2ページ目
鏡を割るルー
『割れた鏡』は『鏡を割った人物や、割れた鏡に映った人が破滅する』ような隠喩表現として使われる場合が多いですが、本作の場合はちょっと違います。
ルーはニーナに『良い仕事をする』ことと引き換えに肉体関係にこぎつけましたが、ニーナと初めて寝た後の一番期待されていたタイミングでロダーに仕事を邪魔されてうまくいかず、失望されます。
落ち込んで帰宅したルーは、自宅の洗面台で叫んで鏡を割りました。
このシーンには、ルーが『道徳心やモラルが仕事の邪魔になると判断し、それらを自ら破壊した』ことが表現されています。
その後、ルーはライバルであるジョー・ロダーを事故らせて、話題のレイプ事件よりもあえて大けがしたロダーの撮影を行います。
ルーはロダーの無残な姿を撮影して優越感に浸ることで、自信を取り戻したのです。
ロダーはルイスが犯人だと悟ったのか、殺意のこもった目でルイスをにらみつけていました。
ニーナがルーの条件を飲んだのはなぜ?

© 2013 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
ルーが提示した条件はルイスにメリットのあるものが多く、ニーナにメリットは少なそうだったのに、なぜOKしてしまったのでしょうか。
ニーナが一番欲しがっていたものはキャリアです。
彼女が出世するのに必要なのは視聴率であり、視聴率を上げるためには、誰もが見入ってしまうような刺激的な事件・事故の映像が必要で、そういう映像をニーナの所に優先的に持ってくるのはルーだけでした。
ニーナは自分の出世とルーの条件を天秤にかけて、出世の足掛かりになると期待してルーの条件を飲んだと思われます。
ニーナが求める『ストーリー』とは?
ニーナがグラナダヒルズ事件が麻薬がらみだったことを報道しなかったのは、家族が殺された理由がニーナの理想とは違っていたからです。
ニーナの言う『ストーリー』とは『”何の罪もない”富裕層の人間(特に白人)が、誰もが同情するような可哀想な被害にあう』というような悲劇的で同情を集められるものです。
グラナダヒルズの事件は当初、単純に富裕層を狙った強盗と思われていましたが、後に被害者の自宅から大量の麻薬が見つかりました。
これは殺された白人家族が麻薬売買に関わっていたことを意味し、白人家族は純粋な被害者ではなく、彼らもまた犯罪者だった可能性が濃厚になります。
ニーナが真実を報道しないと決めた点が、真のジャーナリストではなく出世欲の強い報道関係者であることの証拠であり、同時にルーと人間性が似ていた(もしくはルーの影響を受け価値観が変わった)ことを示しています。
ルーが育てていた植物

© 2013 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
ルーが自宅に置いていた紫色の花の鉢植えに水やりしているシーンが何度かありました。
ルーがカメラマンを始める前から咲いていたその花は、映画の終盤になっても咲き続けています。
見た感じサルビアっぽいですよね。
サルビアは条件さえ良ければ日本でも数ヶ月咲く花で、一年中温かいロサンゼルスならもっと長期間咲くのかもしれません。
しかしサルビアのようなガーデニング向けの花は明るい屋外でないとすぐに枯れるか、ヒョロヒョロ伸びて健康的ではなくなるはずなのです。
そうなるとこの花は造花、もしくは超強力な活力剤で開花させていたと考えられますが、個人的には造花じゃないかと思ってます。
もし造花だったとすると水をあげてること自体怖いですし、造花だと気づかずに水やりしているとしてもそれはそれで問題ありです。
これも何かのメタファーだと思うんですが、造花に水やりしてしまうルイス・ブルームの感性(それが造りものか本物かを気にしない性格)を表現したかったのかもしれないし、
『ブルーム(bloom)』には『花が咲く』という意味があるので、可愛いのは自分自身だけであることを強調していたのかもしれません。
ちなみに紫のサルビアの花言葉は『知恵』『永遠にあなたのもの』『尊敬』だそうです。
何となく意味深ですね。
その他感想など
ルーの築いていく合理的な人間関係、ギラギラの眼光も見ものですが、ルーの危険運転も本作の見どころです。
とくに犯人の車とパトカーの追いかけっこをルーが追いかけるシーンはキレッキレでした。
ちなみにですが、本作のヒロインであるニーナ役を演じたレネ・ルッソは監督ダン・ギルロイの奥さんです。
ルイスとニーナの濡れ場的なシーンが一切なかったのは、だからかな~とか余計なことも考えてしまいました。
純粋に作品のイメージで濡れ場がなかっただけかもしれませんが。
本作が初監督となったダン・ギルロイは、私の大好きなマット・デイモン主演の『ボーン』シリーズの脚本を手掛けたトニー・ギルロイの弟さんのようです。
兄弟そろってすごいですね~
あと、テレビ局のスタッフ役で出演していたアン・キューザックは、俳優ジョン・キューザック(映画『マルコヴィッチの穴』や『推理作家ポー 最期の5日間』など)のお姉さんなんですって。地味に意外でした。
以上です!この記事がお役に立てていたらハートマークを押してもらえると嬉しいです(^^)
≪U-NEXT≫で『ナイトクローラー』が見られます! 31日間無料キャンペーン実施中。 ![]()
※2026年7月時点の情報です。最新の配信状況はサイトにてご確認ください。
・関連記事



感想などお気軽に(^^)