アニメ映画「AKIRA」解説・考察|ラストのセリフの意味、肉塊、世界観についてなど | 映画の解説考察ブログ

アニメ映画「AKIRA」解説・考察|ラストのセリフの意味、肉塊、世界観についてなど

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SF

アニメ映画「AKIRA」の解説・考察をしています!

よくわからんけど面白い大人向け難解アニメの代表格です。
荒廃した都会の雰囲気、気持ち悪いぬいぐるみ、肉塊の不気味さや、ラボの機械などの細かさ、しばらく耳に残ってしまう独特なバックミュージックのセンスも最高です。

原作漫画は1982年から週刊ヤングマガジンで連載されていて結構古めの作品ですが、時代を感じさせない不思議な魅力があります。
その他にも、本作を観て感じた疑問などを考えて書き出しています。

鑑賞済みの方向けの考察記事です。
まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。

 

作品概要

制作年:1988年
本編時間:124分
制作国:日本
監督:大友克洋
脚本:大友克洋、橋本以蔵
原作漫画:大友克洋 著『AKIRA

 

あらすじ

第3次世界大戦終結後の2019年。
日本の東京湾上には『ネオ東京』という新都市が完成し、2020年の東京オリンピックを間近に控えていました。

職業訓練校に通う17歳の鉄雄は、バイク走行中に超能力を持つ子供と接触事故を起こして倒れ、軍に連れ去られてしまいます。
鉄雄の幼馴染み金田は鉄雄を助けようと奮闘しますが、鉄雄は事故をきっかけに超能力に目覚め、力に溺れて人格が変わってしまいました。

 

メインキャラクター紹介

金田岩田光央
17歳位の学生。不良グループのリーダー的存在。
鉄雄は同い年だが弟のように思っている。

鉄雄佐々木望
タカシとの接触事故で超能力に目覚めた少年。
卑屈で気が弱いタイプだったが、超能力を得て人格が変わる。

ケイ小山茉美
政府反対派ゲリラ組織に属する17歳位の少女。
ゲリラ組織リーダーの竜を慕っている。

アキラ(28号)…セリフ無し
軍に管理されている超能力者『ナンバーズ』の1人。
他の能力者と比べても圧倒的な能力を持っていた。

タカシ(26号)…中村龍彦
ナンバーズの1人。念力やテレパシーが使える男の子。

キヨコ(25号)…伊藤福恵
ナンバーズの1人。未来予知、他人への憑依、テレパシーが使える少女。
体が弱いのか、基本はベッドに寝たきり。

マサル(27号)…神藤一弘
ナンバーズの1人。念力や透視能力、テレパシーの能力を持つ少年。
足が悪く、カプセル式の車いすに座り念力で動かして移動する。

竜作(リュウ)…玄田哲章
ゲリラグループのリーダー。
ナンバーズによる日本革命を信じ、根津の指示で動いている。

敷島大佐石田太郎
軍幹部の男でナンバーズの研究・管理の総責任者。
ナンバーズの超能力を国のために役立てようと考えている。

根津大竹宏
野党党首の政治家。ゲリラグループの黒幕。

 

ナンバーズについて

AKIRA

©1988マッシュルーム/アキラ製作委員

老人のような異様な見た目の子ども達だった『ナンバーズ』についてです。

老人のような子どもたち(ナンバーズ)の正体は?

本作の重要な登場人物に、青白く老け顔の子どもたちが3人登場します。
映画では軍関係者の会話から推測するしかないですが、彼らは軍に研究・管理されている超能力を持つ子どもたちです。

彼らがなぜ老けているのか映画では語られませんが、原作では超能力をコントロールするために開発された薬の投与で身体の成長が止まり、老化だけが著しく進んでしまった姿だとされています。
軍内部で彼らは番号で管理されているので、総称してナンバーズと呼ばれています。

 

超能力が開花した理由

AKIRA

©1988マッシュルーム/アキラ製作委員

アキラなどのナンバーズ達の能力は、軍が莫大な資金を注いで開発したものでした。
それは会議の中の会話だったり、大佐の「自分達で掘った穴を慌てて自分達で埋めた」という発言で示唆されています。
恐らく軍の目的は『人間兵器を作ること』にあったようで、唯一の成功例がアキラだったのです。

アキラが唯一老化していなかったのは、彼だけは能力を抑える薬を飲む必要がなかった(能力をコントロール出来ていた)からではないでしょうか。

そして、冒頭の東京大爆発もアキラの力によるものです。
なぜアキラが爆発したのかは不明ですが、アキラがバラバラに冷凍保存されてしまったのは、彼を軍が管理できず危険と見なされたからなのでしょう。




冒頭でタカシが外にいたのはなぜ?

冒頭で、タカシは男性に連れられて街の中を走り、アーミーの男たちから逃げようとしています。
タカシは登場するナンバーズの中で一番健康体で、そして外の世界へのあこがれが強いです。
タカシを連れていた男は、ケイのゲリラグループの一員だったことが竜の発言から明らかになります。

タカシはラボに潜入していたゲリラの男に「自由にしてあげるから仲間になってくれ」など説得され、純粋に外に出たい気持ちもあり、男の誘いに乗って一緒にラボから出ようとしましたが、居場所がバレて男は死に、鉄雄と事故も起こしてしまい、仲間のマサルに説得されてラボに戻ったという流れだったのではと推測しています。

 

「もう始まっている」「いつかは私達にも」?

金田がブラックホールから出る時、マサルとキヨコが「もう始まっている」「いつかは、私たちにも」と言い残して消滅します。
抽象的で難しいですが、ナンバーズと接触した金田とケイにも近い未来に超能力が目覚めることを示唆していると思われます。

さらにキヨコが「私たちのような能力は人間誰もが持っている」と言っていたことから、いずれは人類全員が超能力に目覚める時が来るという意味だと思われます。

物語の中盤でケイが超能力を持つ人間を微生物に例えて「例えばアメーバやミジンコが人間と同じ力を持っても、彼らは微生物で知能がないから、ただ周りのエサを食い散らかすだけ」と語っています。
つまり、今現在の人類は超能力を持っても使いこなせないと言いたいのでしょう。
ただむやみに破壊と殺戮をするだけで力のコントロールもできず、鉄雄のように飲み込まれてしまうということだと思われます。

ネオ東京の街並みも、パッと見は高層ビルが立ち並ぶ立派な都市ですが、よく見るとモラルの低さが随所に描かれていました。
そこらじゅうゴミだらけで鉄雄はゴミをポイ捨てするし、春木屋の汚い店内とそこで売られるドラッグ、人前でも平気で男女が体をまさぐり合うようなモラルです。

その一方で、ナンバーズは金田が危険を顧みず鉄雄を助けようとするのを見て、人類に良心は残っていて、超能力を正しく使える未来が必ずくると感じていました。
そういう意味の「もう始まっている」「いつかは、私たちにも」なのかな〜と思いました。




鉄雄について

鉄雄についての疑問を考えます!

鉄雄の性格が変わった理由

鉄雄が超能力を得て性格がガラッと変わった理由は、超能力を得たことでコンプレックスが解消されたからです。

小柄な鉄雄は小さい頃からいじめのターゲットになりやすく、同じ孤児院の同居人だった金田に助けてもらいっぱなしでした。
鉄雄にとって身を守る1番の方法が大人しく目立たないようにすることだったのかもしれません。

それは学校でも同じで、鉄雄は仲間同士の間でも体格で劣っていることが原因で対等な人間関係を築けずにいました。
大人になれば体格の差は関係なくなることが多いですが、子どものころは対格差が人間関係に響くことは多いです。

鉄雄はずっとナメられ続けて生きてきました。
鉄雄自身はそんな状況にずっと不満を抱いていたものの、環境のせいにして自分では体を鍛えるなどの努力をせず、忖度して下っ端に甘んじていました。
これは鉄雄がまだ考え方が未熟である証拠です。

そんな未熟な男の子が突然強大な力を手にしたので、今までの鬱憤が爆発してしまったということなのでしょう。

 

鉄雄はなぜ肉塊になった?

鉄雄はオリンピック会場で肉塊になってしまいます。

原因としては鉄雄が脱走してから薬を飲んでいなかったことに加え、アキラと接触(?)した影響でパワーがさらに増大し、ナンバーズや大佐の警告を無視して力をフル稼働させた結果、急激な変化に体が耐えられず肉塊になってしまったと思われます。

 

次のページに続きます。

後半は『金田について』、『その他細かい疑問』です。




感想などお気軽に(^^)

  1. 匿名 より:

    最初の爆発は核爆弾ではないです。作中で言われてます。

    • mofumuchi より:

      匿名さん
      仰る通りです。修正しました。
      ご指摘ありがとうございました(_ _)

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