「海よりもまだ深く」あらすじネタバレ・キャスト紹介

売れない小説家のバツイチ中年ダメ男・篠田良多とその家族の物語。
映画「海街diary」(2015)の是枝裕和監督作品。
樹木希林と親子役で出演するのは本作で2度目となる。

制作年:2016年
本編時間:108分
制作国:日本
監督:是枝裕和
脚本:是枝裕和
原案:是枝裕和

本作の解説・考察記事はこちらです↓

キャスト&キャラクター紹介

阿部寛演じる主人公・篠田良多

(引用:https://www.tribecafilm.com

篠田良多阿部寛
15年前に一度賞を受賞したきりの売れない小説家。
自信がない時や適当に物を言うときは3回以上返事をする癖がある。
小説だけでは生活できず興信所(探偵事務所)で働いていて、犯罪まがいの方法で小金を稼いでいるが、ギャンブルにつぎ込んでしまうため常に金に困っている。
元妻の響子に未練があり、あわよくば復縁したいと考えている。

 

真木よう子演じる良多の元妻・響子

(引用:https://lwlies.com

白石響子真木よう子
良多の元妻、真吾の母親。
良多が決められたとおりに養育費を払わないことを不満に思っている。
不動産屋で働き生計を立てるシングルマザーだが、彼氏の福住との再婚を検討している。

 

樹木希林演じる良多の母・淑子

(引用:https://tsutaya.tsite.jp

篠田淑子樹木希林
良多の母親。夫は半年前に他界している。
団地で気ままな暮らしを楽しんでいる一方で、1人暮らしの寂しさも抱えている。
いつか分譲住宅に住みたいという叶わぬ夢がある。

 

小林聡美演じる良多の姉・千奈津

(引用:https://blogs.yahoo.co.jp

中島千奈津小林聡美
良多の姉。和菓子屋でパートをしている。
「もうお母さんや私に頼らないで」と良多に言い聞かせる一方で、自分はちゃっかり娘の習い事のお金を出してもらったりと母親の世話になっている。

 

吉沢太陽演じる良多の息子・真悟

(引用:https://www.cinemashufu.com

白石真悟吉澤太陽
良多の息子、高校受験を控える中学生。
気が弱い所があり、習っている野球でも消極的なプレーをする一方、良多のお金のことを気に掛けたりする優しい子。
父親(良多)のようには絶対になりたくない、似たくないと思っている。
祖母の淑子が大好き。

その他のキャスト

町田健斗(良多の同僚)…池松壮亮
山辺康一郎(興信所の社長)…リリー・フランキー
愛美(興信所の社員)…中村ゆり
福住(響子の彼氏)…小澤征悦
二村(質屋)…ミッキー・カーチス
二村の妻…松本じゅん
仁井田(クラシックの先生)…橋爪功
三好(出版社の社員)…古舘寛治
安藤(依頼人)…黒田大輔
安藤未来(安藤の妻)…松岡依都美
真田(高校生)…葉山奨之
夏実(良多の幼馴染み)…峯村リエ
正隆(千奈津の夫)…高橋和也
長岡(団地の住民、淑子の友人)…立石涼子
野口(犬探しの依頼人)…福井裕子
彩珠(千奈津の子)…蒔田彩珠
みのり(千奈津の子)…一栁みのり
ニュース番組アナウンサー…戸部洋子(フジテレビアナウンサー) ほか

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ネタバレあらすじ

篠田良多は15年前に『無人の食卓』という小説で島尾敏雄文学賞を受賞したきり、鳴かず飛ばずの小説家だった。
執筆活動だけでは生活できず、現在は探偵事務所の社員として生計を立てていて、周囲には「小説のためのリサーチ」と言い訳をながら働いていた。
ギャンブル好きで常に金欠、家賃も滞納しているため、時には実姉の千奈津に金を無心をしたり、母 淑子不在の間に実家に忍び込み、半年以上前に他界した父親の遺品を漁っては質屋に持っていくような毎日を送っていた。

また、良多には数年前に離婚した妻 響子と中学生の1人息子の真悟がいた。
良多はこんな生活をしていたので呆れられて離婚されたわけだが、失ってから家族の大切さに気が付いたらしく、響子に未練たらたらだった。
しょっちゅう年下の同僚町田と共にこそこそ響子の周りをうろついては、響子が彼氏の福住と一緒にいる姿を見て「はやく別れろ」と思っていた。
月に5万円の養育費はまともに払えていないが、響子と真悟に会える月に一度の面会交流の時間を何よりも楽しみにしていた。

良多はその月の面会交流の日に真悟にグローブを買ってやりたくて、昔からある馴染みの質屋にカメラを売りに行った。
この時 良多は質屋の主人から、良多の父親も「息子の手術代が必要だから」と嘘をついて様々な物を売りに来ていた事を知らされた。
もちろん、良多は手術どころか入院するような病気にすらかかったことがなかった。
結局カメラは3千円にしかならず、複雑な気持ちで質屋を後にした。

金が足りないため、良多は町田と共に浮気調査の依頼人の妻(調査対象) 安藤未来に会いに行き、浮気の証拠写真を見せ、旦那に嘘の報告をする代わりに金をゲットした。
良多は金に困った時は、町田とつるんでよくこういう事をしていた。
良多の『元妻の監視』や『犯罪まがいの金稼ぎ』に毎回付き合っている町田は、良多を慕っているというよりは懐いていて、良多は町田にとって『放っておけないダメ親父』のような存在だった。
町田は幼い頃に両親が離婚して母子家庭で育ったため、自分と似た境遇(離れ離れになった父と息子)の良多にどこか親しみを感じていた。
これでグローブを買うには足りる金額になったが『この金を倍にして家賃も払おう』と考えた良多は競輪場に行き、全額使った上に負けてしまった。

数日後。良多は出版社に呼び出され、漫画の脚本作りをしないかと持ち掛けられた。
テーマは良多得意の『ギャンブル物』らしく、担当者からは「結構お金にもなるので、ぜひ」と言われたが、小説家としてのプライドが邪魔をして断ってしまった。

その後、良多は町田と一緒に真悟の野球試合をこっそり見に行き、響子の彼氏の福住がすでに真悟にミズノのグローブをプレゼントしていたこと、
福住が年収1500万円は下らない不動産会社の社長だということを知った。

響子、福住、真悟を見つめる良多と福住の経歴を確認する町田

(響子、福住、真悟を見つめる良多と福住の経歴を確認する町田 引用:https://www.cinemacafe.net
町田が励ましがてら「向こうが再婚したら養育費を払わなくて済むじゃないですか」と言うと、良多は「そんなことしたら真悟に会えなくなる」と答えた。
町田が「会いたくなったら向こうから来ますよ、俺は20歳の時に親父に会いに行きました」と返すと、良多は「そんなに待てねえよ…」と寂しそうにつぶやいた。
良多はとりあえず、買ってやるのはスパイクにすることにした。

面会交流の日まであと数日しかない。
困った良多は姉の千奈津に金を借りに行った。
すると「お父さんもそうやって私にお金借りに来たわよ。あんた、お父さんにそっくりよ。比べられたくないなら、しっかりしなさい」と叱られてしまった。
良多は父親と比べられたり似ていると言われるのが大嫌いだったので、金を借りることなく渋々帰宅した。
この時 良多は千奈津から、淑子がへそくりをストッキングに入れて押入れの天袋に隠しているらしいという情報を耳にした。

その後、良多は安藤未来から約束していた依頼金十数万円を受け取り、さらに最終手段で、家庭教師に手を出している男子高校生から3万円を巻き上げた。
男子高校生を待ち伏せしている間、良多は「中学生の頃は公務員になるのが夢だった」と町田に語っている。
これで2か月分の養育費(10万円)とスパイクを買うお金が出来てホッとした良多だったが、実はこの男子高校生が探偵事務所の社長 山辺の警察時代の上司の息子だった。
山辺に「誰かの過去になる勇気を持つのが大人だ。もう別れた女への未練は捨てて、こんなことする位なら養育費も払うのやめろ」とまで言われて怒られてしまい、その時持っていた安藤未来からの報酬十数万円を徴収されてしまった。
落ち込んだ良多はギャンブルにかけることに決めてパチンコに行き、町田に優しくされて泣きそうになった。

良多は養育費を用意できずに面会交流の日を迎えた。
金がないことを知ると、響子は怒ってすぐに帰ろうとしたが、良多は「金は今手元にないだけだ、俺の楽しみを奪わないでくれ!」と金のことをごまかしつつ食い下がった。
響子は「17時までに用意しておいて」と告げると仕事に行った。

良多は靴屋で店員に値切りを試みながら、真悟にミズノのスパイクを買ってやった。

ミズノのスパイクを手にする良多(阿部寛)

(ミズノのスパイクを手にする良多 引用:https://eiga.com
モスバーガーを食べた後、宝くじ売り場に目が留まった良多は「俺の金で買ったから、当たったら山分けな」と言いながら真悟に宝くじ(10枚入り3千円のやつ)を買ってやった。
17時までに金を用意する約束をしてしまった良多だったが、その約束は到底果たせそうにない。
その日は夜までに大型の台風が来る予報だったが、良多は色々と考えて、時間稼ぎのために真悟を連れて淑子の所に行くことにし、響子には淑子の自宅まで来てもらうことにした。
良多から「今から真悟と行く」と連絡をもらった淑子は「響子さんとのこと、助けてほしいのかねぇ」と呟いた。

淑子の所に行った良多は、そこに千奈津が家族を連れて来て居たことにうんざりしつつ、千奈津一家が帰るのを待つことにした。
良多は千奈津の娘 彩珠が、淑子に金を出してもらってフィギュアスケートを習うことを知り、千奈津と嫌味の言い合いをした。
夕方になると千奈津一家は帰り、入れ替わりで響子が真悟を迎えに来た。
台風が迫っていたのと、良多の狙い(養育費の支払いを少しでも遅らせること)をわかっていた響子はすぐに帰ろうとしたが、結局 晩御飯を一緒に食べることになった。

晩御飯のカレーうどんを食べ終わった頃には暴風雨が本格的になっていたので、淑子の強い要望もあり、3人はこのまま一泊することになった。
良多は仕方なく泊まる風を装っていたが、内心は久しぶりに響子と話せるチャンスだと思っていた。
良多と響子が二人きりになると、響子は「真悟には勤勉な子になってほしいから、あなたの趣味に引き込むのはやめて」と言い、良多が真悟に宝くじを買わせた事に不満をもらした。
良多は「宝くじはギャンブルじゃない。300円で夢を買うんだ!」と対抗したが、理解してもらえなかった。

真悟は宝くじを買ったことを淑子に報告し、「宝くじが当たったら大きな家を建てて、その時はおばあちゃんも一緒に住もうね」と笑った。
淑子は「是非そうしてください」と答えながらポロリと嬉し涙を流した。

淑子は良多が使っていた部屋に布団を3つ敷き、困ったフリをする良多と嫌そうな顔をする響子に「真悟くんを間に挟んで寝ればいいし、久しぶりなんだからたまにはいいじゃない」とにこやかに言った。
真悟がお風呂に入っている間にまた二人きりになった際、響子は福住の存在を教えていないのに良多が知っていたことや、突然体を求めてきたことに呆れかえった。

響子(真木よう子)に福住のことを聞き出そうとする良多(阿部寛)

(響子に福住のことを聞き出そうとする良多 引用:https://style.nikkei.com
響子は良多の手を思いきり殴ると、真悟と淑子がいる居間に行ってしまった。

深夜。良多は淑子が寝静まるのを待つと、良多の一番の狙いである、押入れの天袋を探って淑子のへそくりを探した。
ストッキングにくるまれた物はあったが、中身はチラシの裏に「残念でした!姉より」と書かれたメモだった。
一杯食わされた良多はため息をつき、仏壇の周りを探って父親が愛用していた硯を発見した。
その後「眠りが浅い」とぼやきながら起きてきた淑子と良多が話をした際、淑子は「失くしたものをいつまでも追いかけたり、叶わない夢を見ていたら毎日は楽しめないわ。
幸せは何かを諦めないと手に入らないもんなのよ。
私は海より深く人を好きになったことなんてないけど、だからこそ、こんな毎日を楽しく生きていけんのよ」と語った。
良多が「複雑だね」とコメントすると、淑子は「人生なんて単純よ」とつぶやいた。
一息ついた淑子は「私、今すごく良いこと言ったでしょ。あんたの小説に書いていいわよ!メモしなさいよ!」と騒いだ。
良多は「いいよ、もう覚えたから!」と言いながら、後に淑子が寝た後に言葉をメモした。

その後、良多は起きてきた真悟と一緒に台風の中 公園に行った。

真悟を夜中の公園に誘う良多(阿部寛)

(真悟を夜中の公園に誘う良多 引用:https://eigaland.com
その公園は良多が子どもの頃、今日みたいな台風の夜に父親と一緒に雨をしのげる遊具の中に入り、一緒にお菓子を食べた場所だった。
良多も真悟と一緒に遊具の中に入り、しけったせんべいを食べた。
良多が「将来なりたい職業あるの?」と聞くと、真悟は「公務員」と答えた。
それは奇しくも、良多が中学生時代に抱いていた目標と同じだった。
真悟の「パパはなりたかった人になれた?」という質問に、良多は「なれてない。けどそれは問題じゃない。大事なのは、そういう気持ちを持って生きてるかどうかだよ」と答えた。

同じ頃、響子と淑子も起きだして久しぶりに2人きりで話をしていた。
淑子の「あなたたち、もうダメなのかしら?」という質問に、響子は静かにうなずくと「お母さんには申し訳ないけど、良多さんは家庭を持つには向いてないと思います」と答えた。
淑子は「父親に似たのね、こちらこそごめんなさい」と謝り、「何でこんなことになっちゃったのかしらね~」と涙を流した。

その後、響子は公園まで真悟と良多を迎えに来た。
真悟に飲み物を買いに行かせている間、響子と良多は「こんなはずじゃなかった」と言い合い、響子が「もう決めたんだから、前に進ませてよ」と小さな声で言った。
良多は「わかった、いや、わかってた」と、目に涙をためながら答えた。

3人で飲み物を飲んでいた時、真悟が良多に買ってもらってポケットに入れていた宝くじを落としたことに気付いた。
良多と真悟は強風と雨に吹かれながら必死に探し、見かねた響子も一緒になって、深夜の公園に散らばった宝くじを探し回った。
宝くじは10枚全部落としていたが、7枚しか見付けられなかった。

翌朝。台風は通過して晴れ間が見えていた。
淑子の家を出た良多は響子、真悟を駅前で待たせて、父親の硯を持って質屋へ立ち寄っていた。
硯には30万円の値が付きテンションが上がったが、同時に店主から、その昔、良多の父親が『無人の食卓』の初版本を近所中に配って回っていたことを知らされた。
良多は当時の父親の思いを知って恥ずかしさや嬉しさを感じながら、店主とその奥さんに言われるがまま、硯を使って店主が父親からもらったという『無人の食卓』にサインをして店を出た。
良多は硯を売らずに持ち帰ることにした。

真悟、響子と落ち合った良多は、真悟に「宝くじはお前に全部やるよ」と告げた。
その後、次回は3か月分の養育費15万円を用意することを約束して、良多は響子と真悟と別れた。

主題歌
ハナレグミ『深呼吸』・挿入歌
テレサ・テン『別れの予感』
ジュリアード弦楽四重奏団『ベートーヴェン弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調作品131』

 

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