「千と千尋の神隠し」解説・考察|団子の効能、カオナシ、ハクについてなど | 映画の解説考察ブログ - Part 2

「千と千尋の神隠し」解説・考察|団子の効能、カオナシ、ハクについてなど

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河の神様がくれたお団子の正体は?

千と千尋の神隠し

© 2001 Studio Ghibli・NDDTM

千尋が河の神様からもらった茶色い団子については、釜じいが「ニガダンゴ」と名前だけは言いますが、効果については語られていません。

あの団子は、河の神様が千尋にお礼として与えたものです。
ハクやカオナシが団子を食べてから起きたことを考えると、『浄化』や『悪いものを吐き出す』効果があるのでしょう。

苦しんでいるハクに団子を飲ませたら『銭婆のハンコ』と『湯婆婆の呪いのイモムシ』が出てきましたね。
ハンコには銭婆がかけた『盗んだ者が死ぬまじない』、イモムシは『湯婆婆がハクを操るために忍び込ませた呪いの虫』と言われているので、ハクにとって悪いものを吐き出したことになります。

そしてカオナシに団子を食べさせると、『油屋で食べた食べ物』と『飲み込んだ従業員』を吐き出しました。
湯婆婆がカオナシを「欲に駆られた怪物だ」と言っていたことから、カオナシは恐らく欲望を食べて巨大化する存在なのだと思われます。

カオナシにとって悪かったものは『欲望が詰まっている物』です。
従業員が砂金欲しさに作った大量の食事や、飲み込んだ従業員には『欲』の感情がこもっています。

千尋を飲み込めないカオナシが「さみしい」と言っていたように、カオナシが欲望を食べる理由はさみしいからです。
しかし『淋しさ』は食べることでは解消されません。
なので、カオナシがさみしさゆえに飲み込んだものはカオナシにとって悪いものだと言えると思います。

そういえば、一番最初に団子を食べたのは千尋でしたが、千尋は団子を苦いと思っただけで何も吐きませんでした。
恐らく千尋にはため込んでいた『悪いもの』は無かったのでしょう。
子どもが純粋無垢であることを示唆しています。

ちなみに『名のある河の主』は、ハクもどこかの川の神様であることの伏線でもあります。




ハクが銭婆のハンコを盗んだ理由

ハクは湯婆婆の命令で銭婆のハンコを盗んだのでしょう。
なぜ盗んだのかは明らかにされませんが、銭婆が「私と湯婆婆は2人で一人前だ」と語っていたことと恐らく関係しています。
このハンコは多分 湯婆婆も持っていて、湯婆婆と銭婆のハンコが2つそろって初めて完全なものになるのではないでしょうか。

ハンコは確か釜じいが「魔女の契約印」と言っていました。
湯婆婆は沢山の従業員と雇用契約を結んでいるので、ハンコの効力を高めて、さらに従業員に対する『契約の力(支配)』を強めたいと思っていたのではないかと想像しています。

 

商店街や電車の中にいた黒い影の正体は?

千が不思議の世界の商店街に迷い込んだ時や、銭婆の家に行くために乗った電車の中に『半透明の黒い影』が登場します。

商店街に居た影はぼんやりしていて形もいびつでした。
彼らは夜になると実体化する神様や精霊の類か、湯婆婆に働かされていた動物たちかのどちらかだったんじゃないかな~と想像しています。

それに比べて電車に乗っていた影はちゃんと『人の形』をしていました。
油屋は死後の世界とも繋がっていて、それを繋いでいたのがあの「中道」と書かれた電車だったと思われます。
中道とは仏教用語で『生と死、楽と苦などのどちらにも偏らない』という意味です。
それを踏まえると、あの影たちは死んだ人間の魂だったのではないかと推測しています。

黒い影たちが降りた駅名が「沼原」、千尋たちが降りた6つ目の駅名が「沼の底」と、下に降りていくようなイメージだったので、この列車は出発点が天上界とか天国のような場所で、終着点は地獄のような所だったのではないでしょうか。

釜じいが言っていた「昔は戻りもあったが、近頃は行きっぱなしだ」は、今は『天国→地獄』の一方通行しかないが、昔は『地獄→天国』に行ける方法があったということです。

物を大切にする文化があった昔は物に魂が宿り、やがて神様になる付喪神のような存在もいたけれど、今は大量生産大量消費や使い捨て文化なので、物に魂が宿ること自体がなくなってしまったということなのではないかと想像しています。

 

カオナシについて

千と千尋の神隠し

© 2001 Studio Ghibli・NDDTM

宮崎駿監督によると「カオナシは『会社員』をモデルにしているが、誰の心にも存在するもの」なのだそうです。

カオナシの特徴を書き出してみます。
・自分自身の顔がなく、誰かの声を借りることでしか話すことが出来ない。
(=自分の意見がなく、他の誰かが言っていたことのマネしかできない)
・淋しさゆえに人の心を物やお金で引こうとするけれど、それで手に入れたものでは満たされず、同じことを繰り返す。
(=自分自身の魅力で他人を惹きつけようとすることを諦めていて、物やお金で人の気を引く方法しか知らない)
・居場所がなく、居場所を求めてさまよっている。

カオナシは千尋がこの世界の物を食べた後から登場し、ずっと千尋を見ています。
恐らくカオナシはほとんど直感で千尋が『救世主(または運命の人)』だと感じていたのではないでしょうか。

そこに居ることすら誰にも気づいてもらえなかったのに、千尋だけが気付いたことも、カオナシが千尋に注目した理由だと思います。

千尋のおかげで油屋に入り込んだカオナシは、自分の欲望を満たそうと、物(砂金)で従業員の気を引いて思う存分油屋のサービスを堪能します。

カオナシの欲求は『千尋に必要とされること』です。
これはカオナシが『千尋は運命の人だ』と思ったからなんですが、結末から考えると千尋は『カオナシに変化を与える』という意味で運命の人で、カオナシが思った運命の人(寂しさを埋めてくれる人)とは少し違っていました。

話を戻します。カオナシは千尋にひたすら砂金を受け取るように迫ったり、欲しい物が何かを聞き続けていました。
カオナシは本当は自分自身を必要とされたいのに、心を物で釣るような方法しか知らないからそうしてしまうのです。

カオナシの意図を感じ取った千尋は「私が欲しいものはあなたには絶対に出せない」と断り、ニガダンゴを食べさせます。
千尋が欲しいのは『人間に戻った両親』ですが、それがカオナシの手の平から出てくるわけがないことを千尋は理解しています。
このシーンは、千尋が精神的に成長したことを表していたのでしょう。

カオナシはニガダンゴの効果で欲望を全て吐き出して空っぽになると、大人しい元の姿に戻ります。
千尋は「カオナシは油屋に居てはいけない」と言っていました。
カオナシは外からの影響を受けやすいので、欲望にまみれた湯婆婆が支配する環境に居てはいけないという意味でしょう。

カオナシはニガダンゴのおかげで元の姿に戻りますが、そもそもの悩みである『居場所がない淋しさ』『必要とされたい気持ち』は消えません。
カオナシはその後も直感を信じて千尋について行き、銭婆に必要とされてカオナシの心は満たされます。
このカオナシのストーリーは、自分の居場所を見つける重要性とつながります。




千尋が豚たちの中に両親が居ないとわかったのはなぜ?

千と千尋の神隠し

©2001 Studio Ghibli・NDDTM

こちらについては諸説あるようですが、宮崎監督は「私にも理由はわかりませんが、千尋はなぜかわかってしまうんです」とコメントしているように、『正解』があるということでも無いようですし(強いて言えば『千尋の直感』が正解なのかもしれませんが)、この映画を見た人それぞれが思い思いの解釈をする内容のようです。

ファンの間で出されている主な答え3つを紹介します。

1つは『親子の絆』で両親がいないことが分かった、という説。
2つ目は、銭婆にもらった紫色の髪留めに、千尋の助けになるようなおまじないがかけられていて答えがわかった、という説。
3つ目は、千尋自身が油屋で精神的に成長したから、という説です。

私は個人的には3つ目を信じています。
千尋は銭婆の所に行った時から、銭婆のことを「おばあちゃん」と呼びます。
そして、油屋に戻ったとき湯婆婆のことも「おばあちゃん」と呼んでいます。
これは恐らく、千尋の『元居た世界に帰る』という決意が、千尋の心を現実に近づけていたからだと思っています。
この世界では湯婆婆も銭婆も『怖い魔女』ですが、彼女達から魔法を取り除けば『おばあちゃん(老人)』だからです。

そして豚については、こちらも魔法という概念を取っ払って現実的に考えると、人間の親が豚であるはずがありません
なので千尋は「両親はこの中にいない」という答えを出したのではないかと思っています。

 

ハクのその後を予想

諸説あるハクのその後について考えます。

ハクは湯婆婆に八つ裂きにされてしまった』という説と、『無事に解放されて元の世界に戻った』という説がありますが、私は後者の説を信じています。

そもそも、ハクが八つ裂きにされてしまった説の根拠は「八つ裂きにされてもいいんかい?」と湯婆婆が言っていたからです。
実際、湯婆婆は性格的にもハクが弟子を辞めたいと言ったら怒って本当に殺してしまいそうな気はしますし、恐らく魔法使いの師弟契約でハクにかけた呪いのイモムシを根拠に『八つ裂き』と言ったのでしょう。

でもハクは雇用契約の解消に重要と思われる『本当の名前』を思い出し、呪いのイモムシちゃんは千尋が踏みつぶしました。
つまり、湯婆婆はもうハクを八つ裂きにする手段を失っているのです。

油屋の世界には魔女も介入出来ない独自のルールがあったようなので、いくら湯婆婆でもハクがなにか新しい罪を犯さない限り傷付けることは出来ないと思われます。
(働きたいと言う者を拒めないルールがあったし、理由もなく直接傷付けるシーンが無いので)

なので、ハクも千尋と同じように試験に合格さえすれば、雇用契約を解消できて自由になれます。
ハクは賢いので、必ず試験に合格することでしょう。

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・参考サイト様
・FRENCH BLOOM NET-INFO*BASE:「千と千尋の神隠し」宮崎駿インタビュー

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