映画『怪物』ネタバレあらすじ|イジメの真相、それぞれの勘違いや見方の違いなど | 映画の解説考察ブログ

映画『怪物』ネタバレあらすじ|イジメの真相、それぞれの勘違いや見方の違いなど

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怪物 ヒューマンドラマ

是枝裕和監督の映画『怪物』のあらすじを紹介しています!
第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞受賞。
小学5年生の男の子の母親 早織の怒りと学校の冷めた対応の温度差の理由や真実がストーリーを追うごとに明らかになり、じわじわと目が離せなくなっていく是枝監督特有の雰囲気が味わえる良作でした。
余談で安藤サクラ演じる役の母親の職業がクリーニング屋さんだったので、『万引き家族』を観た方はわかってもらえると思うんですが「また洗濯してる!」と思ってしまいました(笑)

鑑賞済みの方のための記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。

怪物

制作年:2023年
本編時間:126分
制作国:日本
監督:是枝裕和
脚本:坂元裕二
映画ノベライズ:『怪物』佐野晶 著

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キャスト紹介

麦野 早織安藤さくら
夫を亡くし、1人息子の湊を育てるシングルマザー。クリーニング店勤務。
夫は数年前に不倫相手と温泉旅行中に事故死した。
湊から担任の保利にいじめられていると告白を受けて学校を訴える。
安藤サクラの代表出演作…映画『万引き家族」、『百円の恋』など

保利永山瑛太
湊と依里の学校にこの春から赴任した新人教師。あだ名は『ホリセン』。
学校に訴えに来た早織に「シングルマザーは過保護だ」などと発言して火に油をそそぐ。
永山瑛太の代表出演作…映画『アヒルと鴨のコインロッカー』、ドラマ『ウォーターボーイズ』など

麦野 湊黒川想矢
この春小学5年生になった早織の息子。
最近様子がおかしいことを早織に問い詰められ、保利先生から罵声と体罰を受けたと言う。

星川 依里柊木陽太
湊のクラスメイト。父親と2人暮らしで、小柄で中世的な雰囲気の男の子。
学校の誰かにいじめられている。

伏見校長…田中裕子
湊と依里が通う小学校の校長。
先日事故で孫を亡くしている。夫が誤って孫をひき殺したことになっているが、教師たちの間では本当は孫を轢いたのは校長自身ではないかと噂がある。
田中裕子の代表出演作…ドラマ『おしん』、映画『夜叉』ほか

正田(教師)…角田晃広(東京03)
星川清高(依里の父)…中村獅童
広奈(保利の恋人)…高畑充希 ほか

 

あらすじ紹介

あらすじ①:麦野早織の視点

クリーニング店で働くシングルマザーの麦野早織(安藤さくら)は、、小学5年生になる1人息子の(黒川想矢)の様子が最近おかしいことに気付きます。
突然自分の髪をハサミで切ってしまったり、スニーカーを片方だけ失くしたり、耳を怪我して服を絵の具まみれにして帰ってきたり、学校に持って行く水筒に泥や石が入っていたりしたのです。
早織は湊にそれとなく事情を聞き出そうとしますが、湊は喋りたがりませんでした。

翌日の夜。早織が仕事から帰ると湊が家にいませんでした。
早織は必死で湊を探し、廃線した路線のトンネルに1人でいるのを発見します。
早織は湊を車に乗せて帰ろうとしますが、なぜか湊は走行中の車から飛び降りてしまいます。
幸い軽傷ですみましたが、早織は湊を病院に連れて行きました。
様子がおかしい理由を早織が問い詰めると、湊は観念したように「担任の保利先生(永山瑛太)にいじめられている 殴られたり『お前の脳は豚の脳だ』と言われた」と言いました。

翌日、早織は校長(田中裕子)に保利の件を訴えますが、校長は始終無表情で他の教師に対応を任せてそそくさと帰宅してしまいます。
対応した教師は「校長はお孫さんを亡くしたばかりなので、ご理解ください 保利の件は事実確認して明日説明します」と答えました。
校長の夫が誤って孫をひき殺してしまう事故があったと知り早織は同情しますが、一方で、早織は校長が子どもの足をわざと引っかけて転ばせている現場を偶然目撃して大きな不信感を抱きます。

翌日、早織は保利と会わせてもらいますが、保利はどこかで聞いたような謝罪の言葉を言い、校長や教頭も一緒に頭を下げるばかりです。
早織は「謝罪ではなく事実を教えてほしい」と訴えますが、保利は「シングルマザーは過保護だ」と発言したり、早織が質問しても答えずニヤついていたり、話の途中で飴を舐めるなど不適切な行動ばかりで、校長は教頭が用意した文章を読み上げるだけで話になりませんでした。

別の日には、保利は早織に「俺は無実だ むしろ麦野湊が星川依里をイジメている しかも凶器も持ち歩いてる危険な生徒だ」と反論しました。
星川依里(柊木陽太)は湊のクラスメイトです。
早織が依里の自宅を訪ねると、なぜか依里の家の玄関に湊のスニーカーの片っぽがありました。
依里はとても優しい子で、湊とは仲良しで、スニーカーは貸してくれたと言います。
この時、早織は依里の腕に新しい火傷の痕を見つけて問いただしますが、依里は答えませんでした。
帰宅後、早織は湊のカバンからロングノズルのライターを見つけて動揺し、見なかったことにしました。

後日、依里は早織や校長、保利の前で「麦野君はイジメなんてしない 保利先生が麦野君をイジメている」と発言しました。
確信を持った早織は弁護士を雇って学校に保利の解雇を求めます。
数週間後、学校は緊急保護者会を開き、保利は保護者たちの前で湊への体罰などを認めて謝罪して辞職しました。

平和になったかと思われましたが、数日後、早織は「湊が階段から落ちた」と学校から連絡を受けて迎えに行くと、とある男子生徒が「保利が湊を階段から突き飛ばした」と言います。
早織は言われた教室に湊がおらず、ベランダに続く扉が開いているのを見て自殺が脳裏をよぎり肝を冷やしますが、湊は無事にトイレで見つかったため逃げるように帰宅しました。

その後、町を台風が直撃した日の朝の出来事です。
早織が起きると湊がおらず、なぜか保利が家の前で叫んでいました。
保利は「麦野君は間違っていなかった 謝らせてほしい」と必死です。
早織と保利はとりあえず一緒に湊を探しに行きます。




あらすじ②:保利の視点

同じ出来事が保利目線で描かれます。
保利は大学卒業したての新人教師で熱意に溢れていましたが、空気が読めないところがあります。

4月の赴任早々、保利は依里が紛失したという体育シューズがクラスのゴミ箱に捨てられているのを見つけてイジメを疑い始めます。
数日後、保利は教室で湊がクラスメイトの持ち物を荒らして暴れている所を取り押さえ、その場でクラスメイトたちに謝らせました。
この時、保利の腕が誤って湊の鼻に当たり、湊は鼻血が出てしまったので、保利は謝って鼻血の手当てをしました。

数日後、保利は絵を描く自習中に湊と依里が殴り合いの喧嘩をしたと聞き、絵の具まみれの2人を体操服に着替えさせると、喧嘩の理由は聞かず強引に仲直りさせました。

これらの出来事の後、保利は湊の母親(早織)が「保利先生が湊に体罰した」と訴えに来たことを知り、早織をモンスターペアレンツだと思います。
保利が早織のことを恋人の広奈(高畑充希)に話すと、広奈は「シングルマザーは過保護だから仕方ない 緊張したらこれでも舐めて落ち着きな」と飴をくれました。

翌日、保利は校長たちに「自分で状況説明したい」と訴えますが、墓穴を恐れた校長や教頭は「決められた文言と謝罪以外は口にするな」と命じます。
保利はしばらく言う通りにしていましたが、早織の怒りっぷりを見るとおかしくなってしまい、広奈が言ったことをそのまま口走ってしまったり、落ち着くために広奈にもらった飴を口にして火に油を注いでしまいます。

翌日、保利はトイレの個室に閉じ込められていた依里を助けます。
保利は直前に湊がトイレから出るところを見たので、湊が依里をイジメているのではと疑います。
さらに、保利は女子生徒から「校舎裏に猫の死体がある 麦野君がよく猫と遊んでた」と言われ、湊が猫を殺した可能性も疑います。

保利は依里の自宅を訪ねて依里の父 星川清高(中村獅童)にイジメについて伝えようとしますが、清高は酔っていて話をろくに聞かず、さらに「依里は異常だ あいつには豚の脳みそが入ってる だから俺が治してやる」と意味不明なことを言い、まともに話せませんでした。

その後、「保利を辞めさせろ」と騒ぐ早織に、保利は頭にきて「俺は何もしてない むしろ麦野湊は星川依里をイジメている」と言い返してしまいました。
話を聞くために依里を校長室に連れて来ると、依里は「保利先生は湊をいじめている 他の生徒は怖くて言えないだけです」と言います。
保利は『依里は湊に脅されたに違いない』と思い、湊が凶悪だと証明するために、先日の女子生徒に「校長の前で麦野が猫を殺した話をしてほしい」と頼みますが、女子生徒はなぜか「私そんなこと言ってません」と拒絶しました。

その後、早織は弁護士を雇って保利の解雇を要求します。
教頭が保利のクラスで「保利先生についてのアンケート」を取って早織の弁護士に提出し、校長は保利に解雇を言い渡しました。
保利は改めて校長に無実を訴えますが、校長からは「真実は今更どうでも良い 君が学校を守るの」と言われてしまい、保護者会では体罰を認めて謝罪し、解雇になりました。

保利は勤務最後の日、仕返しがてら教師たちの間でささやかれていた『孫をひき殺したのは校長の夫ではなく、本当は校長本人だったのでは』という噂を直接校長に聞いてみました。
校長は何も答えず、いつも通り「お疲れ様でした」と言うだけでした。

その後、保利は『生徒虐待で新任教師解雇』と週刊誌に載ってしまい、恋人の広奈とはそれきり連絡が取れなくなりました。
保利は学校に行き、湊になぜ嘘をついたのか理由を直接聞こうとしますが、湊は保利を恐れ、逃げ回った挙句に階段で足を滑らせて勝手に転びました。
近くで見ていた生徒が「ホリセンが突き飛ばした!」と騒ぐ声が聞こえ、保利は絶望します。

その後、保利は生徒に書かせた作文を預かったままだったことを思い出して目を通していると、依里の作文の行の頭文字が『ほしかわより むぎのみなと』になっていることに気付き、2人が本当に仲が良かったことを知り、依里をイジメていた真犯人が別にいたことにもようやく気付きました。

その日は台風でしたが、保利は居ても立っても居られなくなり、謝るために湊の自宅に押しかけたとき、早織から湊が行方不明になったと知らされて一緒に探します。
早織の勘で、前回失踪した湊がいた山のトンネルに行ってみると、そこは台風による土砂崩れで封鎖されていて、作業員が復旧作業に追われていました。
早織と保利は作業員の命令を無視してトンネルに入り、トンネルを抜けた先に廃線から放置されているらしき列車があることに気付きます。
2人は慌てて土砂をかきわけて車両の中を確かめますが、中は泥まみれで人間がいるかどうかよく見えませんでした。

 

結末は次のページです!




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