『機動警察パトレイバー the Movie』ネタバレ解説|帆場の自殺理由など考察 | 映画の解説考察ブログ - Part 2

『機動警察パトレイバー the Movie』ネタバレ解説|帆場の自殺理由など考察

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SF

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帆場の目的は?

帆場の狙いはバビロンプロジェクト(都市開発)を後退させることだったと後藤隊長や遊馬巡査が語っていました。

方舟を残しても壊してもバビロンプロジェクトは進まなくなりますし、HOSそのものがウィルスだったので、日本全体の80%以上のレイバーと篠原重工のメインコンピューターもウィルスに感染しているので、レイバーシステムの復旧そのものにかなり時間がかかることは確実です。

帆場は日本が発展するに連れて、お金儲けのために次々に新しい何かを作り、今まで作ったものは大切にせずゴミ同然にしていく在り方や価値観を見つめ直してほしかったのではないかと解釈しています。

 

エホバが間違った名前で狂喜した帆場

事件が聖書をなぞらえていたのは、帆場が自分自身を神と重ね合わせていたからなのは間違い無さそうです。
それなのに『エホバが間違って広まった名前だったと知って帆場は狂喜した』というのはどういうことなのか考えてみます。

狂喜:異常なまでに喜ぶこと。(引用:goo辞書

帆場が『全ての人間を嘲笑しながら死んでいった』らしいことから、帆場は自分自身が神か、神に近い存在と信じて生きていたことがわかります。
妄想で補完していますが、恐らく帆場は自分自身を神だと思うことが彼自身の精神を保つ行為に近いものだったのではないでしょうか。

一方で、神だと思いたい自分と、自分は人間だと理解している冷静な自分との葛藤も存在していたのでしょう。
エホバは間違った名前という情報が飛び込んで来たときの帆場の狂喜は、葛藤から開放された安心感からの『狂喜』があり、自分は神ではない(人間だった)と知ったことによるアイデンティティの崩壊からくる絶望がやがて『狂気』に変わったのではないでしょうか。
つまり、帆場は自分が神ではないことがショックで壊れてしまい犯行に至ったということで『狂喜』と『狂気』がかけてあったようにも思えます。




帆場が自殺した理由

帆場が自殺した理由もいずれわかると思いながら見ていたのに、結局明かされずじまいでモヤッとしました(笑)
帆場は天才的なプログラミング能力を悪用して開発の進捗を遅らせることは出来ても、開発の意向そのものを止めることはできません。

恐らく帆場は誰かに犯行動機を理解して欲しいと思いながら転居を繰り返し、自分自身が住居に選んだボロアパート達(過去の遺物)と同じ運命を辿ることを選んだのではないでしょうか。

また、帆場は全ての人間を嘲笑しながら死んでいった笑顔の裏に『私は特別な人間だから、私を真に理解できる他人はいない』というような極度の選民思想から生まれる孤独感もあったのかもしれません。

 

BABEL

パトレイバー
©️1989 HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TOHOKUSHINSHA

システムがウィルスに感染したとき、画面に『BABEL』と表示されました。
バベルは旧約聖書に登場する言葉で『混乱』という意味を持つようです。
さらに思い浮かぶ『バベルの塔』は、実現不可能な建築物であったことから『実現不可能な計画』を指す比喩とされています。
帆場はコンピューターにウィルスをバラまいて、バビロン計画を実現不能にしてやりたいという願いが込められていたのかもしれません。

 

鳩とカラスと666


(引用:https://patlabor.tokyo

方舟のサブ制御室にいたのは人間ではなく鳥でした。
鳩とカラスは旧約聖書の『ノアの方舟』に登場する鳥で、これも聖書になぞらえてあります。
もしかしたら帆場は、自分は神様ではないと知った後も、神に選ばれた存在だという考えは残っていたのかもしれません。
『ノアの方舟』に登場するノアは神に選ばれて、大洪水が起こることを事前に知らされ生き残った唯一の人間です。

また、鳩はキリスト教において平和の象徴です。
カラスは聖書においては雑食性で腐った肉も食い漁ることから『けがれた存在』とされる一方で、神の使いとして登場する場面もある奇妙な(?)立ち位置の鳥です。
帆場は聖書におけるカラスと自身にも重なる所を感じたのでしょう。

カラスに付けられていた『666』のプレートは帆場のIDでしたが、聖書においても666は意味を持つ数字とされています。

ここに知恵が必要である。賢い人は、獣の数字にどのような意味があるかを考えるがよい。数字は人間を指している。そして、数字は六百六十六である。(引用:新約聖書 ヨハネの黙示録 13章18節より)

カラスと『666』を見た時、直感的には悪魔を連想しました。
666は悪魔の数字というイメージや、カラスが悪魔の使いとして登場する作品をよく目にするので。
なので、帆場は『エホバ』が間違った名前だと知って、自分は神は神でも悪魔だったんだと解釈したのでは?とも考えましたが、こんがらがったので考えるのやめました。笑
666は人間を意味する数字でもあるので、666のプレートを付けたカラスは帆場自身を示していて、帆場は神に選ばれた人間だったと帆場自身が思っていたことの意思表示だったと解釈しています。

それより気になったのは、帆場はサブ制御室に鳩とカラスを入れてから自殺したんだとしたら、鳥さん達は最低5日以上サブ制御室に閉じ込められていたことになりますよね。
遊馬達が見つけるまでに従業員が誰も気付かなかった風なのも変な気がするし、それまで鳥さん達はご飯などどうしていたのかとか、野明が部屋に入った時はフンまみれでやばかったんじゃないかとか、そっちが気になってしまいました。
鳥さんの謎を考えると、もしかしたら帆場は死んでいなかったか、他に協力者が居た可能性も出てくる気がしますが、やはりこんがらがるので考えるのやめます(笑)

 

名言一覧


(引用:https://patlabor.tokyo

印象に残ったセリフをまとめました。

松井:それにしても奇妙な町だなここは
 あいつの過去を追っかけてるうちに何かこう 時の流れに取り残されたような そんな気分になっちまって 
 ついこの間まで見慣れてた風景があっちで朽ち果て こっちで廃墟になり ちょっと目を離すと綺麗さっぱり消えちまってる
 それにどんな意味があるのか考えるよりも早くだ
 ここじゃ過去なんてものには一文の値打ちも無いのかもしれんな

後藤:俺たちがこうして話しているこの場所だって ちょっと前までは海だったんだぜ
 それが数年後には目の前のこの海に巨大な街が生まれる
 でもそれだって あっという間に一文の値打ちも無い過去になるに決まってるんだ 質の悪い冗談に付き合ってるようなもんさ
 帆場の見せたかった物ってそういうことなのかもしれんな
『我々はどこに行くのか 我々は何者なのか』

松井:なんだいそりゃ?

後藤:大昔 ヨーロッパに攻め込んで破壊の限りを尽くした野蛮人の隊長が壁に書いた文句

帆場の住居巡りをした後の松井刑事と後藤隊長の報告会での会話です。
都市開発も流行のように思えてしまいます。
帆場は都市開発そのものに値打ちが見出だせなかったのかもしれません。

 

片岡:良い気なもんですよ
 トマト畑に鶏小屋 整備員は総出でハゼ釣ってるし
 ここの連中 これでほんとに警察官なんですかね?

松井:警官と言うより『正義の味方』ってとこだな

松井に付き添っていた片岡刑事が第二小隊の隊員達を見た時の会話です。
待機時間(勤務時間)中に釣りをしたり畑仕事をするのは確かに警察官らしくはないですね(笑)
鶏小屋が地味に気になるんですが、何に使っているんでしょうね。唐揚げにされちゃうためだったら何となく嫌なので、目覚まし係であることを祈るばかりです(笑)

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