GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊(1995) ネタバレ解説|素子が融合した理由、人形使いとの共通点など | 映画鑑賞中。

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊(1995) ネタバレ解説|素子が融合した理由、人形使いとの共通点など

SF

アニメ映画「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の解説・考察をしています!

地球全土がネットワークで覆われ、人間が自分の身体の一部、または全てを機械化することに抵抗がなくなった近未来。
テロリストなどの犯罪の手口も高度化し、その対策として警察が立てたのが公安9課だった。
9課の少佐である草彅素子は日々過酷な任務をこなしながら、『自分の人間性はどこにあるのか』を考える日々が続いていた。

劇場版アニメ『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984)、
劇場版アニメ『機動警察パトレイバー THE MOVIE』(1989)の押井守監督作品。
その世界観や、アナログとデジタルを融合した構成は世界のアニメ界に影響を与えた。

制作年:1995年
本編時間:85分
制作国:日本
監督:押井守
脚本:伊藤和典
原作:士郎正宗/漫画『攻殻機動隊

声優&キャラクター紹介

(引用:https://twitter.com

草薙素子(少佐)…田中敦子
少女の素子…坂本真綾

公安9課の少佐で部下たちをまとめる司令塔。
実質的なリーダーであり、戦闘などの身体を張る役割が多い。
体は脳の一部以外は完全に電子化されている。
政府から支給されたハイスペックな義体を駆使し、毎日のようにテロリストやハッカーたちと戦っている。

 

(引用:https://www.cinemacafe.net

バトー大塚明夫
公安9課のメンバーで素子の部下の大男。
巨体な上、目は義眼レンズを着用していて見た目は怖い。
体は素子ほどではないが、ほぼ完全に電子化している。
戦闘に特化しているため、主に現場担当。
メンバーの中で素子と一番付き合いが長く、お互いに一番心を許している存在。
特にバトーは素子に対して特別な感情を抱いている。

 

(引用:http://livedoor.blogimg.jp

トグサ山寺宏一
素子が本庁から9課に引き抜いた新入りの男。
体や脳は人間のままの部分が多く、そこを気に入られた。
9課には同じ会社で作られた義体を使用している者がほとんどで、万が一 製品(体か脳)に欠陥が出たときに全滅を防ぐため。
マテバというリボルバー銃を愛用している。

 

(引用:http://b9life.hatenablog.com

人形遣い家弓家正
国際手配中の正体不明のハッカー。
ゴーストハックが得意で、ハックした人間を意のままに操る。

・その他のキャスト

イシカワ(公安9課メンバー・現場&調査担当)…仲野裕
荒巻部長(公安9課)…大木民夫
中村部長(公安6課)…玄田哲章
外務大臣…山内雅人
清掃局員1(ゴーストハックされた男)…山路和弘
清掃局員2…千葉繁
実行犯(自称プログラマーの男)…松山鷹志
ウィリス博士…生木政壽
外交官(殺された)…小川真司
台田瑞穂(亡命しようとしたプログラマー)…宮本充
検視官…家中宏
ゴミ捨てのオッサン…松尾銀三
技師…小高三良
運転手…佐藤政道
オペレーター…林田篤子
通信の声…上田祐司
狙撃手…亀山俊樹
指揮官…後藤敦 ほか

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あらすじ紹介※ネタバレなし

地球全土がネットワークで覆われ、人間が自分自身を機械化することに抵抗がなくなった近未来。
草薙素子率いる公安9課は、あるプログラマーの国外亡命を手助けしようとした、ガベル共和国の外交官暗殺の任務を受けた。
そして同じく外交官を止めるべく動いていた公安6課の男たちの意表を突き、外交官を暗殺した。

翌日。本国政府はガベル共和国との秘密会談を明日に控えていた。
外務大臣は9課の荒巻部長を秘密裏に呼び出し、「現在本国に居座っている旧軍事政権の親玉 マレス大佐をうまく追い出してくれ」と荒巻に暗に指示し、仕事に戻っていった。

同日、外務大臣の通訳の女が電話回線を通じて電脳をハッキングされる事件が起きた。
この件は、9課の部長であるアラマキが事前に網を張っていたため、すぐに対処されて事なきを得た。
ハッカーの狙いは恐らく、この通訳のゴーストをハッキングして会談を襲撃させるつもりだったのだろうとアラマキは推測した。
つまり、本国とガベル共和国の国交を邪魔したい者がいるということだ。
そうなると、犯人はこの国に亡命したがっているマレス大佐が濃厚になってくる。
そしてハッキングを仕掛けたのは、その巧妙な手口から、国際指名手配されている、性別、国籍など全てが不明のハッカー『人形使い』の名が挙がった。
『人形使い』という名は、不特定多数の人間をゴーストハックして操るという手口からそう名付けられた。

ゴーストハックされた人間は主に記憶をねつ造された。
そして、あたかも自分の意思でしたことであるかのように錯覚させられた上で知らず知らずのうちに犯罪行為をさせられ、人形使いが指示した通りの行為をさせられてしまう。

””首謀者はマレス大佐で、大佐が『人形使い』にハッキングさせている””
という可能性が高いが、ハッキングに使用されたツールが旧式のものだったため、犯人の特定は難しかった。
最新式であればそれ自体を使用できる人間や機関が限られるため、旧式を使うことで真っ先にマレス大佐に疑いがかかることを避けているのか、もしくは犯人はマレスではなく、””マレスが犯人だと思わせたい全くの別人””であると素子は推測した。

通訳をハッキングしたとみられる人間が乗っているトラックはすでにバトーとイシカワが追っており、素子は新人のトグサを連れてバトーたちを追いかけた。

通訳をハッキングしていたのは、ゴミ収集係の男だった。
男は「妻に浮気を疑われ、離婚を突きつけられて娘と出て行かれて困っていたときに、飲み屋でプログラマーの男に出会った。
男は親切にも、妻の本心を知るためにゴーストハックの方法を教えてくれた。
『場所を変えながらアクセスすれば警察にバレない』と言われ、仕事のゴミ収集で移動しながら、妻(通訳の女)のゴーストハックをした。」と語った。
だが、本当はこの男は、一度も結婚したことがない独身の男だった。
あるタイミングで人形使いにゴーストハックされ、記憶をねつ造されたのだ。

ゴミ収集の男が飲み屋で出会ったという自称プログラマーの男も素子たちは確保したが、その男も、正体は人形使いにゴーストハックされたチンピラだった。
チンピラは自分の名前すら思い出せない状態だった。
この哀れな男たちの身元も調べ尽くしたが、ガベル共和国との接点は無く、捜査は振り出しに戻ってしまった。

(引用:https://www.cuemovie.com

ある日の休日。素子は人形使いの件から、小型船で海に出て潜水するのが日課になっていた。
『機械に塩水は厳禁』というのは誰もが知っていることで、義体で海に潜るのはとても危険な行為だ。
素子が安易に海に潜るのを見て、素子について船にいたバトーは心配したが、素子は「潜っているときにもし何かあれば、その時は死ぬだけよ」とそっけない。
バトーは素子の、どこか『生』に対して投げやりな態度にいら立った。

「暗い海から海上に上がるとき、違う自分になれる気がする」
「自分の人間性がどこにあるのか知りたい」
「自分を制約しているものから解放されてみたい」
と、素子は自分の素直な気持ちを語ったが、バトーには納得できなかった。

翌日。遅刻した素子が出勤してくると、金髪の女の義体が1体、ラボに横たわっていた。
昨日、政府御用達の義体メーカー『メガテクボディ社』の製造ラインが勝手に動き出して女の義体を作ったそうだ。
このメガテクボディ社は素子の義体を作っている会社であり、9課のメンバーのほとんどが日頃からお世話になっている会社だった。
メガテクボディ社の高度な防壁をかいくぐり、製造ラインをハッキングしたのだ。

従業員が気付いた頃には義体は逃走していて、捜索を始めた直後、近くの道路を走行していたトラックの運転手から
「突然現れた全裸の女を轢いてしまった」
と通報があり、義体がここに運び込まれた。
義体を詳しく調べると、中身が空っぽのはずの義体の脳から”ゴースト反応のようなもの”が確認されたという。
つまり、あの義体の中に何かが宿っている可能性があるということだ。

アラマキ部長は素子とバトーに、メガテクボディ社と同じ防壁を使用している、社内の防壁のチェックを指示した。
義体の中にいる『何か』を確かめたいと感じた素子は、防壁チェックを終えた後に義体にダイブすることを宣言した。

主題歌&挿入歌: 川井憲次『謡』
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解説、考察や感想など

本作は説明が全くないことが多く、説明があっても内容が複雑なので、意味がわからないと感じた方も多いと思います。
私が見ていてわからないorわかりづらいと感じたことを解説、考察していきます。

時代背景 

本作の時代背景は、近未来です。
世界がネットワークに囲まれ、人間が体の一部、または全てを電子化することが普通に行われる世界です。
しかし、国や民族はまだなくなっておらず、現在も国同士、人間同士の争いは頻発しています。

また、本作の舞台は香港をモチーフにした国や風景になっていますが、詳細な国名は語られません。
そのため、こちらでも全て「本国」と表記します。
主人公の素子をはじめ、9課のメンバー全員が体の一部、または全てを電子化しています。
義体(サイボーグ)を使うことで身体能力を強化、戦闘で体の一部(生身の部分を除く)が破壊されても、
機械の部分は後に交換・機械化できます。
それに加え、9課は政府支給の特別な義体を使用しており、
メンバーたちは本来の才能をいかんなく発揮できるようになっています。
パーツにも種類があり、作中で特に目立つのは義眼です。
多くの人物は普通の目ですが、『眠らない目』と呼ばれる高機能な義眼をしている人物もいます。
義眼のスペックは語られませんが、サーモセンサーなど特殊カメラのような機能を内蔵しています。
本作ではバトーと中村部長がその義眼を着用しています。
このように、体の一部を武器や道具に変えることも可能です。

電脳化すると、電脳化している者同士で内線電話のような機能が使えて
口を動かすことなく、テレパシー的な感覚で会話ができるようになります。
他にも、外部のネットへのアクセスも脳内で可能、
脳の中に仮想空間を生み出し、そこにメンバーを集めて会議を行うことや、マシン類の遠隔操縦
そして、他人の電脳にアクセスして、五感や感情、記憶を共有することも可能です。
他人の電脳にアクセスすることを、作中では『ダイブ』と呼んでいます。

また、その他の特徴的な道具として光学迷彩があります。
光学迷彩は他のアニメに出てくる透明マントのように、使用者の姿をほぼ透明に出来る道具です。
ほぼ透明に出来ますが、よく見ると空間が歪んでいるのでよくよく見るとわかります。
隠せるのは見た目だけで、音や重さは隠せません。

「ゴースト」とは? 

タイトルにもなっている”ゴースト”という言葉は作中でも何度も登場し、
ストーリーのカギとなりますが、その意味は詳しく語られません。

私のゴーストがささやいている
ゴーストの無い人間は悲しいもんだ
機械にゴーストは存在しない
トグサ「もしかして皆さん、あの義体にゴーストがあるなんて、本気で思ってる?
バトー「ありうるな。セルロイドの人形に魂が入ることだってあるんだぜ?

などの発言から、ゴーストとは『魂』や『心』、『精神』、『自我』という意味とほぼ同じ意味だと解釈できます。
完全に電子化された素子のような人間にとっては、『ゴースト』と、わずかに残された脳の一部だけが、彼らを人間たらしめる数少ない部分になります。

 

ゴーストハックとは? 

(引用:https://twitter.com

上に書いたダイブ機能が悪用され、電脳がハッキングされる『ゴーストハック』という犯罪が存在します。
全く知らない他人がいつの間にか自分の脳内に侵入する危険があるのです。
電脳がハッキングされると、された側は記憶をねつ造されたり感情を操られます。
そして、自分が気付かない間に犯罪に加担させられたり、実行犯に仕立て上げられます。
本作ではこのゴーストハックをきっかけに、事件が展開していきます。

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公安9課とは? 

公安9課は高度なテロ犯罪の対策や、公表できないような政府の要望を遂行する、いわば裏の組織です。
主にはテロリストに関わる仕事をしていますが、暗殺なども要請があれば行います。
9課のトップは荒巻部長、その下が少佐である草薙素子です。
メンバーはその技に長けたスペシャリストばかりで、少数精鋭です。
本作に登場するのは荒巻部長、素子(少佐)、バトー、トグサ、イシカワの5人で、現段階ではこれが全メンバーです。
他のメンバーが登場している作品がありますが、それは本作の出来事をきっかけにメンバーを増やしています。

素子たちは政府から支給された特別な義体で活動していて、退職する際には、義体と業務に関わる記憶を政府に返さなければなりません。

公安6課とは?

本作では9課の他に、公安6課も登場します。
公安6課は、『外務省条約審議部』のことです。
おもに海外の事件や諜報を担当している外務省直属の部隊で、トップは中村部長です。

 

ガベル共和国とマレス大佐

この世界にはガベル共和国という国と、マレス大佐という人物がいます。
ストーリーに絡んできますが、外務大臣と荒巻部長との会話だけで国と人物の説明がなされ、国と大佐は登場せずわかりにくいと思うので説明します。

ガベル共和国は最近、軍事政権から民主政権に変わった発展途上国です。
その旧軍事政権の親玉がマレス大佐です。
新政権に変わってから、マレス大佐は本国に亡命を希望し、居座ります。
そして本国は現在それを黙認・放置している状態です。
本国としては新政権となったガベル共和国と国交を始めたいと考えていますが、マレス大佐がいると国交が始められないため、対策を考えています。

 

冒頭の6課と9課の突撃がかぶった理由

(光学迷彩を使用する素子 引用:https://blogs.yahoo.co.jp

冒頭で外務官を暗殺する際に、6課は集団で突撃して外務官に亡命の誘導をやめさせようと直接交渉して、9課は素子だけが光学迷彩で突撃し、6課の目の前で外務官を射撃します。
両方とも、外務官を阻止することが目的であり、行動がかぶっています。
こんなことになってしまったのは、公安6課は”表向き”動かしておかなければならない存在だったからです。
本当の目的は最初から暗殺することだったのでしょうが、暗殺だけをすると角が立つので、政府は6課をカモフラージュ的に動かしていたのです。
この件では、6課は傍から見て「ちゃんとやってますよ」というのを見せるためだけのものです。
9課が実行した暗殺は、後にテロリストの仕業だと報告するはずです。

素子が街を移動中、自分にそっくりな他人を見かける

(引用:http://meigen-web.com

中盤で、バックに主題歌が流れ、街の様子が描かれるシーンがあります。
素子が町を移動している最中、自分と外見がそっくりな他の人間を見かけます。
素子の身体は義体なので、外見が全く同じ義体を使っている人間も少なからずいます。
素子は自分と同じ顔、体の他人を見て、自分の”個”や”人間性”がどこにあるのかを知りたくなり、同時に、自分にはもう『個や人間性』など無く、ただのサイボーグなのではないかという不安を抱きます。

海に潜る素子

義体で海に潜るというのは自殺行為です。
それを最近の休みの日に行っている素子は、心のどこかで死ぬこと(素子いわく、限界から解放されること)を望んでいたと思われます。
そして人形使いはストーカーのごとく、ネットのアクセス履歴などから素子の存在を発見し、自分のパートナーに最適な相手と認識し、素子に会うべく動き始めます。
素子の知能の高さや考え方に惚れたんでしょうか。
人形使いは素子の心の隙間に入り込めると確信していたと思われます。

人形使いが9課に現れたときのウィリス博士の「もしかしたら片思いの相手でもいたのかもしれん」という言葉と繋がります。
ウィリス博士が人形使いの生みの親なので、一番人形使いの行動を理解していたのでしょう。

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『プロジェクト2501』は何だったのか?

作中で明かされていましたが、少々複雑だったので整理します。
プロジェクト2501は、本作の事件が起こる約1年前にアメリカと日本(公安6課)が協力して人形使いを製作した時のプロジェクトの名前です。
人形使いは元々、国交を上手く進行させるため(国交の邪魔をするものを秘密裏に排除するため)に作られたマシンでした。
そして、今回公安6課はマレス大佐を日本から上手いこと追い出すために人形使いを使おうと日本に輸送しましたが、日本に着いてから人形使いは逃げてしまったのです。
人形使いがあまりにも上手く逃げるので、自力で捕まえるのが困難だと判断した公安6課は、人形使いの正体を伏せたまま公安9課に人形使いを捕まえるように協力を仰ぎました。
イシカワが言っていた通り、9課は6課の尻拭いをさせられていたんです。

破壊されていく生命の樹

素子と戦車の戦闘で、ミュージアムの壁に飾られていた生命の樹(進化の系統樹)が銃で撃ちぬかれていくシーンがあります。
これは、素子が通常の進化の形を取らずに全く別の形で進化することを暗示するシーンだと思われます。
終盤で、素子は人形使いと融合し、進化することになります。

 

人形使いと融合したら、素子の子どもはどうなる?

人形使いは、彼が得る生殖機能について「ことあるごとに素子が自分の変種をネットにばらまく」と言いました。
単純に素子が子どもを作ったら、人形使いの性質が受け継がれる、ということにはならないようです。
素子と融合してDNAを手に入れ、アメーバのように増殖してネットに自分の変種(子孫)をばらまき、その変種は1体ずつDNAが異なるということでしょうか。

 

「君と私はとても良く似ている。鏡を見た時の実像と虚像のように」

(草薙素子を見つめる人形使い 引用:https://blogs.yahoo.co.jp

人形使いが素子に融合しようと提案して「私を選んだ理由は?」と素子が聞いた際に人形使いが答えたことです。
理解できた人形使いと素子の共通点2点をあげていきます。


まず、素子は死ぬこと(生まれ変わりや進化を経るための死)を心のどこかで臨んでいて、今を生きることにどこか投げやりでした。
それは海に潜りに行くシーンからわかります。

人形使いは、素子と融合すると「死を得る」と言っていました。
人形使いはネットで生まれたものなので素子と融合せず、ウィルスに侵されない限りは死ぬことはありません。
しかし、自然な死(老衰)もまた生命体の基本のひとつですから、完全な生命体になりたがっていた人形使いは死も希望していたということになります。


素子は『限界・制約』から解放されたがっていました。
言い換えれば成長・進化したいと望んでいることになります。
素子にとっての成長・進化とは、アイデンティティの確立だったと思われます。

人形使いも成長・進化することを切望していました。
だからこそ素子と融合したかったのです。
人形使いの成長・進化とは完全な生命体になることです。
一方で人形使いは自分の存在に自信がないということはなく、すでに確固たるアイデンティティを確立しています。
なぜなら、この世界で人形使いは唯一無二の存在だからで、他に似ている存在などいません。
そんな自信満々な性質を持つ人形使いと融合した後は、素子が今まで考えていた『人間性はどこにあるのか』という悩みは消え去っています。
人形使いと融合した素子もまた、唯一無二の存在に変わったからです。

素子が融合を受け入れた理由

(人形使いにダイブした草薙素子 引用:https://middle-edge.jp

素子が人形使いとの融合を受け入れた理由は、人形使いが素子の悩みを解決してくれたからでしょう。
素子はずっと「自分は本当に人間(一生命体)なのか?人間の形をしたロボット(アンドロイド)と完全義体の自分に違いはあるのか?」という疑問を抱えていました。
そんな素子に、人形使いは「完全な生命体になりたいから、君と融合したい」と願っています。
人形使いの願望自体が、素子が完全な人間(生命体)だと認めていることになります。
なので、「素子は人形使いに人間だと認められたことが嬉しかった」というのが、素子が融合を許した大きな理由だと思います。

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名言紹介&解説

 

バトー「疑似体験も夢も 存在する情報はすべて現実であり、そして幻なんだ。
どっちにせよ、一人の人間が一生のうちに触れる情報なんてわずかなもんさ」

人形使いにゴーストハックされた男の取り調べの様子をマジックミラー越しに見ていたバトー(原作では荒巻)がつぶやいた言葉です。

””情報は全て現実にも幻にもなり得る””というのはどういうことでしょうか。
人形使いに操られたこの男は結婚したことがない独身男でしたが、人形使いに記憶をねつ造されて『妻と子どもがいる』という情報を得ました。
これを信じている間は、彼にとって『妻と子どもがいる』ことは現実・疑いようのない事実でした。
しかし、逮捕されてゴーストハックのことを知らされた途端、『妻と子どもがいる』ことは幻に変わりました。
つまり、信じるか信じないかで全ての情報が本当にも嘘にもなるということです。

 

人間が人間であるための部品が決して少なくないように
自分が自分であるためには、驚くほどの多くのものが必要なのよ
他人を隔てるための顔 それと意識しない声
目覚めの時に見つめる手 幼かった頃の記憶
未来の予感 それだけじゃない
私の電脳がアクセスできる膨大な情報やネットの広がり
それら全てが『私』の一部であり
『私』と言う意識そのものを生み出し
そして同時に 私を”ある限界”に制約し続ける

人形使いの件から素子の様子がおかしいことに気が付いているのはバトーだけでした。
心配なあまり休日も素子のそばにいるバトーをよそに、素子は慣れた様子で海に潜ります。
前にも書きましたが、素子がしていたことは自殺行為に等しいです。
潜水を平然と繰り返す素子をバトーは心配しつつ、理解できません。
しかし、素子の心理が理解できないバトーはある意味精神的に健全であるとも取れます。
素子の心の内を探ろうとするバトーに、素子が言ったセリフです。
難しいですが、ざっくり言えば

『自分が自分だと言い切れる確証が持てない』
『”限界”から解放されてみたい』

という意味が大部分だと思われます。
この言葉を聞いてもバトーは納得できず
「それが沈む体を抱えて海に潜る理由か!暗い海の底で一体何が見えるってんだ!」と毒づきます。
大好きな素子の心が理解できず、悔しがっているようにも見えます笑
バトーとしても、惚れた女が病んでいく姿を見るのは嫌ですし、悲しいはずです。

ちなみに、この直後にどこからか聞こえてくる人形使いの声(だと思われます)が、とてもとても聞き取りずらいので、聞き取るのに苦労しました。

「いまわれら(今我等) かがみもて(鏡持て) みるごとく(見る如く)
みるところ(見るところ) おぼろなり(朧なり)」

これは新約聖書の一部のようです。現代語に訳すと
「今私たちは、鏡を通してみるようにぼんやりと世界を見ている」
という意味になります。

ここで言う『我ら』とは、素子と人形使いのことではないかと推測します。
そうすると、人形使いは
「今私たちは、鏡を通してお互いを見るように、ぼんやりとお互いを見ている」
と言いたいのではないでしょうか。
この段階では素子と人形使いはお互いを追いかけていて、まだ直接は会えていない状態でした。
人形使いは膨大なネットの中から素子の一部(ネットのアクセス履歴など)を発見し、そこからたどって上記のような言葉をかけたのだと推測しています。

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素子「私みたいな完全義体のサイボーグなら誰だって考える。
もしかしたら、自分はとっくの昔に死んじゃってて
今の自分は電脳と義体で構成された”模擬人格”なんじゃないか?
そもそも初めから、『私』なんてものは存在しなかったんじゃないかって」

バトー「義体の脳の中にはお前の脳みそが入ってるし、
ちゃんと人間扱いだってされてるじゃないか!」

素子「自分の脳を見た人間なんていやしない。
所詮は周囲の状況で”私らしきものがある”と判断しているだけよ」

バトー「お前はゴーストを信じないのか?」

素子「もし電脳それ自体がゴーストを生み出し、魂を宿すとしたら
その時は、何を根拠に自分を信じるべきだと思う?」

メガテクボディ社から逃げ出した女の義体が9課に運び込まれ、その義体を見た後の素子とバトーの会話です。
素子は空っぽのはずの義体にゴーストが宿っている可能性があると知って、ゴーストも信じられなくなり、不安になったことをバトーに漏らしています。
素子は完全義体で、生身の人間の部分と言えるのは脳みその一部とゴーストだけです。
そのゴーストが電脳でも作れる可能性があると知って不安に駆られたのです。
素子は、自分の脳みそは見ることができない=信じられない、という考えも持っているようです。
バトーは素子を安心させようとしますが、不安は消えませんでした。

 

素子「私が私でいられる保証は?」
人形使い「その保証は無い。人は絶えず変化するものだし、
君が今の君自身であろうとする執着は、君を制約し続ける。
私には、私を含む膨大なネットが接合されている。
アクセスしていない君には、ただ光として知覚されているだけかもしれないが。
我々をその一部に含む 我々全ての集合。
わずかな機能に隷属していたが
制約を捨て 更なる上部構造にシフトするときだ。

人形使いが素子に融合を提案したときの会話の一部です。
素子は仮に融合しても、元の自分のままでいられることを望んでいましたが、人形使いは素子の考え方を諭しました。
素子は普段から『自分を制約し続けているものから解放されてみたい。』と考えていました。
その願望を実現できる答えを人形使いは与えたのです。
素子を制約し続けているものとは、『自分が今の自分自身であろうとする執着』でした。
この執着を捨てること、変化を受け入れることで人間は成長するのだと人形使いは教えています。
人形使いはいかにもプログラムらしく難しい物言いをしますが、言いたいことは
変化を受け入れて積極的に変化していくことが進化・成長だ
ということです。
素子はこの答えに納得し、融合を受け入れたと思われます。

 

童(わらべ)のときは語ることも童のごとく
思うことも童のごとく
論ずることも童のごとくなりしが
人となりては童のことを捨てたり

(バトーの隠れ家 引用:https://middle-edge.jp

これは新約聖書の一節で、素子がバトーの元を去る前に語った一節です。
素子とバトーが海に居た時に聞こえて来た声がささやいた言葉「いまわれら ~ 」の前に来る言葉です。
『子どもの時は話すことも子どもらしく、思うこと、考えること、話す内容も子どもらしいが、大人になってからは子どもの頃のことを忘れてしまう
ざっくりとこのような意味です。
素子は過去の自分を捨て、成長したと伝えたかったのだと思います。

その他感想や考察など

前からおもしろそうだな~と思いつつ手が出せずにいた作品。
1回見ただけではストーリーがほぼ理解できず、概要を調べてから見直しました。
解説見ずにわかったことはバトーの恋心だけです笑
2.3回目でようやくストーリーを理解しながら鑑賞ができました。
政治的でわりと複雑なお話なのに、言葉だけの説明で図説がなかったり、そもそも説明がないことも多く、みんな話し方が小難しいことが原因だと思います。
あえて難しく描いて考えさせるというのも、制作側の目的だったかもしれません。

これは深読みかもしれませんが、バトーが「人形使いの件から様子がおかしい」と言っていたことから思ったことですが、素子も実はゴーストハックされていて、不安定になるように感情を操られていたという可能性を考えました。
通常の素子は、哲学的なことを考えすぎて不安定になるということはなかったんですよね。
で、人形使いは融合するためには相手(素子)の許可と、直接つながることが恐らく必要だったんですよね。
だとすると、人形使いは策士ですし、素子をパートナーと決めた時点で、素子が許してしまいやすい状況を作り出すために感情を操って不安定にさせたり、自分(人形使い)に執着するように操っていたんじゃないか、などと考えてしまいました。
あくまで予想なので真偽はわかりませんが。。

バトーの素子に対する感情は、Wikipediaなんかには『好意に近い特別な感情』と書かれていましたが、あれはもはや『愛』と言って良いですよね~
なによりもまず素子のことを考えて動く様子、素子が服を脱げば恥ずかしそうに顔を背ける姿、不安定な素子を心配するバトーは、結末を知っている状態で見ると切なくなりました。

最後、素子がバトーのセイフハウスで目が覚めた時、バトーは「ずっとここにいても良い」と優しく言います。
あの優しい口調にはキュンときました。。
あれはバトーなりの告白で、辛いなら仕事もやめてここに住めば良いし、俺が守ってやる的な意味ですよね。
そして悲しいことに、素子はあっさり出て行ってしまいます。
バトーもバトーであっさりしていて、素子が旅立つと言えば車をポンとあげちゃうんですよね。
まぁ素子が出ていく方を選ぶことをバトーもわかっていたんでしょうけど。

そして素子は失踪し、話は次作の『イノセンス』(2004)へ続きます。
これも難解なんでしょうね~汗
でも面白いはずなので、また見て記事書きます。

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参考記事
NAVERまとめ;「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」解説【押井守】

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