映画『検察側の罪人』解説考察①|事件の概要をわかりやすく、最上の行動理由、引くな引くなの理由など | 映画鑑賞中。

映画『検察側の罪人』解説考察①|事件の概要をわかりやすく、最上の行動理由、引くな引くなの理由など

ミステリー

映画『検察側の罪人』のあらすじ紹介、解説、考察をしています!
老夫婦殺人事件をきっかけに決別した2人の検事が、それぞれの正義を求めて奔走する様を描く社会派ミステリー。

この記事は鑑賞済みの方向けの考察記事です。
まだ観ていない方はご注意ください。

 

制作年:2018年
本編時間:123分
制作国:日本
監督・脚本:原田眞人
原作小説:雫井脩介『検察側の罪人
映画『検察側の罪人』解説・考察②|諏訪部、沖野、ラストと容疑者殺害の真相など!
映画『検察側の罪人』の解説、考察パート2です! この映画、私にはすごく難しかったので私なりに様々な疑問について整理しま...

 

出来るだけ簡単にあらすじ紹介

2017年。東京都内で老夫婦の殺人事件が発生する。

容疑者の1人に松倉重生(酒向芳)の名が挙がる。

中堅検察官の最上毅(木村拓哉)は松倉に強い恨みがあったので、真犯人が誰であろうととにかく松倉に罪をかぶせて死刑にすることを決意

松倉は容疑を否認し証拠も出ない。
そんな中、新たに浮上した弓岡嗣郎(大倉孝二)が、状況からしても犯人の線が色濃くなり、松倉は容疑者から外されかける。

弓岡が真犯人と確信した最上は、計画の邪魔になるため殺害して林に埋める。

最上の暴走に気付いた新人検察官の沖野啓一郎(二宮和也)と立会事務官の橘沙穂(吉高由里子)は真相を暴こうとするが、最上にねじ伏せられてしまう。

検察を辞めた沖野と橘は、松倉の弁護人の小田島(八嶋智人)に接触。
協力して松倉無罪の証明に手を貸した。

松倉は無罪放免となったが、その後、何者かにより事故を装って殺された

沖野は最上と会い、最上は己の正義のために行動したことを後悔していないと悟る。
沖野は「正義」の理不尽さを思い知らされ、不条理な世界に向けて咆哮する。

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解説や考察など!

録画してたやつ観ました。
とにかく台詞が早口で状況の整理に忙しく、一部のセリフはイヤホンつけて本気で聞かないと何喋ってるのかわからないシーンもあり、大変でした。
人物名も覚えきれず相関関係もよくわからないままだったので、いろいろ整理します。

主要キャラとキャスト紹介

検察側の罪人
(引用:https://www.oricon.co.jp

最上毅(もがみ たけし)…木村拓哉
東京地検の将来有望な中堅検事。
捜査本部が設置される凶悪な刑事事件の捜査の指導、相談、裁判に向けた証拠の整理を行う。
沖野達の新人研修の際「己の正義に固執する者はいずれ犯罪者に堕ちる」と警告したメッセージが後の自己紹介になる。
松倉に知り合いを殺され、強い恨みを抱いている。
被害者の女の子が当時ハマっていた『誕生日データ辞典』を365日全て丸暗記している。

 

検察側の罪人
(引用:https://www.pinterest.jp

沖野啓一郎(おきの けいいちろう)…二宮和也
4年目の若手検事。この春から東京地検に配属になり最上が直属の上司になった。
新人研修の教官だった最上の講義内容に感銘を受け、強く尊敬している。
最上の誕生日占いによると、『せっかちで直情的で何よりも規律を重んじるタイプ』

 

検察側の罪人
(引用:https://blog.goo.ne.jp

橘沙穂(たちばな さほ)…吉高由里子
東京地検の立合事務官。今年度から捜査公判部門に配置され、最上と沖野の担当事件に付くことになった。
学生時代にアルバイトしていたキャバクラの潜入暴露本を出版し、好評だったため、現在も出版社から「検察内部の潜入暴露本を執筆して欲しい」と依頼されている。

 

検察側の罪人
(引用:https://www.cinematoday.jp

松倉重生(まつくら しげお)…酒向芳
沖野と最上が担当した【都築夫妻殺害事件】の容疑者の1人。
リサイクルショップ勤務の53歳。粘着質。
23年前に起きた【荒川女子高生強姦殺人事件】の最有力容疑者だったが、証拠不十分で不起訴になっている他、彼が16歳の頃に犯した強姦殺人事件は実の兄と少年法に守られ裁かれていない。
快楽殺人者で、今までの罪に対する罪悪感は皆無。
現在も最上を始めとする多くの遺族などから恨まれている。

 

検察側の罪人
(引用:https://www.tst-movie.jp

弓岡嗣郎(ゆみおか しろう)…大倉孝二
【都筑夫妻殺人事件】のもう一人の容疑者。
ギャンブル依存で都筑から多額の借金をしていた。
ラブホテル『クリスティーナ』でアルバイトしている。

 

検察側の罪人
(引用:https://www.tst-movie.jp

諏訪部利成(すわべ としなり)…松重豊
裏社会の闇ブローカー。
銃や盗難車の調達はお手の物。依頼されれば殺人も仲買する。
諏訪部の父と最上の祖父が太平洋戦争中に交流があった。

 

白川雄馬山崎努
白川弁護士事務所の社長。『無罪職人』などの異名を持つやり手の人権派弁護士。
マスコミを巧みに利用して国民の意識を誘導するのが得意。
【荒川女子高生強姦殺人事件】で逮捕された松倉の国選弁護人に選ばれた。
松倉の不起訴は、彼の能力の高さを示す代表事例になった。

 

田名部管理官阿南健治
都筑夫妻殺人事件の担当管理官。
23年前の『荒川女子高生強姦殺人事件』の担当刑事でもあったため、松倉に対して強い思い入れのある人物。
最上と結託して松倉が犯人と決めつける。

 

千鳥音尾琢真
殺された都筑夫妻の息子のヤクザ。
警察の動向に目を光らせている。

 

小田島誠司八嶋智人
【都筑夫妻殺人事件】で松倉を担当した国選弁護人。
松倉の有罪は確定だろうと半ば諦めていたが、沖野と橘の登場でやる気を出した。

 

久住由季長田侑子
23年前に起きた【荒川女子高生殺人事件の】被害者。当時15歳だった。
最上が学生時代に下宿していた『北豊寮』の管理人の娘で、最上に懐いていた。
彼女と同じ誕生日だった歌手ジュリー・ロンドンの『Cry me a river』が大好きで、いつも口ずさんでいた。

 

丹野和樹平岳大
最上の親友で元弁護士の政治家。
婿入りした高島グループの不正を暴こうとして吊るし上げられてしまう。

 

前川直之(最上の友人弁護士)…大場泰正
青戸公成警部…谷田歩
運び屋の女…芦名星
丹野綾子(丹野の妻)…東風万智子
高島進(丹野の義父)…矢島健一
桜子(飲食店店主)…キムラ緑子
最上朱美(最上の妻)…土屋玲子
最上奈々子(最上の娘)…山崎紘菜
長浜(事務官)…石田佳央
脇坂達也(東京地検刑事部副部長・最上の上司)…
水野比佐夫(容疑者の1人)…亀田佳明
船木賢介(マスコミ関係者)…三浦誠己
森崎警部補…大川ヒロキ
小田島の妻…赤間麻里子
藤尾検事…黒澤はるか
事故加害者…久保酎吉 ほか
 

都筑夫妻殺人事件の概要

本作の舞台となる事件を客観的に整理しました。

大田区蒲田で70代の都筑和直(つづき かずなお)が自宅で刺殺される事件が発生します。

競馬が趣味だった和直は、一部の競馬仲間に個人的に20万~80万円の金を貸していて、荒らされていた自宅金庫には数十枚の『借用書』が保管されていました。
警察は、和直から借金していた誰かが犯人と見て捜査を進めます。

容疑者の1人松倉重生は、都筑から40万円借金をしていた競馬仲間で、都筑の自宅に借用書がありました。
松倉が怪しいと見た警察は、最上検事からの助言もあり松倉を別件逮捕して捜査を続けますが、確たる証拠は見つかりません。

そんな中、新たな容疑者として弓岡嗣郎というラブホテル勤務のチンピラが浮上します。
警察が事情聴取した男の1人が、居酒屋で泥酔していた弓岡が「都筑夫妻を殺したのは俺だ」と自慢していたと証言したのがきっかけでした。

弓岡は都筑に借金をしていたはずなのに、事件後の被害者宅に借用書がありませんでした。(抜き取られていた)
また、弓岡はマスコミには流していない事件の情報を知っていたため、犯人の線が濃厚になります。

しかし翌日、弓岡は失踪します。
弓岡は、都筑夫妻の息子でヤクザの千鳥も狙っていたため、警察は千鳥に捕まったと見て捜索しながら証拠探しを続けますが、証拠も弓岡自身も見つかりません。

数日後、匿名通報で多摩川の河川敷から都筑夫妻殺害に使われた凶器のナイフが出てきます。
ナイフは競馬新聞にくるまれていて、松倉のDNAがべったり付いていました。

その後、「弓岡がナイフを持って都筑夫妻倉庫から出てくるのを見た」と語る証言者が現れて、松倉が無実なのは確実と判断されて釈放に至ります。

弓岡の行方はまだわかっていませんが、後に沖野が真相を暴く過程で弓岡の遺体を発見→最上を逮捕するのでしょう。

 

松倉重生が関わった事件と真相


(引用:https://happyeiga.com

松倉は過去に起きた2つの殺人事件の容疑者でした。
こちらも事件の概要と結果を整理します。

・ひとつ目の事件

松倉が16歳の頃の事件で、台東区入谷に住む家族が殺されました。
松倉は、当時21歳だった松倉の兄と盗難車を乗り回して14歳の少女を轢いた後、車に乗せて強姦しました。
その後、逃げた少女を追いかけて自宅を特定し、少女の母と祖母を刺殺。
少女を捕まえて3日間連れ回した挙句に絞殺してしまいました。

事件発覚直後に松倉の兄が責任を取って自殺しました。
主犯状況証拠からも松倉が濃厚だったものの、少年法に守られ、松倉の兄が罪を被る形で収束しました。
松倉は5年間少年院に入れられただけで解放されています。

 

・ふたつ目の事件

松倉が30歳の頃で、最上が大学卒業してから起きた事件です。
『北豊寮』の管理人の娘で15歳だった久住由紀が荒川の河川敷で強姦されて絞殺される事件が起きました。
松倉は容疑者として逮捕されますが、松倉に付いた国選弁護人はやり手で有名な白川弁護士で、彼のマジックにより真っ黒だったはずの松倉は不起訴・釈放されています。
その後も犯人は捕まらず、時効が成立しました。

学生時代に『北豊寮』の住人だった最上は被害者の久住由紀と兄妹のように仲が良かったため、この結果に納得がいかず松倉を憎みます。

 

松倉は沖野が行った取り調べで「2件とも俺がやった」と自白しますが、都筑夫妻の件から釈放された後は「沖野の態度に腹が立ってウソをついた」と容疑を否認し直しています。
見ているとイライラしてきますが、自白中の発言は非常にリアルで、思い出しながら恍惚とした表情を浮かべていますし、決定的な由季が好きだった歌を知っていたので、彼が犯人で間違いないでしょう。

次のページに続きます!

2ページ目は最上について、「引くな引くな引くな」の意味、ラスト考察などです。




最上について


(引用:https://www.oricon.co.jp

己の正義のために犯罪者になってしまった最上について整理します。

最上が犯した罪とは

最上が考えた都合の良いストーリーは以下です。

松倉は弓岡から聞いた競馬の情報会社に興味を持っていた

情報を買って一攫千金を夢見たが、トップクラスの万馬券情報は100万円だった

都筑に新たに借金を頼むが断られる

犯行当日、松倉は包丁を持って都筑宅へ行き、土下座してもう一度「金を貸して欲しい」と頼み、「貸してもらえないなら切腹する」と言って包丁を見せた。

それでも断られ、カッとなって包丁で都筑夫をめった刺し

倉庫に居た都筑妻も殺した 

ついでに、「松倉は都筑夫妻宅にあったもう一枚の借用書を犯行後に抜きとっていた」と最上が語りますが、これは恐らく作り話です。

最上は松倉を犯人に仕立てるため、松倉自宅の家宅捜索に同行して、松倉の競馬新聞と歯ブラシを盗みました。

その後、弓岡が自宅に置いたままにしていた凶器のナイフを回収し、真犯人の弓岡まで殺してしまいました。

その後、ナイフに松倉のDNAを付けて競馬新聞で包んで証拠を捏造しました。
そして、周囲に松倉を犯人に仕立て上げるためのストーリーを作り上げたことです。

 

最上が料亭で会っていた2人は誰?

最上が高級料亭で男2人と食事してトマト料理らしきものを食べていました。

あの2人は最上と同じ大学の法学部だった友人なのでしょう。
外見年齢が最上と2人とでかなり違って見えました(キムタクがかなり若く見えた)が、最上がため口だった点、丹野の話題が出ていたことからそう判断しました。

最上は高級料亭やレストランで優雅に会食する一方、沖野は大衆居酒屋に立ち飲み屋だった所に、2人の所得の差ももちろんですが、沖野の『若さ』の強調が上手く描かれていたように感じられました。(SMグッズに慌てふためく様子も含めて)

 

最上が千鳥に呼ばれた訳は?


(引用:https://ameblo.jp

弓岡が捜査線上に上がったすぐ後、最上は都筑夫妻の息子でヤクザの千鳥(音尾琢真)に呼ばれてボーリング場に行きます。

千鳥は弓岡が居酒屋で夫婦を殺したと喋っていたことも、最上が松倉に固執していることも知っていて、「弓岡を野放しにする気なら俺らがやるからな」と警告していました。

千鳥は弓岡が犯人だと確信していたので、最上に「弓岡を逮捕しないなら、ヤクザのやり方で弓岡に制裁を加える」という意味だったのでしょうが、最上は「弓岡にはまだ触るな」と答えます。

恐らく最上もこの時既に弓岡が濃厚と判断していて、殺害状況を聞いたり凶器を回収したりするために、千鳥に介入されるのが嫌だったのでしょう。

どうせ千鳥に処理してもらえるなら弓岡は千鳥に任せれば良いのに、と少し思ってしまいましたが、恐らく最上は単純にヤクザと繋がりを持ったり弱みを握られるのが嫌だったんでしょうね。

 

引くな引くな引くな?

最上が松倉の再逮捕の許可を取りに検察庁に行った際、隣の席で上司と口論していた女性検事(黒澤はるか)の会話を漏れ聞いた最上は『引くな引くな引くな!』と女性検事に激励を送っていました。

最上が彼女に声援を送ったのは、彼女が担当していた強姦事件の犯人が高島グループの一員だったからです。

最上の会話と女性検事の会話が重なるので聞き取るのが大変でした(1回じゃ無理でした)。
何度か聞きなおした情報によると、とある女性ジャーナリストが強姦被害に遭い、被害届を出したようなんですが、そのジャーナリストを強姦したのは『高島グループのブレーン』と言っていました。
つまり強姦の加害者は高島進だったと思われます。

会話内容から、女性検事は「強姦の証拠を期日までに準備するのが難しいけど、なんとしても証拠は手に入れるから起訴させてほしい」と訴えていて、上司は「期限以内に証拠が準備できないなら無理」と却下しようとしていました。

このシーン、東京地検で最上と脇坂が話す場所がエントランスみたいなオープンな場所だったのが気になりました。というかかなり疑問でした。
刑事事件の捜査内容について話すなら、少なくとも第三者に聞かれにくい場所じゃないといけない気がしたので。

 

最上が弓岡を殺した理由

弓岡は放っておけば千鳥に捕まってしまう未来が待っていました。

最上は自分の計画のために浮いてしまう弓岡が、千鳥に拷問の末に殺されるのを「妥当ではない」と考えたのではないでしょうか。
かと言って、クズで信用出来ない弓岡を自腹を切って匿っておく善意も最上は持ち合わせていませんでした。
生かしておくといつ逃げるかわかりませんし、松倉の冤罪をネタに一生脅され続けるかもしれません。
なので、弓岡を一思いに殺してしまうのが最上にとって一番合理的な方法だったのでしょう。

 

ラストの別荘で最上が持ったのは何?

ラストで最上が持っていたのはハーモニカです。
映画ではラストにしか登場しませんが、原作小説では、このハーモニカは由季が大事にしていた物だそうです。わかりにくいですね。

純粋に由季を忍んでいたと同時に、最上が松倉に冤罪を着せようとしたことを全く後悔していないことが強調されていたように感じました。

振り返ってみると、最上は由季の無念を晴らすために松倉に執着し、次は親友の丹野の無念を晴らすために高島グループに立ち向かうし、お気に入りの場所は祖父の別荘ですし、なんか死者に囲まれているような佇まいですね。
なんというか、無念を晴らすことが生きがいになっていて、死者にしか心を開けず、今生きている家族との関係(特に妻)をおろそかにしてしまっているのが寂しく思えました。

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パート2に続きます。

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