿り着きました。
    解説も感想も楽しく読ませていただいたのですが、、、
    あらすじ:結のラストの文と解説の中の数カ所で、コバヤシの名前がハシモトになってしまっています。
    通りすがりに失礼いたしました。

    • mofumuchi より:

      匿名さん

      コメントありがとうございます!
      確認したところ、7か所ハシモトになっておりました笑
      最近読み直せずにいたので気が付きませんでした。。
      ご指摘感謝します。ありがとうございましたm(__)m

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