映画『セブン』ネタバレ解説|箱の中身、ジョン・ドゥの犯行動機、ラスト考察など | 映画鑑賞中。 - Part 2

映画『セブン』ネタバレ解説|箱の中身、ジョン・ドゥの犯行動機、ラスト考察など

クライムドラマ

事件の概要まとめ

1件目:大食

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© New Line Productions, Inc.

『肉欲』の被害者は超肥満体型の男性で、食糧庫のような部屋でトマトソースに突っ伏して死んでいました。
男は手足をきつく縛られ、足元には食べた物を吐き戻したバケツがありました。

調査の結果、被害者は12時間以上食べさせられ続けていたことがわかりました。
ジョン・ドゥは彼が嘔吐しても糞尿を垂れ流しても食べさせ続け、食べられなくなったら暴行し、男は暴行の末に内臓破裂で死亡しました。
ドゥは肥満男に食べさせ始めてから殺すまでの間、追加の食材の買い出しに2回出かけた以外はずっとそばにいたと思われます。

その後、肥満男の胃袋から出てきた金属片を調べると、犯行現場の冷蔵庫の後ろの壁に『gluttony(大食)』と脂で書かれているのを発見しました。
一緒に置かれていた手書きのメモには『Long is the way. AND Hard , that out of hell leads up to Light(地獄から光に至る道は長く険しい)』と書かれていて、これはミルトンの『失楽園』からの抜粋です。

 

2件目:強欲


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2件目の犠牲者は違法に荒稼ぎしていたことで有名だったグールド弁護士です。
犯行現場である弁護士事務所の床には『GREED(強欲)』と血文字で書かれ、部屋に飾られていた被害者の妻の写真にも血で落書きされていました。

被害者の死因は失血死です。
弁護士は下着姿で拘束され、右手に肉切り包丁を持った状態で腹部に無残な傷が沢山ありました。
死体の隣には天秤が置かれ、1ポンド(約454g)の肉片が乗せられています。
現場にあったメモには『One pound of Flesh, No more No less No cartilage, No BONE but only flesh. This task done … And he would Go Free.(1ポンドの肉を差し出せば、彼は解放される)』と書かれていました。
これはシェイクスピア『ベニスの商人』からの抜粋です。

ジョン・ドゥは土曜日の夜~月曜にかけてグールドに自らの肉を1ポンド切り取らせました。
肉を差し出せば解放する約束だったようですが、弁護士は失血死してしまいました。

弁護士の妻の写真の落書きにも意味があり、妻は犯行現場に飾られていた絵が上下逆さまになっていると気づきました。
その絵を掛けていた部分の壁に、指紋で『HELP ME(助けて)』と書かれていました。

3件目:怠惰

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3人目の被害者は少女暴行と強盗の前科を持つ男ビクターです。
ビクターはジョン・ドゥに1年前から自宅ベッドに監禁拘束されていて、消臭剤だらけの部屋の中で寝かされていました。
部屋の壁には『SLOTH(怠惰)』と書かれています。

ビクターは餓死寸前だったものの、まだ生きていました。
正確に言うと、サマセットとミルズが発見した時にギリギリ生きているように調整されていました。
麻薬を含む様々な薬品を投与した形跡があり、片方の手首と唇とまぶたが切り取られていました。
舌はビクターが自ら噛み切っていました。(自殺しようとしたか、食料にした)
尿道には管が通してあり、トイレ対策までしてあります。
切り取った手は2件目の犯行現場に手がかり(HELP ME)を残すのに使われていました。
1年に渡る監禁と薬物投与で彼の脳は軟化(壊死)していて、意思疎通できる状態ではありませんでした。

ジョン・ドゥはビクターの監禁初日からサマセットとミルズが彼を発見する1年間、様子を毎日写真に撮ってベッド脇の小箱にまとめていました。

ビクターが住んでいたアパートの大家は、家賃はいつも郵便受けに入れられていて滞納も苦情も一度も無く、理想の住人だったと証言しました。

唯一生きて見つかった犠牲者ですが、医師の見立てでは彼はもう歩くことも出来ず、薬物漬けで脳も軟化しているため、生きて病院から出られる可能性は無さそうです。

 

4件目:肉欲


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肉欲の犠牲者は娼婦です。
彼女が殺された部屋のドアには『LUST(肉欲)』と書かれていました。

ジョン・ドゥは独身男性を銃で脅して娼婦を監禁している部屋に連れて行き、先端が刃物で出来ている特注品の張型を男に付けさせて、娼婦の下腹部をめった刺しにさせました。
娼婦殺しをさせられた男性は、精神的ショックが大きすぎておかしくなってしまいました。

 

5件目:高慢

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5件目の被害者は美人モデルでした。
彼女が死んでいた部屋の壁には『PRIDE(高慢)』と書かれていました。

ジョン・ドゥはまず美人モデルの顔をナイフで切り刻み、鼻もそぎ落としました。
そして右手には助けを呼べるように電話を、左手には自殺出来るように睡眠薬を糊で張り付けて、未来を選択させました。
醜い顔で生き続けるか、今ここで死ぬか選ばせたのです。
モデルは睡眠薬での自殺を選びました。

 

6、7件目:憤怒、妬み


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ジョン・ドゥが選んだ『憤怒』の犠牲者はミルズ、『妬み』の犠牲者はジョン・ドゥ自身でした。

ドゥはミルズの妻トレーシーを殺し、彼女の首を梱包して配達業者に預けていました。
そしてサマセットとミルズを配達場所におびき寄せると、配達屋が段ボールに入ったトレーシーの首を配達します。

トレーシーが殺されたことを知ったミルズは怒り狂い、感情を抑えきれずドゥを殺してしまいました。
ドゥはミルズが美しい妻と幸せに暮らしていることを妬みました。
妬みを抱いた自分自身を罰するためにトレーシーを殺し、ミルズに自分自身を殺させることで事件を終わらせました。

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ジョン・ドゥが読んだ本

『カンタベリー物語』ジェフリー・チョーサー著

サマセットがミルズに読むように指示した『カンタベリー物語』は、主人公の聖職者トマス・ベケットがカンタベリー大聖堂に巡業に向かう途中の宿泊先で出会った29人の宿泊客から聞いた小話をまとめたものです。
著者のチョーサーは執筆中に亡くなってしまったため、話は全員分揃っておらず未完成です。

物騒な世の中だからと宿泊客も宿主もみんな一緒に巡業することになると、宿泊客は「この中で1番面白い小話をした者に明日の夕飯をごちそうし、一番面白くない話をした者には旅費を負担させよう」というゲームを始めます。

私は完結にまとめられた著書しか読んだことがありませんが、宮廷での権力争いの話や町人の下世話な不倫・恋愛話や、悪魔に殺されて地獄に落ちた強欲召喚士(魔術師)の話などジャンルは様々です。
この中の送達史(郵便配達員)の話と商人の話の中に『七つの大罪』が取り上げられ、七つの大罪の中でも一番重い罪は『怒り』だと語られています。

『神曲』ダンテ・アリギエーリ

ダンテの代表作である『神曲』は『地獄編』、『煉獄編』、『天国編』の3部作品で、『道徳』とは何かを示すために記された作品とされています。

あらすじは、キリスト復活祭の前夜に森に迷い込んでしまった主人公のダンテが古代ローマの詩人と出会い、彼に導かれて地獄、煉獄、天国を一緒に見て回る物語です。

七つの大罪は煉獄編に登場します。
地獄には生前に犯した罪に対する罰を永遠に受け続ける人々がいて、煉獄には罪を犯したもののあがないによって救われる余地のある者達(天国に行ける可能性のある者達)がいて、彼らが生前に犯した罪の償いをする様子をダンテは目の当たりにします。

煉獄では過酷な罪の償いを終えた者だけが天国に行くことが出来るので、『失楽園』の抜粋だった『Long is the way. AND Hard , that out of hell leads up to Light(地獄から光に至る道は長く険しい)』とも通じる部分があります。

 

『失楽園』ジョン・ミルトン著

17世紀を生きたイギリスの詩人ジョン・ミルトンが執筆した作品です。

神の楽園に2人きりで生きていた最初の人間アダムとイブが、蛇に化けた悪魔サタンにそそのかされて、神様から「食べてはいけない」と言われていた知識の木の実(リンゴ)を食べてしまい、楽園から追放されるまでの物語です。

この本の中で、天使だったルシファーが七つの大罪により堕落して堕天使になり、最後は悪魔サタンになる様子が描かれています。

その他考察など

作中で明確に明かされていない疑問などを考えました!

ミルズはなぜ引っ越してきた?

サマセットとミルズが初めて会った時、サマセットは「他の刑事と喧嘩してでもここに来たがったそうじゃないか。なぜだ?」と聞きますが、ミルズは答えませんでした。

その後、ミルズは「前の署でも殺人課に5年いたが、周辺の聞き込みとパトロールばかりさせられて刑事になれなかった」と語っていました。

これらの発言から推測すると、ミルズがサマセットの居た田舎町に配属を希望したのは、一日でも早く刑事になりたかったからなのでしょう。

サマセットと署長の発言からも、この町の警察署の殺人課は人手不足だったので、ミルズはライバルが少ない状態でスムーズに刑事になれていました。

この町で数年勤務して、刑事として成長してからまた都会に戻るつもりだったのではないでしょうか。

 

ミルズは何を言いかけた?

サマセットとミルズが胸毛を剃っていた時、ミルズは何か言いかけてやめました。

この時、2人はジョン・ドゥの要望に応じてドゥと3人で出かけるという危険な捜査に行く直前でした。
ドゥの言う通りにしてみようと言い出したのはミルズで、サマセットは責任者であるミルズの決定に従っています。

恐らくこの時、ミルズは初めてサマセットに不安を漏らしかけていたのではないでしょうか。
「本当にジョン・ドゥの言う通りにして大丈夫なのか」「これから何が起こるのか」と不安になったのです。
しかし、ドゥの提案に従うことに決めたのはミルズなので、考え直して不安を飲み込んだのでしょう。

ミルズが何を言いたかったのか何となく察したサマセットは、ミルズの「胸毛を剃っていて乳首が取れたら労災おりるかな?」と冗談にすり替えた発言に対して「私が新しい乳首を買ってやるよ」と冗談で返す様子は微笑まし過ぎます。

このシーンは『相容れない奴』と内心思い合っていたサマセットとミルズが、ようやくお互いの長所と短所を理解し始めて真の相棒に近づいていることを示すシーンだったように感じました。

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ジョン・ドゥはなぜ事件を起こした?

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© New Line Productions, Inc.

ジョン・ドゥは、人間が定めた法律を無視して、神が定めたとされる『七つの大罪』を冒している人物を裁くことで、人々がいかに日常的に罪を犯しているかを気付かせようとしました。

最後の『憤怒』の犠牲者にミルズを選んだのは、殺人犯を捕まえるのが仕事のはずのミルズ(刑事)が怒りに駆られて殺人を犯すことで、神が決めた罪の前で人間が決めた倫理観や法律がいかに無意味であるか、
人間が定めた法律よりも、神が定めた七つの大罪を重要視する方が、後に深刻な事件に発展するのを未然に防げる(神が考えた罪がより優れている)など世間に考えさせたかったのではないでしょうか。

以下、ジョン・ドゥの印象的だった発言を抜粋します。

Wanting people to listen, you can’t just tap them on the shoulder anymore.
You have to hit them with a sledgehammer.
And then you’ll notice you’ve got their strict attention.
人にものを聞かせたければ 手で肩を叩いてもダメだ ハンマーを使うのだ そうすれば人は本気で聞く

ジョン・ドゥが使った『ハンマー』が、今回の事件です。
こちらも何かの引用かと思ったんですが、ネットで調べるだけでは出てきませんでした。
ドゥの持論なのかもしれませんが、もし何かわかったら追記します。

 

But when this is done…when it’s finished…it’s going to be…
People will barely be able to comprehend.
But they won’t be able to deny.
このすべてが終われば、その結末は人には理解しにくいが、認めざるを得なくなる

『認めざるを得なくなる』は、七つの大罪(法律で罰していない、世間的には小さな罪)を軽視し続けることがいかに大きな罪を生むか、ということだと思われます。

 

あの肥満男は自分で立つことも出来ず あのまま人前に出れば誰もがあざ笑い 食事中にあいつを見れば食欲は消え失せる
あの弁護士は生涯をかけて強欲に金を稼ぐためにあらゆる嘘をつき 人殺しや強姦魔を街に放ってきた
あの女は心が醜くて見かけだけでしか生きられなかった
ヤク中など腐った肛門愛好者だ それにあの性病持ちの娼婦
この腐った世の中で 誰が本気で奴らを罪のない人々だと?
だが問題は もっと普通にある人々の罪だ
我々はそれを許している それが日常で些細なことだから 朝から晩まで許してる だがもう許されぬ 私が見せしめをした
私のしたことを人々は考え それを学び そして従う 永遠にな

七つの大罪を犯すことや、それを軽視する現代社会がいかに罪深いかを語っています。

 

トレーシーからの電話

ジョン・ドゥが署に現れる直前、ミルズは同僚から「トレーシーから電話があった」と言われています。

この電話は何を意味していたのでしょうか。
時系列としてはミルズが家を出て、『高慢』の犯行現場を調べて署に戻るまでの間にかかってきていたようです。

ちょうど、ドゥがミルズ宅に侵入してトレーシーを襲ったであろう時間帯とも一致します。
しかし、ドゥの口から電話の件が一言も出なかったので、ドゥはトレーシーが署に電話したことを知らなかった可能性もあります。

電話があったことをミルズに伝えた警察官にも異変を察した様子はなかったので、恐らくですがトレーシーの要件はドゥとは関係無く(侵入前)、『ミルズに妊娠を伝えるためにディナーの約束をしようとした電話』だったのではないかと思っています。(あまり自信は無いですが)

 

段ボールの中身は?

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© New Line Productions, Inc.

ジョン・ドゥが手配してサマセットが中身を確認した段ボールの中身が映ることはありませんでした。
その中身については、色んな方が考察されています。
私はあの段ボールの中身は『トレーシーが無事ではないことがわかる何か』が入っていたのではと思っています。

トレーシーが無事なら、ミルズが何度も聞いていた「彼女は無事か?箱に何が入ってる?」という質問に、サマセットが無言を貫くことはしないはずです。
何も答えないということが、トレーシーが無事ではないことを意味しています。

それに、ミルズはジョンを殺した後にすぐ箱の中身を確認しに行っています。(ここは順序的に箱の中身確認→ジョン殺害の方が筋が通る気もします)
その後、逮捕されたミルズの絶望的な表情からも、彼女の死が示唆されていたのではないでしょうか。

一方で、もし彼女が殺されていたとしたら、今までの事件のように『罪を犯した本人』を裁いてきたドゥのやり方に反しているような気もしますが、ドゥの目的はミルズを『憤怒』させてドゥを殺させることだったので、そのための方法と考えたら納得できる気がしています。

また、憤怒は七つの大罪の中で最も思い罪でもあったので、あえて生かす方が殺すよりも重い罰だという考えもあるのかもしれません。

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サマセットはなぜミルズを止めなかった?

ミルズがドゥに銃を向けた時、サマセットはミルズが試されていると説明して止めようとしますが、ミルズとドゥの間に立ちはだかるなど体を張ろうとまではしませんでした。

個人的な見解ですが、この時サマセットはミルズが『憤怒』になってドゥの罠にはまるのか、あるいは刑事としての職務を全うするか(ミルズが試練に耐えられるかどうか)を見届けたい気持ちもあり、同時にドゥが体を張ってまで守る価値は無いとサマセット自身も思っていたことがにじみ出た立ち位置だったように感じました。

一方でミルズの選択は、人間は簡単には(1週間賢者と過ごした程度では)変われないというシビアなメッセージだったように思います。

 

もうひとつの結末

この記事を書くにあたってブルーレイ版を鑑賞したんですが、この特典の中に、制作過程で発案されていた『別の結末』が収録されていました。

それは絵コンテだけで実際に撮影はされなかった結末ですが、内容は以下です。

サマセットが届いた段ボールを開ける

中身を見て驚き、罠だと悟ってミルズとドゥを引き離そうとする

ドゥが「中身はトレーシーの首だ」とジョンに告げる

怒ったミルズはドゥを殺そうとする

サマセットがミルズより先にドゥを撃ち殺す

サマセットは「私はもう老いぼれだ。君は刑事を続けるべきだ」と言い残して逮捕される

というものです。

ここでも箱の中身は登場せず、ドゥを殺すのがミルズではなくサマセットという点が違います。
このもう一つの結末を考えても、やはり箱の中身はトレーシーであることがより濃厚になります。

 

ラストの解釈

ヘミングウェイが書いてた『この世は素晴らしい 戦う価値がある』と
後の部分は賛成だ

サマセットは基本的に現代社会に対して悲観的です。
彼が当時の恋人との子どもを諦めてしまったのも、こんな悲惨で不条理な世の中に子どもを生み育てて社会に出すことが、いかに子どもにとって酷なことかと思わざるを得なかったのでしょう。

サマセットに見えている社会は、冒頭の刑事が『殺された人物の子どもが犯行の瞬間を見たかどうか』を気にしないシーン(人々がいかに他人に無関心か)、警察署から出て乗ったタクシーの窓から見たゴッサムシティ並みに犯罪だらけの風景、サマセットにとっても希望だったトレーシーが殺されてしまったことなど、随所に現れています。

だから、サマセットは『この世は素晴らしい』には同意が出来ません。

一方で『戦う価値がある』に賛成するのは、社会の腐敗は酷い有様ですが、トレーシーや子ども達を守り、ミルズのような将来を担う世代を正しく導くためにしなければならないことがある、という意味だと感じました。

以上です!読んで頂きありがとうございました。
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