映画「Dr.パルナサスの鏡」の解説・考察をしています!
16歳の少女ヴァレンティナを巡り、父親であるパルナサス博士と悪魔のニックが鏡の中の不思議な世界で賭けをする物語。
重要人物のトニーを演じるヒース・レジャーが制作中に急逝し、代役をレジャーの友人だったジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルが演じた。
原題:The Imaginarium of Doctor Parnassus
制作年:2009年
本編時間:124分
制作国:イギリス、カナダ
監督:テリー・ギリアム
脚本:テリー・ギリアム、チャールズ・マッケオン
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主要キャスト紹介
(引用:https://zoolander.blog.so-net.ne.jp)
パルナサス博士…クリストファー・プラマー
仲間達と共に移動式の出し物「パルナサス博士の幻想館(イマジナリウム)」を開きながら、あちこちを転々としている老人。
大昔に悪魔のニックと賭けをして勝利し、不死の体を手に入れた。
© 2009 Imaginarium Films, Inc. All rights reserved. 2009 Parnassus Productions Inc. All rights reserved.
トニー・シェパード…ヒース・レジャー
鏡の中のトニー…ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレル
橋の下で首をつられていたところをパルナサス一行に助けられるが、記憶喪失を装ったり、本当の身分を隠す胡散臭い男。
ヴァレンティナにまとわりついてパルナサスの劇団に入り込む。
© 2009 Imaginarium Films, Inc. All rights reserved. 2009 Parnassus Productions Inc. All rights reserved.
ヴァレンティナ…リリー・コール
もうすぐ16歳になるパルナサスの娘。トニーと恋に落ちる。
いつか素敵な男性と結婚して大きな一戸建ての家に住むことを夢見ている。
© 2009 Imaginarium Films, Inc. All rights reserved. 2009 Parnassus Productions Inc. All rights reserved.
ニック…トム・ウェイツ
黒いタキシードに帽子姿の悪魔。
賭け事が大好きで、パルナサス博士との賭けに勝って娘ヴァレンティナを手に入れようとしている。
マーティンの女…ケイティー・ライオンズ
警察官…ジョニー・ハリス
ディエゴ(ゲームの男の子)…ルイス・ゴット
サリー(アントンが強引に入れた客)…パロマ・フェイス
赤い毛皮のマダム…マギー・スティード
ヴァレンティナの母…リリー・コール
ロシアンマフィア…ヴィタリー・クラフチェンコ、レイ・クーパー、エミール・ホスティナ、イグール・インゲルスマン
セールスガール…サラ・グラウンドウォーター
バブーシュカ(マフィアのママ)…ジョージア・ヘッジドス
オルガ(保護された子ども)…カッサンドラ・ソウテル
会長(プレジデント)…ピーター・ストーメア
会長の妻…ドナ・ライゼル
トニーの秘書…マイケル・エクランド ほか
あらすじ紹介
不死身の老人パルナサス博士(クリストファー・プラマー)は、娘のヴァレンティナ(リリー・コール)、青年のアントン(アンドリュー・ガーフィールド)、小人のパーシー(ヴァーン・トロイヤー)と共に「パルナサス博士の幻想館(イマジナリウム)」という小さな移動式サーカスのような見せ物で生計を立てています。
いつもは酔っ払いや冷やかしばかりでまともな客は滅多に現れず、常に貧乏でした。
見せ物の唯一の出し物は「パルナサス博士の不思議な鏡」で、鏡の中は異次元に繋がっています。
鏡の中は入った人物の欲望が映し出される世界になっていて、パルナサスの言葉に従って欲望に打ち勝つ道を進むと、今までにない素晴らしい気分で元の世界に戻ってこれます。
しかし、鏡の中には人間を欲望に陥れようとする悪魔のニック(トム・ウェイツ)も潜んでいます。
ニックはパルナサスとは真逆の楽で堕落した道を入って来た人に選ばせようとします。
ニックの道を選んだ人間は地獄行きで、元の世界には二度と戻れません。
鏡には「1人ずつしか入ってはいけない」というパルナサスが決めたルールが一応あり、それは1人以上入ると欲望が入り乱れて世界にゆがみが生じて危険だからですが、このルールはあまり守られていません。
パルナサスは大昔『終わらない物語を語り続ける語り手』として多くの弟子を持ち、人里離れた寺院に暮らしていました。
そこで、ある日突然訪ねてきた悪魔のニックと出会い、賭けに勝って不死の命を手に入れました。
そして1000歳を迎えた頃に寺院を出たパルナサスはロンドンに出て、後に親友となる小人のパーシーと出会いました。
2人だけで道端で見せ物屋(当時は楽器の演奏)をやっていた頃、パルナサスは偶然見かけた1人の美女に一目ぼれします。
しかしパルナサスは「不老」ではなかったため見た目はよぼよぼの年寄りで、その恋は叶うはずがありません。
そんなパルナサスの前に再びニックが現れて、パルナサスはニックと「若返り」の契約を交わしてしまいます。
パルナサスは女性と上手くいって幸福を得たものの、ニックに支払う代償は、後に生まれる娘(=ヴァレンティナ)が16歳になったらニックに差し出すことでした。
ヴァレンティナの16歳の誕生日が数日後に迫った日の夜。
移動中、一行は通りかかった橋の下で、のどに※小さな鉄製の笛を入れた状態で首を吊っていた男トニー(ヒース・レジャー)を助けました。
※トニーは骨折と窒息を防ぐために喉に笛を入れていて助かった。(危険なので絶対に真似しないでください)
翌朝目覚めたトニーは記憶喪失のフリをするような胡散臭い男でしたが、ヴァレンティナがトニーを気に入ったのと、パルナサスのタロット占いに出た「運命を握る男」がトニーだと気付き、しばらく面倒を見ることにしました。
トニーの正体はある慈善事業の理事長だと判明しますが、訳あって現在失踪中の身でした。
その日の夜。パルナサスが悪魔のニックとの約束に応じようとしないため、ニックは新たな賭けを提案します。
それは「鏡の世界で先に客5人に選ばれた方が勝ち。ニックが勝てば娘を引き渡し、パルナサスが勝てば約束は無かったことにする」というものでした。
ヴァレンティナを渡したくないパルナサスは勝負を受けることにします。
解説、考察や感想など
鏡の中でトニーの顔が変わった理由
(引用:https://movie.walkerplus.com)
トニーが鏡の中に入ると、ジョニー・デップやジュード・ロウなどのイケメンに姿が変わりました。(ヒース・レジャーもイケメンですがそこは置いといて)
その理由は、第一に制作側の理由として、撮影中にトニー役のHレジャーが亡くなってしまったことです。
レジャーが亡くなった時点で残っていた撮影は鏡の中のシーンだけだったらしく、全く違和感なく見られました。
制作の都合(Hレジャーの死)を抜きにして、トニーが鏡の中で容姿が変わったことに意味があった前提で考えてみると、トニーに「別人になりたい」という欲望、願望があったからです。
トニーはマフィアに命を狙われていて、変身願望があったので顔が変わり、その時の顔は『一緒に鏡に入った女性たちの好み』が反映されていたと思われます。
理由はヴァレンティナが鏡に入った時のトニーの顔が、彼女が見ていた『理想の家庭』の写真に写っていたコリン・ファレルになっていたからです。
唯一、ジュード・ロウのときだけは女性と入っていないので、Jロウの顔がトニーの理想の顔だったのではないかな〜と想像してます。
悪魔ニックの正体を考えてみた
始めに謝っておきますが、私の説明が下手くそで伝わらなかったらすみません(汗
パルナサスの敵として現れた悪魔ニックの正体は、恐らくパルナサスの妄想の産物で、無意識の欲望の部分が擬人化して現れたものだったのではないかと思っています。
存在そのものが妄想と言っているのではなく、パルナサスはかつては本当に悪魔のニックと契約したことがあったけれど、パルナサスが年老いてアル中になってから見ていたニックは、パルナサスの欲望を具現化した妄想だったのではないかということです。
その理由は、パルナサスが語るニックとの過去にはところどころ矛盾を感じる点があったのと、ニックがパルナサスの都合の良いように行動していたからです。
矛盾について説明します。
ニックとの約束は、パルナサスの若返りと引き換えに『ヴァレンティナが16歳になったらニックに渡す』というものでした。
それなのに、ヴァレンティナが16歳になる直前になってから、ニックは新たに「鏡のゲームで5人先に取った方が勝ち パルナサスが勝てば娘は連れて行かない」という、ニックにとっては利益の無い賭けを提案します。
ニックはもうパルナサスの若返りを叶えたので、あとはヴァレンティナが16歳になったら連れて行けばそれで取引は完了です。
それなのに、新たに賭けを提案して負けたらヴァレンティナを諦めるというのはニックに利益がないし、なんかおかしい気がします。
その他にも、ニックはヴァレンティナを手に入れた後に「お前が可哀そうだから、トニーを地獄に連れて行くのを手伝えば娘は返す」と、やっぱりパルナサスに都合の良い提案をしていて、ニックを本物の悪魔と捉えるには言動に矛盾を感じます。
確かにトニーは、ニックが不利になる行動をしたので気に入らないのはわかりますが、一番欲しかったヴァレンティナを諦めてまで気に入らないトニーを連れていくのはおかしいです。
なので、パルナサスは『本物の悪魔のニック』への代償は、既に別の形(妻の死や、不死をなかったことにするなど)で支払っていて、縁は既に切れているのではないでしょうか。
その後年老いていくうちに、パルナサスの欲望や心の中の闇の象徴として妄想ニックが誕生したのではないかと思っています。
パルナサスにとってヴァレンティナは「唯一の家族で何よりも大切な一人娘」で、
トニーは「愛する娘を誘惑した挙句不幸にした最低の男」です。
だからパルナサスはトニーに殺意を覚え、その感情が妄想ニックを通してパルナサスに語り掛けたのです。
パルナサスも鏡に試されていた
パルナサスはトニーを殺し、ヴァレンティナはニックから解放されたはずなのに、パルナサスの元に戻ってきませんでした。
ということは、そもそもニックとの賭けはやはりパルナサスの妄想で、ヴァレンティナが16歳でパルナサスの前からいなくなることは運命として決まっていた可能性が出てきます。
16歳は、将来の夢や親離れを意識している年頃です。
パルナサスはタロットカードでヴァレンティナが親元を離れる時期を予測していたものの『娘と一緒にいたい、離れたくない』という思いが強く、それが妄想ニックを通して現れていた気がします。
だとしたら、パルナサスは「ヴァレンティナが16歳で親元を離れる運命」を邪魔して親離れさせず、そばに置いておくこと(=悪魔の道)か、占い通りに娘の親離れを受け入れ、見送ること(=正しい道)のどちらを選ぶか試されていたのではないでしょうか。
ヴァレンティナは悪魔の道を選んで「親と一緒にいること」を選びましたが、その後にパルナサス自身が鏡の世界に入り、娘を突き放す道(正しく険しいパルナサスの道)を選んで娘を追い出したという解釈です。
意味わかんなかったらすみませんw 読んでいる方に伝わるかどうか不安です。
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2ページ目は『鏡でトニーの容姿が変わって理由』、『トニーの謎について』です!
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