『L.A.コンフィデンシャル』解説考察|時系列整理、ロロ・トマシ、真犯人についてなど | 映画の解説考察ブログ - Part 2

『L.A.コンフィデンシャル』解説考察|時系列整理、ロロ・トマシ、真犯人についてなど

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LAコンフィデンシャル クライムドラマ

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マット(サイモン・ベイカー)が殺された理由

LAコンフィデンシャル

シド、マット、ジャック© 1997 Regency Entertainment (USA), Inc. in the U.S. only.

ジャック・ビンセンズ(ケヴィン・スペイシー)はドラマの監修役に復帰した直後、週刊誌記者のシド(ダニー・デヴィート)と組んでロウ検事の性生活を撮影して雑誌掲載してやろうと計画しますが、ロウをはめるために若手俳優のマット(サイモン・ベイカー)を騙したことに、長らく眠っていた良心が痛みます。
ジャックは考え直してマットがベッドインしてしまう前に帰らせようとしますが、モーテルの部屋に入るとロウ検事はおらず、マットは殺されていました。

マットの死は最初から計画の内に入れられていたものでした。
首謀者であるダドリーとピアスは、ロウ検事を言いなりにさせるための材料を欲しがっていました。
そこでダドリーとピアスはシドに連絡し「マットを使ってロウ検事の『ホモ写真』を撮れ」と命じます。
マットが拘置所から出られたのは、ダドリーがそのように手配したからです。

シドは恐らく金ももらっていたので何とか自然にマットをロウ検事の所に行かせようとしますが、なんと言って誘導すれば良いのか困っていました。
その時、ジャックが偶然にも「ロウ検事に恨みがある」と発言します。
シドはジャックの話題に食いつき「ロウ検事はゲイらしいぞ。あそこにいるマットは両刀だから、マットにロウを誘惑してもらって写真を撮ろう 検事のゲイネタは売れる」と適当言ってジャックの所にマットを連れてきました。

マットがひどく緊張していたのは、恐らくシドがマットの説得に失敗したからです。
ジャックは口が上手いので「演技だと思え」と励ましてマットを送りだしてしまいます。

その後、マットはうまくロウを誘惑して指定されたモーテルに入ります。
恐らくこの時すでにピアスとダドリーはモーテル付近で待ち構えていて、シドが写真を撮った直後に部屋に侵入してロウを拉致し、マットを殺しました。

ジャックはマットの芸能界での可能性を消してしまったことに良心が痛んで助けにいったわけですが、マットの裏にはもっとどす黒いものが動いていたのです。

 

ジャックとシドが扱った不倫騒動

LAコンフィデンシャル

© 1997 Regency Entertainment (USA), Inc. in the U.S. only.

クリスマスの夜、ジャック(ケヴィン・スペイシー)はシドからワイロをもらって大物女優の不倫現場を抑えて逮捕し、その様子をシドに撮らせました。
この時に大物女優の不倫相手だったのは、ロウ検事の相手もさせられたマット(サイモン・ベイカー)です。

この時ジャックは不倫現場だったマットの自宅から高級娼婦店『ユリの花』のカードを見付けます。
つまり、この不倫騒動そのものがでっち上げだった可能性が高く、この時もマットは利用されていたのです。

名前は忘れてしまいましたが、ジャックが逮捕した『大物女優』を芸能界から追放したがっていたお金持ちの誰かがピアスに依頼し、ピアスは彼が抱える娼婦から、その女優に似た女の子をマットの自宅に行かせてシドが写真を撮り、ジャックが逮捕したのです。
被害者となった『大物女優』にとっては身に覚えのない不倫報道ですが、自分そっくりの女が男と裸でいる写真が掲載されていては、特に親しいごく一部の人以外には信じてもらえないでしょう。




ラスト考察:エクスリーは事件をどう片付けた?

エクスリーは事情聴取で「ダドリーが全ての黒幕だった」と供述しますが、翌日の新聞でダドリーは「殉職した刑事」になっていました。
エクスリーがどんなシナリオを公式発表したのか詳しくはわかりませんが、恐らくは警察退職者のリーランド・ミークス(バズ)とステンズランド(バドの元相棒)が黒幕、カーライルとブルーニングは2人に協力していた汚職刑事だったことにして、ダドリーが犯人2人を特定したが、殺されてしまった というシナリオにしたのではないでしょうか。

黒幕が警察内部の役職者だったと世間に知れれば、それこそロス市警の信用はがた落ちなので、署長は真実をそのまま公表するのをためらいました。
エクスリーは出世を見返りに真相を闇に葬って代わりのシナリオを提案することで全てを丸く収めたのです。

ダドリーは罪を死で償いますが、世間的には罪から逃げきっているので本物のロロ・トマシになったとも言えます。

ロウ検事の「エクスリーを殺して全部なかったことにしよう」という案が通らなかったのは、罪を罪で上塗りする最も最悪な方法ですし、署長もエクスリー殺しの共犯者にさせられえかねなかったからです。

 

その他細かい疑問

一問一答形式で終わってしまうような細かい疑問をまとめました。

ダドリーが刑事課に行きたがるエクスリーを止める理由

ダドリーはエクスリーの性格を客観的に見ても刑事課に向いていないと判断したと思われますが、1番の理由は恐らく賢さや正義感の強さから『食えないやつ』だと思ったからではないでしょうか。

バドがシルベスター(監禁男)を殺した理由

バドがシルベスターを問答無用で殺してしまったのは、シルベスターの行動がバドの「母親を殺した父親」に似ていたからでしょう。

ピアスが市議を脅した理由

ピアスはハイウェー投資で荒稼ぎしていました。
ピアスが投資したハイウェーの建設は稟議で不採用になりかけていたので、ピアスは反対派の1人だった市議を脅して賛成させたことで無事に稟議を通過してハイウェー建設が始まりました。

エクスリーがリンを抱いた理由

エクスリーがリンを押し倒したのはバドに対する嫉妬心からですが、そもそもピアスは事前にリンに「エクスリーと寝ないとバドを殺す」と脅し、シドにも「リンの家で写真を撮れ」と指示しています。

シドが殺された理由

シドも殺されてしまったのは、恐らく『知り過ぎた』からです。
シドはネタかお金さえもらえれば誰とでも見境いなく仕事していたようなので、普通では知りえない情報を沢山知っていました。

ピアスが殺された理由

ピアスが殺された理由は『ダドリーの最大のライバルだった』からです。
ピアスは風俗業と投資と恐喝で大儲けして、ロスでも上位の金持ちになっていました。
ダドリーがジャック殺しの罪をピアスになすり付けたのは『ついで』で、本当は力を持ち過ぎたピアスがダドリーの描いた未来構想の脅威になると判断したからなのでしょう。

エクスリーがダドリーを撃った理由

今までのエクスリーならダドリーを殺さず逮捕して法の下に裁こうとしていたかもしれませんが、ダドリーは権力を持ちすぎていて法では正しく裁かれない可能性が高いです。
エクスリーはダドリーを逮捕した場合と、今殺した場合の両方の将来を見据えた上で殺したと思われます。

ダドリーを殺した瞬間が、エクスリーが正しさへの執着から解放されて本当の意味での『正義の警察官』になった瞬間だったのではないでしょうか。

以上です。この記事がお役に立てていたらハートマークを押してもらえると嬉しいです(^ ^)




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