2009年版『ゼロの焦点』の田村久子(木村多江)、佐知子(中谷美紀)目線での事件の経緯を紹介しています。
鑑賞済の方のための記事です。まだ見ていない方はネタバレにご注意ください。

本編時間:131分
制作国:日本
監督:犬童一心
脚本:犬童一心、中園健司
原作小説:『ゼロの焦点
主題歌:『愛だけを残せ
キャスト:広末涼子(鵜原禎子)、西島秀俊(鵜原憲一)、中谷美紀(室田佐知子)、木村多江(田村久子)、野間口徹(本多良雄) ほか
田沼久子(木村多江)目線の経緯

(C)2009『ゼロの焦点』製作委員会
田村久子は戦中戦後の頃、アメリカ軍人相手の売春婦(パンパン)でした。
当時、佐知子(中谷美紀)と久子は売春婦仲間で、アパート『大隈ハウス』で一緒に暮らすルームメイトです。
2人は売春婦をやめたらどんな暮らしがしたいか語り合い、励まし合って生きていました。
戦後間もなく、日本は感染症の蔓延を防ぐ方針の下、繁華街をメインに街娼を一斉逮捕する「狩り込み」が行われます。
ある日の夜、狩り込みでアメリカ軍人に追われていた久子と佐知子は、どこからか現れた警察官にこっそり逃がしてもらいました。
この時の警察官が鵜原憲一(西島秀俊)です。
久子は逃げるのに必死で憲一にお礼も言えませんでしたが、憲一の顔が脳裏に焼き付いていました。
その後、佐知子と久子は売春婦をやめて金沢まで一緒に行き、それからは各自頑張ることに決めて別れました。
久子が憲一と再会するまで何をしていたかわかりませんが、
恐らく最初は普通の仕事に挑戦したものの、なかなか雇ってもらえないか、雇ってもらえても給料が少なく暮らしていけず、結局売春をしていたと思われます。
久子が金沢に住み始めて約10年後、偶然にも転勤で金沢に来たばかりの憲一と再会します。
久子はあの日の警察官だとすぐにわかり、お礼を言うため話しかけました。
『曽根益三郎』と名乗る男に久子は運命を感じ、猛アタックして交際が始まりました。
曽根は寡黙な男で家族のことはおろか勤務先すら教えてくれませんでしたが、
久子は一緒に居られるだけで満足でした。
半年後、曽根は一軒家を借りてくれて同棲することになりました。
久子は曽根と結婚したいと思っていましたが、曽根から結婚の話はでません。
しかし一緒に暮らして久子は働かなくてもよくなり、曽根も毎日帰ってくるので内縁の妻でも構わないと思っていました。
曽根と交際して約2年目の夏頃から、曽根が東京と金沢を行き来して家を空ける日が増え始めました。
久子は曽根の変化が気になりますが、聞いても何も言わないし、嫌われるのを恐れて問い詰めることは出来ませんでした。
ある日、曽根の兄を名乗る男(杉本哲太)が久子を訪ねてきました。
兄は「お前の男は東京で別の女性と結婚することが決まったから別れてほしい 『曽根益三郎』は偽名だ 手切れ金は払う」と言います。
久子は兄のことが信じられず、追い返しました。
11月頃になると、曽根が全く家に帰ってこなくなりました。
そして12月8日、警察から、曽根益三郎の遺体と遺書が見つかったと連絡が入ります。
久子は訳がわからないまま曽根の遺体と遺書を受け取って1人で葬式をあげました。
曽根の死とほぼ同じ頃、久子は曽根の子供を妊娠していることがわかりました。
葬式を終えてすぐ、室田儀作(鹿賀丈史)という男から久子に突然連絡があり「お前の男と知り合いだった 雇ってやるから働きなさい」と言われます。
働くあてが無かった久子は言われるがまま会社の受付嬢として働き始めました。
久子はこの時に、室田の妻が佐知子だと知り喜びますが、お互いの過去は秘密なので知り合いだということは周囲に秘密にしていました。
数日後の夜、久子の家に佐知子が突然訪ねてきて、
「あなたは殺人事件の容疑者になっている このままだと警察に捕まるから私が逃がしてあげる」と言います。
久子は身に覚えもないので「警察でちゃんと説明すればわかってもらえるはず」と言いますが、佐知子は「警察は信じてくれない 捕まったら終わりよ」と言います。
久子は気迫に負けて言われるがまま匿ってもらうことにしました。
数日後、ニュースで宗太郎と本多(野間口徹)が殺され、久子が指名手配されていると全国報道されました。
久子は混乱してどうすればいいか分からなくなり、ただ佐知子に従って逃亡を続けます。
数日後の夜、久子は外国に逃げた方がいいから車で港まで送ると佐知子に言われ、車に乗せられます。
佐知子は車で山道に入り、崖沿いで車を止めて「車が故障した」と言って工具を取り出します。
佐知子の様子がおかしいことに気づいた久子が話しかけると、
佐知子は曽根(憲一)は悪い男だった 騙された久子はバカだと言いはじめます。
久子は佐知子の話を聞き、曽根を殺したのも、その他2人の男も殺したのも佐知子で、久子は濡れ衣を着せられていることを悟りました。
しかも佐知子は久子のことも殺そうとしています。
友人に夫を殺され、その上裏切られたことを知り絶望した久子は「私の分も生きればいい」と言い残して自ら崖に飛び込みました。
室田佐知子(中谷美紀)目線の経緯

(C)2009『ゼロの焦点』製作委員会
佐知子は戦後の混乱期、病気の弟(崎本大海)の治療費を稼ぐために売春婦になりました。
特に美人だったので、当時はアメリカ軍将校専属の売春婦でした。
佐知子は警察の狩り込みで売春婦を続けるのは厳しいと判断し、売春婦仲間の田沼久子(木村多江)と一緒に佐知子の弟がいる金沢まで行き、それから別々に生きていくことにしました。
それから佐知子は夜の仕事をきっぱりやめて昼間の仕事を始めます。
売春婦をしていたことは誰にも明かしていません。
そして佐知子が働く会社の取引先の社長 室田儀作(鹿賀丈史)と出会って不倫関係になり、室田の妻が病死した後、佐知子は室田と結婚して室田の会社の役職者になりました。
また、佐知子は日本で初めて議員に立候補した女性 上条保子を熱心に支援して地元の有名人になります。
忙しくも充実した日々を送っていた佐知子ですが、偶然再会した鵜原憲一(西島秀俊)が佐知子にとって不安の種になります。
憲一は室田の会社に営業に来たサラリーマンで、室田はいつもなら追い返すのですが、憲一のことは気に入って会社同士のお付き合いを始めます。
「売春婦だった過去」は現在の佐知子の活動や私生活の悪影響になるため、佐知子にとって過去を知る憲一は脅威そのものでした。
佐知子と憲一は元々顔見知り程度だったこともあり、お互いに初対面のフリを続けていましたが、佐知子は過去をバラされたり、脅されたりするかもしれないと内心不安に思っていました。
月日は流れて事件が起きる前日の12月6日。
憲一が室田夫妻に会いにきて、東京本社に戻ったことと結婚したことを報告しました。
佐知子は憲一と関わる機会が減ることに内心喜びながら、3人で食事をします。
あるタイミングで佐知子と憲一が2人きりになると、
憲一から「仕事の世話をしてほしい女がいる 君から室田社長に言ってくれないか」と頼まれました。
佐知子はこのとき、憲一が結婚を機に金沢の恋人を捨てようとしているとすぐに気付きます。
佐知子は憲一のような真面目そうな男でも、女にひどいことをするのだと思うと、ふつふつと怒りがこみ上げてきました。
そして佐知子は気が付いたら、憲一に自殺を偽装するよう提案していました。
憲一は「それは良い案だ」とすぐに遺書を書き、その日の夜のうちに佐知子の車で能登金剛の崖に行き、遺書と靴を置きました。
崖の上でどこかスッキリした様子の憲一を見ていると、佐知子は殺意が抑えられなくなり、気付いたら憲一の背中を押して崖から突き落としていました。
佐知子は憲一を殺した後で、憲一が捨てようとしていた恋人が田沼久子だったことを知り動揺しますが、気持ちを切り替えて完全犯罪にしようと決意します。
数日後、憲一の妻の禎子(広末涼子)が憲一を探すため、室田夫妻に話を聞きに来ました。
佐知子から見た禎子は素直で扱いやすいタイプですが、賢いので最新の注意を払う必要があると思いました。
警察だけでなく憲一の兄の宗太郎(杉本哲太)や、後輩の本多(野間口徹)まで事件を嗅ぎまわります。
佐知子は過去を知られたくないあまりに、田沼久子の存在を知られてしまった宗太郎と本多を殺してしまい、その罪を久子に着せました。
佐知子は何かに取り憑かれたようになって久子まで殺してしまい、殺した後で久子が妊娠していたことを知って大きなショックを受けました。
数日後、憲一が死んでいることに気付いて悲しむ禎子を佐知子は優しくなだめて東京に帰らせます。
禎子が調べるのをやめたと思い安心した佐知子は、どうにかして『憲一に捨てられて怒った田沼久子が憲一を自殺に見せかけて殺し、憲一を探していた宗一郎と本多も殺し、最後は久子自身も自殺した』と警察が思うような状況に持って行こうと考えていました。
数日後、その日は上条保子が日本初の女性議員に当選し、
佐知子は上条の当選に最も貢献した支持者として祝賀会の壇上で一言話します。
その時、東京に戻ったはずの禎子が会場に現れて
佐知子の売春婦時代の呼び名を叫びました。
禎子は真実を知ったのだと悟った佐知子は氷りつきました。
祝賀会が終わると、待ち構えていた警察に佐知子は逮捕され、
夫の室田が罪をかぶろうとして自殺したことを知らされました。
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