映画『万引き家族』で松岡茉優さん演じた亜紀について解説考察しています。
鑑賞済みの方向けの記事のため、まだ見ていない方はネタバレにご注意ください。
本編時間:120分
制作国:日本
監督・脚本・原案:是枝裕和
映画『万引き家族』は〈楽天TV〉で見られます!月額利用料無し、単品レンタル可能です。
≪U-NEXT≫で『万引き家族』が見られます! 31日間無料キャンペーン実施中。
※このページの情報は2022年4月時点のものです。最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。
亜紀はなぜ家出したのか
亜紀の家出の原因について考えます。
まず、映画からわかるのは以下の4点です。
・亜紀が勤務先の風俗店で名乗っていた源氏名『さやか』は亜紀の妹の本名
・譲は亜紀が初枝と一緒に住んでいることを知らない
・亜紀は海外留学中だと譲は語っている
これらから亜紀は両親や妹と仲が良くなく、家出したのかな?という雰囲気だけは伝わりますが、亜紀と初枝がなぜ一緒に住むようになったのかまでは推測するのも難しい気がします。
小説版にはヒントが沢山書かれていて、譲の妻の葉子は亜紀の実母ではなく、譲の再婚相手であることが明かされています。
そして、さやかは譲と葉子の子どもか葉子の連れ子のどちらかです。
また、亜紀と初枝は、初枝の元夫の葬式で出会ったのが最初です。
その後、亜紀と初枝は偶然別の場所で出会った時に、亜紀が家族についての本音を漏らし、初枝が一緒に住むことを提案した(初枝が家出を促した)ようです。
亜紀は勤務先の風俗店で実の妹の名前を源氏名として使っている点から、妹のさやかを憎んでいることが伝わってきます。
亜紀は義母の葉子に可愛がってもらえなかったか、あるいは亜紀が葉子を母として受け入れられず、結果、葉子はさやかだけを可愛がるようになりました。
それに対して譲は何もしなかった(葉子だけを大切にした)ため、亜紀は家庭内で浮いた存在になってしまったことが家出の原因ではないかと推測しています。
亜紀とさやかの関係性はわかりませんが、亜紀が明らかに親からの愛情に飢えていた点を踏まえると、さやかだけが両親と良い関係を築けていたことに嫉妬していた可能性が高い気がします。
両親は亜紀の家出を知っていたのか
亜紀が実家にいない理由を、譲は『海外留学』と言っていました。
亜紀自身がそう言って家を出たのか、両親が家出を周囲に隠すためにそう言っていたのかわかりませんが、どちらにせよ両親は亜紀が留学しておらず、本当は家出したことを知っているはずです。
留学するなら様々な手続きやお金も必要ですし、書類の行き来もあるはずなので、両親が「亜紀は留学している」と思い込んでいると考えるのは無理があります。
つまり『亜紀の両親は、亜紀が家出していることを知っているが、そのまま放置している』と考えられます。
それは暗に、亜紀が家にいない方が譲の家庭は上手くいっていることを示しています。
ここら辺は家族の闇を感じて切なくなります。
亜紀が初枝になついた理由と年齢について
亜紀は初枝を本当の祖母のように慕っていました。
それは亜紀と初枝には共通点があったからだと推測しています。
初枝は元夫を奪った再婚相手を恨んでいるし、亜紀は譲の再婚相手である葉子を憎んでいるので、初枝と亜紀は憎む対象が似ています。
亜紀は初枝に親の愛を求めていたと同時に、初枝に対してシンパシーのようなものも感じていたかもしれません。
一方で初枝は亜紀を本当の孫のように思いつつも、半分は亜紀を人質に取ったような優越感も感じていたのではないでしょうか。
地味に気になった亜紀の年齢ですが、亜紀の実家に飾られていた写真で、亜紀は平成24年に高校を卒業していたことがわかります。
そうすると、公開年の2018年が舞台と想定して作られていたとすると、亜紀の年齢は24歳ということになります。
亜紀が警察に自白した理由
柴田一家は警察に捕まってそれぞれが事情聴取を受け、リンと祥太は信代と治の言いつけ通り黙っていましたが、亜紀が警察に喋ってしまったことで初枝の死体遺棄が発覚しました。
亜紀も最初は保身のために(警察から両親に居場所を知らされるのを防ぐため、治と信代たちを守るため)口を割らないつもりでいましたが、刑事から初枝が譲(亜紀の父)からお金を受け取っていたこと、治に殺人の前科があることを知らされて、裏切られたと感じて自白したような流れで描かれています。
亜紀が警察に自供した一番の理由は「初枝は譲からお金をもらうために亜紀を利用していた」(亜紀が思っていた『家族』とは違っていた)と亜紀が思うように刑事が話したからです。
実際には、初枝はお金のために亜紀と住んでいたのではありませんし、譲は亜紀が初枝と同居していたことも知らなかったので、譲のお金と亜紀は関係ありません。
しかし、刑事にとっては亜紀の気持ちや真相は関係なく、とにかく遺体の居場所を吐かせることが仕事なので、亜紀の家族の結束を壊すような話し方をして自供を促しました。
実際、警察が知れるのは彼らが取った行動だけで心の内までは知ることが出来ないので、刑事自身も「亜紀は治、信代、初枝に利用されていた」と思い込んでいたのでしょう。
事件の後、亜紀が初枝の家に戻っていた理由
事件が解決して落ち着いた後、亜紀が初枝の家を訪れているシーンがあります。
あのシーンは謎でしたが、小説版では理由が明らかにされています。
亜紀たちが住んでいたあの家の名義は初枝の元夫、つまり亜紀の祖父のままになっていました。
亜紀の両親は、警察を通して亜紀が初枝と暮らしていたことを知ります。
この時に初枝の家の名義が元夫(譲の父)のままになっていたことを知り、あの家は遺産相続で一度は譲のものになります。
しかし、譲は初枝の家に思い入れは無いので、亜紀に与えたと考えるのが自然です。
そうすることで再び亜紀を葉子とさやかから解放することが出来ますし、亜紀もまた初枝達との思い出の場所で生活出来ます。
亜紀の持っていた荷物が少なかったので引っ越し感は無いですが、亜紀は家出していたので、実家から持ち出したい物はほぼ無かったのではないでしょうか。
他に引っかかるのは、亜紀が家のカギを持っていなかったことです。(窓が開いているかを確認していたため)
相続したのならカギもあって良さそうですが、元々夜逃げ寸前で捕まったので、カギは家の中のどこかに放置してあるか、治か信代の荷物に紛れたままなのかもしれません。
亜紀は家族に裏切られたと感じて警察に自白していましたが、亜紀の表情からは悲し気な表情は見れなかったので、恐らく亜紀は実家で両親と話したり、過去を振り返って冷静に考えて、あの家族の愛や絆が本物だったと思い至ったのでしょう。
以上です。読んでいただきありがとうございました。
この記事がお役に立てていたらハートマークを押してもらえると嬉しいです(^^)
・関連記事
感想などお気軽に(^^)