ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』の解説と考察を書いてます。
「ラストの翔のセリフの意味は?」「小人族が絶滅寸前になった原因は?生き残るためには?」「翔とアリエッティのその後を想像」について書いてます。
観賞済みの方向けの記事なので、まだ見ていない方はご注意ください。

監督:米林宏昌
脚本:宮崎駿、丹羽圭子
原作小説:『床下の小人たち』著者/メアリー・ノートン
キャスト紹介

© 2010 Mary Norton/Keiko Niwa/Studio Ghibli, NDHDMTW
アリエッティ…志田未来
小人族の少女14歳。牧家の床下に家族3人で暮らしている。
牧家に居候する翔に姿を見られてしまう。

© 2010 Mary Norton/Keiko Niwa/Studio Ghibli, NDHDMTW
翔…神木隆之介
親戚である牧貞子の家で療養することになった少年。
牧家に着いた初日にアリエッティを目撃し、交流を図る。
心臓に持病があり、移植手術を控えている。
・その他のキャスト
ポッド(アリエッティの父)…三浦友和
ホミリー(アリエッティの母)…大竹しのぶ
スピラー(小人族)…藤原竜也
ハル(家政婦)…樹木希林
牧貞子(大叔母)…竹下景子 ほか
解説・考察・感想など
小人族が絶滅寸前になった原因は?生き残るためには?

© 2010 Mary Norton/Keiko Niwa/Studio Ghibli, NDHDMTW
アリエッティの種族が絶滅寸前にまで減っている理由は、
人間に依存しているのに、人間に見つかってはいけないという矛盾する生き方をしていたからです。
アリエッティたちはドールハウスに住み、きれいな洋服を着て、家具や食器を使うなど「人間らしい生活」をしています。
今の生活を維持するためには、人間からは離れられません。
一方で、小人たちは人間を危険視しています。
その感覚は普通ですが、人間を危険視するなら、人間に依存した生活をしているのはおかしいです。
もうひとつの理由は、小人族は小動物並みに小さくか弱い生き物で外敵も多いのに、繁殖の仕組みが人間と同じ(1回の妊娠で1人出産)だからではないでしょうか。
外敵が多く、繁殖能力が高くない動物はいずれ絶滅します。
また、動物の絶滅には人間による乱獲や自然破壊が深く関わっていることも忘れてはいけません。
翔が「君たちはいずれ絶滅する種族だ」と言ったとき、アリエッティが「あなたのせいで引っ越すことになった」という反論には、絶滅していった動物たちの「人間のせいで絶滅した」という声が反映されているようにも感じます。
そんな中、小人族が生き残る方法として作中で2パターン提示されていました。
1つはスピラーのように、人間から離れて自給自足の生活をすることです。
スピラーは必要なものはすべて手作りし、食べ物も虫を狩って生活していたので、アリエッティたち家族とは体格のたくましさに明らかな違いがありました。
そういえばアリエッティたちはタンパク質は何を食べていたのか地味に気になります。
お肉やお魚は冷蔵庫で開けられないでしょうし、缶詰を持ち帰っていたとか、庭の池で小さな魚を釣ったりしていたとか、もしくはベジタリアンだったんでしょうか。
話がそれてすみません。
もう一つの生き方は、猫のように人間に友好的な生き物になることです。
小人族に理解ある人間に住処を提供してもらって一緒に住めば、それなりに安心で人間らしい生活が送れます。
それでも好奇心の強い人間(子どもなど)や、悪意ある人間に見つかると危険ですが、自給自足で生活した場合の外敵の多さを考えたら、どっちもどっちな気がします。
アリエッティたちはスピラーと旅立ったので、人間と共存する生き方ではなく、人間との関わりを減らし自給自足寄りの生活を始めるのでしょう。
ちなみに猫のニーヤのモデルは、スタジオジブリでかつて飼育していた猫ちゃんなのだそうです。
そっくりな猫が「耳をすませば」に登場しているのも、モデルがいたからなんですね!(^^)
「君は僕の心臓の一部だ」の意味は?

© 2010 Mary Norton/Keiko Niwa/Studio Ghibli, NDHDMTW
翔はアリエッティに「君は僕の心臓の一部だ」と言います。
翔の心臓は病気で、このままでは長く生きられません。
だから翔は移植手術を受けるわけですが、新しい心臓が翔に適応するかどうかは、移植してみなければわかりません。
適応する可能性が高い心臓を移植しても、拒絶反応が起きる可能性はゼロではなく、もしそうなれば翔はそのまま死んでしまいます。
移植可能な心臓は簡単には見つからないからです。
翔の心臓の状況と、アリエッティたちが置かれている状況はよく似ています。
アリエッティたちもこのまま引っ越さずにいればハルさんに捕まってしまうので移住しますが、新しい場所でアリエッティたちが生き残れるかどうかは、やってみないとわかりません。
翔はこれらの似ている境遇を含めて「君は僕の心臓の一部だ(だから生き抜いてほしい)」と言ったのかもしれません。
また、アリエッティは翔に生きる希望と勇気を与えた存在です。
翔が言う「心臓」は臓器のことではなく、「生きたいという意志」のことだったのかもしれません。
「君は僕の心臓の一部だ」は「君は僕に生きたいと思わせてくれた」という意味でもあるかもしれません。
翔の手術は成功した?その後を想像
映画内で翔のその後は描かれていませんし、原作にも翔のモデルとなった登場人物のその後は描かれていません。
この話はフィクションなので、結末のその後は見た人が自由に想像して良いものです。
しかし、エンドロールが始まった時にヤカンの周りを泳いでいた鯉が頭から離れません。
アリエッティが飛び出した外の世界は、想像以上に外敵が多く恐ろしいですが、無事に新しい住処にたどり着いて欲しいです。
最後に私個人が好きな「その後」を想像しました。
翔は手術に成功してスポーツできるほど元気になり、いつかどこかの草むらでスピラーと一緒に虫を狩るアリエッティを見かけました。
翔とアリエッティは目が合いますが、翔は友人に呼ばれて一瞬目を離すと、もうそこに小人の姿はありませんでした。
翔は笑顔で草むらを通り過ぎ、友人の元に走ります。
それから翔は例の草むらに、たまに角砂糖を一粒置いていきます。
それをアリエッティが持って帰るのか、アリさんが巣に運ぶのかは、誰も知りません。
という感じが個人的な理想の「その後」です。
読んでいただきありがとうございました(^^)
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