アニメ映画『イノセンス』解説考察|ハダリの正体、バトーの恋の行方など | 映画鑑賞中。

アニメ映画『イノセンス』解説考察|ハダリの正体、バトーの恋の行方など

SF

アニメ映画「イノセンス」のあらすじ紹介、解説・考察をしています!

劇場版アニメ『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995)の続編。
前作で草薙素子が失踪してから3年後の出来事を描いている。

制作年:2004年
本編時間:100分
制作国:日本
監督・脚本:押井守
原作漫画:『攻殻機動隊』士郎正宗 著
主題歌:『Follow me』伊藤君子

声優&キャラクター紹介


(引用:http://blog.livedoor.jp

バトー大塚明夫
公安9課のメンバーの、戦闘特化型の大男。
前作で吹き飛んだ右腕には腕の代わりに武器を搭載した。
事件解決のために無茶な行動をとることが多く、この男と組んで支障がなかったのは草薙素子だけだった。
素子を愛しており、3年前の彼女の失踪にも手を貸した。
今も素子と会えるのを心待ちにしいる。
素子の失踪後、ガブリエルという名のバセット犬を飼い始めた。

 


(引用:http://blog-imgs-41.fc2.com
トグサ山寺宏一
草薙素子が本庁から引き抜いた元刑事で、現在の9課リーダーであり、バトーの仕事上の相棒。
体や脳は人間のままの部分が多い。
素子の失踪後、見るからに元気が無いバトーを心配している。

 

草薙素子(少佐)…田中敦子
ウィザード級のハッキング技術を持つ公安9課の元リーダー。
3年前(前作)に『人形使い』と融合し、その後バトーの助けを得て失踪した。
失踪後は身体を捨てて意識だけの存在になり、ネットの世界を自由に飛びまわっている。

・その他のキャスト
荒巻部長(公安9課)…大木民夫
イシカワ(公安9課)…仲野裕
コガ(公安9課)…平田広明
アズマ(公安9課新人)…寺杣昌紀
謎の少女…武藤寿美
鑑識課長…堀勝之祐
ハラウェイ検死官…榊原良子
キム…竹中直人
ガブリエル…Ruby ほか

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あらすじ紹介

あらすじ①:草薙素子の居ない9課

9課の元リーダー草薙素子(田中敦子)の失踪から約3年が経ちました。
9課は素子の失踪から学び運営方針を変え、少数精鋭制を廃止して人員を増やし、1人にかかる負担を軽減しました。
素子の失踪後、荒巻部長(大木民夫)は新しいリーダーをトグサ(山寺宏一)に任命しました。

素子が忘れられないバトー(大塚明夫)は、この3年の間にガブリエルというバセット犬を飼い、溺愛しています。
素子の失踪後から明らかに元気が無いバトーを、他の9課メンバーは心配しています。

あらすじ②:少女アンドロイド『ハダリ』による持ち主殺害


(ハダリ 引用:http://yoh-sk.hatenablog.com

そんなある日。街では『ハダリ』というメイド用の少女型アンドロイドが持ち主を殺害する事件が多発していました。
ハダリを販売しているロクス・ソルス社は、北端の地にあるロボットメーカーです。

持ち主を殺したハダリは、殺した後に自らを破壊して電脳を初期化していたので、なぜ持ち主を襲うのか原因がわかりませんでした。
不思議なのは、被害者遺族からの告訴は1件も無く、全てロクス・ソルス社との示談で速やかに解決している点です。
また、被害者の家族には漏れなく『政治家または公安関係の退職者』が含まれていました。

荒巻はテロの可能性があるとみて、この事件を『9課が受け持つべきかどうか』の判断を下すための調査をバトーとトグサに命じました。
※9課はテロリスト絡みの事件専門の課のため

あらすじ③:検視官ハラウェイ

まず2人は、ハダリを調査したハラウェイ検視官(柳原良子)に話を聞くことにしました。
この聞き込みで、バトーとトグサは以下の情報を手に入れました。

・ガイノイドは『人間に危害を加えない』という条件下で作られ、人間に危害を加えた人形は自らを破壊するようにプログラムされていた。
見方を換えれば、人間に危害を加えるために人形たちは自壊したとも捉えられる。

・遺族が告訴しなかった理由は、事件を起こしたハダリは全て『生殖器』が付いたセクサロイドでもある特別仕様だったから。
※セクサロイド…セックスできる機能が付いたアンドロイド

・事件を起こしたハダリの1体に「助けて」とささやく音声ファイルが残されていた。

 

あらすじ④:暴力団『紅塵会』に乗り込む

ハラウェイの聞き込みを終えた直後、ハダリの出荷検査官が殺害されたと知り、バトーとトグサは現場に急行します。

殺された検査官ジャック・ウォーカーソンは、休暇中にレンタルハウスで殺されていました。
その手口から、犯人は暴力団関係者のようです。
このときバトーはレンタルハウス内で、本に挟まれていた1人の少女の写真を発見しました。

翌日。ウォーカーソンを殺害したのは暴力団組織『紅塵会こうじんかい』だと判明します。
紅塵会は、麻薬から人身売買まで違法な商売を網羅している反社会組織です。

この組長がハダリの被害者なので、紅塵会が『組長が殺されると、次期組長が前組長の敵を討つ』という掟を実行した可能性が濃厚でした。
紅塵会は、ハダリに殺された組長の敵討ちとして、ロクス・ソルス社の関係者を殺したのです。

トグサとバトーは「話を聞くだけ」という約束をしてから紅塵会に乗り込みますが、バトーは派手に暴れて新組長以外を全員殺してしまいました。

大勢殺したにも関わらず、荒巻はなぜか説教だけで済ませます。
トグサはバトーが約束を破ったことを怒り、無謀過ぎるバトーについて行けないと感じました。
全身義体で脳さえ傷つかなければ他はいくらでも替えが効くバトーと、ほとんど生身で自分の体を大事にしているトグサでは、身体に対する思い入れが違うからです。

怒るトグサに、バトーは「ロクス・ソルス社と紅塵会に繋がりがあるかどうか確かめるためにあえて暴れたと打ち明けました。
この2つの組織に繋がりがあればロクス・ソルスは必ず動きます。
荒巻が説教だけで許したのも、その狙いを理解していたからでした。

 

あらすじ⑤:ハッキングされたバトー


(イシカワに動きを制御されるバトー 引用:http://joaquin2010.hatenablog.com

その日の夜、『動き』は起こりました。
バトーはいつもペットフードを買う雑貨店でゴーストハックされて一般人を殺しかけますが、見張っていたイシカワ(仲野裕)に気絶させられて事なきを得ました。
※ゴーストハック…何者かに意識を乗っ取られ、乗っ取られていることに気付かずにハッカーの思い通りに行動させられてしまうこと

バトーをハッキングした犯人の狙いは、紅塵会を襲ったバトーを『狂った男』に仕立て上げることでした。
バトーが狂人認定されれば、警察は紅塵会がなぜ襲われたか調べる必要がなくなります。
言い換えると、犯人は警察に紅塵会を嗅ぎ回られるとまずいので、バトーに罪をかぶってもらおうとしたのです。

バトーを襲った犯人はロクス・ソルスの関係者で、ロクス・ソルスは暴力団と繋がって怪しい仕事をしていたことはほぼ確定です。

バトーがハッキングされたことは大きな手掛かりになりましたが、雑貨店で大暴れした件は9課にとって大打撃になりました。
何とか犯人を挙げなければ、危険因子とみなされた9課の存続が危なくなります。
9課は捜査を続行し、バトーとトグサはロクス・ソルス社のある北端の地へ向かいました。

 

あらすじ⑥:結末

バトーをハッキング出来るハッカーはそうそういません。
犯人に目星が付いていたバトーは、元同僚で裏社会専門ハッカーのキム(竹中直人)のアジトに行きました。

バトーとトグサはキムの屋敷で無限ループの罠にはめられますが、バトーは素子からのサインを頼りにループを抜け出して、死んだフリで逃げようとしたキムを捕まえました。
尋問の結果、バトーをゴーストハックしたのはキムで間違いなく、キムはロクス・ソルス社に雇われていることが判明しました。

ロクス・ソルス社の工場は海の中にあります。
バトーとトグサは拘束したキムを連れて潜水艦で工場の近くまで行き、バトーが単体で工場に乗り込みました。

トグサは潜水艦に残ってキムの監視と、バトーに逐一情報を伝えるバックアップをしていましたが、キムは隙を付いて工場にウィルスをバラ撒いて自殺してしまいました。

工場に眠っていた無数のハダリの在庫が暴走し、中に居る人間に誰彼構わず襲いかかります。
バトーはハダリとの戦いの最中、1体のハダリをハッキングして駆け付けてくれた草薙素子と再会しました。

工場の1番奥に並んでいたのはゴーストダビング装置という違法マシンでした。
それは魂をダビング出来る特殊な装置で、同じ人物にダビングを繰り返すと、オリジナルのゴーストが消耗して最終的に廃人になってしまう危険なマシンです。

ロクス・ソルス社は紅塵会が拉致した少女達のゴーストをダビングし、少女のゴーストを『特別仕様のハダリ』に入れて闇販売していたのです。
少女達は何度もゴーストダビングされ、廃人になると殺されていました。
ハラウェイのラボで聞いた『助けて』というボイスメッセージは、拉致された少女からのSOSだったのです。
バトーが出荷検査官の家で見付けた写真の少女は、紅塵会に拉致されロクス・ソルス社でゴーストハックされた女の子でした。

バトーが装置から助けた女の子が「人形なんかになりたくない!」と泣くのを聞いたバトーは、不快感から女の子を叱ってしまいました。

事件の真相がわかると、素子はバトーに『いつも見守ってる』と言い、再びネットの世界に消えていきました。

事件が解決した後、バトーは初めてトグサの家族に会います。
トグサが娘にプレゼントした人形の目を通して、素子がバトーを見守っています。

 

解説・考察や感想など

対照的なトグサとバトー


(引用:https://individualhappy.jp

本作ではトグサとバトーの対照的な性格が描かれています。
人間味の強いトグサと、人形(サイボーグ)に近いバトー。
トグサの人間らしい一面が描かれることで、バトーの孤独や人形らしさが際立ちます。

一方で、バトーが犬を飼っていることや、素子を思う発言には、バトーにまだ人間らしさが残っていることも垣間見えます。

 

草薙素子はどこに行ったのか

前作で失踪した草薙素子(少佐)は子どもの義体の姿で旅立ちました。

バトーは素子について
あいつは行っちまったのさ 均一なるマトリクスの裂け目の向こう
広大なネットのどこか その全ての領域に融合して
自分が生きた証を求めたいなら その道はゴーストの数だけあるのさ

と発言しています。

素子は体を捨てて、意識だけの存在になることを選びました。
恐らくバトーは素子が警告をくれた時、彼女自身の姿で現れないことなどから『体』をもう持っていないのだと感づいていたのです。

素子が体を捨てたことを知って、トグサはバトーがなぜこんなに死を恐れないのか納得がいきました。
素子が体を捨てたので、バトーにとっても体に対する思い入れや重要度が低くなっていたのです。
そして「俺は生きて家に帰りたい」とバトーに念押ししています。

 

ハダリがたくさん出てきて攻撃していたのはなぜ?


(草薙素子がハッキングしたハダリ 引用:https://happyeiga.com

バトーが船に侵入した後、保管されていた無数のハダリがロクス・ソルスの社員たちもバトーもだれかれ構わず攻撃しています。
これは、バトーの侵入にロクス・ソルスの社員が気付いて作動させたわけではなく(私は最初、社員がハダリを動かしたのだと勘違いしていました。。)、捕まったキムが最終兵器としてウィルスをまき散らしてハダリを暴走させたからです。
ウィルスをまき散らした直後、キムは電脳を焼いて自殺しました。

 

人形になりたくなかった女の子

ハダリの持ち主たちを殺していた犯人はゴーストハックされた少女たちの中の誰かでした。
犯人が何人いるのかは不明ですが、少なくともバトーが助けたこの少女は加害者の1人です。
少女は拉致されていることを誰かに気付いて助けてもらうために持ち主を殺しました。

女の子は殺人事件を起こしたおかげでこうして助けてもらえたと嬉しそうに語りますが、バトーは人形側の目線で怒ります。
すると女の子は「私は人形になりたくなかったんだもの!」と叫び、泣きました。

このとき女の子が言った『人形』は、魂を入れられて実際に人形(ハダリ)になることではなく、ダビングを繰り返して廃人になった状態を『人形』と言っていたと思われます。
人形のように何も反応しなくなってしまった友人を見て、こんな風になりたくないと感じたのでしょう。

 

素子と再会した後のバトー

バトーは素子が消えてからいつもどこかふてくされ、気分が沈んでいました。
それは荒巻部長をはじめ、他のメンバーが心配するほど明らかでした。
バトーは人間なので、どうしても『幸か不幸か』など人間特有の価値観で自分を見てしまい、バトーにとって素子がいない状態は不幸だったでしょう。

押井監督が「バトーは前作で素子にフラれてふてくされていた」と説明していたように、バトーは素子が旅立ってからずっと孤独を感じ、ある意味ふさぎこんでいました。
ガブリエルを飼い始めたのも、恐らく孤独を紛らわすためでしょう。

今回の事件でバトーは素子と再会して、素子から「あなたがネットにアクセスするときは、いつもあなたの傍にいる」という言葉をもらいました。
素子はバトーにとって守護霊的な存在になっています。

素子は今や、ネットの世界の中に住む、特定の体を持たない存在です。
ネットがつながる場所であれば、どこへでも行けます。
直接会ったり会話をすることはなくても、素子はいつもバトーを見守っているのでしょう。
それは、もしかしたらバトーがあまりにも寂しそうだったので、少しでも心を軽くするためにかけた言葉だったかもしれません。
それでも、この言葉はバトーを孤独の闇から救いました。

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感想などお気軽に(^^)

  1. 匿名 より:

    非常にわかりやすく読みやすいいい記事でした

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