『ルパン三世 カリオストロの城』解説|ラスト考察、原作小説紹介、伯爵は実在した? | 映画の解説考察ブログ

『ルパン三世 カリオストロの城』解説|ラスト考察、原作小説紹介、伯爵は実在した?

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ルパン三世 カリオストロの城 ミステリー
原作:モンキーパンチ©TMS

ルパン三世の劇場版第2作目『カリオストロの城』の解説考察を紹介しています!
などについて書いています。

鑑賞済みの方のための記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。

ルパン三世 カリオストロの城

制作年:1979年
本編時間:100分
制作国:日本
監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿、山崎晴哉
原作漫画:『ルパン三世』シリーズ /モンキーパンチ著
原作小説:『カリオストロ伯爵夫人』モーリス・ルブラン著
主題歌:『炎の宝物』ボビー

本作の名言紹介記事はこちらです↓

あらすじ&キャスト紹介

あらすじ

ルパン三世 カリオストロの城

原作:モンキーパンチ©TMS

大怪盗ルパン三世(cv 山田康雄)は泥棒仲間の次元大輔(cv 小林清志)と組んで国営カジノの金庫から現金50億ドルを盗みますが、それは『幻のニセ札』とも呼ばれるほど精巧に作られたニセ札『ゴート札』だと判明します。

ルパンと次元は盗んだ札束を盛大に捨て、ゴート札が生まれたとされる世界最小の国連加盟国『カリオストロ公国』へと車を走らせていると、花嫁姿の美少女が黒スーツの男たちに追われているのを目撃します。
ルパンと次元は美少女クラリス(cv 島本須美)の逃亡を助けようとしますが、ルパンが頭を打って気絶している間にクラリスは捕まって連れ去られてしまいました。

ルパンと次元が調べると、元々国を治めていた大公夫妻は今から7年前に起きた火事で亡くなってしまい、現在は大公の親戚でもあるカリオストロ伯爵(cv 石田太郎)が国王業務を行っているようです。
そして、ルパンと次元が助けようとしたクラリスは大公夫妻の一人娘で、伯爵は世間にクラリスとの婚約を発表し、近々結婚式が行われる予定になっていました。
あの様子だと、クラリスは伯爵と無理やり結婚させられようとしています。

ルパンと次元はクラリスを誘拐して伯爵から救うことを決意しますが、カリオストロの城は警備体制が異常なほど念入りで簡単に侵入できません。
そこでルパンと次元は仲間の石川五ヱ門(cv 井上真樹夫)と宿敵の銭形刑事(cv 納谷悟朗)をカリオストロに呼び寄せると、銭形を利用してお城に侵入します。




キャスト

ルパン三世…(声)山田康雄
アルセーヌ・ルパンの孫で世界的に有名な大泥棒。
カリオストロ公国でゴート札の謎解明とクラリスの救出を決意する。
実は10年前にクラリスに会っている。

クラリス・ド・カリオストロ…(声)島本須美
カリオストロの王家の血を引く美少女。
伯爵との政略結婚が嫌で国からの逃亡を試みたが、失敗してお城に連れ戻されて塔に幽閉されている。

ラザール・ド・カリオストロ伯爵…(声)石田太郎
本作のルパンの宿敵。
カリオストロ公国の摂政であり、クラリスと婚約中の次期国王。
大公夫妻が亡くなってからは実質伯爵が国の実権を握っている。
態度は紳士的だが性格は傲慢で強欲非道。

次元大介…小林清志
石川五ヱ門…井上真樹夫
峰不二子…増山江威子
園丁…宮内幸平
ジョドー(伯爵の側近)…永井一郎
グスタフ(伯爵の護衛)…常泉忠道 ほか

 

解説・考察

『カリオストロ城』の原作は?伯爵とクラリスのモデルは?

ルパン三世 カリオストロの城

原作:モンキーパンチ©TMS

ルパン三世のモデルはモーリス・ルブランの推理小説『アルセーヌ・ルパン』シリーズです。
なかでもこの映画のモデルになったのは、小説『カリオストロ伯爵夫人』です。
アルセーヌ・ルパンが二十歳だった頃に出会った2人の女性との運命的な恋が描かれています。

・『カリオストロ伯爵夫人』の簡単なあらすじ
駆け出しの怪盗だった20歳のアルセーヌ・ルパンは、とある貴族の令嬢クラリスに好意を寄せられて、彼女の美しさと清純さに惹かれて婚約します。
ルパンは怪盗であることをクラリスに明かせず、結婚したら彼女のために怪盗をやめる決意までしていました。
そんな時、ルパンはクラリスの父が処刑しようとした謎の美人ジョセフィーヌ・カリオストロ伯爵夫人を助けます。
ジョセフィーヌの正体はルパンと同じ怪盗で、ルパンはジョセフィーヌの妖艶な美貌に一目惚れし、そのまま彼女と運命的な恋に落ちて仲間になりました。
ルパンはクラリスを放置してジョセフィーヌと恋人であり仕事仲間でもある関係をしばらく続けますが、ある時ルパンはジョセフィーヌに殺人を依頼されたことで一気に熱が冷め、ジョセフィーヌと縁を切ってクラリスの元に戻りました。
ルパンにとって殺人は絶対に超えてはならない一線だったからです。

ルパンは怪盗をやめ、クラリスと結婚して長男を授かりますが、不幸にもクラリスは出産直後に亡くなってしまい、長男ジャンは産まれた2日後に誘拐されてしまいます。
失意に暮れる中、ルパンはジャンの誘拐がジョセフィーヌの仕業だと知ります。
ルパンは怪盗に戻り、仲間を作って復讐に燃えますが、ジョセフィーヌとジャンは現在も見つかっていません。

小説の『ルパンが婚約した令嬢クラリス』が映画のクラリスのモデルです。
ちなみに映画でルパンの敵となる伯爵は、小説ではクラリスの父親(ジョセフィーヌを処刑しようとした男)です。

実在したカリオストロ伯爵

アルセーヌ・ルパン、クラリス、ジョセフィーヌなどはルブランによる創作キャラですが、カリオストロ伯爵という有名な実在の人物も紹介します。
アレッサンドロ・ディ・カリオストロ伯爵(1743~1795)は『稀代の詐欺師』とも呼ばれたイタリア人で、フリーメイソンの一員でもあった人物です。
アレッサンドロはヨーロッパのあちこちを旅して上流階級に紛れ込んでは貴族に詐欺行為をはたらいて金や宝飾品を盗んでいましたが、1785年にマリー・アントワネットを巻き込んだ『首飾り事件』の首謀者として告発され名声を失い、その後ローマでフリーメイソンの支部を立ち上げた罪で逮捕されて1795年に獄中死しています。
なお、アレッサンドロは愉快犯的な犯行もあったほか、金持ちから盗んだ金を貧しい者に分け与えるなど社会的弱者に優しい一面もあったようです。

この実在したカリオストロ伯爵がアルセーヌ・ルパンのキャラクター構成に一役買っているのでは?と思わずにいられませんが、著者ルブランがルパンについて語っている情報は見付けられませんでした。
また何か見つかったら更新します。




幻の偽札ゴート札の正体は?

ルパン三世 カリオストロの城

原作:モンキーパンチ©TMS

中世以来ヨーロッパの動乱の陰に必ずうごめいていた謎のニセ金
ブルボン王朝を破滅させ ナポレオンの資金源となり 1927年には世界恐慌の引き金ともなった
歴史の裏舞台 ブラックホールの主役 ゴート札
その震源地をのぞこうとした者は一人として帰って来なかった

『ゴート札』という呼称の由来は、カリオストロ公国のシンボルだった動物ヤギを意味する英語『goat』です。
カリオストロ公国は中世頃から偽札製造を主な収入源にしていました。
わかる者にしかわからない、むしろ本物以上とすら評される程精巧な紙幣を作り、世界各国に売りさばいていたのです。
ルパンの説明から、カリオストロは中世以前と数世紀も前からニセ札作りをしていたことがわかります。

ブルボン王朝は17世紀~18世紀に最も栄えていたフランス王家の一族で、フランス革命によりナポレオンに地位を奪われました。
ゴート札はこれらの世界的革命にも陰で大きく影響していたのです。
※あくまでもルパン三世の世界での話です。
ゴート札の謎を暴こうとした者が誰も帰ってこなかったのは、ニセ札作りは王家の人間による犯行で最重要機密として厳重に守られていたからです。

 

カリオストロのニセ札犯罪がもみ消されたのはなぜ?

カリオストロ城にはゴート札の売買履歴が残っていて、それは世界主要国を網羅していました。
ゴート札に手を出していたのは犯罪組織のみならず、各国の国家機関も含まれていたため、どのような組織がカリオストロと取引したかを探られると困る国が多かったからです。

銭形は保身に走るインターポール上層部を目の当たりにして告発は無理だと諦めていましたが、藤子不からの提案でニセ札製造部屋を全世界に同時配信することで強制的に暴露しました。

次のページに続きます!

2ページ目は『カリオストロの隠された宝の正体』、『ラスト考察』です。




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