アニメ映画「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」(1995)のあらすじ解説と鑑賞前に知りたい予備知識を紹介しています!
制作年:1995年
本編時間:85分
制作国:日本
監督:押井守
脚本:伊藤和典
原作漫画:『攻殻機動隊』士郎正宗 著
主題歌:『謡』川井憲次
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声優&キャラクター紹介
(引用:https://twitter.com)
草薙素子(少佐)…田中敦子
少女の素子…坂本真綾
公安9課の少佐で部下たちをまとめる司令塔。
脳の一部以外は完全に電子化している。
政府から支給されたハイスペックな義体を駆使し、テロリストやハッカーと戦う日々を送る。
人形使いが起こす事件をきっかけにアイデンティティについて悩むようになる。
(引用:https://www.cinemacafe.net)
バトー…大塚明夫
公安9課の大男。
巨体な上、目は義眼レンズを着用していて見た目は怖い。
体は素子ほどではないが、ほとんど電子化している。
メンバーの中で素子と一番付き合いが長く友人に近い存在。
素子に対して特別な感情を抱いている。
(引用:http://livedoor.blogimg.jp)
トグサ…山寺宏一
素子が本庁から9課に引き抜いた新入り。
ほぼ完全電子化済みのメンバーの中で唯一ほとんど生身の人物。
マテバというリボルバー銃を愛用している。
(引用:http://b9life.hatenablog.com)
人形遣い…家弓家正
国際手配中の謎多きハッカー。
ゴーストハックが得意で、ハックされた人間は人形使いの思うままに操られる。
素子に興味を持っている。
荒巻部長(公安9課)…大木民夫
中村部長(公安6課)…玄田哲章
外務大臣…山内雅人
清掃局員1(ゴーストハックされた男)…山路和弘
清掃局員2…千葉繁
実行犯(自称プログラマーの男)…松山鷹志
ウィリス博士…生木政壽
外交官(殺された)…小川真司
台田瑞穂(亡命しようとしたプログラマー)…宮本充
検視官…家中宏
ゴミ捨てのオッサン…松尾銀三
技師…小高三良
運転手…佐藤政道
オペレーター…林田篤子
通信の声…上田祐司
狙撃手…亀山俊樹
指揮官…後藤敦 ほか
鑑賞前に知っておくと役立つ知識
原作漫画も本作も複雑難解で、原作漫画を知らない方がいきなり見るとハテナの海に放り込まれる感覚を覚えるかもしれません。(私は原作未読で観てそうなりました。)
鑑賞前に知っておくと理解しやすくなる情報をまとめます!
舞台背景
©1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT
舞台は近未来で、世界がネットワークに囲まれ、人間が体の一部、または全てを電子化することが普通になっている世界です。
しかし国や民族はまだなくなっておらず、現在も国同士、人間同士の争いは頻発しています。
また、本作の舞台は香港をモチーフにした街並みになっていますが、具体的な国名は出て来ず「本国」だけです。
主人公の草薙素子をはじめ、9課のメンバー全員が体の一部、または全てを電子化(義体&電脳を使用)しています。
彼らは義体(サイボーグ)を使うことで身体能力を強化していて、戦闘で体の一部が破壊されても義体の部分は交換できますし、生身の部分が破損すれば必要に応じて義体化することでカバーできます。
9課は政府支給の特別な義体を使用していて、本来の能力以上の能力を発揮できるようになっています。
パーツにも種類があり、作中で特に目立つのは義眼です。
多くの人物は普通の目ですが、バトーと6課の中村部長のように『眠らない目』と呼ばれる高機能な義眼を着用している人物もいます。
義眼のスペックは語られませんが、サーモセンサーなど特殊カメラのような機能を内蔵しているようです。
このように、体の一部を武器や道具に変えることも可能です。
9課メンバー同士がテレパシーのように口を動かさずに会話している様子が頻繁に登場します。
9課メンバーは全員電脳化していて、メンバーだけが使える特殊回線を使って内線電話のようにテレパシー感覚で会話できます。
また、インターネットへのアクセスも脳内で可能です。
脳内に仮想空間を生み出して会議を行うことや、マシン類の遠隔操縦、他人の電脳にアクセスして五感や感情、記憶を共有することも可能です。
他人の電脳にアクセスすることを作中では『ダイブ』と呼んでいます。
さらに特徴的な道具として光学迷彩があります。
光学迷彩は、ドラえもんやハリーポッターに出てくる透明マントのように、使用者の姿を透明に出来る道具です。
『プレデター』が透明になった時のような感じにも近いです。
全くの透明ではなく「ほぼ透明」で、よく見ると空間が歪んでいるのがわかります。
隠せるのは見た目だけで、音や重さ、においは隠せません。
「ゴースト」とは?
タイトルにもなっている『ゴースト』という単語がストーリーのカギとなりますが、その意味は詳しく語られません。
「私のゴーストがささやいている」
「ゴーストの無い人間は悲しいもんだ」
「機械にゴーストは存在しない」
「セルロイドの人形に魂が入ることだってあるんだぜ?」
などの発言から、ゴーストとは『魂』や『心』、『自我』などとほぼ同じ意味だと解釈できます。
完全に機械化された素子のような人間にとっては、『ゴースト』と、わずかに残された脳の一部だけが、彼らを人間たらしめる数少ない部分です。
しかし、ゴーストも自分の脳も直接見ることが出来ません。
素子は彼女自身が本当に人間なのかを疑い、彼女が彼女である証拠(アイデンティティー)を探していました。
ゴーストハックとは?
(引用:https://twitter.com)
個人の電脳がハッキングされる『ゴーストハック』という犯罪行為が登場します。
電脳がハッキングされた人物は記憶をねつ造され、ハッカーの思うままに感情と行動を操られます。
そして、あたかも自分の意志で罪を犯したかのように思いこまされた状態で犯罪に加担させられ、実行犯に仕立て上げられます。
感覚的には「劇場型詐欺」の実行犯をいつの間にかさせられていた感じですかね(適当)
本作ではこのゴーストハックをきっかけに事件が展開していきます。
公安9課とは?
公安9課は高度なテロ犯罪の対策や、一般に公表できないような政府の要望を遂行する裏の組織です。
表立ってはテロリストに関わる仕事をしていますが、暗殺も要請があれば行います。
9課のトップは荒巻部長、その下が少佐である草薙素子です。
メンバーは5名のスペシャリスト達を集めた少数精鋭グループです。
本作に登場するのは荒巻部長、素子(少佐)、バトー、トグサ、イシカワの5人で、現段階ではこれが全メンバーです。
荒巻はネゴシエイト、素子はハッキング、バトーは戦闘、イシカワは情報収集が特に得意なのはわかるんですが、トグサは何かに特化している描写が無いのでマルチにこなせるタイプなのでしょう。
他のメンバーが登場するシリーズは、本作の事件をきっかけにメンバーを増やしたという設定になっています。
私もまだ30分アニメと映画すべて見れていないので、勘違いしている部分があったらご容赦ください。
素子たちは政府から支給されたメガテクボディ社製の特別な義体と電脳で活動していて、退職する際は、その義体と業務に関わる記憶を政府に返す必要があります。
公安6課とは?
本作では9課の他に、公安6課も登場します。
公安6課は『外務省条約審議部』のことです。
おもに海外の事件や諜報を担当している外務省直属の部隊で、トップは中村部長です。
6課の登場シーンは少ないですが、彼らも事件に絡むので頭の隅に置いておくと話が理解しやすいです。
あらすじ紹介
基礎知識をおさえたので、以下はストーリーをわかりやすさを意識してまとめました。
あらすじ①:ガベル共和国とマレス大佐
公安9課の草薙素子のグループは、あるプログラマーの国外亡命を手助けしようとしたガベル共和国の外交官を暗殺しました。
翌日。本国政府は新政権になったばかりのガベル共和国と秘密会談を控え中、9課の荒巻部長は外務大臣から「現在本国に亡命中のガベル共和国旧軍事政権の親玉 マレス大佐をうまく国外追放しろ」と暗に指令を受けました。
あらすじ②:連続ゴーストハック事件
その直後、外務大臣の通訳の女がゴーストハックされかける事件が起きますが、荒巻が事前に予測していたため事なきを得ます。
犯人は秘密会談を襲撃するつもりだったようで、それは本国と、新政権ガベル共和国の国交を邪魔したい者がいることを意味していました。
犯行の手口から、通訳をハッキングしたのは現在国際指名手配されている素性不明の天才ハッカー『人形使い』以外に考えられません。
利害関係から考えれば、本国に亡命したがっているマレス大佐が犯人であり、人形使いを雇って秘密会議を邪魔しようとした可能性が濃厚です。
しかし、唯一の手がかりである『ハッキングに使われたツール』が闇市場に出回っている旧式だったため、犯人がマレス大佐だと断定はできません。
素子は、マレス大佐があえて旧式を使って捜査をかく乱しようとしているか、『マレスが犯人と思わせたい別の人物』がいるかのどちらかだと推測していました。
9課は捜査を続けますが、通訳をハッキングしたゴミ収集の男もゴーストハックされた被害者、ゴミ収集の男をゴーストハックした自称プログラマーもまたゴーストハックされた被害者だとわかり、新たな手がかりは掴めないまま捜査は止まってしまいます。
あらすじ③:潜水する素子
(窓から外を見る素子 ©1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT)
素子はゴーストハックの被害者を見てから悩むようになり、海で潜水するのが日課になっていました。
マシンに塩水は厳禁なので、義体で海に潜るのは自殺行為に等しいです。
バトーは素子が心配で海に同行して悩みを聞きだそうとしますが「自分の人間性がどこにあるのか知りたい」、「自分を制約しているものから解放されてみたい」と語る素子の悩みがバトーには理解できませんでした。
あらすじ④:9課に現れた義体
翌日。金髪の女の義体が1体、9課のラボに運び込まれました。
この義体は昨日、政府御用達の義体メーカー『メガテクボディ社』の製造ラインが勝手に動いて作りだし、その後勝手に動き出して逃げた義体です。
それは社の製造ラインがハッキングされ、作られた義体もハッキングされたということです。
義体は逃走後に自動車事故に遭い、事故現場からたまたま最も近かった9課に運び込まれました。
義体を調べると、空っぽのはずの義体の脳からゴースト反応のようなものが確認されました。
義体に人間の脳は入っていないけれど、魂が宿っているかもしれないということです。
義体の中にいる『何か』を確かめたくなった素子は、義体にダイブすることにしました。
あらすじ⑤:事件の真相と結末
その時、突然6課の中村部長が現れて「この義体には人形使いが入っている。今から6課で預かる」と言い出し、人形使いは人間ではなくハッキングAIだと明かされました。
AIであるはずの人形使いが自我を持ち、逃亡していたのです。
すると、沈黙していた義体(人形使い)が「私の名は『2501』。本国への亡命を要求する」と喋りはじめます。
事情があると察した荒巻が人形使いを6課に渡すのを拒否した直後、謎の武装集団が現れて人形使いを誘拐しました。
素子はさらわれた人形使いを追いかけて博物館に辿り着き、武装集団を撃退して人形使いを取り戻します。
その間に、一連の事件は6課が裏で手を引いていたことが判明しました。
6課は1年前から米軍と組んでハッキングAIの開発を進めていました。
そのプロジェクト名は『2501』で、人形使いは開発されたハッキングAIから自然発生した自我を持つAIでした。
外務省は新ガベル共和国との絡みで人形使いを使うつもりでしたが、人形使いは日本に運ばれた直後に逃亡しました。
自力で捕まえるのが難しいと判断した6課は、9課に真相を隠して人形使いを捕まえてもらおうとしていたのです。
人形使いをさらった集団も6課が用意していた部隊でした。
6課の追撃部隊が現れるのは時間の問題です。
素子はバトーに協力してもらってこの場で人形使いにダイブしました。
人形使いは「君と話せるのを待っていた。私は完全な生命体になるために『寿命』と『生殖能力』が欲しい。そのために君と融合したい」と言い出しました。
素子は人形使いが持つ『進化への欲求』に共感し、『唯一無二の存在になれること』にも魅力を感じて融合を受け入れました。
その後、素子はバトーのセイフハウスで目覚めます。
素子の義体は戦闘で壊れてしまったので、素子はバトーが闇市場で入手した少女の義体に入れられていました。
素子は人形使いと融合して生まれ変わり、今までの悩みは消え去りました。
人形使いに関する一連の事件はテロリストの仕業と報道され、外務大臣の辞任で決着が着きそうです。
素子は現在失踪者扱いになっています。
バトーは「9課に戻りたくないなら俺が匿ってやる」と言いますが、素子は1人で逃亡することを選びます。
素子はバトーと「2501」を合言葉にまた会おうと約束をすると、体を捨てて意識だけの存在となり、広大なネットの世界に消えました。
感想などなど
前からおもしろそうだな~と思いつつ手が出せずにいた映画でした。
1回見ただけではストーリーがほぼ理解できず、概要を調べてから見直しました。
解説見ずにわかったことはバトーの恋心だけです笑
2、3回目でようやくストーリーを理解しながら鑑賞ができました。
政治的でわりと複雑なお話なのに流れるような説明だけで、そもそも説明がないことも多く、みんな話し方が小難しいのが難解な原因だと思います。
あえて難しく描いて考えさせるというのも、制作側の目的だったかもしれません。
これは深読みかもしれませんが、バトーが「素子は人形使いの件から様子がおかしい」と言っていたから思ったことですが、素子も実はゴーストハックされていて、人形使いに感情を操られていた可能性を考えました。
人形使いは融合するために相手(素子)の許可と、直接つながることが恐らく必要だったんです。
いつもの素子は哲学的なことを考えすぎて不安定になるということはなかったのに、人形使いと関わってから突然不安定になりましたし、素子をパートナーと決めた時点で、素子が心を許しやすい状況を作り出すために感情を操って不安定にさせたり、人形使い自身に執着するように操っていた(人形使いにダイブするように仕向けた)んじゃないか?などと考えてしまいました。
あくまで予想なので真偽はわかりませんが。。
バトーの素子に対する感情は、Wikipediaなんかには『好意に近い特別な感情』と書かれていましたが、あれはもはや『愛』と言って良いですよね~
なによりもまず素子のことを考えて動く様子、素子が服を脱げば恥ずかしそうに顔を背ける姿、不安定な素子を心配するバトーは、結末を知っている状態で見ると切なくなりました。
最後、素子がバトーのセイフハウスで目が覚めた時、バトーは「ずっとここにいても良い」と優しく言います。
あの優しい口調にはキュンでした。。
あれはバトーなりの告白で、辛いなら仕事もやめてここに住めば良いし、俺が守ってやる的な意味ですよね。
そして悲しいことに、素子はあっさり出て行ってしまいます。
バトーもバトーであっさりしていて、素子が行くと言えば車をポンとあげちゃいます。
多分素子が出ていく方を選ぶことをバトーはわかっていて、そういう素子だから好きなんでしょうけど、恋心は複雑ですね。
そして素子は失踪し、話は次作の『イノセンス』(2004)へ続きます。
以上です!読んで頂きありがとうございました。
解説考察は次の記事です。
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感想などお気軽に(^^)
僕もこのアニメを何度も見て原作も読み何度も考えたけど、全く解らないことだらけでしたが、
とてもよくわかりました。すごく面白い解説でした。ありがとうございます。
はじめまして。
分かりやすい記事ありがとうございました。
アメブロでゴーストインザシェル の感想を書いたのですが、こちらの記事も紹介させて下さい。
tabbyさん
コメントありがとうございます!
読んでくださった上に紹介までして頂いたとのことで、嬉しい限りです!(^^)
よろしければtabbyさんのブログのURLも教えてくださいね。覗きに行きます!