映画「CURE キュア」解説考察|赤いドレスの意味、猿のミイラ、タイトルについて | 映画の解説考察ブログ

映画「CURE キュア」解説考察|赤いドレスの意味、猿のミイラ、タイトルについて

※この記事にはPRが含まれています。
※この記事にはPRが含まれています。
キュア クライムドラマ

役所広司主演の映画「CURE キュア」に登場する赤いドレスの意味、猿のミイラの意味、タイトルに関する小話を解説考察しています!
鑑賞済みの方向けの記事です。まだ見ていない方はネタバレにご注意ください。

CURE キュア

制作年:1997年
本編時間:111分
制作国:日本
監督・脚本・原案:黒沢清
出演:役所広司(高部)、萩原聖人(間宮)、うじきつよし(佐久間)、中川安奈(高部文江(妻)、洞口依子(精神科医)、螢雪次郎、でんでん(巡査部長)、大杉漣、戸田昌宏 ほか

この映画の関連商品を楽天で検索する!

この映画は《U-NEXT》で視聴できます!31日間無料キャンペーン実施中。
※この記事の情報は2025年8月時点のものです。最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。

クリーニング店の赤いドレス

キュア
CURE (1997) 松竹富士

高部がクリーニング店に足を運ぶシーンでは、真っ赤なドレスが意味ありげに登場するのが印象的でした。

このシーンは黒沢監督がインタビューで話しておられたのですが、
黒沢監督は映画「悪魔のような女」(1955)が好きで、そのワンシーンのオマージュとしてこのシーンを取り入れたのだそうです。

悪魔のような女「悪魔のような女」DVD・ブルーレイ(楽天市場)

「悪魔のような女」は、暴力的で傲慢な夫に苦しめられている主人公の女性が、夫の愛人に誘われて夫を事故に見せかけて殺そうと計画する話です。
主人公と愛人は夫ミシェルをバスタブに沈めて殺しますが、翌日になると死体が忽然と姿を消します。
数日たっても死体は見つからないどころか、「ミシェルを見かけた」と周囲の知人たちが言います。
主人公が困惑する中、殺した時に夫が着ていたスーツがクリーニング済みの状態でお店から返却されて主人公がぞっとするシーンが、「キュア」でオマージュされています。

それに加え、首元からウェストにかけて布地がクロスしてX字型に見えるデザインの赤いドレスは、高部はあのとき文江を殺す妄想をしていた(高部も催眠をかけられつつある)ことを意味しているようです。

ちなみにクリーニング店でのシーンで高部の前にいた男性客が、待ち時間の間にぶつぶつと悪態をついていて、店員が現れると一瞬で笑顔になり礼儀正しくなるのも印象的でしたよね。
この男性客には公の場で演じている「外面(建前)」と、プライベートになると出て来る「内面(本音)」のような二面性が誰にでもある(本音を隠さなければ社会で生きていけない)ということを強調していたのかなと感じました。




猿のミイラの意味は?

キュア
CURE (1997) 松竹富士

気流の会の廃屋にはシャワーヘッドに磔にされた猿のミイラがありました。
このミイラを設置したのはあった場所から推測すると伯楽陶次郎です。
このミイラを目にすることが、伯楽陶次郎が仕掛けた伝道師になる催眠暗示にかかる条件のひとつになっていたと思われます。

この猿も首にバツ印があり、腕と足も交差していて、ものすごく意味が込められていそうだけどあまりピンとくる解釈は思い浮かびません(汗)

個人的な解釈にはなりますが、高部の妻も死に姿が猿のミイラと似た状態だったことから、猿のミイラは伯楽陶次郎とメスマーが抱いた憎しみや怒りを象徴するシンボル的なもののように感じました。

高部の妻が猿のミイラと同じ姿になるのは、高部が最も愛し最も憎んだのが妻だったからなのでしょう。

また、手足を引っ張るのは大昔に世界各地で行われていた死刑方法「八つ裂きの刑」を連想します。
通常の外向き(大の字状態)の八つ裂きが身体的なものを表すなら、
猿のミイラの腕脚がクロスした「内向きの八つ裂き」には精神の破壊が表わされているのかなとも思います。

余談ですが伝道師が絡んだ殺しの遺体にバツが付いているのは、世間にバツを付けられたメスマーと伯楽が、バツをつけ返している(世間は私たちを認めなかったが、私たちも世間を認めないという恨みの意思)のかなぁと考えたりしました。

真相は監督でないとわからないので、いつかどこかで話してくれることを願っています。

 

最初のタイトルは「伝道師」の予定だった

本作が好きな方はご存知の方も多いでしょうが、この映画のタイトルは元々は「伝道師」だったそうです。
伝道師は黒沢監督がこのストーリーの構想を考えた時点で付けていたタイトルだったそうですが、
映画化が実現化していくにつれて「伝道師」という単語には宗教的なイメージもあり、本作公開の数年前にはオウム真理教事件も起きていたので、宗教的なイメージを連想するタイトルは避けたいということになり、
本作関係者の誰かが何となく思いついた「CURE」というタイトルがシンプルで黒沢監督も気に入ったので変えたとインタビューで話しておられました。

たしかに伝道師というタイトルだとどことなく中国・韓国映画っぽい雰囲気が出てしまう気もするので、キュアの方がシンプルで、間宮&高部の行いを「キュア(治療・癒し)」と言い表すことに怖さも感じて良いタイトルだと思いました。




映画「CURE キュア」に関するその他の解説考察↓

この映画の関連商品を楽天で検索する!

この映画は《U-NEXT》で視聴できます!31日間無料キャンペーン実施中。
※この記事の情報は2025年8月時点のものです。最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。

¥この記事の筆者を応援する¥

 

感想などお気軽に(^^)

タイトルとURLをコピーしました