映画「三度目の殺人」についての解説、考察をしています!
「犯人は誰?」「器とは」「事件の真相、タイトル考察」「三隅が犯行を否定した理由」「司法の仕組みについて」について書いてます。
本編時間:124分
制作国:日本
監督・脚本・原案:是枝裕和
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※このページの情報は2023年10月時点のものです。最新の配信状況はサイトにてご確認ください。
キャスト&キャラクター紹介
(引用:https://ameblo.jp/karin-suh)
重盛朋章…福山雅治
『勝ち』にこだわる弁護士。
国選弁護士として三隅の弁護をすることになる。
結果至上主義で合理的な性格のため、事件の真相・真実には興味を持ったことがなかったが、三隅に魅せられて真相に興味が湧く。
(引用:https://www.iza.ne.jp)
三隅高司…役所広司
2度目の強盗殺人の容疑で死刑求刑された被告人。
最初の殺人事件の時に三隅の弁護をしたのは重盛の父だった。
被害者山中を殺したことは認めるものの、供述の内容をコロコロ変えて弁護士を困らせる。
相手の感情を読み取る特技がある。
川島(重盛の部下の新人弁護士)…満島真之介
篠原(検察官)…市川実日子
服部亜紀子(重盛の弁護士事務所の事務員)…松岡依都美
山中美津江(咲江の母、被害者の妻)…斉藤由貴
重盛彰久(重盛の父)…橋爪功
重盛ゆか(重盛の娘)…蒔田彩珠
裁判官…井上肇
留萌の警察官…品川徹
桜井(工場の従業員)…高橋努
三隅のアパートの大家…根岸季衣
留萌のバーの男…山本浩司
検察官(篠原の上司)…岩谷健司
店長…中村まこと ほか
あらすじ紹介
平成29年12月。弁護士の重盛(福山雅治)は、弁護士仲間の摂津(吉田鋼太郎)から「強盗殺人事件裁判の被告人弁護を代わってほしい」と頼まれました。
その事件とは同年10月11日、多摩川の河川敷で食品工場の社長・山中ミツオ50歳が殺され燃やされた殺人事件です。
この事件で逮捕された三隅高司(役所広司)は、山中の工場を9月末で解雇された元従業員で、三隅自身は山中の殺害を認めています。
三隅は約30年前にも強盗殺人を起こした前科がありました。
2度目の殺人事件なので、今回も強盗殺人で有罪になれば死刑になる可能性が非常に高いです。
摂津は三隅の国選弁護人でしたが、三隅の供述がコロコロ変わるのが手に負えず重盛に助けを求めました。
真実に興味がない重盛は三隅の発言に振り回されず、とにかく減刑に繋がるポイントを探ります。
ある日、重盛は三隅の人間性を探るために三隅のアパートを訪れます。
そして大家さんとの会話で、山中の娘で高校生の咲江(広瀬すず)が何度か三隅の部屋を訪れていたことを知ります。
真実に無関心だった重盛も、だんだん事件の真相が気になり始めます。
解説・考察や感想など
真相が何なのかも明かされないまま終わり、モヤモヤが残る作品でした。
このモヤモヤ感は是枝監督の意図だったと解釈していますが、私なりに真相を考えていきます。
本当の犯人は結局誰なのか?
事件の真相・犯人・動機など全てが曖昧なまま終わりますが、少なくとも実行犯は三隅で間違いないと解釈しています。
冒頭で、三隅が山中を殺害するシーンは『実行犯は三隅』と観客に示すためではないかと思います。
『器』とは何なのか
重盛は三隅を『器』と言い表します。
30年前に北海道で三隅を逮捕した警察官も「三隅は空っぽの器のような男」と同じ印象を語りました。
三隅には他人の感情や思考を読み取れるサトリのような特殊能力があったので、その能力のことを『器』と言い表していたのではないでしょうか。
三隅自身は特徴が無いのが特徴のような男で、確立された自己や自我が無く、多くの人が持つような夢や目標、願望、欲望も無い『空っぽな人間』です。
そんな空っぽの三隅に、相手の願望がわかってしまう特殊能力がありました。
そして三隅の『空っぽの部分』に、相手の抱く感情、願望が入り込んでしまうのです。
だから三隅は目の前にいる人間に同調してしまい、相手の望みを叶えるために行動してしまいます。
三隅の『心の器』には、他人の感情が入ってしまうことがあります。
他人の感情が器に入ると、その感情に三隅自身が支配されます。
基本は三隅が接触した人全員の感情が器に入ってしまうと思われますが、三隅と波長が合う人物(重盛、咲江など)には、より強く影響を受けてしまうようです。
そして器が他人の感情でいっぱいになると三隅は憑依状態になり、器を空っぽにするための行動を起こします。
その行動が今回は『山中を殺すこと』だったわけで、三隅は恐らく『咲江が抱く父親への憎悪』で器がいっぱいになったから山中を殺しました。
三隅は山中の殺害当時は憑依状態だったので、どうやって殺したのかなどは記憶があいまいで明確には答えられません。
それに器の影響で、質問する側に「欲しい答え」があると、三隅は相手が欲しい答えを口走ってしまうというのが、彼の供述がコロコロ変わっていた原因ではないでしょうか。
例えば三隅が週刊誌の取材に『山中の妻に頼まれて殺した』と答えたのは、記者が『スキャンダラスな答え』を求めていたからです。
一方で三隅が咲江のことを一切話さず守ろうとしていたのは、三隅は憑依状態だったとはいえ咲江のために山中を殺した自覚があり、三隅自身の命よりも咲江を守る方が価値があると考えたからなのでしょう。
次のページに続きます!
2ページ目は『事件の真相、タイトル考察』、『三隅が犯行を否定した理由』、『司法の仕組みについて』です。
感想などお気軽に(^^)
昨日2度目観てしてようやく意味がわかり、検索してここに辿り着きました。三隅がただの器だったことは理解したのですが、するとなぜ遺体を焼いたのか?なぜ財布を盗んだのか?が引っかかっています。答えが分かったら是非追記お願いします。
反応が遅くすみません。たどり着いてくださりありがとうございます!
ご質問を読んでから映画を見返しました。
犯罪心理学の統計データでは、人を焼き殺す、または殺してから焼くという行為は加害者が被害者に対して恨みを持っているケースが多く、焼く理由としては「復讐」が最も多いのだそうです。
遺体を焼いた理由が「復讐」だとすると、三隅は咲江の父親を殺して火を放つまでは、咲江が抱く「父親への憎しみ」で器が満たされていたと思われます。
そして遺体が焼けていくのを眺めている間に器が空っぽになって元の三隅に戻り、とっさの思いつきで財布を盗んだ(だから三隅は手を火傷していた)のではないでしょうか。
なぜ財布を盗ったのかは微妙なところですが、借金があったのは事実のようなので金銭目的か、あるいは財布の中身に咲江に渡したい物が入っていたかのどちらかかな?と思います。
個人的な憶測なので合っているかはわかりませんが、かずさんが納得できる答えであれば幸いです。
コメントありがとうございました(^^)