映画「わたしを離さないで」ネタバレ解説|伝えたいテーマ、ヘールシャム閉鎖の理由など | 映画の解説考察ブログ

映画「わたしを離さないで」ネタバレ解説|伝えたいテーマ、ヘールシャム閉鎖の理由など

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ダークファンタジー

映画「わたしを離さないで」の解説・考察をしています!
「ヘールシャムがなくなった理由」「キャシーの猶予申請にルースが怒った理由」「伝えたいテーマとは?」について書いてます。

鑑賞済みの方のための考察記事です。まだ見ていない方はネタバレにご注意ください。

わたしを離さないで

原題:Never Let Me Go
制作年:2010年
本編時間:105分
制作国:イギリス
監督:マーク・ロマネク
脚本:アレックス・ガーランド
製作総指揮:アレックス・ガーランド、カズオ・イシグロ、テッサ・ロス
原作小説:カズオ・イシグロ著『わたしを離さないで

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キャスト&キャラクター紹介


(引用:https://naokouniun.exblog.jp
キャシーキャリー・マリガン
幼少時代…イゾベル・ミークル=スモール
介護人になって9年になる28歳のクローン。
物語はキャシーが過去を振り返る形で進む。

 


(引用:http://blog.livedoor.jp
トミーアンドリュー・ガーフィールド
幼少時代…チャーリー・ロウ
キャシーと同級生の男。
幼いころは癇癪持ちでいじめられっ子だったが、新任教師のルーシーの指導で次第に落ち着くようになり、いじめはなくなった。
4年生の頃キャシーに惹かれていたが、キャシーの親友ルースから積極的にアプローチされてルースと付き合った。

 

わたしを離さないで
2010 Twentieth Century Fox
ルースキーラ・ナイトレイ
幼少時代…エラ・パーネル
キャシーの親友で幼馴染み。気が強く、上から目線で見栄っ張りで嫉妬深い。
元々トミーに興味はなかったが、キャシーとトミーの関係に嫉妬して2人の間に割り込む形でトミーと付き合い始めた。

 


(引用:https://ameblo.jp
エミリー先生シャーロット・ランプリング
ヘールシャムの施設の施設長で、校長のような立場の女性。

 

・その他のキャスト
ルーシー(新任教師)…サリー・ホーキンス
マダム・マリ=クロード…ナタリー・リチャード
クリシー…アンドレア・ライズボロー
ロッド…ドーナル・グリーソン
ヘールシャムに商品を運ぶ男…ヒューギー・リーヴァー
コテージに物資を運ぶ男…デイビット・スターン
ハンナ…リディア・ウィルソン
看護師…モニカ・ドラン ほか

 

あらすじ紹介

あらすじの前に:クローン達の一生

クローンであるキャシーたちは『本物の人間に臓器を提供するため』の存在です。
クローンたちは、世界各地に設立された完全入寮制の学校のような施設で集団生活を学びながら成長します。
主人公のキャシー、ルース、トミーは『ヘールシャム』という施設で育ったクローンです。

クローンの子ども達は『先生』と呼ばれる大人の保護官に監視されながら『健康』を第一に、勉強やスポーツに励む健康的な生活を送ります。
彼らが施設の外に出ることは禁じられていて、生徒たちの間には『施設の外に出ると死ぬ』という言い伝えもあったので、興味本位で外に出ようとする生徒はいませんでした。
尚、この言い伝えは生徒が遊び半分で施設から出ないように保護官が考えた作り話です。

施設では毎週 健康診断が行われる他、特に芸術活動が重視されます。
良い芸術作品は、定期的に施設を訪れるマダムと呼ばれる女性が施設の外に持って行きます。
マダムに引き取られた作品は、外の世界に展示されるという噂ですが、本当のことは誰も知りません。

芸術活動に励むと『代用コイン』がもらえます。
代用コインは不定期に開かれる商品交換会『マーケット』でお金の代わりとして使えます。
マーケットで売られるのは外の世界から持ち込まれるジャンク品・不用品ですが、生徒達にとっては新しい物を得られる唯一の機会です。


(施設の子どもたちの集合写真 引用:http://blog.livedoor.jp

彼らは18歳になると施設を出て、コテージで少人数での共同生活をします。
保護官のいない環境に住み、割と自由に生活しながらドナーとして臓器を提供する日が来るのを待ちます。

コテージでは論文を書くことを課されますが、コテージを出て『介護人』になるための訓練施設へ行くという選択肢もあります。

介護人は、提供が始まった仲間の精神的、肉体的な面倒をみたり、書類関係の手続きを代行し、本物の人間だったら家族がするようなことを代わりにしてあげる仕事です。

 

あらすじ①:

1978年。10歳だったキャシーは同級生のトミーにジュディ・ブリッジウォーターというジャズヴォーカリストの歌がいくつか入っているカセットテープをプレゼントされました。
※ジュディ・ブリッジウォーターは架空の人物です。

キャシーはトミーからのプレゼントが嬉しくて、テープの中の『Never let me go』と歌う曲が大好きになりました。

ある日の授業で、キャシーたちは新任教師のルーシーから「クローンたちに明るい未来は無い」と聞かされます。
この施設にいるクローンの子どもたちは臓器提供のために生まれ、ほとんどが若い間に提供を命じられて死んでいきます。
3度目か4度目の手術で一生を終え、30歳まで生きられる者はほとんどいません。

生徒達は自分たちがクローンであることは知っていましたが、クローンが作られた理由は知らなかったので呆然とします。
ルーシーはそれからまもなく教師を辞めて施設から去りました。


(幼少時代のキャシーとルース 引用:https://ameblo.jp/pmds90l80

それからすぐのこと。
キャシーの親友ルースが突然トミーに色目を使うようになります。
集会中にこっそり手を繋いだり、中庭でキスをしたりして、やがて2人は付き合うようになりました。

キャシーはトミーと両想いだと感じていたこともあり、大きなショックを受けます。
それにルースは今までトミーをバカにしていたので、なぜトミーを選んだのかもわかりませんでした。
トミーとルースの交際が原因で、キャシーとルースの友人関係は壊れました。




あらすじ②:

1985年。キャシーたちは18歳になり、ヘールシャムから旅立つ年齢になりました。
ルースとトミーの交際はまだ続いています。
キャシーはヘールシャムから出る時にルースとトミーから離れられると思っていましたが、3人一緒のコテージに移動が決まったので絶望しました。

コテージでは他の施設から来たクローンや、先輩クローンと一緒に生活します。
キャシーはルースとトミーの恋人らしい場面を見るたびに傷つき、時には2人にきつく当たってしまいます。
その度にルースは「自分に恋人がいないからって嫉妬しないで!」と、勝ち誇ったように言い返してくるので、キャシーの心は晴れないままでした。

ある日、先輩カップルのクリシーロッドが、ドライブした先でルースそっくりな女性を海岸沿いのオフィスで見たと言い出しました。
キャシーたちはクローンなので、全員に必ず『オリジナル』が存在すると言われています。
キャシーたちはそのオリジナルの事を『もしか』と呼んでいました。

ルースの『もしか』を確かめるため、キャシー、ルース、トミーはクリシーとロッドと一緒に初めてコテージの外に出かけます。
『もしか』を見る前に立ち寄ったレストランで、クリシーとロッドはキャシー達に『執行猶予』について尋ねます。

『執行猶予』とは『クローンのカップル2人が本当に愛し合っていることが認められれば、臓器提供までに3~4年の猶予期間が与えられて、期間中は2人きりで暮らすことが出来る』という噂です。
クリシーとロッドは「執行猶予の申請方法が知りたい」と言いますが、キャシー達はそんな噂を知らないと正直に答えると、クリシーとロッドはショックで言葉を失いました。

その後、5人はルースに似ていたという女性を見に行きますが、全然似ていませんでした。
クリシーとロッドは、キャシー達とコテージの外で執行猶予の話をするために『もしか』を口実にしただけでした。


(ルースの『もしか』を見るキャシーとルース 引用:https://ameblo.jp

翌朝。トミーは『執行猶予』は本当にあるんじゃないかとキャシーに打ち明けます。
「ヘールシャムで芸術が重要視されていたことと執行猶予は関係あるに違いない」と目を輝かせますが、信じられなかったキャシーはトミーが希望を抱く姿を見ていられませんでした。

ある日の夜、キャシーは機嫌の悪いルースからマウントを取られた上に「欲求不満女」とバカにされました。
耐えられなくなったキャシーは介護生になるための『国立提供者プログラム』の訓練所に入所を決め、コテージから去りました。

 

あらすじ③:

約10年後の1994年。キャシーはクローンの介護人として働いています。
キャシーはコテージを出てからルースとトミーに一度も会っておらず、もう二度と会わないかもしれないと思い始めていました。

介護人の仕事は、病院や回復センターに入院している『提供者』に必要な手続きの代行や簡単な介助や話し相手になる作業でした。
介護人の仕事は、キャシー自身が提供者になる通知が来るまで続けます。

ある日、キャシーが担当していた提供者ハンナが合併症で終了(死亡)しました。
キャシーが病院でハンナの手続きをしていると、受付のパソコンにルースのカルテが表示されているのが見えてしまいました。

キャシーとルースが知り合いだと知った看護師は、ルースは現在2度目の提供手術を終えて体力がかなり落ちていて、次の提供で終了の可能性が高いと教えてくれました。
キャシーは迷った末にルースに会うことします。
約10年ぶりの再会をルースはとても喜びますが、自力で歩くこともままならない程衰弱していました。
ほどなくして、キャシーはルースの介護人になりました。

ある日ルースが「海岸に船が打ち上げられたらしいから見に行きたい。トミーも誘って3人で行こう」と言いだしました。
ルースとトミーはキャシーがコテージから出たすぐ後に別れていて、コテージを出てからは一度も会っていないと言います。

トミーは2度目の提供を終えましたが、体調は良好だと人づてに聞きました。
キャシーは病院に許可をもらい、ルースと一緒にトミーに会いに行くと、トミーは噂通り元気そうで、再会できたことを喜びました。
そのままトミーと一緒に海岸に着くと、浜辺には噂通り小さな漁船がポツンと打ち上げられています。
トミーは喜んで船に登り、しばらく中を散策しました。

3人で浜辺に座って船を見ていると、ルースが突然キャシーとトミーに謝罪をはじめました。
ルースは「今日2人を誘ったのは謝るためだった あなた達の仲を裂いて悪かったと思ってる」「あなた達2人で猶予申請してほしい」と言い、マダムの家の住所が書かれた紙をキャシーとトミーに差し出しました。

キャシーは「今更遅い」と怒ってルースから顔をそむけますが、トミーは紙を受け取りました。


(砂浜に座るキャシー、トミー、ルース 引用:https://ameblo.jp

その後キャシーとトミーは恋愛関係になり、キャシーはトミーの介護人も務めることになりました。

トミーは「コテージにいた時から描きためてた」と言い、たくさんの動物の絵をキャシーに見せました。
トミーは執行猶予の申請には芸術作品の提出が必要だと信じて絵を描き続けていたのでです。

トミーの熱意に影響されて『執行猶予』に希望を抱き始めたキャシーは、トミーの外出許可を取ってマダムに会いに行くことにしました。
マダムに会いに行くことをルースに伝えると、ルースは「良かった」とつぶやきますが、笑ってはくれませんでした。

その週のうちにルースは3度目の提供をし、手術室で静かに『終了』を迎えました。

結末と解説考察は次のページです




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