『室井慎次 生き続ける者』タカ・リク・杏のその後、ひどいと言われる理由などネタバレ解説考察② | FILM LAB|映画の解説考察ブログ

『室井慎次 生き続ける者』タカ・リク・杏のその後、ひどいと言われる理由などネタバレ解説考察②

室井慎次 生き続ける者 サスペンス・ミステリー
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映画『室井慎次 生き続ける者』の解説考察記事②です。

この記事では、地区住民たちとの関係、柳町明楽(加藤浩次)の事件と結末、シンペイはなぜ逃げた?、室井の死因、タカ・リク・杏はどうなる?、室井から影響を受けた人たち、青島は何をしに来ていた?、タイトルの意味、本作の評価が大きくわかれる理由、を書いてます。

鑑賞済みの方向けの記事です。

制作年:2024年
本編:115分
監督:本広克行
脚本:君塚良一
オープニング曲:「LIFE」歌/菅野祐悟
エンドロール曲:「生命」歌/松山千春

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解説・考察・感想など

記事①に続いて、劇中で起きた出来事の結末などを整理します。

地区住民に受け入れられた室井

前作『室井慎次 敗れざる者』では、室井は主に牧場主の石津と地区長の音松か追い出されかけていましたが、本作では地区住民たちとの関係も改善していました。

石津百男(小沢仁志)との関係

石津百男が室井を嫌っていたのは、室井が子供たちと幸せそうに暮らす姿に嫉妬していたからです。

石津夫婦には智明という一人息子がいましたが、百男が強引に牧場の跡継ぎにしようとしたことで智明が反発して家を出てしまい、そのまま音信不通になっていました。

石津は親子仲良く過ごす室井と、息子と関係が良くない自分を比較してしまい、嫉妬していたという趣旨の発言をして室井に謝っていました。

室井は警察時代のツテを使って石津智明を探し、「両親に会ってやれ」と伝言することで石津夫妻と智明を再会させました。

長部音松(木場勝己)との関係

地区長だった音松が室井を嫌っていたのは、音松自身も元は「よそ者」で、室井のような外部から来た人間になめられないように必死だったからでした。

音松も都会から移住してきたよそ者でしたが、長い年月を経て自分が地区長になったことで、いつの間にか「よそ者」を排除する側になっていました。

恐らく音松は、人付き合いを避けて積極的に村に馴染もうとしない室井の態度に過去の自分自身を重ねてしまい、同族嫌悪のような感情を抱いていたのではないでしょうか。

室井が子供たちと真剣に向き合う姿やを見た音松は、次第に室井を信頼するようになりました。

柳町明楽(加藤浩次)とリクの事件

前作『室井慎次 破れざる者』の終盤で、刑務所から出所した明楽のシーンがあり、本作では明楽がリクを迎えに来ました。

室井は明楽に「リクに二度と手をあげるな」と約束させた上で、リクを明楽に返しました。

しかし、明楽はまたリクを殴ってしまい、リクは室井のところに逃げてきます。

明楽はリクを追って室井の自宅に現れ、斧を振り回して暴れたため逮捕されました。

明楽はリクが室井の話ばかりしたことで、父親としてのプライドを傷つけられて激怒しました。

シンペイはなぜ逃げた?

秋田犬のシンペイが逃げてしまったのは、リクの父親の柳町(加藤浩次)がシンペイを家の外に追い出したからです。

柳町に怯えていたので、外に出された後は逃げ出してしまったと思われます。

しかし、散歩のとき以外はフリーウォークだったシンペイが急にどこかに行ってしまうという展開は正直疑問が残ります。

室井慎次の死因は?

室井はどこかに行ってしまったシンペイを探しに行き、そのまま亡くなってしまいます。

恐らく室井はシンペイを見つけたものの、雪崩に巻き込まれて一緒に崖下に落ちてしまい、助かるまでの間に心臓発作が起きて意識を失ってしまい、そのまま亡くなってしまったと思われます。

救助隊が「犬が離れません」と何度も言うのは、室井の容態が絶望的であること、それをシンペイが察していたことを示していたと解釈しています。

室井の死後、タカ・リク・杏はどうなる?

室井がいなくなったあとも、子供たちはそれぞれの人生を歩んでいきます。

おそらく室井の遺産はタカとリクが相続し、さらに室井から子供たちの通帳を預かっていた音松が3人に通帳を手渡しています。

タカは室井への憧れから警察官になる夢を持ち、無事大学に受かって勉強している様子が描かれていました。

リクは、室井の死後は石津夫妻にご飯を食べさせてもらっていたり、音松からも農作業を教えてもらうなど、村の人々に助けられながら生活している様子が描かれます。

おそらく石津夫妻がリクを養子に迎えたのではないかと推測しています。

杏は市毛商店でアルバイトしている様子が描かれています。

また、3人は室井の夢だった児童福祉施設を実現しようとしていたので、杏は主に『室井慎次の家』の実現に向けて活動を続けていると思われます。

その他、室井から影響を受けた人たち

室井慎次 生き続ける者
(C)2024 フジテレビジョン ビーエスフジ 東宝

室井の影響で変化が出た人々を思い出せる限り紹介します。

まず、地元警察巡査の乃木真守(矢野悠馬)は、室井に憧れて刑事になる夢を持ったものの、最初は「勉強したくないけど刑事になりたい」とわがままを言っていましたが、室井の死後は必死に勉強している姿がありました。

室井の元後輩で秋田県警察の本部長の新城賢太郎(筧利夫)は、室井の死後、「事件捜査における室井モデル草案」を室井に見せに来ていました。

室井が警察時代に目指していた「所轄と本庁の垣根をなくし、現場の警察官と本庁が一体となって事件捜査に当たる仕組み」を制度化するための案です。

新城は室井が実現できなかった夢を、まずは秋田県警から実現を目指す努力をしています。
そして官房審議官となった沖田仁美(真矢みき)も、新城の案の実現に向けてサポートしています。

ラストで青島俊作は何をしに来た?

『踊る大捜査線』ファンにとって最大の見どころの一つが、ラストに登場する青島俊作です。

青島は、恐らく室井の仏壇に手を合わせるために室井の自宅前まで来ましたが、だれかからの電話で室井の家を訪ねることなく引き返しています。

「そこまで来たなら手くらい合わせてから帰れ」と思いましたが、また時間を作って出直すのでしょう。

青島は喪服じゃないから室井の死を知らないのでは?という意見もありますが、新城か沖田とか、誰かしらから連絡があるはずなので、青島が知らなかったはありえないと個人的には思います。

青島の登場は、室井が「生き続ける者たち」へバトンを渡した場面にも見えました。

タイトル『室井慎次 生き続ける者』の意味

室井が残したものは、青島、新城、タカ、リク、杏 、など室井と関わった人たち全員の中に何らかの形で残っています。

室井という人間がいなくなっても、室井から受け取ったものを抱えて生きていく人たちが描かれていました。

室井が誰かに与えたもの、守ろうとしたもの、最後まで諦めなかったものなど、『室井の意志は、室井が死んでも生き続ける』という意味が込められているように感じます。

『室井慎次 生き続ける者』の評価が大きく分かれる理由

本作は、室井の最期や、見る人によってかなり感想が分かれる作品だと思います。

高評価している方たちは
「今までのシリーズとはテイストが違っていて斬新だった」
「室井さんの愛情の深さと最期に泣けた」
などの意見が多いです。

酷評している方の意見をまとめると、細かい設定とか若干強引な話のつなげ方が気になったという意見が大半でした。

具体的には、「日向真奈美が室井を狙った理由が理解できない(人気キャラを無理やり出しただけに見える)」
「杏の放火を不問にするのはどうかと思う」
「室井を殺してほしくなかった 夢を実現させてあげるラストがよかった」
「青島が室井に対して冷淡すぎるのがキャラ的にも関係値的にもおかしい」
「音松が室井を嫌っていた理由が腑に落ちない」
「猟銃に弾を装填したまま金庫に戻すのは、室井の性格的にありえない」
「雪なのに、リクに雪靴じゃなくスニーカーを履かせるのはありえない」
などの細かい部分に関する意見がとても多かったです。
ここまでの指摘を目にするのはシリーズ最多かもしれません。

個人的には、細かいことを気にしなければ室井の私生活は見ていて面白かったので、室井の日常や、子供たちの成長過程、たまに警察にも協力するみたいな「その後」がもっと見たかったです。 

まとめ

『室井慎次 生き続ける者』では、室井慎次の人生に大きな区切りがつけられます。

牧場主の石津と地区長の音松は室井を特に嫌っていましたが、それぞれ理由があったことがわかりました。

リクの父親の柳町明楽は出所して親子の生活を再開しますが、明楽は暴力行為をやめられず再逮捕されました。

室井が飼育する秋田犬のシンペイが逃げてしまったのは、柳町明楽がシンペイを家の外に追い出したからでした。

室井の死因は劇中で詳しく語られませんが、おそらく薬を飲めず長時間過酷な状況に置かれたことにより心臓発作が起きてしまったからです。

室井の死後、タカは大学に合格して大学生になり、リクは集落の大人たちに育てられ、杏は市毛商店でアルバイトをしながら、3人とも石津夫妻の保護の元で一緒に暮らしています。

室井の影響を受け、乃木巡査は刑事になるための勉強を始めていて、秋田県警の新城賢太郎は、室井が果たせなかった「約束」を受け継ぎ、沖田仁美とともに尽力し続けています。

エンドロール後に登場した青島俊作は、おそらく室井に別れの挨拶をしに来ていたと思われますが、電話がかかってくるとすぐに引き返してしまいまいました。

『室井慎次 生き続ける者』というタイトルは、室井の遺志を受け継ぐ者たちのことを表しています。

この映画はシリーズ史上、最も好き嫌いが大きく分かれるタイプのようで、高評価の意見も多い中、酷評する意見も多くみられました。

以上です!読んでくださりありがとうございました。
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