映画『12モンキーズ』ネタバレ解説|ラストの解釈、科学者の目的など考察 | 映画の解説考察ブログ - Part 2

映画『12モンキーズ』ネタバレ解説|ラストの解釈、科学者の目的など考察

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SF

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ホセの役割

ジェームズの囚人仲間だったホセに与えられていた役目について考えます。
ホセが現れたのは第一次世界大戦と、空港でした。
彼の発言から考えても、ホセは恐らくジェームズが必ず科学者たちの意図した通りに行動するように、見守り役(軌道修正役)を任されていたと考えられます。

ジェームズ少年が大人になった自分自身の死を目撃していたように、ジェームズがあの空港で死ぬことは決まっています。
空港でホセが目的を明かさずに銃を渡したのは、ジェームズは銃を持っているだけでよかったからです。
もし銃を持っていなければ、ジェームズは警官に撃たれなかった(死ななかった)かもしれません。
ジェームズ少年が銃撃戦を目撃しなければ、その後悩まされるはずの夢に悩まされなくなり、人格や生き方に影響を与えてしまう可能性があります。

科学者たちの発言から察するに、タイムスリップさせた囚人達の中でも、ウィルスをバラまいた犯人に繋がる情報を得たのはジェームズだけでした。
つまり、ジェームズは2035年以降の未来に関わる重要な人物であり、決められた運命をたどってもらわなければいけません。
そうなると、ジェームズ少年の人格に影響を与えることは極力避けなければなりません。
なので、ジェームズには運命通りに空港で刑事に撃たれて死亡して、ジェームズ少年がその現場を目撃すること(銃撃事件を目撃して心に傷を負う)は、2035年以降の人類のために必要なことだったのではないでしょうか。

 

夢の中の実行犯はジェフリーだった


(引用:https://mobile.twitter.com

ジェームズが何度も見ていた空港での銃撃戦の夢で、ウィルスをバラまいた実行犯はジェフリーでした。
実際にはピーターズに変わっていましたが、恐らくウィルス散布する人間を止めようとすることに意味はなく、ジェフリーがだめならピーターズ、ピーターズが駄目ならまた別の人が、となり運命は変えられないことの暗示だったと解釈しています。

恐らくはピーターズ博士も12モンキーズの一員で、元々ウィルス散布はジェフリーの仕事だったものの、ジェームズとキャサリンがジェフリーをマークしていることに気付いた組織は担当変えを行い、ジェフリーは注意を逸らす要員になり、ノーマークだったピーターズが実行犯に変わってしまったのです。

たとえもう一度タイムスリップしてピーターズをマークしても、今度は別の構成員がウィルス散布することになり、ウィルス散布そのものを阻止するのは不可能なのでしょう。

ちなみに、ピーターズ博士の思想(犯行動機)は全て、キャサリンに対する発言に集約されています。

「人類は今のままでは地球を滅ぼすことになる
核兵器 計画性のない人口の増加 陸 海 空気に対する環境汚染
なのに人類はそれらの警告を真剣に受け止めようとせず 目先の暮らしに浮かれている」




カサンドラ異常心理

カサンドラ異常心理(カサンドラコンプレックス)の意味については作中でキャサリンが簡単に説明してくれていましたが、改めて説明すると、名前の由来はギリシャ神話に登場する、予知能力を持つ女王カサンドラから来ています。

彼女は太陽神アポロンを怒らせてしまい、『予言を誰にも信じてもらえない呪い』をかけられます。

本作においてキャサリンは、世界各地に出没した予言者の心理状態を分析して『カサンドラコンプレックス』と名付け、予言者を精神病者にしてしまったのです。
キャサリンはジェームズの未来についての発言を信じ、世間に広めようとしたことで、逮捕後は彼女自身がカサンドラコンプレックスと診断されて精神病認定されてしまうのでしょう。

 

歯を抜いた浮浪者

ジェームズが1996年に出会った浮浪者は、ジェームズの幻聴の声の主でもありました。
彼が声だけでなく姿も存在していた点や、歯に追跡装置があることを知って抜いていた点などから、恐らくこの浮浪者も未来から来た元囚人で、科学者に命じられてタイムスリップしていたと思われます。

この浮浪者もジェームズと同じように1996年で12モンキーズについて情報を集めるように命じられていたのでしょうが、彼は歯を抜いて科学者たちの監視から逃れ、そのまま浮浪者として1996年で余生を過ごしていたのでしょう。

 

病気だと思い込むジェームズ

1996年にタイムスリップしてジェフリーと会い、2035年に戻った直後から、ジェームズは科学者たちを妄想と決めつけようとします。
ジェフリーがウィルスによる人類滅亡計画を思いついたのは、ジェームズがウィルスで人が大勢死ぬ話をジェフリーにしてしまったからであり、人類滅亡のアイディアをジェフリーに吹き込んだのはジェームズ自身だったのす。
自分自身の発言が人類滅亡の原因だとを知ったジェームズは罪の意識に耐えかねて、逃避するために全てが妄想で自分は病気だと思い込もうとしました。

 

落書きと留守電


(引用:https://gifer.com

『ここからウィルスが?50億人が死ぬ』を書いたのも、「メリークリスマス!」で終わる留守電も、残したのは1996年のキャサリンでした。

『We did it!(やったのは俺達だ)』の落書きを残したのは12モンキーズのメンバーの誰かです。
ジェフリーが動物園の動物を解放したことを知った直後、ジェームズとキャサリンは『動物の解放のことだったのか』と安堵していましたが、恐らく動物の解放も、ウィルス散布も両方のことを指していたと思われます。

 

ヨハネの黙示録

キャサリンや、道端で演説する伝道師が何度もヨハネの黙示禄の中の同じ箇所を朗読していました。

「災害のはびこる時には予言が氾濫して 4頭の獣の1頭は神の怒りに満ちた金の鉢を7人の天使に渡した」

ヨハネの黙示禄は新約聖書の中で唯一、預言のような性質を持つ記録です。
本作に登場した上記の文の後、金の鉢を手にした7人の天使が1人ずつ鉢を逆さにすると7つの大災害が起こって地球上に住む生物のほとんどが死にます。
その後、地球は生まれ変わり、新しい天と地が新しい生命をはぐくみます。

黙示禄を通してみても、やはり科学者達の目的がウィルス蔓延を阻止することではなく、生き残った人類が動物たちと共生する新しい世界を作ることだと裏付けているように思えます。

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感想などお気軽に(^^)

  1. 匿名 より:

    クライマックス辺りの解釈が難しくて、こちらの考察を拝見して、なるほど、と思いました。ありがとうございました。ひとつ、実行犯がジェフリーではなくなったのは、パパ博士を拉致したときに、パパがジェフリーに、細菌室に入る暗証番号を私も知らない暗証番号に変ったんだよ。と言って、ジェフリーが、手遅れなんだよパパ。こっちは先を読んでいる。と言っていたので、この時点で実行犯はピーターズ博士に予定変更されていた。余談ですがパパをゴリラ檻に監禁の新聞一面の写真がおかしくておかしくて、なんど見ても笑ってしまいます。個人的にブラピに出演作で一番好きな作品です。

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