『万引き家族』ネタバレ解説|一家が集まった経緯、遺影の人の正体など考察13 | 映画鑑賞中。

『万引き家族』ネタバレ解説|一家が集まった経緯、遺影の人の正体など考察13

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クライムドラマ

映画「万引き家族」についての疑問を解説・考察しています!

軽犯罪に手を染めながら生きる、ある家族の物語。

万引き家族

制作年:2018年
本編時間:120分
制作国:日本
監督・脚本・原案:是枝裕和
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キャスト&キャラクター紹介


(引用:https://gaga.ne.jp

柴田治リリー・フランキー
東京下町に住み、工事現場の日雇い派遣で働く中年男。
家族は大切にするがモラルが低い一面がある。
家族5人を養うために祥太と万引きをして生活用品や食品、金目のものなどを調達する。
万引きでお金が手に入ると、生活が危うくなるまで働かなくなる。
近所に住む夫婦に虐待されていた女の子を勝手に連れて帰って来てしまう。

 


(引用:https://ameblo.jp

柴田信代安藤サクラ
治の妻。クリーニング工場でアルバイトをしている。
勤務中にお客の服のポケットから金目のものが出てくるとこっそり盗むクセがある。
治が連れてきた女の子ユリを家族に加えることを決める。

 


(引用:https://ameblo.jp

柴田祥太城桧吏
小学校高学年位の男の子。
治と信代の実子ではないが、実の息子のように 育てられている。 
学校に通わせてもらえず、治の万引きを手伝っている。
「学校は家で勉強できない奴が行くところ」と言う治の意見に従うが、本当は学校に行きたいと思っている。
万引きする前に、両手の人差し指をくるくるして手の甲にキスするおまじないをする。

 


(引用:https://twitter.com

ユリ(北条じゅり、りん)…佐々木みゆ
両親から虐待を受けている幼女。
本名は『北条じゅり』だが、柴田一家からは聞き間違いから『ゆり』と呼ばれ、その後『りん』に名前を変える。
アパートのベランダに締め出されていた所を治が発見し、放っておけずに連れ帰って家族の一員になった。
心優しい性格で、祥太になつく。

 


©2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

柴田亜紀松岡茉優
表向きは初枝の孫で信代の妹だが、本当は誰とも血の繋がりは無い同居人。
さやかという源氏名で「JK見学店」という風俗店で働いている。
初枝にだけは何でも話す。

 


(引用:https://eiga.com)

柴田初枝樹木希林
表向きは治の母。治達に住まいと年金を提供している。
夫とは何年も前に離婚し、元夫は既に亡くなっている。
子ども好きで、ゆりが来たときは傷に軟膏を塗ったり服を縫ってあげたりした。
パチンコが趣味。

 

米山(民生委員)…井上肇
日雇い派遣のリーダー…毎熊克哉
初枝の元夫…大嶋守立
山戸頼次(駄菓子屋店主)…柄本明
根岸三都江(信代のパート友達)…松岡依都美
JK見学店 店長…黒田大輔
ニュースキャスター…笠井信輔(フジテレビアナウンサー)、三上真奈(フジテレビアナウンサー)
信代のパートの雇い主…清水一彰
4番さん(亜紀の客)…池松壮亮
柴田譲(亜紀の父親)…緒形直人
柴田葉子(亜紀の母親)…森口瑤子
柴田さやか(亜紀の実妹)…蒔田彩珠
前園巧(警察官)…高良健吾
宮部希衣(警察官)…池脇千鶴
北条保(ゆりの父親)…山田裕貴
北条希(ゆりの母親)…片山萌美 ほか

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※このページの情報は2022年4月時点のものです。最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。

あらすじ紹介

柴田一家は東京下町にある一軒家に暮らしています。
工事現場の日雇いで働く(リリー・フランキー)、クリーニング工場でパートをしている妻・信代(安藤サクラ)初枝(樹木希林)の年金が主な収入ですが、それでは足りないため、治と息子の祥太(城桧吏)が万引きしてくる品々で生計を立てています。
信代の妹の亜紀(松岡茉優)は風俗店で働いていますが、事情があって家にお金は一切入れていません。
いつも貧乏ですが、一家はとても仲良しです。

柴田家は初枝名義の一戸建てで生活していますが、初枝は世間的には独居老人ということになっているので周囲に共同生活がバレないように気を付けています。

2月のある夜。治はたまたま通りかかったアパートのベランダに女の子ユリ(佐々木みゆ)が締め出されて放置されていることに気付き、放っておけずに自宅に連れて帰りました。
ユリは体のあちこちに傷があり、状況からも明らかに虐待を受けている子どもでした。

信代はユリを帰そうと思いユリがいたアパートの前まで行きました。
すると、部屋の中から両親らしき男女がユリがいなくなった責任を擦り付け合う声が聞こえて来たので、信代はユリをこのまま攫ってしまうことにしました。

ユリを攫ってから約2か月経過。
一家はテレビニュースでユリの誘拐が通報されたことを知りました。
この報道で、ユリの本名が『北条じゅり』で年齢は5歳、ユリの失踪を通報したのは児童相談所で、両親は事件を隠そうとしていたことから、警察は両親がユリを殺して遺棄したと見て捜査していることがわかりました。

ニュースを見た信代は『両親の所に戻る』か、『柴田家で生きていく』かをユリに聞きました。
すると、ユリは柴田家で生きることを選んだので、ユリは名前を『リン』に変え、髪も切って生まれ変わりました。

解説、考察や感想など

ユリに万引きを手伝わせて祥太が不機嫌になったのは?

治が万引きをユリに手伝わせた事に対して、祥太は「こいつ(ユリ)は妹じゃない」「男だけの方が楽しい」などと言って不機嫌になります。
祥太は恐らく治とふたりだけの時間にユリが入ってくるのが嫌だったのです。

治とふたりで出かけている時間が、祥太にとっては本物の親子のように感じられ、治に仕事(万引き)を褒められることが承認欲求を満たしてくれる貴重な時間だったのではないでしょうか。

祥太は治と信代が本当の両親ではないことは知らされていますが、治は特に祥太から「お父さん」と呼ばれることを望んでいます。
(治をお父さんと呼ぶように催促するシーンが何度かあります)

祥太自身は生みの親ではない治と信代との付き合い方に悩みながらも、祥太自身も気付かないうちに親子の信頼関係は出来上がっていたのだと思います。

ちなみに、祥太がたまに遊んでいた円盤状のものは『ディスクグラインダー』という、ガラスや石などを削る工具だそうです。
作中では祥太はガラスを削っていましたね。
これは恐らく、治が職場の工事現場からくすねて祥太に与えたものです。
祥太からすれば、「父ちゃん」がくれた数少ないおもちゃの1つだったのかもしれません。

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治と信代が初枝と一緒に住むことになった経緯

万引き家族
(引用:https://hukadume7272.hatenablog.com

女刑事に「死体遺棄は重い罪よ?わかってる?」と聞かれた信代は「捨てたんじゃない。誰かが捨てたのを拾った」と答えています。

ということは、初枝と治、信代が出会ったのは、初枝が独りになった後と推測できます。
また、初枝の信代に対する「私はあんたを選んだ」という発言は、お互いが同意の上で同居していることを意味します。
治の出所後、お金も住む場所にも困っていた2人がたまたま初枝と出会い、初枝が2人を招き入れたのでしょう。

亜紀が『治』と『信代』が偽名だ知らなかったことから、治と信代(もしかしたら祥太も)は、亜紀が初枝の所に来る前から同居していたのでしょう。

 

治と信代の出会い

治と信代の出会いは、信代の「私も(治との出会いは)お客さんだった」という発言や、治の「また一緒に店やるか?」、「お前もちゃんと化粧すればまだまだいけるよ」というような発言から、2人は水商売のお店で出会ったと推測できます。

また、以下は小説版にしか書かれていない内容ですが、治はパチンコ店で他人のパチンコ玉をくすねている初枝に興味を持ち、声をかけたのが治と初枝の出会いとされています。
そして、その流れで初枝の自宅で生活することを初枝が許し、治が信代を連れてきました。

さらに『治』という名前は初枝の本当の息子の名前で、『信代』という名前も本物の治の妻の名前です。
さらに、その昔は初枝、本物の治、本物の信代は一緒に生活していましたが、初枝と信代の関係が上手くいかず、治と信代が初枝を置いて(捨てて)引っ越してしまった過去があるようです。

小説版『万引き家族』

亜紀が初枝と一緒に住み始めた理由

亜紀は勤務先の風俗店で実の妹の名前を源氏名として使っているなどから、亜紀は妹のさやかを憎んでいることや、実の家族とは関係が良くないことが伺えます。

これはまた小説版でしか明かされていないことですが、亜紀の母葉子は亜紀の本当の母親ではなく、父譲の再婚相手だと明かされています
また、亜紀は譲の連れ子で、さやかは譲と葉子の子どもか葉子の連れ子のどちらかです。

恐らく亜紀は葉子に愛してもらえず、もしくは亜紀が葉子を母親として受け入れられず、結果、葉子はさやかだけを可愛がり、譲は何もしてくれなかった(葉子だけを大切にした)のでしょう。

そもそも、亜紀が実家にいない理由としてあげられていた『海外留学』は、亜紀がそう言って家を出たのか、両親が家出したことを周囲に隠すためにそう言っていたのかわかりませんが、どちらにせよ両親は亜紀が留学していないことを知っているはずです。
留学するなら様々な手続きやお金も必要ですし、書類の行き来もあるはずなので、両親が「亜紀は留学している」と思い込んでいると考えるのは無理があります。
つまり『亜紀の両親は、亜紀が家出していることを知っているが、そのまま放置している』と考えられます。
それは暗に、亜紀が家にいない方が譲の家庭は上手くいっていることを示しています。
ここら辺は家族の闇を感じて切なくなります。

亜紀が初枝に異常に懐いている様子から、亜紀が親の愛情に飢えているのは明らかです。
小説版には正解が書かれていましたが、亜紀と初枝は、初枝の元夫の葬式で出会ったのが最初だそうです。

その後、亜紀と初枝は偶然別の場所で出会い、その際に亜紀が家族についての本音を漏らし、初枝が一緒に住むことを提案したようです。

初枝は元夫を奪った再婚相手を恨んでいるし、亜紀は譲の再婚相手である葉子を憎んでいるので、初枝と亜紀は憎む対象が同じです。
亜紀は初枝に親の愛を求めていたと同時に、初枝に対してシンパシーのようなものも感じていたかもしれません。
一方で初枝は亜紀を本当の孫のように思いつつも、半分は亜紀を人質に取ったような優越感も感じていたのではないでしょうか。

地味に気になった亜紀の年齢についてですが、亜紀の実家に飾られていた写真で、亜紀は平成24年に高校を卒業していたことがわかります。
そうすると、公開年の2018年が舞台と想定して作られていたとすると、亜紀の年齢は24歳ということになります。

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初枝が民生委員の男に独居老人を装っていた理由

米山という民生委員の男が現れた際、初枝は家にいた祥太とリンに裏口から出るように合図しています。

しかし普段は6人で暮らしていることを隠している素振りはないし、誰かと一緒に住んでいることがバレても初枝の年金の額が減らされたりなどの被害はないでしょう。
それなのに、なぜ米山にだけは細心の注意を払って隠す必要があったのでしょうか?

民生委員とは、民生委員法に基づいて厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員のことで、シングルマザーや独居老人など(所謂『社会的弱者』と言える人々)の自宅を訪ねて、困っていることなどの相談に乗り、場合によって必要なアドバイスをするのが仕事です。

理由の1つとしては、初枝は社会的に『独居老人』でいた方が今後、国などから特別な援助を受けられる可能性があるため、それを受けられるように隠していたと考えられます。

また、米山が家に来た際、初枝の反応が「また来たか」というような雰囲気だったのと、米山の「息子さんは今、博多に住んでるんだよね?」と発言から、
米山は初枝の本当の息子と交流は無いまでも、『初枝には息子がいて今は福岡に住んでいる』という情報を知っています。
そのため、初枝は米山だけは最新の注意を払って隠しておかないとバレてしまう可能性があるため、隠していたと思われます。

ちなみにこの発言は、治と信代が赤の他人であることを示す伏線になります。

治と信代が祥太とリンを盗んだ理由


(ベランダに締め出されていたじゅり 引用:https://ameblo.jp

祥太が拾われた時期は、祥太が自分の本名や本当の両親を知らないことから、祥太は物心がつく前の0歳~1歳位の頃に治と信代に盗まれたと予測できます。

そして、常にお金に困っているはずの治と信代が祥太とリンを盗んで育てた理由は、終盤で明かされる、信代は子どもが出来ない体だったことが大きなヒントです。

2人は祥太とリンに「お父さん、お母さん」と呼んで欲しがっていたことから、子どもを欲しがっていた(親になりたかった)ことがわかります。

しかし、信代は子どもができない体なので自然に子どもを授かることはできません。
なので、虐待されている子が可哀想と思う以前に、ふたりが切望する子どもを当然のように持っているのに、大切にしない親が許せなかったのでしょう。

また、治と信代の過去は犯罪歴以外明かされませんが、信代は辛い幼少時代だったことが発言で示唆されています。

家に帰ってこない祥太をけなげに玄関で待つリンを見た信代は「『生まなきゃ良かった』って言われて育つと、ああはならないよね。あんなに優しくなんかなれないんだよ」と言います。

恐らく信代は親にそういうことを言われて育ってきたと想像できます。
また、信代はリンの本当の母 希の「産みたくて産んだんじゃない!」という声に反応してリンを保護しようと決意したんだな、と納得がいきます。

また、刑事に「(子どもがいる人が)羨ましかった?だから誘拐したの?」と聞かれた信代は「母親が憎かったかもね」と答えています。

信代は特に『母親』への思い入れが強く、同時に子どもにちゃんと愛情を与えられる親になりたいと考えていることが伺えます。
信代は、信代が切望している『子ども』を当たり前のように持っているのに、その子を虐待する母親に対する憎しみがとても強いです。
子どもを盗んだのは、『子どもが欲しかった』、『虐待されていた子を守るため』というのももちろんですが、子どもを奪うことで母親に報復してやりたい、子どもの大切さをわからせてやりたいというのが一番大きな理由だったのではないでしょうか。

しかし、子どもを奪われた当人であるリンの母親は、リンが戻ってきた後もリンへの虐待をやめないので、信代の思い知らせてやりたいという目的は果たされていません。

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治が祥太に自分の本名を名付けた理由

刑事が治に「なぜショウタと名付けた?自分の本名だろう」と聞いたとき、治は口ごもったまま答えませんでした。

治が祥太に自分の本名でもある「しょうた」という名前を付けた理由は、親が子どもに自分が成りたかった職業や大学に行ってほしいと願うことと通じる理由でしょう。

治は仕事で行った建築中の一戸建ての中で「ただいま~」と呟いてみたり、外でサッカーをしている親子を眺めた後に「祥太~、父ちゃんカッコイイ!」と呟いたりしていたことから、普通の家庭や「父親と息子の絆」への憧れがあることがわかります。

しかし、治には殺人の前科があるため夢を諦めて、普通の人生を送りたかったという願いを、祥太に自分と同じ名前を付けることで託したのではないでしょうか。

また、祥太を分身のように思い、祥太が父(治自身)と交流する姿を見て父親としての理想も、治自身の子ども時代の理想も同時に叶えていたようにも見えます。

普通の家庭を築いてほしいなら万引きなんて教えるなよ、と思いますが、「教えてあげられることが万引きしかなかった、でも少しでも親らしく、何かを子どもに教えたかった」と治自身が語っています。
治は信代と違ってあまり後先を考えられないタイプなので、この答えは治らしいのかなとも思います。

次のページに続きます!

後半は『初枝について』、『亜紀が自白した理由』、『事件の後、亜紀が初枝の家に戻った理由』、『ラストでリンが見ていたのは?』、『おじさんに戻った治』、『遺影について』などです。

コメントお待ちしてます

  1. 匿名 より:

    万引き家族の解説を読ませていただき、本当にわかりやすく書かれていて、こういう事だったのかと思う事がたくさんありました。
    それぞれの人の行動の意味、言葉の深い意味、隠された気持ちを丁寧に解説していただき、すばらしい作品だとあらためて感じました。

    古い映画とか、小説の解説はやられてないのですか?
    いろいろと読んでみたいです。

    ありがとうございました。

    • mofumuchi より:

      匿名さんこんばんは、管理人です。
      当ブログにコメントを頂けたのは初めてで、感激しています(T_T)笑
      記事も参考にしていただけたようで嬉しいです。

      一応映画をメインでしているので、映画を理解するのに小説を参考にすることはありますが、小説の解説は現在考えておりません。。(__)
      「古い映画」については機会があれば挑戦したいと思っています。(曖昧ですみません。。)
      以上、質問への回答とさせて頂きます。

      まだまだ未熟ではありますが、また覗きに来ていただけたら嬉しいです(^^)
      こちらこそ、ありがとうございました。

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