映画「メメント」の時系列整理と細かい解説をしています!
ネタバレありきの解説考察記事です。本作をまだ見ていない方はご注意ください。
制作年:2000年
本編時間:113分
制作国:アメリカ
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
原作:ジョナサン・ノーラン
キャスト&キャラクター紹介
(引用:https://somewherearoundhere.hatenablog.com)
レナード…ガイ・ピアース
元保険調査員の男。
約1年前、強盗が自宅に押し入り妻を殺された上、レナード自身も暴行を受けて前向性健忘という10分以上記憶を保てない障害を発症してしまう。
妻を殺した強盗に復讐しようと日々情報を集め、集めた情報を忘れないためにタトゥーを沢山入れている。
(引用:https://www.pinterest.jp)
テディ(ジョン・ギャメル)…ジョー・パントリアーノ
レナードの友人を名乗る怪しい男。
レナードが記憶障害にかかった後に知り合ったため、覚えられていない。
様々な理由で何度もレナードの前に現れる。
©2000 I REMEMBER PRODUCTIONS,LLC
ナタリー…キャリー=アン・モス
レナードが宿泊するモーテルの近くにあるバーの女店主。
彼女も恋人を殺され、憐れみからレナードの復讐に協力してくれるという。
レナードは彼女を信じるが、テディは「信用するな」と言う。
・その他のキャスト
レナードの妻…ジョージャ・フォックス
サミー…スティーブン・トロボウスキー
サミーの妻…ハリエット・サンサム・ハリス
バート(ディスカウント・インの店主)…マーク・ブーン・ジュニア
ドッド…カラム・キース・レニー
ジミー(ナタリーの彼氏)…ラリー・ホールデン
コールガール…キンバリー・キャンベル
エマ(タトゥーの彫師)…マリアン・ミューラーミール ほか
あらすじ(時系列順)
本作は一連の出来事の時系列が逆向きに進んでいるパートと、普通に話が進んでいるパートが交互に流れ、最後に時系列が重なる、という変わった組み立てになっていて、時系列が逆向きに進んでいるのはカラーの映像、順を追って進んでいるパートはモノクロになっています。
「観客にも前向性健忘の疑似体験をしてほしい」という監督の意向でこのようになったそうです。
ラストで話が繋がってスッキリする感覚と、主人公の人間性が明らかになる驚きが同時にやってきて興奮します。
とはいえ、時系列を直してさらにスッキリしたいので整理します。
妻と幸せに暮らしていたレナードの自宅に深夜、強盗が押し入りました。
レナードが異変に気付いた時、妻はバスルームでビニールを顔に巻かれ殺されかけていました。
レナードは妻を助けようと強盗1人を銃で撃ちますが、背後に隠れていたもう1人の強盗に頭を殴られ気絶します。
その後、妻は死亡。レナードは暴行の後遺症で10分以上記憶を保てない記憶障害を患ってしまいました。
レナードは警察に「強盗は2人居た」と訴えますが、警察は強盗は1人だったと断定して捜査を打ちきってしまいました。
レナードはもう1人の犯人に復讐するため独自に調査を始めます。
時系列順のあらすじ(前半)
(引用:https://100nolan.com)
レナード(ガイ・ピアース)、モーテルの部屋で目覚める(チェック柄のシャツ着用)
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身体の入れ墨、太ももに『剃れ』と書いた紙が貼られていることに気付く
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シェービングクリームを太ももに塗っていたら電話がかかってくる。
電話の相手にサミーの話をする。
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電話の相手に事件当日の状況を話し、犯人は麻薬の売人だと推理する。
「家のそばに停めてあった盗難車に麻薬と現金があった その車には犯人の指紋もついていた 知り合いの警官に関係資料をもらったが その資料は一部欠けてる」
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太ももに「事実5 麻薬の売人」のタトゥーを入れる。
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電話の相手にサミーの妻の話をする。
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電話で話しながら腕に貼られていたガーゼをはがすと『電話に出るな』と書いてある。
驚いて「誰だ?」と聞くと、電話は切れた。
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すぐ電話が鳴るのでモーテルの店主バートに「電話を繋ぐな」と指示する。
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隣の部屋の音を聞こうとしているとバートが「警察から電話だ」と知らせに来る。
レナードは「電話はだめだ。話す時は会って話す」と答えた。
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電話は鳴り続ける。レナードが無視していると、ドアの隙間から封筒が差し入れられる。
封筒の中身は「電話に出ろ」と書かれたメモと、レナードの笑顔の写真だった。
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結局電話にでると、刑事を名乗る男からだった。
刑事にサミーの妻の話をする。
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電話の男に「会おう」と言われ、特徴を聞いて電話を切り、フロントに出る。
ギャメル刑事と名乗る男(テディ)がフロントに居て、恐らく電話で聞いた特徴と一致したのでレナードは駐車場へ行く。
刑事の写真を撮って「ギャメル刑事」と書こうとしたが「秘密捜査だから本名を書くな」と言われてテディとメモる。
テディが「君の妻を殺した犯人(麻薬の売人)と会う約束を取り付けたから会ってこい」と言うので、待ち合わせ場所の廃墟に行く。
この時のレナードの車は黒のピックアップトラック。
廃墟に入るとジミー(麻薬の売人)が現れた。
ジミーはテディと約束していたのにレナードが来たので驚く。
ジミーを殺し、写真に撮り、ジミーが着ていた服(ベージュの高級スーツ)に着替え、遺体を廃墟の地下に移動させた。
その後テディに利用されたことを知り、殺害を決意。
車に戻ると『犯人の車のナンバー:SG137IU』とメモに残し(SG137IUはテディの車のナンバー)、テディの写真に『こいつのウソを信じるな』と書き込み、ジミーを殺した時の写真と自分の笑顔の写真を燃やした。
・写真2枚をを焼いたのは、真犯人を既に殺していることを忘れる(犯人捜しを続ける)ため。
・テディのメモに『奴のウソを信じるな』と書いたのは、レナードがテディを怪しい人物だと思うように(聞きたくない真実をテディが話した時に真に受けないように)するため。
ジミーの車を自分の物にしてエマの入れ墨店に到着(ラストシーン)
時系列順のあらすじ(後半)
テディの車のナンバー『SG137IU』を犯人の車のナンバーと思い込み、タトゥーを彫る。
タトゥー施術中、テディが店内に入ってきて「人目につく場所に車を止めるな!」と言われる。
テディは「悪い刑事が君を追っている。車も服も名前も変えて逃げろ。その刑事は麻薬取引を調べていて、君は巻き込まれた。見つかったら殺されるから、着替えてから逃げろ」と言う。
レナードは従おうとしたが、テディの写真に「奴のウソを信じるな」と書いてあったので着替えるのをやめた。
スーツのポケットにファーディーズバーのコースターと、焼かれて丸まった写真があったが、写真はゴミだと思って捨てた。
テディに見つからないように窓から外に出て車に乗り、ファーディーズバーへ。
バーの駐車場に入るとすぐにナタリー(バーの女店主、キャリー=アン・モス)が近づいてくるが、レナードが運転していたので驚き「人違いだったわ」と謝る。
・ポケットに入っていた焼けた写真はジミーの死体とレナードの笑顔写真だったが、レナードは焼いたことを忘れていた&思い出してはいけない気がして捨てた。
・車でバーに着いた直後、ナタリーが話しかけたのはジミーの車だったから。
ジミーだと思って話しかけたら運転していたのはレナードだったので動揺し、とりあえず謝った。
↓
ファーディーズ・バーのコースターの裏に『あとで来て ナタリー』と書いてあったのでバーに入る。
ナタリーに「なぜその格好で来たの?」と聞かれるが意味わからず。
レナードの様子を見て、ナタリーは「『何でもすぐに忘れる男』をジミーと警察が探してたと聞いたけど、あなたね」と言う。
何故来たのか聞かれてレナードがコースターを見せると、ナタリーは顔をしかめた。
ナタリーはレナードの記憶障害が本当か確かめるため、数人のツバを入れたビールをかきまぜた。
レナードはジミーを殺したことも服を奪ったことも覚えてないし、ナタリーがジミーの恋人である事も知らなかった。(テディから聞かされたかもしれないが、少なくともメモには残していなかった)
・ナタリーの言う「警官」はテディのこと。
・レナードが出したコースターを見てナタリーが顔をしかめたのも、元は彼女がジミーに渡したメモだったから。
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レナードがナタリーに出されたビールを飲むと、カウンターにいたおじさんが笑った。
ナタリーは「汚いから変える」と言い、ビールを取り換えた。
ナタリーはレナードの記憶障害が本物と確信。
ナタリーの家に行き、妻が殺された事件について話し、逃げた強盗犯を探してると打ち明ける。
ナタリーは「私は仕事に戻るけど、この家に居てもいい」と言って出ていった。
レナードはナタリーの写真を撮った。
↓
約10分後。ナタリーが部屋に戻ってきて「ドッド(マフィアの男)が私を探してる。ジミーの金を私が盗ったと勘違いしてる」と焦った様子で話しながら、部屋にあるペンを全部バッグにしまった。
ナタリーはレナードを罵り、怒ったレナードが殴ると満足そうに出ていった。
レナードはナタリーの人間性を疑い、ナタリーは信用するなとメモに残そうとペンを探すが、見つからない。
ジミーが大金を持ったまま消えたので、探すためにナタリーに接触しようとしている。
・ナタリーが部屋にあるペンを全てバッグにしまったのは、レナードにメモさせないようにする(ナタリーを殴ったことを忘れさせる)ため。
・ナタリーがレナードを罵ったのは、レナードが手を上げるよう仕向けていた。
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約10分後。ペンを探している内に忘れてしまい、同時にナタリーが戻ってきた。
顔の怪我を心配すると、ナタリーは「あなたが『ドッドにテディのことを知らせに行け』と言うから、行ったら殴られた 『明日までに麻薬と金を持ってこないと殺す』と言われた」と訴える。
レナードは「俺がドッドと話す どんな奴か書け」と言い紙を渡した。
ナタリーは「向こうがあなたを見つけるはず あなたの車を教えてしまったから」と言いながらドッドの特徴を紙に書いた。
レナードは自分の手に何かを殴った跡や感触があるのに気づくが、理由を思い出せなかった。
ナタリーは実際にはドッドと会っておらず、家の外で待機してレナードが記憶を失くした頃に戻ってきてウソをついていた。
・ナタリーが「向こうがあなたを見付ける」と言ったのは、レナードがジミーの車を使っているから。
ナタリーの家から出て車に乗ると、助手席にテディがいて驚く。
テディは「ナタリーの彼氏は麻薬の売人(ジミー)で、ナタリーは連絡係だ
彼女はお前のスーツも車も見た(元はジミーのスーツと車)
君を身代わりにするつもりだ 『ナタリーを信用するな』とメモしろ」と言う。
レナードには意味がわからなかったが、テディが真剣なので言われた通りメモした。
テディが去った後、テディの写真に「こいつのウソを信じるな」と書かれていたので「ナタリーを信用するな」のメモを消した。
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車の中にいる。コースターの裏に『ディスカウント・イン』と書かれていたのでそこへ行き、ディスカウント・インの看板の写真を撮る。
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部屋に入って壁に地図を貼り、電話帳を出してコールガールを呼ぶ。
コールガールに妻の遺品を渡し「これを適当に部屋に広げてほしい。俺が寝たらトイレに行って、俺が起きる位大きな音を立ててドアを閉めてくれ」と指示。
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ベッドで目が覚める。妻がトイレに行ったと思い、ドアを開けたらトイレにコールガールが座って麻薬を吸っていた。
コールガールに帰ってもらい、妻の遺品を入れた紙袋を持って車に乗る。
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人気のない場所で妻の形見(本、目覚まし時計、クシ、くまのぬいぐるみ)を焼く。
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車を運転していたら白人の男に合図されて近場の駐車場に車を止める。
男が「この車をどこで手に入れた?」と聞いてくるが、レナードには質問の意味が分からず、ガラの悪い男だったので隙をみて逃げる。
ドッドはジミーの麻薬と金とジミー本人を探している。
ジミーの車を見つけて追いかけてみたら、運転していたのがレナードだったので「この車をどこで手に入れた?」と訊ねた。
レナードはジミーを殺して服も車も奪ったことは忘却の彼方なので、意味が分からず逃げた。
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駐車場を全力で走っている間に記憶が飛ぶ。
男に追われていることに気付き、車に乗って逃げる。
ポケットの中に「ドッド 白人 五番通りのクレスト・イン6号室」のメモ(ナタリーが書いたもの)を見て、この男がドッドだと推測。
待ち伏せしようとクレスト・イン6号室に侵入し、トイレで酒瓶(武器)を持ってドッドを待つ。
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酒瓶を持ってトイレに座っている間に記憶が飛ぶ。
なぜ酒瓶を持っているかわからなくなり、自分が借りたモーテルと勘違いしてシャワーを浴びる。
ドッドが戻ってきてもみ合いになり、気絶させてガムテープで縛りクローゼットに入れて写真を撮る。
ポケットに「ナタリーのためにドッドを消せ テディに連絡しろ」と自筆のメモがあったので、テディに連絡して到着を待つ。
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モーテルの部屋のベッドで居眠りしたら記憶飛ぶ。
クローゼットに縛られた男(ドッド)が入っていて、理由がわからず慌てているとテディが到着。
テーブルの上にドッドの写真があり「消せ 詳細はナタリーに聞け」と自筆のメモがあった。
ドッドはとりあえず町から追い出して、ナタリーに事情を聞きに行く。
↓
ナタリーの家に行き、ドッドについて説明を求める。
ナタリーは「あなたが私のためにドッドを殺すと約束してくれた」と答え、レナードは多少疑問を感じたが、一応納得した。
その後、ナタリーも恋人のジミーを亡くしたばかりで悲しみにくれていることを知る。
「ジミーはテディという男と会いに行って帰ってこなかった」とナタリーは語る。
ナタリーの写真に「彼女も恋人を亡くし憐れみで協力を」と書き込んだ。
そのままナタリーの家に泊まる。
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ナタリーの寝室で目覚める。
また会う約束をして、別れ際、ナタリーはレナードにキスをした。
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ナタリーの家から出た直後にテディが現れてランチする。
テディは「君はハメられて全く関係ない男を殺すかもしれないから用心しろ」と助言した。
宿泊しているモーテルの部屋の鍵を失くしたので店主バートに会いに行くと、レナードが病気なのを良いことに2部屋借りさせられていた(2部屋分の料金を取られていた)ことを知る。
ナタリーと約束した午後1時が近いことに気付き、待ち合わせ場所のレストランへ向かう。
テディはレナードがナタリーに利用されていることを仄めかして警告しているが、レナードはテディを信じない。
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13時 レストランに到着。
レナードが持っていたナタリーの写真に「彼女も恋人を亡くし憐れみで協力を」と書かれていたので彼女を信じる。
ナタリーは、レナードが探している『SG137IU』の車の持ち主の免許証、車検証のコピー、殺すのに最適な廃墟の住所と、昨夜レナードがナタリーの家に置き忘れたモーテルの部屋の鍵を渡した。
レストランのトイレに入る。
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トイレで記憶飛ぶ。トイレから出ると、ウェイターに封筒とディスカウント・インの写真と部屋の鍵を渡された。
ディスカウント・インに到着。
部屋の壁に貼った自作の地図にディスカウント・イン、ナタリー、自分の車(元はジミーの車)、テディの写真を貼り付ける。
封筒には「レナードへ ナタリーより」と書いてあり、中身はテディの免許証のコピーだった。
免許証の有効期限は「01-02-29(2001年2月29日=存在しない日付)」だったが、レナードは気付かない。
資料を見て、レナードはテディが妻殺しの犯人と確信する。
テディに電話してモーテルに呼び出す。
服を着替えて、テディの写真に「奴が犯人だ 殺せ」と書き込む。
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受付でバートに「テディ以外からの電話を繋ぐな」と指示した直後にテディが来る。
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廃墟へ連れて行ってテディを殺す。
以上です!長くなってしまいましたが、読んで頂きありがとうございました。
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