役所広司主演の映画「CURE キュア」の催眠術の大元について解説考察しています!
鑑賞済みの方向けの記事です。まだ見ていない方はネタバレにご注意ください。
本編時間:111分
制作国:日本
監督・脚本・原案:黒沢清
出演:役所広司(高部)、萩原聖人(間宮)、うじきつよし(佐久間)、中川安奈(高部文江(妻)、洞口依子(精神科医)、螢雪次郎、でんでん(巡査部長)、大杉漣、戸田昌宏 ほか
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※この記事の情報は2025年8月時点のものです。最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。
催眠能力の大元は?
CURE (1997) 松竹富士
間宮、高部が会得した催眠能力の元は何なのか、ヒントとなる情報が間宮の部屋と佐久間の調査報告、廃屋にちりばめられていたので整理します。
まず間宮の部屋でメスマーという人物についての本が登場します。
メスマーは18世紀頃に実在したドイツ人医師で、簡単に言うと催眠療法・催眠術の始祖です。
メスマーは「全ての生物は微量の磁気を帯びており、磁気の流れを調整することで健康になる」という「動物磁気説」を元に独自の治療法を発案し、その方法が現在の催眠療法の元になっています。
メスマーの治療法は当初はヨーロッパを中心に流行しましたが、最終的にはオカルト扱いされて医師や科学者などからは非難と嘲笑を浴び、メスマーは世間に失望しながら晩年は地元でひっそりと生涯を終えています。
また、間宮の部屋にあった「邪教」という本に載っていたという伯楽陶次郎という人物が本作における重要人物です。
※伯楽陶次郎は架空の人物です。
佐久間の調査によると、「邪教」は明治政府の依頼で作られた危険思想集団をリスト化した文献で、伯楽は当時の精神医療団体「気流の会」のリーダーだった人物です。
気流の会は催眠療法・催眠暗示をメインに研究・治療活動をしており、彼らにとってメスマーは教祖とも言える人物でした。
あるとき同会は明治政府からの弾圧を受け、政府に対する憎悪から邪教となり反政府組織になってしまいます。
邪教化した気流の会は富山県の奥穂高岳に拠点となる療養所を建設します。
しかしここにも警察が来てメンバーは一斉逮捕されましたが、伯楽だけは逮捕を逃れ現在まで行方不明のままです。
会の一斉逮捕から1年後、富山県在住の女性が自分の息子を殺す事件が起きました。
その息子は首から胸にかけてX字型に切られていました。
つまり、他人に催眠暗示をかけて被害者にX字型の傷を残す殺人を起こした最初の人物は伯楽陶次郎です。
伯楽は恐らく廃屋にたどり着いた人物は伯楽自身と同じ思想を持ち行動する「伝道師」になるように、猿のミイラを見て蓄音機の声(「癒せ、癒せ」の繰り返し)を聞くと催眠暗示にかかるトリックを仕掛けていたのです。
廃屋で何度か現れた幽霊っぽい人は恐らく伯楽陶次郎だったのでしょう。
そして間宮が催眠療法について調べる内にあの廃屋にたどり着いて催眠暗示にかかり、2人目の伝道師になったと思われます。
(間宮の前に伝道師になった人間もいたかもしれませんが、描かれていないので2人目と書いてます)
高部もまた間宮を追って廃屋にたどり着き、催眠暗示にかかって3人目の伝道師になったのです。
伝道師によって催眠暗示にかかった人間がおこす事件が過激なのは、メスマーと伯楽陶次郎の社会に対する恨み、怒りの念が催眠に乗っかっているからだと思われます。
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