映画『室井慎次 生き続ける者』の解説考察記事です。
この記事では、殺人事件の犯人と動機、日向真奈美の事件への関与と目的、杏が数週間潜伏していた理由、室井が杏に猟銃の使い方を教えた理由を書いてます。
鑑賞済みの方向けの記事です。
本編:115分
監督:本広克行
脚本:君塚良一
オープニング曲:「LIFE」歌/菅野祐悟
エンドロール曲:「生命」歌/松山千春
キャスト紹介
室井 慎次…柳葉敏郎
警察を早期退職し、故郷の秋田で事件の被害者・加害者家族を支援しながら穏やかな生活を送っている。
レインボーブリッジ事件絡みの事件が発生し、捜査協力する。
森 貴仁(タカ)…齋藤潤
室井が養子に迎えた高校生。読書好き。
母親をヤクザの男に殺された被害者遺族。
柳町 凛久(リク)…前山くうが・前山こうが
室井が養子に迎えた不登校の小学生。
父親が出所し、親の元に戻ることになる。
日向 杏…福本莉子
室井の自宅倉庫で見つかった16歳の少女。
青島が過去に逮捕した猟奇殺人犯・日向真奈美の娘。
タカとリクに室井に関する嘘を吹き込んだり、自宅車庫に放火するなど不審な行動を繰り返す。
新城賢太郎(秋田県警察本部長)…筧利夫
乃木真守巡査(北大仙署地域課)…矢野悠馬
桜章太郎(本庁捜査一課)…松下洸平
沖田仁美(警察庁長官官房審議官)…真矢みき
仁狩英明(捜査一課管理官)…西村直人
三波行(秋田県警捜査一課)…平島厚志
青島俊作…織田裕二
・北大仙の住人
大川紗耶香(タカの同級生)…丹生明里
石津百男(石津牧場)…小沢仁志
石津紀子(百男の妻)…飯島直子
石津智明(石津夫婦の息子)…園田翔太
長部音松(地区長)…木場勝己
市毛きぬ…(市毛商店の店主)…いしだあゆみ
地元のヤンキー…長田拓郎、原沢侑高、勝沼優、小笠原道拓
紗耶香の男友達…堀内京
・その他
日向真由美(猟奇殺人犯・杏の母)…小泉今日子
柳町明楽(リクの父親)…加藤浩次
松木敬子(児童相談所職員)…稲森いずみ
児童相談所職員…松本岳
国見昇…マギー ほか
・過去映像、写真のみの出演
瀬川吉雄(被害者)…三宅弘城
高橋健三…入江雅人(犯人グループ)
三島龍也 – 森下能幸(〃)
中島高志 – 木村靖司(〃)
明石幸男(管理センター)…赤ペン滝川
恩田すみれ…深津絵里
真下雪乃…水野美紀
解説・考察・感想など
前編の「室井慎次 敗れざる者」で発生した事件の解決編が本作「生き続ける者」です。
前作で起きていた事件がどのような結末を迎えたか、ひとつずつ見ていきます。
殺人事件の犯人と動機
室井の家の近くで発見された瀬川吉雄を殺して埋めた犯人は、瀬川の仲間だった国見昇(マギー)でした。
国見は、過去のレインボーブリッジ事件の犯人グループの1人で、すみれを撃った男です。
捜査に協力した室井が、警察に電話をかけてきた犯人の声が国見だと気づき、逮捕に繋がります。
国見が瀬川を殺した理由は「仲間割れ」だと語られます。
具体的な経緯は語られませんが、国見と瀬川は出所後に特殊詐欺と強盗を一緒にやっていて、その中で喧嘩に発展したのではないかと推測されています。
事件と日向真奈美の関係は?
桜(松下洸平)は、国見と瀬川が日向真奈美(小泉今日子)の信者だったこと、2人が真奈美と手紙でやり取りをしていたことなどから、
日向真奈美が2人の仲間割れを仕向け、その結果、国見が瀬川を殺したこと、
そして真奈美が室井の住所を何らかの方法で入手し、室井の周辺に死体を遺棄するよう国見に指示したことが推理として語られています。
桜の推理を否定する描写も出てこないので、これが事件の真相に近いのでしょう。
日向真奈美が室井を狙った理由は?
真奈美は娘の杏を意図的に室井の元によこした可能性も示唆されています。
桜の推理は、真奈美は杏を洗脳して里親を攻撃させ、困った里親に対して「室井に預けてはどうか」と助言した、というものでした。
真奈美が室井を狙った理由は「邪悪なものは幸福を壊したがる」から。
真奈美は室井の幸福を壊そうと、真奈美自身の代わりに杏を送ったということです。
この推理には疑問がありまくりです(笑)
真奈美が室井に目を付けた理由は「青島と関わりが深かった人間だから」と考えると何となくわかりますが、真奈美と室井は面識がないはずなのに、室井の個人情報や、室井が「幸せかどうか」など、どうやって真奈美が知れるのか、というのが個人的な疑問です。
杏の里親と日向真奈美が接触していたというのも謎ですが、定期的に杏が真奈美と面会していたという情報もあったので、杏の里親は日向真奈美の信者なのでしょうか。
面識のない室井すらもターゲットにしたのなら、すみれ(深津絵里)も何かされていそうで怖いです。
というか『日向真奈美 黒幕説』をやりすぎじゃないかと個人的には思います(笑)
杏が室井の自宅近辺に何週間も潜んでいた理由は?
前作『室井慎次 敗れざる者』で、杏は室井の自宅近辺に数週間か潜んでいました。
この理由は、恐らく杏が真奈美から「里親を信用するな。傷つけられる前に傷つけろ そうしないと、1人ぼっちになる」と洗脳されていたのが原因と思われます。
杏はしばらく室井、タカ、リクを監視していたのでしょうが、個人的にはその間の食事やトイレはどうしていたのか疑問です。
寝床は車庫だとして、食べ物は封筒のお金で買っていたのでしょうが、あの辺りには「きぬの店」しかなさそうですし、見知らぬ女の子がお店に何度も来たら、室井に見つかる前にきぬが心配して杏に話しかけたり警察に相談したりしそうですし、
トイレを考えても年頃の女の子が野外ではさすがにできないと思うので、室井の家に誰もいない隙に侵入してトイレを借りていたのでしょうか?それとも集落のどこかに公共トイレがあったのでしょうか?
ほかにも色々と考えだすと疑問が多すぎるので「何週間も潜伏」はちょっと設定に無理があった気がします。
杏の問題行動の原因は?
杏がタカとリクに室井に関する嘘をついたり、室井の車庫に火をつけたのも、真奈美による洗脳が原因です。
杏が持っていたメスは明らかに真奈美からもらったものですし、杏自身も母親の愛情を求めているのがわかるし、それは人間なら誰もが持つ欲求です。
しかし、杏は真奈美を「くそばばぁ」とつぶやくシーンもあったことから、完全には洗脳されていなかったこともわかります。
杏は室井たちと接して「本物の愛情」を知ることで洗脳が解け、タカやリクとも本当の自分で接することができるようになり、集落の人々とも交流を持ち始めました。
杏やリクの様子には、「親と子は全く別の人間であること」が強調されていたように見えました。
余談ですが、乃木巡査が手配していた「杏を施設に入れる話」がいつの間にかなくなっていたのが地味に気になります。
乃木は「決まったことだから変えられない」的なことを言っていましたが、杏は16歳だし自分の意思を主張できて、断われたということなのでしょうか。
室井が杏に猟銃を使わせたのはなぜ?

(C)2024 フジテレビジョン ビーエスフジ 東宝
杏が金庫を開けて猟銃を取り出したのを見た室井は、杏に猟銃の試し撃ちをさせてあげています。
普通なら金庫を勝手に開けたことに気づいた時点で怒りそうな所を、むしろ寄り添っているのが室井なりの親心です。
そして「猟銃は危険だから触るな」「金庫に近づくな」と叱るどころか、「責任は俺が取る」とおなじみの名言を発して杏に猟銃の使い方を教えました。
猟銃の使い方を教えたことも、金庫の暗証番号を隠さないのも、「杏を信じている」と室井なりに示した行動ですが、ちょっと危なすぎる気もします。
この記事のまとめ
『室井慎次 生き続ける者』では、前作『敗れざる者』で起きた事件の真相が明らかになりました。
瀬川吉雄を殺害した犯人は国見昇で、その背後には日向真奈美の存在があったと考えられます。
また、杏の問題行動や室井の家の近くに長期間潜んでいた理由にも、真奈美による洗脳が関係していたようです。
室井やタカ、リクと過ごす中で杏が「本物の愛情」を知り、少しずつ変わっていく姿も本作の重要なポイントでした。
一方で、日向真奈美がどうやって室井の個人情報を入手したのか、なぜ室井を狙ったのか、杏が何週間も潜伏できたのかなど、考えてみると疑問が残る部分もあります。
以上です!記事②に続きます。
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