「千と千尋の神隠し」ネタバレ解説|団子の効能、カオナシ、ハクについての考察など | 映画鑑賞中。

「千と千尋の神隠し」ネタバレ解説|団子の効能、カオナシ、ハクについての考察など

ファンタジー

大ヒットで日本の歴代興行収入第1位となった宮崎駿監督作品。
引っ越し当日に新居へ向かっていた荻野一家は、迷い込んだ山の中で不思議な世界に迷い込んでしまう。
両親を豚に変えられてしまった10歳の少女千尋は、両親を取り戻すため魔女の湯婆婆が経営する温泉施設『油屋』で働くことになる。

制作年:2001年
本編時間:125分
制作国:日本
監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿
原作:宮崎駿

・受賞一覧

第44回ブルーリボン賞 作品賞
第56回毎日映画コンクール 日本映画大賞、アニメーション映画賞、監督賞(宮崎駿)、音楽賞(久石譲、木村弓)
第26回報知映画賞 監督賞(宮崎駿)
第75回キネマ旬報ベスト・テン 読者選出日本映画監督賞、日本映画ベスト・テン(第三位)、読者選出日本映画ベスト・テン(第一位)
第39回ゴールデン・アロー賞 特別賞(宮崎駿)
第25回日本アカデミー賞 最優秀作品賞、会長功労賞(宮崎駿)、協会特別賞(木村弓)
第52回ベルリン国際映画祭 金熊賞
第21回香港電影金像奨 最優秀アジア映画賞
第68回ニューヨーク映画批評家協会賞 アニメ映画賞
第28回ロサンゼルス映画批評家協会賞 アニメ映画賞
第30回アニー賞 作品賞、監督賞(宮崎駿)、脚本賞(宮崎駿)、音楽賞(久石譲)
第75回アカデミー賞 長編アニメ映画賞 ほか
全ての受賞歴はこちら→Wikipedia

声優&キャラクター紹介

(引用:https://ghibli-animetoshidensetu.net

荻野千尋柊瑠美
甘えん坊で泣き虫な10歳の女の子で荻野家の一人娘。
引っ越し先へ向かう途中に立ち寄った廃墟の向こう側で両親と一緒に不思議な世界に迷い込んでしまう。
異世界で豚に変えられてしまった両親を助けるために油屋(温泉旅館)の支配人湯婆婆の下で『千』という名前をもらって働くことになる。

 

(引用:https://ghibli-animetoshidensetu.net

ハク入野自由
湯婆婆の弟子として油屋で働いている少年。
ハクというのも湯婆婆に付けられた名前で、本当の名前は忘れてしまっている。
不思議な世界に迷い込んだ千尋を助けようとする。
千尋は覚えていないが、ハクは千尋が小さい頃から千尋を知っているらしい。
油屋で働く他のメンバーや湯婆婆の前では冷静沈着な態度だが、千尋と2人きりの時だけは千尋に親切で優しい一面を見せる。

 

ダウンロード (10)

(引用:http://studiototoro.com

湯婆婆(ゆばーば)…夏木マリ
油屋の支配人の魔法使いの老婆。
がめつくずる賢い。
油屋に迷い込んだ生き物たちから本当の名前を奪って支配する。
銭婆という双子の姉がいる。
自身の子である坊を溺愛している。

 

ダウンロード

(引用:http://studiototoro.com

銭婆(ぜにーば)…夏木マリ
湯婆婆と見た目も声もそっくりな双子の姉。
彼女も湯婆婆と同様に魔女であり、性格は湯婆婆と比べるとかなり穏やかでしたたか。
湯婆婆とはあまり関係がよくない。

 

f:id:manganogakumon:20151125233413p:plain

(引用:http://mangaku.hatenadiary.jp

釜じい菅原文太
油屋のボイラー室で客に出す特製の薬湯の準備をする老人。
石炭を運ぶ仕事をしているススワタリたちを仕切っている。
ボイラー室にきた千尋に湯婆婆のところに行くように進言する。

 

千と千尋の神隠し リン

(引用:https://xn--yck0cwcs13oytpfi5dlij.net

リン玉井夕海
油屋で働く千尋より少し年上の女。
人の姿をしているが、ヤモリの黒焼きが好きなことから本来の姿は動物だと思われる。
口が悪いが姉御肌で面倒見が良い。
油屋に迷い込んだ千尋の面倒を見る。

 

カオナシ

(引用:http://studiototoro.com

カオナシ中村彰男
油屋に続く橋の上に佇み千尋を見つめる、お面の部分以外は真っ黒な謎の存在。
欲しがっているものを手の平から出し、それを受け取った人はカオナシに飲み込まれてしまう。
言葉を話せないが、喋れる存在を飲み込むとその声を借りて話すことが出来るようになる。
油屋に迷い込んだ千を欲しがって動き始める。

・その他のキャスト
荻野明夫(千尋の父親)…内藤剛志
荻野悠子(千尋の母親)…沢口靖子
青蛙…我修院達也
坊…神木隆之介
番台蛙(ばんだいかえる)…大泉洋
河の神…はやし・こば
父役(ちちやく)…上條恒彦
兄役(あにやく)…小野武彦 ほか
[adchord]

あらすじネタバレ

荻野家の一人娘で10歳の千尋、父親の明夫、母親の悠子は引っ越し当日のその日、マイカーで新居に向かっていた。
途中で道を間違えたのか山道に入りこんでしまった3人は、異国の雰囲気漂う赤い廃墟の前にたどり着いた。
興味を持った明夫に悠子と千尋がついて行くと、建物を通り抜けた先には広大な草原、さらにその先には美しい浅瀬の川があった。
この場所が何となく不気味に感じていた千尋は帰りたがったが、明夫と悠子はどこからか漂ってきた良いにおいに連れられて、川を越えてどんどん奥へと行ってしまう。
仕方なく千尋がついて行くと、川を越えて下り坂を降りた先には異国情緒漂う不思議な商店街に繋がっていた。

明夫と悠子は、においの元である中華料理のような惣菜を出しているカウンター席のある屋台にたどり着いた。
そこには誰もおらず、おいしそうな料理だけがズラリと並べられていたので、明夫と悠子は「後でお金を払えば良い」と勝手に食べ始めた。

食べる気がしなかった千尋は両親を置いて散策していると、少し行った先に『油屋』という看板が掲げられた巨大な温泉施設のようなものがあった。
油屋の前の橋の上にいた千尋は、突然現れたおかっぱ頭の美少年に声をかけられた。
少年は鬼気迫る様子で「ここに居てはいけない!暗くなる前に川の向こうに戻れ!」と言う。
少年を不審に思いながら千尋が両親の所に行くと、両親が座っていた席には豚が居て屋台の料理を食い散らかしていた。
車に戻ろうと川へ走ったが、浅かったはずの川は深くなり、もう千尋には渡れなくなっていた。
さらに廃墟だった赤い建物には明かりが点き、川からは巨大な船が到着して明らかに人間ではない何かが大勢船から降りてきている。

恐怖で動けなくなった千尋の所に再びおかっぱ頭の少年が現れて、千尋を落ち着かせてくれた。
おかっぱ頭の少年はハクと名乗り、
ハクは千尋が小さい時から千尋を知っていること、
千尋の両親には後で会わせてくれること、
この世界では人間はあまり良く思われていないことを教えてくれた。
しかし千尋にハクと会った記憶はなかった。

さらにハクは、この世界では働かない者は動物に変えられて食べられてしまうこと、
この建物の地下にあるボイラー室にいる釜じいという人に会って「働きたい」と頼むこと、
断られても諦めず、「帰りたい」とか泣き言を絶対に言ってはいけないことを千尋に言い聞かせると、ハクを探している従業員の所に行ってしまった。

千尋は1人でどうにかボイラー室にたどり着き、そこで薬湯の調合をする釜じいに会うことが出来た。
地面には、まっくろくろすけに手足が生えたような姿のススワタリが火釜の中に炭を運んで放り込む仕事をしていた。
千尋は働きたいと釜じいに頼んだが、ここはもう人手が足りていると言う。
釜じいは千尋に、ハクは油屋の支配人である魔女の湯婆婆の弟子で、油屋の番頭(支配人の次に偉い立場)だということを教えてくれた。

釜じいは、ボイラー室に食事を運びにきた従業員のリンに、千尋を湯婆婆の所に連れていくよう頼んだ。
千尋はリンに連れられて、人ではない何かや、千尋と同じくらいの背丈のカエルの従業員などが歩き回る油屋の中を進み、リンと別れてエレベーターに乗って湯婆婆の前にたどり着いた。
湯婆婆が言うには、ここ『油屋』はお客様である八百万の神様たちに癒しを提供する温泉施設で、千尋の両親は準備していたお客様用の料理を勝手に食べたため、罰として豚に変えてしまったそうだ。
千尋は泣きそうになりながらも両親のために、ただ「働かせて下さい!」とだけ言い続け、折れた湯婆婆と契約を結んだ。
千尋は『(せん)』という新しい名前を与えられ、油屋の従業員になった。

翌早朝。ハクに呼ばれた千尋は豚になった両親に会わせてもらった。
両親は今は人間だったことは忘れているらしく、スヤスヤと眠っていた。
その後、千尋は私服のポケットに入っていた前の学校の友達からのお別れのメッセージを見て、自分の本当の名前が『千尋』だったと思い出した。
千という名前をもらってまだ一晩しか経っていないのに、千尋はもう本当の名前を忘れかけていたのだ。
湯婆婆は名前を奪って支配するらしい。
ハクは自分の本当の名前がどうしても思い出せずにいるとこぼした。
ハクから元気が出る魔法をかけたというおにぎりをもらった千尋は、大粒の涙をこぼしながらそれを食べきった。
おにぎりのおかげで元気が出た千尋はその後、リンや他の従業員たちと共に元気に働いた。

C2nbRcWVIAAv8Gc.jpg

(ハクが作ったおにぎりを食べる千尋 引用:https://hbjc.jp

お客様が来るのは夜だけで、油屋が開店するのは日暮れと同時だった。
夕方、縁側で作業をしていた千尋は、千尋がこの世界に来た時からずっと油屋の前の橋に立っていた黒い存在、カオナシが雨の降る外に立っていることに気付いた。
※千尋は現時点でカオナシの名前を知りませんが、呼び名がないと書きづらいのでカオナシと書きます。カオナシを客だと思っていた千尋は親切心からカオナシに声をかけ、雨宿りできるように窓を開けたままにして別の作業に移った。
千尋が去った後、カオナシは縁側から油屋に入り込んだ。

その日、リンと千尋は汚れがひどい客専用の風呂場『大湯』を任された。
そしてその日、湯婆婆が『オクサレ様(お腐れ様)』と呼ぶ、ヘドロにまみれた客が来店した。
オクサレ様の接客を任された千尋は、近づいただけでも気絶しそうなにおいを放つオクサレ様を大湯に案内した。
オクサレ様が湯船につかった時、千尋はオクサレ様の体に何かが刺さっていることに気が付いた。
それを聞いた湯婆婆は、この客がオクサレ様ではなく別の神様であることを見抜き、刺さっている物を引っ張り出すように命じた。
皆で力を合わせて刺さっていた物を引っ張り出すと、自転車などの大量のゴミが飛び出した。
その神様は、ヘドロの塊のような姿からおじいさんの顔をした竜に姿を変えて「あ~、よかった」と気持ちよさそうに言うと、窓から空へ飛んで帰って行った。
湯婆婆いわく、あの神様は名のある河の神様だったそうだ。
神様が帰った後、千尋の手には神様からのお礼らしき茶色い団子が握られていた。
また、神様が残したゴミや砂の中には砂金が紛れていて、湯婆婆は思わぬ報酬に喜んで「よくやった!」と千尋を褒めたたえた。
その後、千尋は興味本位で団子をかじってあまりの苦さに体が震えた。
[adchord]

翌朝。千尋が起きると同じ部屋で寝ていたリンや他の従業員たちの布団が空っぽだった。
寝坊かと思って慌てて支度をしていると、外で白い竜が小鳥のようなものに追われて暴れまわっているのが見えた。
竜は苦しそうに暴れまわりながら湯婆婆の部屋に向かっている。
竜がハクだと直感した千尋は、ハクを助けようと湯婆婆の部屋に向かった。

窓から湯婆婆の息子のの部屋に侵入した千尋は、湯婆婆が手下の物の怪、にハクを捨てるように命じているのを聞いた。
湯婆婆が去った後すぐに千尋はハクを助けようとしたが、頭、坊、湯バードに遮られていた。
そこに、湯婆婆の双子の姉の魔女 銭婆の分身が現れて、魔法で坊をネズミに、湯バードをハエドリに、頭を坊の姿に変えた。
銭婆はハクに大切なハンコを盗まれて、それを取り戻しに来たという。
さらに銭婆は、ハンコには盗んだ者が死ぬような魔法がかけられていて、ハクはもう助からないと千尋に告げた直後、ハクが人型の紙切れを叩き切ると銭婆は消えた。
その後、苦しむハクと千尋は釜じいのいるボイラー室にたどり着いた。
千尋はとっさに河の神様からもらった団子をちぎってハクに飲ませると、ハクは黒いモヤモヤに包まれたハンコを吐き出して大人しくなった。
この団子は釜じいいわく『ニガダンゴ』らしく、食べた人物の中にある悪いものを吐き出させて浄化する効果があるらしい。
ハンコには黒い芋虫のような魔法の元がくっついていて、千尋は思わずそれを追いかけて踏み潰した。
ハクは人間の姿に戻ったが、意識はなかった。
ハクに薬を飲ませて寝かせると、釜じいは千尋にハクがこの世界に来た経緯を教えてくれた。
ハクは千尋のように突然油屋に現れて「もう帰る場所がない、働かせてほしい」と釜じいに頼んだという。
その後ハクは湯婆婆と契約を結び、魔法の力を手に入れるべく湯婆婆の見習いになったそうだ。

千尋はハンコを銭婆に返しに行く決意をした。
すると釜じいが、40年前に使ったという列車の切符をくれた。
銭婆の所へは、油屋の下に広がる川を走っている列車に乗って6番目の駅で降りれば行けるらしい。
千尋が釜じいにお礼を言った時、リンが千尋を探しに来た。
油屋でカオナシが大暴れしているらしい。

カオナシは河の神様の騒動の後、下働きの青蛙を飲み込んで声を手に入れ、従業員に砂金をバラまいて油屋に居座っていた。
油屋の従業員たちは青蛙が呑み込まれたことも知らず、突然現れた太っ腹な客を歓迎していたが、カオナシはさらに他の従業員も飲み込んで、今は「千を出せ」と大騒ぎしているらしい。

千尋がカオナシの待つ部屋に行くと、カオナシは千尋に何が欲しいのかと尋ねた。
千尋は「私が欲しい物はあなたには絶対に出せない」と答え、残りのニガダンゴをカオナシの口の中に放り込んだ。
ニガダンゴを食わされたカオナシは怒り、油屋で飲み込んだ物を吐き出しながら逃げていく千尋を追いかけた。
千尋はカオナシを誘導しながらリンが出してくれた桶の船に乗り、坊ネズミ、ハエドリ、カオナシと共に川の上に浮かぶ駅に立った。

一方、カオナシの件と千尋が油屋から消えたことで怒った湯婆婆は、千尋の両親を調理するように兄役たちに命じていた。
そこに意識を取り戻したハクが現れて、坊が頭にすり替わっていること、坊は千尋と一緒に銭婆の所に行ったことを湯婆婆に告げ、坊を取り戻すかわりに千尋と千尋の両親を元の世界に帰してやって欲しいと頼んだ。

銭婆の家に着いた千尋は、すぐに銭婆にハンコを返し、ハンコに付いていた芋虫は踏みつぶしてしまったことを謝った。
銭婆は、あの芋虫は銭婆のまじないではなく、湯婆婆がハクを操るために仕込んでいた虫だと言って大笑いした。
銭婆は千尋に、湯婆婆と銭婆は2人で一人前のはずなのにどうしても気が合わず、こうして離れ離れで生活しているのだと明かし、もう夜遅いから今夜は泊まるように言った。
千尋はしばらく考えて、両親やハクが心配だからやっぱり油屋に戻りたいと答えると、銭婆は皆で紡いだ糸で作った髪留めを千にプレゼントした。

f:id:manganogakumon:20151125233528p:plain

(みんなで作った髪留めをプレゼントする銭婆と千尋の手 引用:http://mangaku.hatenadiary.jp

そのとき、銭婆の家の外に元気になったハク(竜の姿)が到着した。
千尋、坊ネズミ、ハエドリはハクと一緒に油屋に戻り、カオナシはここに残って銭婆のお手伝いをすることになった。
千尋は銭婆にお礼を言い、ハクと一緒に空に飛び立った。

油屋に戻る途中、千尋はまだ小さい頃に遊んでいて川に落ちたことがあり、その川は今は埋め立てられてしまって無いが、あれがハクの川だったのではないかと言い、その川の名が『琥珀川』だったことを告げた。
その瞬間、ハクは自分の本当の名が『ニギハヤミコハクヌシ』だったと思いだした。
千尋はハクが本当の名前を思い出したことを喜んで涙を流した。

その頃、油屋では従業員全員と、8匹の豚を並べた湯婆婆が千尋の帰りを待っていた。
千尋、ハク、坊ネズミ、ハエドリが油屋の前に降りると、「坊はどこだ?」と聞く湯婆婆の前で坊ネズミが本来の姿に戻った。
湯婆婆は「この世界にはルールがあり、千は問題に答えなければならない」と告げてから、8匹の豚の中から両親がどれか当てろと命じた。
千尋が「この中にはいない」と答えると、湯婆婆の持っていた千尋の契約書が粉々になり、8匹の豚が従業員に変わり「大当たり!」と声をあげた。

歓声を上げる従業員たちと不満げな表情の湯婆婆にお礼を言うと、千尋はハクと一緒に帰り道に向かって走った。
ハクも近いうちに湯婆婆に解放してもらって元の世界に戻ること、戻ったら再び千尋に会いに行くと約束した。
ハクに「建物を抜けるまで振り返ってはいけない」と言われ、千尋は頷いてハクと繋いでいた手を放して元来た道を戻った。

草原を進むと両親の声が聞こえ、赤い廃墟の前で両親が千尋を待っていた。
千尋は喜んで両親に駆け寄り「大丈夫だった?」と聞いたが、両親はあの世界にいた記憶が全く無いようだった。
そして、千尋は振り返るのを我慢しながら建物を抜けた。
車に戻って来ると、車の上には葉っぱや小枝が積もり、車の中は埃だらけになっていた。
両親は驚いて「誰かのいたずらか?」と文句を言いながら車のエンジンを点け、千尋は後ろ髪を引かれる思いで車に乗り込んだ。

映画『千と千尋の神隠し』関連商品(楽天)

主題歌
木村弓「いつも何度でも」

千と千尋の神隠し サウンドトラック [ 久石譲 ]

価格:2,568円
(2019/8/12 00:46時点)
感想(2件)

 

[adchord]

解説や考察など

本作で伝えたかったこと

宮崎駿監督は「現代の日本を表したかった」とインタビューで答えています。
油屋は湯婆婆が経営している会社、千尋はそこに就職した新入社員に置き換えることができます。
この世界では働かない者は生きていくことを許されず、千尋は豚に変えられた両親のために働くことになります。

湯婆婆は人物の名前を奪って支配してここから出られないようにしています。
本作における『本当の名前』は、『その人の夢や目標』に言い換えることができます。
会社はその人が本当にやりたいことや夢を忘れさせてずっと会社でこき使おうとする、ということが言いたいのではないでしょうか。
千尋は湯婆婆に名前を奪われて忘れかけるけど、ハクのおかげで忘れずにいられます。
このように千尋は油屋でハク、釜じい、リンのような素敵な出会いもしているので、会社は支配される場ではあるが、人との出会いを多くくれる場所としても描かれています。

ちなみに親が豚に変えられたことにも意味があり、親がどん欲な存在であることを示すために豚に変えたそうです。
そして千尋は油屋で成長しましたが、千尋の両親は油屋の世界に居たことも千尋に救われたことも何も覚えておらず、何も変わっていません。
これは、子どもは成長して(肉体も精神も)変われるけど、両親(大人)は本質的なものは変わらないという割とシビアなメッセージでもあるようです。
日本の未来を子どもたちに託しているという意味でもありますね。

千尋については『大切なことを見極める』、『多く欲しがらない』というメッセージが強かったように思います。
それはカオナシから物を受け取らなかったり、ハクや両親を必死で助けようとする姿勢に描かれています。

また、ハク、カオナシには「自分の居場所」に対するメッセージが込められているように感じます。
ハクは現実世界で自分の川(居場所)を失い、油屋にやってきた人物です。
しかし油屋では湯婆婆に良いように使われてしまい、千尋と再会したことで勇気づけられて油屋を出る決意をします。
カオナシは後に書いているのでここでは省略しますが、居場所を求めてさまよう姿が描かれています。

ハクが油屋の中で千尋に冷たかった理由

油屋で働くことになった千尋は、リンに「ハクって2人いるの?」と聞き、リンは「あんなのが2人もいたらたまったもんじゃない!」(ハクは1人しかいない)と答えています。
千尋がリンにそう聞いた理由は、最初に会った時のハクと油屋で再会したときのハクの態度があまりにも違っていて「別人だったのかも?」と思ったからです。

千尋がこの世界に来てハクと会った時、ハクは千尋にとても優しく接します。
ところが、湯婆婆の部屋でハクと再会したとき、ハクは千尋に対してとても冷たかったですね。
これは恐らく、ハクにとって千尋は大切な存在だったので、それが湯婆婆にバレて湯婆婆が千尋に何かするのを避けるためだったのでしょう。

ハクが千尋に「私のことは『ハク様』と呼べ」と言ったのも、ハクは油屋の中では偉い立場なので、他の従業員も釜じいとリン以外はハクをハク様と呼んでいます。
突然現れた人間の娘がハクを呼び捨てにしていたら周囲に変に思われますし、従業員経由で湯婆婆に何か勘繰られるのを避けるためだったと思われます。

ハクはなぜ湯婆婆の弟子になったの?

銭婆がハクを「魔法の力を手に入れようとして湯婆婆の弟子になったが、欲深い妹にいいように使われている」と言っていたので、ハクは魔法の力を手に入れたくて湯婆婆に弟子入りしたのでしょう。
なぜ魔法を手に入れたいのかは明かされませんが、ハクの川だったコハク川はもう埋め立てられていると千尋が言っていたので、魔法の力でどこかに川を作って現世に自分の居場所を作りたかったのではないでしょうか。
釜じいが「ハクは帰る所がないと言ってた」と言っていたので、このまま現世に戻っても川がないので、ハクの居場所はないのかもしれません。

河の神様がくれた団子の正体は?

(神様からもらった団子を見つめる千尋 引用:https://ameblo.jp

千尋が河の神様からもらった茶色い団子については、釜じいが「ニガダンゴか」と名前だけは言いますが、効果については語られていません。

あの団子は、河の神様がため込んでいたゴミを取り除いた時に千尋がお礼としてもらったものです。
なので、恐らく『浄化』や『悪いものを吐き出す』効果がある団子だったのでしょう。
苦しんでいるハクに団子を飲ませたら、銭婆のハンコと湯婆婆がハクに忍び込ませていた黒いイモムシが出てきましたね。
ハンコには銭婆がかけた『盗んだ者が死ぬまじない』、イモムシは『湯婆婆がハクを操るために忍び込ませた虫』だと明かされているので、ハクにとって悪いものを吐き出したことになります。

そしてカオナシに団子を食べさせると、油屋で食べた大量の食べ物と飲み込んだ従業員たちを吐き出しました。
湯婆婆がカオナシを「欲に駆られた怪物だ」と言っていたことから、カオナシは恐らく欲望を食べて巨大化する存在なのだと思われます。
カオナシにとって悪いものは「欲に駆られて食ったもの」だったのでしょう。
千が飲み込めないカオナシが「さみしい」と言っていたように、カオナシが欲望を食べる理由はさみしさからなのでしょう。
しかし、淋しさは食べることや他人を飲み込むことでは解消されません。
なので、カオナシがさみしさゆえに飲み込んだものはカオナシにとって悪いものだと言えるのだと思います。
従業員たちがカオナシの砂金欲しさに作った大量の食事、飲み込んだ従業員たちにも欲の感情がこもっているので、カオナシは食べ物と従業員を吐き出したのだと私は思っています。

一番最初に団子を食べたのは千尋でしたが、千尋は団子を苦いと思っただけで何も吐き出しませんでした。
恐らく千尋にはため込んでいた悪いものはなかったのでしょう。

ちなみに名のある河の主の存在は、ハクもどこかの川の神様であることの伏線です。
[adchord]

ハクが銭婆のハンコを盗んだ理由

ハクがハンコを盗んだ時、銭婆が「その竜は湯婆婆の使いの泥棒竜だ」と言っていたので、ハクは湯婆婆の命令で銭婆のハンコを盗んだのでしょう。
なぜ盗んだのかは明らかにされませんが、銭婆が「私と湯婆婆は2人で一人前だ」と語っていたことと恐らく関係しています。
恐らくこのハンコは湯婆婆も持っているのでしょうが、湯婆婆のと銭婆のハンコが2つそろって初めて完全なものになるのだと思われます。

ハンコは確か釜じいが「魔女の契約印」と言っていました。
湯婆婆は沢山の従業員と契約して商売をしていますから、効力の確かなハンコを持ちたいと思っていたのだと想像しています。

商店街や電車の中にいた黒い影の正体

千が不思議の世界の商店街に迷い込んだ時や、銭婆の家に行くために乗った電車の中に半透明の黒い影が登場します。
商店街に居た影は、ぼんやりしていてちゃんとした形を持っていなかったので、夜になると実体化する神様や精霊の類か、迷い込んでしまって商店街で湯婆婆に働かされていた動物たちだったんじゃないかな~と想像しています。

それに比べて電車に乗っていた影はちゃんと人の形をしていましたね。
本作のタイトルに「神隠し」と付いているように、千尋と両親は神隠しにあって湯婆婆たちがいる異世界に来てしまったのでしょう。
そして、あの油屋は死後の世界とも繋がっていて、それを繋いでいたのがあの「中道」と書かれた電車だったのだと思われます。
中道とは仏教用語で『二つ(生と死、楽と苦など)のどちらにも偏らない』という意味です。
あの影たちは油屋の世界とは関係のない存在で、死んだ人間の魂だったのではないかと想像しています。
黒い影たちが降りていった駅名が「沼原」、さらに進んで千尋たちが降りた6つ目の駅名が「沼の底」と下に降りていくようなイメージだったので、この列車は始発駅が神様のいる天国のような所で、終着点は地獄のような所だったのではないかと推測しています。
釜じいが「昔は戻りもあったが、近頃は行きっぱなしだ」と言っていたのは、恐らくですが、昔は神様になるような(付喪神のような)魂もいたが、今は大量生産大量消費や使い捨ての文化なので、そういうこともほとんどなくなったということなのではないかと想像しています。

カオナシについて

千と千尋の神隠し

(列車に乗る千尋とカオナシ 引用:https://ciatr.jp

宮崎駿監督によると、「カオナシは『会社員』をモデルにしているが、誰の心にも存在するもの」なのだそうです。

自分自身の顔がなく、声はあるものの、誰かの声を借りることでしか話すことが出来ない。
(自分の意見がなく、上司や他の誰かが言っていたことのマネしかできない)
淋しさゆえに人の心、興味関心を物やお金で引こうとするが、それで人の心を手に入れても本当には満たされず、また同じことを繰り返す。
(自分自身に魅力がないと思い込んでいて、人の興味を物やお金で引く方法しか知らない)
自分の居場所がなく、居場所を求めてさまよっている。
書き出しているとなるほど、と思いました。

カオナシは千尋がこの世界の物を食べた後から登場し、ずっと千尋を見つめています。
恐らくカオナシは直感で千尋が優しそうで助けてくれそうに見えたんでしょう。
橋の上に立っていても誰も気づいてすらくれなかったのに、千尋にだけは気付いてもらえたのも、カオナシが千尋に注目した理由だと思います。

千尋のおかげで油屋に入り込んだカオナシは、自分の欲望を満たそうと、物(砂金)で従業員の気を引いて思う存分油屋のサービスを堪能します。
そしてカオナシの一番の目的は千尋から必要とされることだったのですが、カオナシは人の心を物で釣るような方法しか知らないため、ひたすら千尋に砂金を受け取るように迫ったり、欲しい物が何かを聞き続けます。
カオナシの意図を感じ取った千尋は「私が欲しいものはあなたには絶対に出せない」と断り、ニガダンゴを食べさせます。
千尋は欲しいものは本当はあるのでしょうが、カオナシが本当は淋しいだけだということ、何を食べても淋しさは解消されないことを千尋はわかっていたので、カオナシの質問を突っぱねたのだと思います。
この場面は、千尋が成長したことを表した場面だったのでしょう。

カオナシはニガダンゴの効果で欲望を全て吐き出して空っぽになってからは大人しい元の姿に戻ります。
千尋は恐らく油屋でのカオナシを見て「あの人(カオナシ)は油屋に居てはいけない」と言っていました。
カオナシは外からの影響を受けやすいので、欲望がうずまくような環境の中に居てはいけないということだったのでしょう。

カオナシはニガダンゴのおかげで欲望はなくなりますが、居場所がない淋しさは消えなかったので千尋について行き、結果 銭婆に必要とされてカオナシの心は満たされます。

このカオナシのストーリーは、自分の居場所を見つけることというテーマの1つとつながります。

千尋が豚たちの中に両親が居ないとわかったのは

千尋面對湯婆婆給的最終試驗。(網絡圖片)

(豚の中から両親を当てるように命じられた千尋 引用:https://hk.epochtimes.com

これについては諸説あるようで、探して納得できると感じたものだけを書き出していきます。
ちなみにこの疑問について、宮崎監督は「私にも理由はわかりませんが、千尋はなぜかわかってしまうんです」とコメントしているようにあまりこれといった理由があることでもないようですし(しいて言えば『千尋の直感』が正解なのかもしれませんが)、作品を見た人それぞれが思い思いの解釈をする内容ですので正解はなく、逆に言えばすべてが正解です。

1つは『親子の絆』で両親がいないことが分かったという説。
2つ目は千尋が銭婆からもらった紫色の髪留めに、千尋の助けになるようなおまじないがかけられていて、千尋はそれに助けられたという説。
3つ目は、千尋自身が油屋で精神的に成長したから、という説です。

私は個人的には3つ目を信じています。
千尋は銭婆の所に行った時から、銭婆のことを「おばあちゃん」と呼びます。
そして、油屋に戻ってきたとき湯婆婆のこともおばあちゃんと呼んでいます。
これは恐らく、千尋が現実世界に帰るという決意が千尋の心を現実に近づけていたからだと思っています。
現実の世界にこんな不思議な銭湯はないし、魔法使いはいません。(もしかしたらいるかもしれませんが、一般論として話を進めます)

そして豚については、両親は魔法で豚にされていましたが、現実的に考えると魔法は存在しないので、両親が豚であるはずがありません。
そのため、千尋は「両親はこの中にいない」という答えを出したのではないかと思っています。

 

映画『千と千尋の神隠し』関連商品(楽天)

・参考記事
・FRENCH BLOOM NET-INFO*BASE:「千と千尋の神隠し」宮崎駿インタビュー

コメント

タイトルとURLをコピーしました