『プリデスティネーション』ネタバレ解説考察|時系列整理、ロバートソンの種蒔き、フィズル・ボマーについて | 映画の解説考察ブログ - Part 2

『プリデスティネーション』ネタバレ解説考察|時系列整理、ロバートソンの種蒔き、フィズル・ボマーについて

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SF

解説・考察2ページ目

ロバートソンの種蒔き

プリデスティネーション
(引用:https://1.bp.blogspot.com

ジョンに「種蒔きを忘れるな」と忠告していたロバートソンですが、彼自身もジョンに対して種蒔きを行っていました。
そもそもジョンがあのバーに居たのはロバートソンの指示だったようですし、「俺達はロバートソンが倒したドミノを見ているだけ」という発言から、ロバートソンはジョンがちゃんとこの世に生を受けて将来的にフィズル・ボマーになるまで誘導していた可能性が高いです。

ロバートソンは見た目が変わらないので、どれがタイムスリップしたロバートソンだったのか判別は難しいですが、少なくともジョンに封筒を渡したロバートソンはタイムスリップで意図的に会いに来ていました。

ジョンがロバートソンから受け取った封筒には、フィズル・ボマーの行動パターンやモザイクのかかった写真まで含まれていました。
つまり、ロバートソンはフィズル・ボマーの正体が引退後のジョンだと知っていてあえてあの封筒を渡したということです。

ここで思い出すのは、ロバートソンはフィズル・ボマーについて「組織の成長のために必要な存在」と評価していた点で、フィズル・ボマーを組織を育てるための必要悪と考えていたのです。

ロバートソンの封筒や、皮膚再生後のジョンに1963年のバーに行くように指示したのも未来への種蒔きだったということになります。
ヴァイオリンケースのエラーもロバートソンの仕業だったのかもしれません。

 

ジョンが爆弾魔になった理由

プリデスティネーション
(引用:https://whatculture.com

ジョンが爆弾魔フィズル・ボマーになってしまった原因を示すシーンはいくつかありました。

ヒントのひとつは一番最後の台詞だった「どうしようもなくお前に会いたい」です。
引退後、孤独に苦しんだジョンは、愛おしい過去の自分に会うため、自分を追いかけてもらうために爆弾魔になったのです。

ジョンはボマーの正体が分かった時、ロバートソンも『種蒔き』をしていたことに気付いたと思われます。

タイムスリップマシンが使えるのだから、爆弾魔にならなくても普通に過去の自分に会いに行けば良くない?とも思いましたが、タイムスリップマシンの使用権はロバートソンが握っている可能性が高いことを考えると、ジョンは過去の自分と接触しようと思ったらロバートソンの意向に従ってフィズル・ボマーになるしかありません。

また、フィズル・ボマーは骨董屋の女性について詳しかったので、ジョンはフィズル・ボマーになる前に「ロバートソンの操り人形になるものか」「俺が犯罪者になるなどありえない」「運命に逆らってやる」などの思いから、健全な恋愛をしようとして骨董屋の女性と交際したということです。
しかし、彼女といてもジョンの孤独感が癒されることは無く、むしろ自分自身しか愛せないことに気付いたのでしょう。

孤独に耐えきれず、自分自身しか愛せないとなると、ジョンはロバートソンの意向(運命)に従ってフィズル・ボマーになるしかないのです。

もう一つの伏線はタイムスリップマシンの多用による『精神病の兆候』です。
具体的な病名は出ませんが、孤独に悩む人はメンタルヘルスが悪化しやすいことも考えると、ジョンは精神病の影響で判断力が鈍ってしまい、強い意志も持てなくなってしまった(善悪の判断がつかなくなり、過去の自分と関わりたい欲求に負けた)のかもしれません。




ジョンは失顔症だったのでは?

プリデスティネーション
(引用:https://www.johnmcdonald.net.au

最初は設定の矛盾かもと思いましたが、ジョンが人の顔が覚えられない病気だったのではと考えると納得できる疑問があります。
それは、25歳のジョンが18歳のジェーンと学校で出会うまで自分自身が元恋人だったことに気付かなかった点です。

若い頃に鏡を見るのをやめたジェーンが自分の顔を覚えていないのはわかりますが、性転換後の自分が元恋人と同じ顔であると気付かないことに違和感を覚えました。
2か月以上一緒に居て本気で愛し合っていた恋人の顔があるのに『何となく似てる』で片付くのは何か変な気がします。

まさかタイムスリップマシンがあって自分自身と恋をするなんて思いもしないのはそうなんですが、でも思い入れの強い人物の顔が鏡に映っているのに気づかないのはやっぱりおかしいかなと思います。

なのでもし設定ミスではないとしたら、ジョンは人の顔がちゃんと認識出来ないか覚えられないと考えるのが自然な気がします。

ジョンが失顔症だったとしたら、ロバートソンの封筒に入っていたフィズル・ボマーの写真の顔に不自然にモヤがかかっていたのも、本当は写真にモザイクはかかっていなかったけど、ジョンの目を通したシーンだったから人の顔がのボヤケて見えていたと思えば納得できるし、そうなるとジョンが性転換手術を終えた後に鏡を見た時「人生を狂わせた男を何となく思い出した」だけだったのも納得できます。
自分の声と他人が聞いている自分の声は違うので、実際に会うまで気付かないのはあり得なくはないかなと思えます。

そして失顔症になった原因は、新生児の頃にさせられたタイムスリップです。

もしかしたら単純に演出上で起きてしまった矛盾かもしれませんが、失顔症だったと解釈した方が個人的には面白いです。

 

その他の伏線

『明日すべきことを昨日やるな』、『成功したら二度と試すな』

ジョンが大やけどを負い、目覚めたベッドで目にしたメモです。
恐らく引退することにしたジョンが残していったものです。

運命を変えようとするなということが言いたいのかなと解釈しました。

鶏が先か卵が先か

恐らく最も有名なパラドックスの例え話で、鶏は卵から生まれますが、1番最初に誕生した鶏はどこから生まれたのかと考え始めるとわけがわからなくなる問題です。

ジェーンとジョンがこの世に生まれる原点を考え始めるとわからなくなる感じがまさに『鶏が先か卵が先か』理論に当てはまります。

自分の尾を食う蛇

ウロボロスのイラスト
(引用:https://www.irasutoya.com

原作小説『輪廻の蛇』に由来した台詞です。
『自分の尾を食う蛇』は、古くから世界各国に伝わる『ウロボロスの蛇』というシンボルが由来です。

このシンボルには『死と再生』、『始まりも終わりも無いもの』のような意味を持ち、ジョンの生きざまを形容しています。

 

タイムトラベルの矛盾から生まれた この世で唯一過去と関わりを持たぬ者

こちらは伏線ではないですが、個人的に印象的だったロバートソンの発言です。

ジョンはタイムマシンがあるからこそ生まれた存在で、自分自身から生まれたので過去(祖先)を持たない唯一の存在という意味です。

以上です!読んでいただきありがとうございました。
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感想などお気軽に(^^)

  1. ミー より:

    タイムマシンがあるならクローン技術、遺伝子操作、デザイナーベビー制作技術もあるだろうと思うので、この映画の出来事は無限ループの輪を閉じる任務だったのだと推測できます。それぞれの役のデザイナーベビークローンを用意すれば可能かもしれませんね。ロバートソン役の人の顔がなんとなくバーテンダーに似ているのは前の世代の個体なのかも。

  2. 匿名 より:

    時代設定について1900年代後半に設定してるのって
    もしかしたらDNA鑑定が出来ないようにする為なのかなと思い調べてみたら
    FBIがDNA鑑定を犯罪捜査に利用し始めたのが1988年だそうです
    この映画内で考えると組織は1992年にも存在しており、また再生医療なども進んでいることから
    DNAについて確実に知識があり、その点からもジェーン、ジョン、フィズルボマーの正体をとっくに把握していた可能性が高そうですね
    ホント良く出来てますね

  3. なおなおなお より:

    すごく参考になりました。

    ただ、失顔症の部分は別の考察です。
    失顔症だと、ロバートソンの顔も覚えられないし、爆弾魔は+15歳ぐらいなのに一瞬で自分だと理解できたからです。
    人間関係が異常に少なかったせいで、顔の差の認識力が弱い程度かと・・・
    (昔の私の写真を見て「え、これ本当に私の写真?」となる事もありますけどね)

    恋しているジョンは楽しそうな笑顔のお坊ちゃん風でしたが、それ以外のジョンは苦悩する貧乏青年でしたからね。
    おそらく、笑う事もほぼなく、笑顔で鏡を見るなんて事は無かったでしょう。
    恋しているジェーンは彼をプラスで見るけど、憎き男になってからはマイナス要素に記憶が上書き。

    2カ月後の去り際のジョン青年は、なんだか別人のようで一番幼い感じがしました 笑

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