映画『バックルームズ』の解説・考察を書いてます。
この記事では、The Backroomsの元ネタからThe Complexと呼ばれる黄色い部屋の世界の仕組み、怪物Still Lifeが生まれる条件、積み上がった家具、STOP標識の意味など劇中の設定に関する疑問を書いています。
※鑑賞済みの方向けの記事です。
制作国:アメリカ
本編:126分
監督:ケイン・パーソンズ
脚本:ウィル・スーディク
主要キャスト:キウェテル・イジョホー(クラーク)、レナーテ・レインスヴェ(メアリー) ほか
映画『バックルームズ』の成り立ちを整理
本作は、匿名掲示板のオカルトジャンルで流行した「The Backrooms」を、若手動画作家のケイン・パーソンズが短編シリーズから長編映画へと発展させた作品です。
元ネタ『The Backrooms』をおさらい
元ネタの『The Backrooms』は、2019年5月12日にアメリカの匿名掲示板「4chan」のオカルト板「/x/」に立てられた「不穏な画像をあげてけ」的なスレッドに投稿された1枚の黄色い部屋の画像と、それについた返信コメントから広がったネットミームでした。

掲示板に投稿された実際の写真(引用:4chan /x/「unsettling images」/4plebs)
現在、この投稿は4chanのアーカイブサイト4plebsで確認できます。
この画像についたコメントは「If you’re not careful and you noclip out of reality in the wrong areas…」から始まるものです。
コメント全文の日本語訳
「注意しないと、現実にある『おかしな場所』からすり抜けて、誰もいないバックルームに落ちてしまうぞ。
そこにあるのは、古く湿ったカーペットの悪臭、狂気を誘う単調な黄色、鳴りやまない蛍光灯のノイズ、そして、およそ6億平方マイルにも及ぶ、無秩序につながった空っぽの部屋だけ。
近くで何かが徘徊している音が聞こえたら、神に祈ったほうがいい。
それは、あなたが気づくよりずっと前から、あなたに気づいている。」
この投稿の数日後には、アメリカのSNS「Reddit」のオカルトコミュニティ 「クリーピーパスタ」 で、この設定を元にした創作が次々に投稿され、さまざまなルールを持つ巨大な共同創作世界へと発展していきました。
そして2022年頃、この映画の監督となるケイン・パーソンズが『The Backrooms』を動画化してYoutubeにアップすると大きな反響を呼び、シリーズ化して最終的に映画化したのが本作です。
ここから先は、映画『バックルームズ』について疑問に思ったことをできるだけ時系列順に書き出していきます。
解説・考察・感想など
バックルームズに登場する怪物などの名称を整理
先にバックルームズ内に登場する怪物などの名前を整理しておきます。
バックルームズ内にいた人間のようで人間じゃない怪物は「Still Life(スティルライフ)」と呼ばれます。
劇中に出てきたStill Lifeは
赤髪で赤い服を着ていた女性、
テーブルランプを点灯させる五体不満足の男性、
椅子に座って動かないボーダー柄のシャツの男性、
そして海賊姿のクラークと、ラストに登場したメアリーです。
人間のクラークと区別するために、Still Lifeのクラークは「キャプテン・クラーク」と呼ばれます。
また、ナレンやフィルなどの研究員は「A-sync(エーシンク)」(A-Sync Research Instituteの略)という研究機関の人間です。
他にも、バックルームズ(黄色い部屋)のことは「The Complex(コンプレックス)」、現実とバックルームズの境目の壁のことは「Threshold(スレシュホールド」と呼ばれますが、劇中では登場していません。
バックルームズ(The Complex)は何なのか
劇中で何度か言われた
「犬を見たことがない人に、言葉で説明して絵を書かせるようなもの」
がバックルームズについての説明です。
当然ですがバックルームズは人口的な空間ではなく、おそらく自然発生した異世界宇宙的な空間です。
また、バックルームズは、ケイン・パーソンズ監督が「コンプレックス」と言い表しています。
コンプレックスは日常的によく耳にする言葉で一般的には『劣等感』みたいな意味ですが、心理学的には『衝動・欲求・観念・記憶等の様々な心理的要素が複雑に絡み合って形成された観念の複合体』という広い意味があります。
例えば「学歴コンプレックス」は劣等感で、「マザコン」は欲求とか執着で、抱く対象によって意味合いが変わります。
そして人間が抱くあらゆる「コンプレックス(衝動・欲求・観念・記憶・劣等感)」が集まり形成された世界が「バックルームズ」ということなのかな?と解釈しています。
バックルームズは人間の記憶やコンプレックスを抽出して具現化するようですが、人間の記憶やコンプレックスという概念の「曖昧さ」が、黄色い部屋の構造としてのおかしさや、Still Lifeの不完全さに繋がっていると思われます。
そういう「すべてが曖昧に再現される世界」のことを、劇中では「犬を見たことがない人に、言葉で説明して絵を書かせるようなもの(そういう世界)」と言い表していたと解釈しています。
Still Life(スティル・ライフ)とは何なのか
スティル・ライフはバックルームズによって作られた「特定の個人が抱くコンプレックスが具現化した生き物」だと思われます。
Still Lifeが生まれる条件について、ケイン・パーソンズ監督は「The Complexが人間やその記憶を「覚えて」再現することでStill Lifeが生じる」とコメントしています。
そのため、バックルームズに入った人間は全員Still Lifeが製造されるわけではなく、一定時間以上滞在して覚えられた人間だけStill Lifeが作られるようです。
実際にボビーとキャットのStill Lifeは出てきませんが、細かい設定は明かされていないためわかりません。
もしかしたらですが、A-sync研究員が全員宇宙服みたいなのを着ていたのは、バックルームズに「覚えられない」ため(Still Life出現を阻止していた)からなのかもしれません。
それなら研究員のStill Lifeが1人も出てこないのも納得です。
しかし例外もあり、赤髪、赤服の女Still Lifeはクラークの元妻バーバラだったので、本人がバックルームズに入らなくても、記憶から自分以外のStill Lifeが作られることもあるみたいです。
バーバラStill Lifeが生まれたのは、クラークがバーバラに対して未練があったからです。
また、クラークのコンプレックスを具現化したのがキャプテン・クラークだったとすると、
クラークのコンプレックスは「海賊(もしくは王様)のように周りの意見を聞かず自分勝手な自分」と「攻撃的で他責志向な自分」です。
そう考えると、バーバラStill Lifeがキャプテン・クラークから一目散に逃げていたのは笑えました。
でもクラークの記憶から生まれたバーバラStill Lifeがキャプテン・クラークから逃げたということは、クラーク自身もバーバラが離れた本当の理由を心の底ではわかっていたことを示しています。
車いすのStill Lifeとチェックシャツ男Still Lifeの詳細も気になりますが、ヒントが少なくてわかりません。
他の方の考察によると、車いすの男性は服装やランプの雰囲気から、クラークよりかなり以前からバックルームズに迷い込んだ、クラークとは無関係の人物の可能性が高いようです。
チェックシャツ男はクラークがお店のブレーカーを見てもらっていた電気工ではないかという説があります。
確かに似ています。
でも電気工おじさんはクラークの記憶から生まれたStill Lifeではなさそう(コンプレックスを抱く理由がない)ので、
もしかしたらクラークがおじさんをバックルームズに入らせていて、人間のおじさんは今もどこかをさまよっているのかもしれません。
積まれていた家具や道路標識の意味は?

© 2026 A24
クラークが家具店の地下の壁から入ったバックルームズの部屋には、家具がまるで不用品のように積まれていました。
バックルームズに出現するものは、人間の精神世界が少なからず反映していたみたいだったので、クラークの家具店と隣接していたこの部屋には、クラークの心の中が映し出されていたのでしょう。
積みあがった家具は、クラークの悩みのひとつ(売れない家具)を象徴していたと解釈しています。
そして、その「売れない家具」がごみのように積み上げられていたのは、クラークが家具店を大切に思えていないこと(望んでこの仕事を選んだわけじゃないという気持ち)を表していたように見えました。
現実世界でそれがわかるのは、CM撮影中に椅子が壊れたときにクラークが悪態をついたシーンです。
また、最初の部屋の少し奥のほうに「STOP」の道路標識🛑が置かれていました。
これも、クラークが「ここに長居するのはまずいかも 引き返した方が良い」と警戒する気持ちが具現化していたと解釈しています。
しかし、クラークは好奇心に負けてバックルームズに魅了されてしまいました。
次の記事に続きます。
まとめ
この記事では、元ネタの成り立ちやバックルームズという世界の正体、コンプレックスと呼ばれるバックルームズの正体、Still Lifeの解説やStill Lifeが発生する条件、積み上げられた家具、STOP標識など、劇中で気になった細かな描写を一つずつ解説・考察しました。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
記事②に続きます。
・こちらの記事も読まれています

・参考サイト様一覧
kane-pixels-backrooms.fandom.com:Barbara
感想などお気軽に(^^)