アニメ映画「イノセンス」のあらすじ紹介、解説・考察をしています!
劇場版アニメ『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995)の続編。
前作で草薙素子が失踪してから3年後の出来事を描いている。
声優&キャラクター紹介

(引用:http://blog.livedoor.jp)
バトー…大塚明夫
公安9課のメンバーの、戦闘特化型の大男。
前作で吹き飛んだ右腕には腕の代わりに武器を搭載した。
事件解決のために無茶な行動をとることが多く、この男と組んで支障がなかったのは草薙素子だけだった。
素子を愛しており、3年前の彼女の失踪にも手を貸した。
今も素子と会えるのを心待ちにしいる。
素子が居なくなってからガブリエルという名のバセット犬を飼い始めた。

(引用:http://blog-imgs-41.fc2.com)
トグサ…山寺宏一
草薙素子が本庁から引き抜いた元刑事で、現在の9課リーダーであり、バトーの仕事上の相棒。
体や脳は人間のままの部分が多い。
素子の失踪後、雰囲気が変わったバトーを心配している。

(引用:https://getnews.jp)
草薙素子(少佐)…田中敦子
ハッキング技術に長けた公安9課の元リーダー。
3年前(前作)に『人形使い』と融合し、その後バトーの力を借りて失踪した。
失踪後は身体を捨てて意識だけの存在になり、ネットの世界を自由に飛びまわっている。
※画像は前作のものです。
・その他のキャスト
荒巻部長(公安9課)…大木民夫
イシカワ(公安9課)…仲野裕
コガ(公安9課)…平田広明
アズマ(公安9課新人)…寺杣昌紀
謎の少女…武藤寿美
鑑識課長…堀勝之祐
ハラウェイ検死官…榊原良子
キム…竹中直人
ガブリエル…Ruby ほか
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※このページの情報は2022年6月時点のものです。最新の配信状況はサイトにてご確認ください。
あらすじ紹介
あらすじ①:草薙素子の居ない9課
9課の元リーダー草薙素子の失踪から約3年が経ちました。
9課は素子の失踪から学び運営方針を変え、かつての少数精鋭を廃止して人員を増やし、1人にかかる負担を軽減しました。
素子の失踪後、荒巻部長は新しいリーダーをトグサに任命しました。
ひとり暮らしのバトーは、この3年の間にガブリエルというバセット犬を飼い、とても可愛がっていました。
バトーは素子が失踪してから明らかに元気が無く、荒巻、トグサ、イシカワは心配しています。
あらすじ②:少女アンドロイド『ハダリ』による持ち主殺害
(ハダリ 引用:http://yoh-sk.hatenablog.com)
そんなある日。街では『ハダリ』というメイド用の少女型アンドロイドが持ち主を殺害する事件が多発していました。
ハダリを販売しているロクス・ソルス社は、北端の地にあるロボットメーカーです。
持ち主を殺したハダリは、殺した後に自らを破壊して電脳を初期化していたので、なぜ持ち主を襲うのか原因がわかりませんでした。
不思議なのは、被害者遺族からの告訴は1件も無く、全てロクス・ソルス社との示談で速やかに解決している点です。
また、被害者の家族全てに政治家または公安関係の退職者が含まれていました。
荒巻はテロの可能性があるとみて、この事件を『9課が受け持つべきかどうか』の判断を下すための調査をバトーとトグサに命じました。
※9課はテロリスト絡みの事件専門の課のため
あらすじ③:検視官ハラウェイ
まず2人は、ハダリを調査したハラウェイ検視官に話を聞くことにしました。
ハラウェイ検視官への聞き込みで、バトーとトグサは以下の情報を手に入れました。
見方を換えれば、人間に危害を加えるために人形たちは自壊したとも捉えられる。
・遺族が告訴しなかった理由は、事件を起こしたハダリには全て『生殖器』が付けられた特別仕様(セクサロイド)だったから。
・事件を起こしたハダリの1体に「助けて」とささやく音声ファイルが残されていた。
あらすじ④:暴力団『紅塵会』に乗り込む
ハラウェイの聞き込みを終えた直後、ハダリの出荷検査官が殺害される事件が起きたと知ってバトーとトグサは現場に急行します。
殺された検査官ジャック・ウォーカーソンは、休暇中にレンタルハウスで殺されていました。
その手口から、犯人は暴力団関係者のようです。
このときバトーはレンタルハウス内で、本に挟まれていた1人の少女の写真を発見しました。
翌日。ウォーカーソンを殺害したのは暴力団組織『紅塵会』の仕業と判明します。
紅塵会は、麻薬から人身売買まで違法な商売を網羅している反社会組織です。
ここの組長がハダリの被害者で、紅塵会の『組長が殺されると、次期組長が前組長の敵を討つ』という掟を実行した可能性がありました。
トグサとバトーは「話を聞くだけ」という約束をしてから紅塵会に乗り込みますが、バトーは派手に暴れて新組長以外を全員殺してしまいました。
大勢殺したにも関わらず、荒巻はなぜか説教だけで済ませます。
トグサはバトーが約束を破ったことを怒り、危 険を顧みないバトーについて行けないと感じました。
全身義体で脳さえ傷つかなければ問題ないバトーと、ほとんど生身のトグサでは、身体に対する思い入れが違うからです。
怒るトグサに、バトーは「ロクス・ソルス社と紅塵会に繋がりがあるかどうか確かめるためにあえて暴れた」と打ち明けました。
この2つの組織に繋がりがあればロクス・ソルスは必ず動きます。
荒巻が説教だけで許したのも、その狙いを理解していたからでした。
あらすじ⑤:ハッキングされたバトー
その日の夜、『動き』は起こりました。
バトーはいつもペットフードを買う雑貨店でゴーストハックされて一般人を殺しかけますが、見張っていたイシカワに気絶させられて事なきを得ました。
(イシカワに動きを制御されるバトー 引用:http://joaquin2010.hatenablog.com)
バトーをハッキングした犯人の狙いは、紅塵会を襲ったバトーを『狂った男』に仕立て上げることでした。
バトーが狂人認定されれば、警察は紅塵会がなぜ襲われたか調べる必要がなくなります。
言い換えると犯人は警察に紅塵会を嗅ぎ回られるとまずいので、責任をすべてバトーにかぶってもらおうとしたのです。
バトーを襲った犯人はロクス・ソルス社の人間で、暴力団と繋がって怪しい仕事をしていたことはほぼ確定です。
これで紅塵会とロクス・ソルス社が繋がっていることはわかりましたが、バトーが一般の店で大暴れしたのは9課にとって大打撃になりました。
何とか犯人を挙げなければ、危険因子とみなされた9課の存続が危なくなります。
9課は捜査を続行し、バトーとトグサはロクス・ソルス社のある北端の地へ向かいました。
あらすじ⑥結末
バトーをハッキング出来るハッカーはそうそういません。
犯人に目星が付いていたバトーは、元同僚で裏専門ハッカーのキムのアジトに行きました。
バトーとトグサはキムの屋敷で無限ループの罠にはめられますが、素子からのサインに気付いたバトーは罠を抜け出して、死んだフリで逃げようとしたキムを捕まえました。
尋問の結果、雑貨店にいたバトーにゴーストハックしたのはキムで、キムはロクス・ソルス社に雇われていることが判明しました。
ロクス・ソルス社の工場は海の中にあります。
バトーとトグサは拘束したキムを連れて潜水艦で工場の近くまで行き、バトーが単体で工場に乗り込みました。
トグサは潜水艦に残ってバトーのバックアップをしていましたが、キムは隙を付いて工場にウィルスをバラ撒いて自殺してしまいました。
工場に眠っていた無数のハダリの在庫が暴走し、中に居る人間に誰彼構わず襲いかかります。
バトーはハダリとの戦いの最中、1体のハダリをハッキングして駆け付けてくれた草薙素子と再会しました。
工場の1番奥に並んでいたのはゴーストダビング装置という違法マシンでした。
それは魂をダビング出来る特殊な装置で、同じ人物にダビングを繰り返すと、オリジナルのゴーストが消耗して最終的に廃人になってしまう危険なマシンです。
ロクス・ソルス社は紅塵会が拉致した少女達のゴーストをダビングし、特別仕様のハダリに入れたセクサロイドを闇販売していたのです。
少女達は何度もゴーストダビングされ、廃人になると殺されていました。
ハラウェイのラボで聞いた『助けて』というボイスメッセージは、拉致された少女からのSOSでした。
装置から助けた女の子が「人形なんかになりたくない」と泣くのを聞いたバトーは、不快感から女の子を叱ってしまいました。
事件の真相がわかった後、素子はバトーに『いつも見守ってる』と言うと、再びネットの中に消えていきました。
事件が解決した後、バトーは初めてトグサの家族に会います。
トグサが娘にプレゼントした人形の目を通して、素子がバトーを見守っています。
解説・考察や感想など
対照的なトグサとバトー
(引用:https://individualhappy.jp)
本作ではトグサとバトーの対照的な性格が描かれています。
人間味の強いトグサと、人形(サイボーグ)に近いバトー。
トグサの人間らしい一面が描かれることで、バトーの孤独や人形らしさが際立ちます。
一方で、バトーが犬を飼っていることや、素子を思う発言には、バトーにまだ人間らしさが残っていることも垣間見えます。
草薙素子はどこに行ったのか
前作で失踪した草薙素子(少佐)は子どもの義体の姿で旅立ちました。
バトーは素子について
「あいつは行っちまったのさ
均一なるマトリクスの裂け目の向こう
広大なネットのどこか その全ての領域に融合して
自分が生きた証を求めたいなら
その道はゴーストの数だけあるのさ」
と発言しています。
素子は義体を捨て、体はもうこの世界にないということです。
恐らくバトーは素子が警告をくれる際に、自分自身の姿で現れないことなどから『体』をもう持っていないのだと感づいていたのでしょう。
素子がもういないと知って、トグサはバトーがなぜこんなにも死を恐れないのか納得がいきました。
トグサもバトーにとって素子が特別であることを知っているからです。
そして「俺は生きて家に帰りたい」とバトーに念押ししています。
ハダリがたくさん出てきて攻撃していたのはなぜ?
(草薙素子がハッキングしたハダリ 引用:https://happyeiga.com)
バトーが船に侵入した後、保管されていた無数のハダリがロクス・ソルスの社員たちもバトーもだれかれ構わず攻撃しています。
これは、バトーの侵入にロクス・ソルスの社員が気付いて作動させたわけではなく(私は最初、社員がハダリを動かしたのだと勘違いしていました。。)、捕まったキムが最終兵器としてウィルスをまき散らしてハダリを暴走させたからです。
ウィルスをまき散らした直後、キムは電脳を焼いて自殺しています。
人形になりたくなかった女の子
バトーがゴーストダビングマシンの中の少女を救い出します。
この子は人身売買のために拉致された女の子です。
「次のステージに行った友達は、話しかけても反応しなくなった」という女の子の発言から、少女達は廃人になるまで何度もゴーストダビングされる予定だったようです。
助けられた女の子は事件を起こした理由と、こうして助けてもらえたことを嬉しそうに語りますが、バトーは人形側の目線で怒り出します。
すると女の子は「私は人形になりたくなかったんだもの!」と叫び、泣き出します。
このとき女の子が言った『人形』は、魂を入れられて実際に人形になる、ということよりも、ダビングを繰り返して廃人になった状態を『人形』と言っていたと思われます。
人形のように何も反応しなくなってしまった友人を見て、こんな風になりたくないと感じたのでしょう。
素子と再会した後のバトー
バトーは素子が消えてからいつもどこかふてくされ、気分が沈んでいました。
それは荒巻部長をはじめ、他のメンバーが心配するほど明らかでした。
バトーは人間なので、どうしても”幸か不幸か”などの、人間特有の価値観で自分を見てしまい、バトーにとって素子がいない状態は不幸だったでしょう。
押井監督が「バトーは前作で素子にフラれてふてくされていた」と説明していたように、バトーは素子が旅立ってからずっと孤独を感じ、ある意味ふさぎこんでいました。
ガブリエルを飼い始めたのも、恐らく孤独を紛らわすためでしょう。
今回の事件でバトーは素子と再会して、素子から「あなたがネットにアクセスするときは、いつもあなたの傍にいる」
という言葉をもらいました。
素子はバトーにとって守護霊的な存在になっています。
素子は今や、ネットの世界の中に住む、特定の体を持たない存在です。
ネットがつながる場所であれば、どこへでも行けます。
直接会ったり会話をすることはなくても、素子はいつもバトーを見守っているのでしょう。
それは、もしかしたらバトーがあまりにも寂しそうだったので、少しでも心を軽くするためにかけた言葉だったかもしれません。
それでも、この言葉はバトーを孤独の闇から救いました。
以上です!読んでいただきありがとうございました(^^)
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非常にわかりやすく読みやすいいい記事でした