『TENET テネット』解説・考察|時系列整理、逆光と背景の整理、主要キャラの正体と謎、名も無き男のその後など | 映画の解説考察ブログ - Part 3

『TENET テネット』解説・考察|時系列整理、逆光と背景の整理、主要キャラの正体と謎、名も無き男のその後など

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SF

プリヤは何者だったのか

Tenet
(引用:https://www.pinkvilla.com

ボンベイ最大の武器商人だったプリヤの行動と目的について整理します。

プリヤはTENET作戦の『顔』になることと、『資金と武器の提供』だったと思われます。

真の黒幕である主人公が過去の段階で殺されてしまわないように守るためです。
ただ、プリヤは主人公を守るために黒幕を名乗っていたわけではなく、プリヤはなぜか自分が黒幕だと殺される直前までは思っていたのではないでしょうか。

そちらについては別項目に書いています。

 

プリヤが選ばれた理由

主人公はアルゴリズム奪還に成功した後、オペラハウステロが起こるよりも前に逆行してプリヤに接触して『TENET作戦』の仲間にします。

主人公がプリヤを選んだ理由は恐らく、プリヤがセイターに対抗できるほどの金と武器を所有していたからでしょう。
プリヤが逆行やセイターについての知識があったのは、恐らく主人公が彼女をスカウトした時に教えたのです。
そして、後に『逆行について何も知らない昔の主人公』が現れるので、その時はよろしく的な話をしていたのでしょう。




プリヤの目的

普通に考えれば、武器商人である彼女が『世界平和』のために巨額の資金、武器提供をするとは考えにくいです。

なので、プリヤは世界に多大な影響力を持つ武器(アルゴリズム)を所有したい』というのが一番大きかったのではと考えています。

 

プリヤが主人公を殺した可能性

プリヤはずっと彼女自身が黒幕だと思っていたようですが、2回目のオスロ金庫を経た後、主人公がプリヤに「他に黒幕がいるのか?」と聞いた時、プリヤはギクッとした表情をして何も答えません。

・プリヤはアルゴリズムを欲しがっている
・プリヤは自分が黒幕だと思っている
・それなのに『黒幕が居るのか?』には答えない(かつ焦りの表情)
・黒幕は主人公

以上から想像を働かせた結果、主人公はプリヤに殺されたんじゃないかという推測が浮かびました。(あくまでも推測です)

殺されるタイミングは、主人公がTENET作戦の準備を終えた後の段階(まだTENET作戦の名前しか知らない主人公がサイジェイを訪ねる前)です。

プリヤはTENET作戦の全てを理解してから主人公を早めに『後始末』して、黒幕になり変わり、殺した主人公から教わった通りに動いてアルゴリズムを手に入れてしまおうとしていたのではないでしょうか。

お金、武器、部隊は全てプリヤが負担するわけですから、ニールも彼女が表に立っていることを不思議に思わないでしょうし、表向きはプリヤを『顔』にした方が計画遂行中の主人公の危険が少なくなります。

作戦が進む中、プリヤの真の目的を知った主人公は最終的にプリヤを危険因子とみなして『後始末』しました。

ざっくり言うと時系列は異なるものの、主人公とプリヤはお互いに後始末し合いっ子したということです。
ニール、セイター、プリヤが死ぬので、主人公も計画の最後(役目を果たした後)に死亡している方が計画としては完璧になるのではないかとも思えます。(悲しいですが)

 

プリヤはなぜキャットを殺そうとした?

アルゴリズム奪還計画が成功した後、プリヤはキャサリンを待ち伏せて殺そうとします。
これはプリヤ自身は『後始末』と言っていました。
プリヤが『計画』に関係ないと判断した人の中で、逆行やアルゴリズムについての情報を知り過ぎている人を殺そうとしていたのでしょう。

しかし、キャサリンは敏感に身の危険を察知して、主人公から預かっていた携帯に留守電を吹き込んで助けてもらいました。




ニールの目的と正体

Tenet
(引用:https://i.redd.it

ニールの目的は一貫して主人公の良き友となり計画遂行の手助けをすることです。
計画遂行の過程で大きな伏線となる『オレンジ紐のコインチャーム』の持ち主がニールであることも発覚し、彼は主人公の最重要ミッションの手助けをして死亡してしまう悲しい運命を背負っています。
彼はなぜ自分が死ぬとわかっている過去に戻ってまで任務に命を懸けるのでしょうか?

「計画が成功したら僕の人生を教えてやる」と言っていたのにあんまり教えてくれなかったので残念極まりないです(笑)

 

ニールが計画に命を懸ける理由

それは、彼の『起きたことは変えられない』『この世界の理だが、何もしない理由にはならない』というストイックな信念からだったり、自分自身が大きな計画の一部であることを真に理解しているからです。

過去や未来を変えてしまうことは、どういう理由であっても彼の信念に反するということなのでしょう。

ニールが計画に加わる理由は信念だけではなく、彼がキャサリンの息子マックスである可能性が高いことが大きな理由です。

マックスの本名である『Maximilien』は逆さ文字にすると最初4文字が『NEIL(ニール)』になりますし、ノーラン監督自身も『ニールという名前は彼の本名ではない』という旨の発言もインタビューに残っています。
セイターの「息子を設けたことが最大の罪」という発言も、ニール=マックスの暗示に感じます。
『世界を逆行させて息子を消してしまうことが忍びない』という意味にも取れますが、『成長した息子が主人公側に付いて大きな貢献をしていることが許せない』と言っているようにも聞こえるからです。

そうなると、計画遂行の時にマックスの年齢は明かされませんが10歳位だったとして、成長して大学の修士号を取った後に主人公にスカウトされて、計画が本格始動する10歳頃まで逆行し続けたことになります。

調べてみると、イギリスで修士課程を修了出来るのは最若で20歳です(筆者調べ)から、そこから逆行すると約10年逆行することになるので、ニールの発言『主人公から数年前にスカウトされた』とは矛盾してしまいます。

しかし、該当となるニールのセリフの日本語字幕では『数年前』ですが、原語では『Years ago for me. Years from now for you.』であり、そうなると『数年』ではなく『何年前』という捉え方もできます。
ということで、若干無理やりですが、私はやっぱりニール=マックス説を信じます。

話を戻してニールは20歳頃の修士課程修了後に主人公にスカウトされ、一緒に約10年逆行しながら『逆行の仕組み』『未来人とセイターの計画』『銃の使い方などの戦術』を主人公から学びました。
『主人公と友情を育み、主人公のためなら死んでも構わないと思えるような関係』になるにも充分な時間です。
これはまだ何も知らない主人公がニールをスカウトした時の、ニールの「君に消されるなら良いか」的な発言に基づいた想像です。

長期間の逆行だとまともな人間関係は一緒に逆行している人物としか構築できないと思うので、主人公との絆もより濃厚になっていたと予測できます。
スカウトした未来主人公はニールが計画で死ぬことを知っているので、余計に可愛がること間違いなしです。
彼の超ストイックな性格や主義も、主人公と過ごした逆行の10年で培われたと考えれば納得出来ます。

もしも『ニール10年逆行』が納得できなければ、セイターが金塊を受け取ったり契約書を受け取ったりしていた逆タイムカプセル的な道具が何らかの形で活躍したのではないでしょうか。最後適当ですみませんw

ニールの年齢も不明ですが、見た目はアラサー位に見えました。
そうするとざっくり計算で逆行を始めたのが20歳、計画開始が30歳で辻褄は会います。
逆行中は年を取らないのかと勝手に思っていましたが、普通に年を取るのかもしれませんね。

というか主人公がニールをスカウトしてから計画が始動するまでで映画作れますよね。作って欲しい。

 

『中間地点』『出発点』『美しい友情の終わり』?

ニールはアルゴリズム奪還完了した後の別れ際に「今はまだ中間地点だ。出発点でまた会おう」と言います。

ラストのネタバレ祭りで、TENET作戦を考案したのも仲間を集めたのも全て主人公だったことが明らかになりました。
つまり、主人公はラストの後、過去と未来を行き来してニールやプリヤをスカウトするということです。

なので、本来なら計画を立ててから完了するまでの順序が『考案→準備→遂行』になるはずですが、時系列の入れ替わりが絡むので『準備→遂行(中間)→考案』になっているということです。

『美しい友情の終わり』について。
ニールは映画の終わった後過去に戻って死亡するので、ニールにとっての主人公との友情はここで終わりです。
しかし主人公はこれから過去に遡ってニールをスカウトするので、その時がニールの『出発点と友情の始まり』になります。
ちなみに主人公にとってのニールとの『友情の始まり』は計画が完了した直後、『友情の終わり』は計画が始まった頃 ということになります。

このセリフは1942年の戦争映画『カサブランカ』の名台詞『美しい友情の始まりだな』のオマージュと言われています。




セイターについてのあれこれ

Tenet
(引用:https://www.thisisbarry.com

セイターは逆行しまくっていて行動の順序が全く理解できないので、行動順序の整理からは逃避します。(いつか気が向いたらやります)

セイターはなぜ未来人に選ばれたのか

セイターはなぜ未来人に選ばれたのでしょうか。

プリヤはたしか『彼が最適な時間と場所に存在した』と日本語でおkな発言をしていました。
具体的に考えてみると、セイターは『自殺した発明者』がアルゴリズムを隠した時代に生きていて、かつ、近々死ぬ運命になっていた武器商人だったからなのでしょう。

原因と結果が逆になってしまいますが、セイターが武器商人になると未来人は記録で知っていたので、セイターがまだ10代の頃に接触して唾をつけてしまったということなのでしょう。

セイターはなぜ病気だった?

セイターは末期の膵臓癌を患っていて余命僅かなことがラスト付近で判明します。

セイターはまだ50代前半で、人生100年時代と言われる現代においては若すぎる死です。
恐らく癌の原因はセイターが若い頃から核に関わってきた被爆者だったからではないでしょうか。
被ばく者と癌の関係についてはわかりませんが、核兵器と共に生きてきたセイターは、死ぬ理由も核兵器の方がしっくりきます。

 

『TENET』の続編はある?

テネットの続編となる『Oppenheimer(原題)』は、2023年に公開予定で現在製作中です。
オッペンハイマーは逆光のシステムを開発した天才科学者で、自殺したとプリヤが語っていた人物で、時系列としては過去編に相当するのかもしれません。
公開されている主要キャストはキリアン・マーフィー(主演)、フローレンス・ピュー、ゲイリー・オールドマン、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jrなどなど豪華メンバーばかりで楽しみすぎます。

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感想などお気軽に(^^)

  1. 匿名 より:

    世界を滅ぼす逆行装置を発明した科学者を、原爆を発明したオッペンハイマーに例えただけで科学者=オッペンハイマーではないと思います

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