『万引き家族』ネタバレあらすじ、一家についての疑問などの解説考察まとめ | 映画の解説考察ブログ

『万引き家族』ネタバレあらすじ、一家についての疑問などの解説考察まとめ

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クライムドラマ

映画「万引き家族」のあらすじ紹介、作中の疑問などを解説・考察しています!
軽犯罪に手を染めながら生きる、ある家族の物語。

万引き家族

制作年:2018年
本編時間:120分
制作国:日本
監督・脚本・原案:是枝裕和
この映画にはPG12の年齢制限があります。
年少者の窃盗・万引きの描写がみられるためです(映倫より一部引用)

 

キャスト&キャラクター紹介


(引用:https://gaga.ne.jp
柴田治リリー・フランキー
東京下町に住み、工事現場の日雇い派遣で働く中年男。
家族は大切にするがモラルが低い一面がある。
家族5人を養うために祥太と万引きして生活用品や食品、金目のものなどを調達する。
基本的に働くことを嫌い、万引きでお金が手に入ると生活が危うくなるまで働かなくなる。
近所に住む夫婦に虐待されていた女の子を勝手に連れて帰ってしまう。

 


(引用:https://ameblo.jp
柴田信代安藤サクラ
治の妻。クリーニング工場でアルバイトをしている。
仕事中にお客の服のポケットから金目のものが出てくるとこっそり盗むクセがある。
治が連れてきた女の子ユリを家族に加えることを決める。

 


(引用:https://ameblo.jp
柴田祥太城桧吏
小学校高学年位の男の子。
治と信代の実子ではないが、実の息子のように育てられている。 
学校に通わせてもらえず、治の万引きを手伝っている。
「学校は家で勉強できない奴が行くところ」と言う治の意見に従うが、本当は学校に行きたいと思っている。

 


(引用:https://twitter.com
ユリ(北条じゅり、りん)…佐々木みゆ
両親から虐待を受けている幼女。
真冬のアパートのベランダに締め出されていた所を治が発見し、放っておけずに連れて帰った。
本名は『じゅり』だが、柴田一家からは聞き間違いから『ゆり』と呼ばれる。
失踪が誘拐事件に発展すると、自ら柴田家に残ることを決めて『りん』に名前を変える。

 

万引き家族
©2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
柴田亜紀松岡茉優
表向きは初枝の孫で信代の妹だが、本当は誰とも血の繋がりの無い家出少女。
さやかという源氏名で「JK見学店」という風俗店で働いている。

初枝を本当の祖母のように慕っている。

 


(引用:https://eiga.com
柴田初枝樹木希林
表向きは治の母。
夫とは何年も前に離婚している。
子ども好きで、ゆりの傷に軟膏を塗ったり服を縫ってあげたりした。
趣味はパチンコ。

 

米山(民生委員)…井上肇
日雇い派遣のリーダー…毎熊克哉
初枝の元夫…大嶋守立
山戸頼次(駄菓子屋店主)…柄本明
根岸三都江(信代のパート友達)…松岡依都美
JK見学店 店長…黒田大輔
ニュースキャスター…笠井信輔(フジテレビアナウンサー)、三上真奈(フジテレビアナウンサー)
信代のパートの雇い主…清水一彰
4番さん(亜紀の客)…池松壮亮
柴田譲(亜紀の父親)…緒形直人
柴田葉子(亜紀の母親)…森口瑤子
柴田さやか(亜紀の実妹)…蒔田彩珠
前園巧(警察官)…高良健吾
宮部希衣(警察官)…池脇千鶴
北条保(ゆりの父親)…山田裕貴
北条希(ゆりの母親)…片山萌美 ほか

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あらすじ紹介

あらすじ起:柴田一家

柴田一家5人は東京下町の一軒家に暮らしています。
一家の主な収入源は(リリー・フランキー)の日雇いの現場仕事の給料、信代(安藤サクラ)のクリーニング工場のパート代、初枝(樹木希林)の年金ですが、それでは足りないため、治と祥太(城桧吏)が万引きしてくる品々で補っています。

亜紀(松岡茉優)は風俗店で働いているのでお給料は良い方ですが、事情があって柴田家にお金は一切入れていません。
いつも貧乏ですが、一家はとても仲良しです。

柴田家は初枝の一戸建てで同居生活していますが、初枝は世間的には独居老人ということになっています。
そのため、定期的に初枝の安否確認に来る民生委員の米山(井上肇)には共同生活がバレないように気を付けています。

初枝と同居人たちとの間に血の繋がりが無いことが、米山と初枝の会話で暗に示されます。

 

あらすじ承:ユリとの出会い

2月のある夜。治は自宅から近いアパートのベランダに女の子(佐々木みゆ)が締め出されていることに気付き、放っておけずに連れて帰りました。
ユリと名乗るその子は体のあちこちに傷やアザがあり、明らかに虐待を受けている子どもでした。

信代は「誘拐犯になるのはごめんだ」と言い、治とユリと一緒にユリのアパートの前に行きます。
するとユリの両親らしき男女が、ユリがいなくなった責任を擦り付け合う喧嘩が聞こえて来たので、気が変わった信代はユリをこのまま匿ってしまうことにしました。

ユリを柴田家に迎えて約2か月が経った頃、柴田一家はテレビニュースでユリの失踪が誘拐事件になっていることを知ります。
この報道からわかったのは、ユリの本名は『北条じゅり』で、年齢は5歳、ユリの失踪を通報したのは児童相談所でした。
両親が失踪を隠そうとしていたことから、警察は両親がユリを殺して遺棄したと推測して捜査していることがわかりました。

ニュースを見た信代は、ユリに『両親の所に戻る』か『柴田家で生きていく』か、どっちか好きな方に決めなさいと聞きました。
すると、ユリは柴田家で生きることを選んだので、ユリは名前を『リン』に変え、髪も切って生まれ変わりました。

 

あらすじ転:職を失う治と信代、初枝の秘密

ある日、治は日雇いの現場仕事中に怪我をして足を骨折してしまいました。
治は労災を期待しましたが正規雇用ではないため却下され、治はしばらく働けなくなりました。

そんな中、信代も勤め先の上司に呼ばれて「経営が厳しくて、君か根岸三都江さん(松岡依都美)のどちらかに退職してもらわなければならなくなった。話し合いで決めてほしい」と言われます。

信代は話し合いで三都江に退職してもらおうとすると、三都江は「あんたが北条じゅりちゃんと一緒に居るのを見た」と脅します。
信代は三都江にじゅりの件を黙ってもらうことを条件に、パートを辞めることになりました。

一方で、初枝は死んだ元夫の月命日に、とある家庭に行ってお線香を上げます。
初枝と元夫は元夫の不倫が原因で別れていて、元夫は不倫相手と新しい家庭を築いていました。
その不倫相手も現在は亡くなっていて、初枝が訪ねたのは元夫と不倫相手の息子である(緒形直人)の家でした。
譲の家の仏壇には、初枝の元夫と不倫相手の遺影が一緒に飾られています。
初枝は嫌がらせのように譲の家を毎月訪ねてはお金を受け取っていました。

また、この時に亜紀が譲の娘であることや、亜紀が風俗店で使う源氏名『さやか』が亜紀の妹の名前だったことも発覚します。

 

あらすじ結:結末

夏になり、柴田一家はリンの水着や衣類を万引きしてから海に遊びに行きました。

海まで行く途中、初枝は信代に「あんたたちと一緒に暮らせて良かった」とお礼を言い、海でみんながはしゃぐ様子を嬉しそうに眺めていました。

翌朝、初枝は老衰で亡くなりました。
一家は悲しみますが、世間的に独居老人である初枝の死を治達が届け出るわけにもいかず、お葬式を出す費用もないため、治と信代は初枝の遺体をお風呂場の下に埋めました。

その後はいつも通りの生活に戻った一家でしたが、祥太はある日、いつも万引きをしていた駄菓子屋が閉店しているのを見てショックを受けました。
店主が亡くなってお店を閉めていたようですが、店に張られた『忌中』の意味が分からなかった祥太は、万引きが原因で廃業したかもしれないと思ったのです。

その後、リンを連れてスーパーに行った祥太は、リンが治と祥太の真似をして万引きしようとしていることに気付きます。
リンの万引きが店員にバレそうだと思った祥太は、お店でわざと派手に暴れてネット入りのミカンを万引きして逃亡しました。

店員に追われた祥太は逃亡の末に歩道橋から飛び降りて怪我を負い、病院に運ばれました。
祥太が病院に運ばれたことを知った柴田一家は、逮捕を恐れて夜逃げしようとしていたところを警察に捕まりました。

その後、事情聴取から一家の真実が明らかになりました。
『治』と『信代』は本名ではなく、初枝の本物の息子『治』と妻の『信代』に成りすましていた赤の他人でした。

ニセの治の本名は『ショウタ』で、ニセの信代の本名は『ユウコ』と言います。
ショウタはユウコと共謀して彼女のDV夫を殺した罪で服役していた過去を持つ前科者でした。

ユウコは初枝の死体遺棄の罪を全て1人でかぶりました。
ユウコの元夫殺しはショウタが1人で償ってくれていたからです。

その後、祥太は養護施設、亜紀とリンは本当の両親の元へと、それぞれあるべき場所に返されました。
ニセの治はどこかにアパートを借りて一人暮らしをすることになりました。

事件の発覚から数か月後、祥太と治は久しぶりに再会して親子の時間を楽しみますが、その後はもう会わないことを約束して別れました。

本当の両親の元に戻されたリンは再び虐待を受けていて、以前と同じように家から閉め出されています。

初枝の自宅を遺産相続することになった亜紀は、実家から出て初枝の家で暮らし始めます。




解説、考察概要と関連記事紹介

柴田一家が集まった経緯

柴田一家は、1人暮らししていた初枝の家に、最初は治と信代(本名ショウタとユウコ)が転がり込む形で同居して、その後は祥太、亜紀、リン(ユリ)の順番に家族が増えていきました。

詳しい経緯は以下の記事にまとめています。

 

信代、治、祥太について

信代と治が祥太とリンを盗んだ動機、祥太が治の部屋に泊まってバス停で別れるシーンの考察はこちらにまとめています。

 

初枝のへそくりの謎、海での口パクについて

初枝は亡くなる前日に一家で海水浴に行ったとき、声にならない声で「ありがとう」とつぶやきました。
このつぶやきは、初枝が信代、治、亜紀、祥太、リンと出会えたことに心から感謝していることを示すシーンです。

初枝が亡くなった後に見つかったへそくりは、初枝が元夫の新しい家族の譲からもらったお金を貯めていたものでした。

なぜお金を使わなかったのかや、初枝の亜紀に対する思いなどについてはこちらに記載しています。

 

亜紀はなぜ警察に喋った?

一家が警察に捕まった後、刑事に初枝の死体を埋めたことを喋ったのは亜紀でした。
亜紀は刑事から「初枝に利用されていただけ」と言われ、治と信代が偽名だったことも知らなかったためショックを受けて、信頼が崩れてしまったので喋ってしまいました。

その他、亜紀が家出した原因などはこちらにまとめてます。

ラストでリンが身を乗り出したのはなぜ?

治と信代が逮捕された後、リンは本当の両親のもとに戻されました。
祥太が施設に行って通いたかった学校にも通って明るい未来を歩き始めた一方で、リンは再び虐待を受ける生活に戻ってしまいました。

玄関の外に不用品と一緒に出されてしまったリンは、台に乗って外を見ていて、身を乗り出したところで映像が途切れます。

このラストは、リンがその後どうなったのかは見た人それぞれに解釈してもらうために是枝監督が残した余白です。

たまたま台が揺れて落ちてしまったのかもしれませんし、誰か(何か)を見つけて身を乗り出したのかもしれません。

個人的な解釈はこちらの記事にまとめています。

以上です。読んでいただきありがとうございました。
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感想などお気軽に(^^)

  1. 匿名 より:

    万引き家族の解説を読ませていただき、本当にわかりやすく書かれていて、こういう事だったのかと思う事がたくさんありました。
    それぞれの人の行動の意味、言葉の深い意味、隠された気持ちを丁寧に解説していただき、すばらしい作品だとあらためて感じました。

    古い映画とか、小説の解説はやられてないのですか?
    いろいろと読んでみたいです。

    ありがとうございました。

    • mofumuchi より:

      匿名さんこんばんは、管理人です。
      当ブログにコメントを頂けたのは初めてで、感激しています(T_T)笑
      記事も参考にしていただけたようで嬉しいです。

      一応映画をメインでしているので、映画を理解するのに小説を参考にすることはありますが、小説の解説は現在考えておりません。。(__)
      「古い映画」については機会があれば挑戦したいと思っています。(曖昧ですみません。。)
      以上、質問への回答とさせて頂きます。

      まだまだ未熟ではありますが、また覗きに来ていただけたら嬉しいです(^^)
      こちらこそ、ありがとうございました。

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