映画「ゼロの焦点(2009)」あらすじ紹介とタイトルの意味考察 | 映画の解説考察ブログ

映画「ゼロの焦点(2009)」あらすじ紹介とタイトルの意味考察

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ゼロの焦点 ミステリー
(C)2009『ゼロの焦点』製作委員会

2009年版『ゼロの焦点』のあらすじ紹介、解説、考察をしています!
タイトルの意味などについて書いています。
鑑賞済の方のための記事です。まだ見ていない方はネタバレにご注意ください。

ゼロの焦点

制作年:2009年
本編時間:131分
制作国:日本
監督:犬童一心
脚本:犬童一心、中園健司
原作小説:『ゼロの焦点』松本清張 著
主題歌:『愛だけを残せ』中島みゆき

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キャスト&キャラクター紹介

ゼロの焦点
©2009 「ゼロの焦点」製作委員会
鵜原禎子(うはらていこ)…広末涼子
鵜原憲一の妻。結婚から1週間で行方不明になってしまった鵜原を必死で探す。
英語が得意。

 

ゼロの焦点
©2009 「ゼロの焦点」製作委員会
室田佐知子中谷美紀
憲一の会社の取引先の社長の妻。
女性の社会進出の支援活動家で、現在は日本で初めての女性市長候補の支援に専念している。

 

ゼロの焦点
©2009 「ゼロの焦点」製作委員会
田沼久子木村多江
室田の会社の新人事務員。
禎子が違和感を抱く。

 

ゼロの焦点
©2009 「ゼロの焦点」製作委員会
鵜原憲一西島秀俊 
禎子の夫。結婚式からわずか1週間で行方不明になった。

寡黙で多くを語らないが、禎子を大切にしている様子だった。

 

室田儀作(佐知子の夫、憲一の得意先会社の社長)…鹿賀丈史
鵜原宗太郎(憲一の兄)…杉本哲太
宗太郎の妻…長野里美
鳴海享(なるみりょう、佐知子の弟)…崎本大海
本多良雄(憲一の会社の後輩)…野間口徹
金沢警察署の米田警部…モロ師岡
羽咋駐在の警察官…江藤漢斉
立川署の葉山警部補…小木茂光
山室刑事…本田大輔
上条保子(金沢市長候補)…黒田福美
大隈ハウスの女性…左時枝
鵜原憲一夫婦の仲人…小泉博
青木所長(憲一の上司)…本田博太郎
板根絹江(禎子の母)…市毛良枝 ほか

あらすじ紹介

あらすじ①:新婚の夫 鵜原憲一の失踪

ゼロの焦点

(C)2009『ゼロの焦点』製作委員会

昭和32年8月。禎子(広末涼子)は、東京の広告会社に勤める鵜原憲一(西島秀俊)とのお見合い結婚が決まりました。

憲一は禎子とお見合いする直前までの2年間は金沢支社に勤務していて、結婚とほぼ同時に東京本社に戻ることが決まっています。
11月の終わりに禎子と憲一は結婚し、東京で夫婦生活が始まりました。

婚儀の1週間後の12月1日。
憲一の後輩で本社勤務をしていた本多良雄(野間口徹)が金沢に配属になったので、憲一は引き継ぎのために金沢出張に行きました。
憲一の帰宅予定日の12月8日(日)。
憲一の荷物は自宅に届いたものの、肝心の本人が帰ってきません。
不安になった禎子は会社に問い合わせますが、詳しいことはわかりませんでした。

翌日。憲一はまだ戻りません。
禎子が憲一の荷物を片付けていると、辞書から写真が2枚飛び出しました。
1枚は古い和風の小さな一軒家、もう1枚は立派な洋風の屋敷の写真です。
禎子はどちらの家にも見覚えがありませんでした。

その後も憲一は帰って来ないため、禎子はひとりで金沢に行くことにしました。
金沢駅で、禎子は憲一の後輩の本多と金沢所所長の青木(本多博太郎)と合流しました。
今朝、羽咋はくいの海岸で『30代半ばで茶色の背広を着た男性』の死体が見つかったと情報が入っていたため、3人は死体が憲一かどうか確かめるために羽咋の海岸に行きます。

車で海岸線を走っている途中、青木は「この辺一帯の海岸線は能登金剛のとこんごうと呼ばれる自殺の名所だ」と空気の読めない発言をしました。
海岸で禎子は死体を見せてもらい、それはひどく腐敗して顔の判別が難しい状態でしたが、禎子は「憲一ではない」と判断しました。

ゼロの焦点

(c)2009『ゼロの焦点』製作委員会

その後、禎子は憲一の下宿先に行きたいと言うと、本多と青木は「鵜原はそこを半年程で退去している」と答えました。
憲一は2年金沢に住んでいたので、1年半は別の場所に住んでいたことになりますが、誰も鵜原がどこに住んでいたか知りませんでした。

翌朝。憲一の兄の宗太郎(杉本哲太)から「今 出張で京都にいるので、仕事が終わり次第そちらに行く」と連絡が入りました。

 

あらすじ②:室田儀作社長と妻 佐知子

その後、本多が「鵜原の得意先『室田耐火煉瓦株式会社』の室田儀作社長に話を聞いてはどうか」と提案してくれました。
青木とはここで別れ、禎子と本多は室田耐火煉瓦に向かいます。

室田社長はアクが強く営業に苦戦していましたが、憲一が室田社長と妻の佐知子にいたく気に入られて得意先になっています。
室田社長と佐知子は約3年前に再婚し、佐知子は日本で初めての女性市長候補者上条保子の支援活動に熱心だ本多は語りました。

室田耐火煉瓦に着いた禎子と本多は、受付事務員の女性(木村多恵)に何とも言えない違和感を覚えました。
彼女が外国人客に話していた英語が『どこか変』だったのです。

禎子は本多と別れ、室田儀作社長(鹿賀丈史)と会いました。
室田は事情を聞くなり「男が突然消えると言ったら、大概は女だ」と笑うので、禎子は傷付きます。
この時、禎子は室田の妻佐知子(中谷美紀)と明日ふたりで会う約束をしました。

その後、禎子は宿泊先のすぐ近くでタクシーに乗り込んでいた宗太郎を見かけました。
宗太郎が来るのは明日だと聞いていたので禎子は不思議に思いましたが、他にも用事があるのかもしれないと思い追いかけませんでした。

ゼロの焦点

(C)2009『ゼロの焦点』製作員会

翌日。禎子は佐知子を室田邸に招待してくれました。
この室田邸が、憲一の辞書に挟まっていた写真の豪華な洋風のお屋敷でした。
屋敷に入ると、佐知子は「鵜原さんとは6日の夜にここで夫と3人で食事をしたが、その後のことは何も知らない」と言いました。
※憲一の帰宅予定日は7日でした。

禎子は憲一と佐知子が男女関係だったのではとも内心疑っていましたが、佐知子と話している内に疑惑は消えました。




あらすじ③:殺人事件発生

その日の夜。禎子は憲一の前職が警察の巡査だったことを知りました。
禎子は憲一から前職のことは聞かされていなかったので少し驚きました。

12月16日(月)の昼間。宗太郎が禎子の宿泊先に来てくれました。
宗太郎が「さっき金沢に着いた」と嘘を言うので、禎子は宗太郎が何か隠していると確信します。(禎子は昨晩に宗太郎を目撃しています)

禎子が憲一の前職の話を出すと、憲一は終戦後すぐ警察官になったものの、1年足らずで辞めたと宗太郎は教えてくれました。
宗太郎は「憲一は私が必ず探し出します!」と宣言して禎子と別れました。

その日の夜。宗太郎が、石川県の鶴来にある茶屋で毒殺されました。
宗太郎は人と会う約束をしていたようですが、誰と会っていたのかはわかりません。
店の仲居が、宗太郎のいた個室から『赤いコートにサングラスをかけ、頭にネッカチーフを巻いた女』が逃げるのを見たと証言しました。

さらに米田警部(モロ師岡)の調べによると、宗太郎は『京都出張』と言っていましたが、実際は会社に3日前から休暇願を出して個人的に金沢に来ていたことも判明しました。

翌日。禎子は宗太郎の葬儀のために一旦、東京に戻ることにしました。
駅には本多が見送りに来てくれています。

禎子は列車に乗った時、室田耐火煉瓦にいた受付女性に抱いた違和感の原因に気付きました。
受付女性が話していた英語には、パンパン(アメリカ軍人相手に売春する女性)が使うようなスラングが混ざっていたのです
禎子が本多に伝えると、本多は受付の女性を調べておくと約束してくれました。

 

あらすじ➃:受付女性と2人目の被害者

宗太郎の葬儀が終わった頃、本多から電話で報告がありました。
受付女性は田沼久子という未亡人で、宗太郎が殺された日から会社を休んでいるそうです。

田沼の夫は先日、能登金剛から身投げして亡くなったばかりです。
未亡人になった彼女を不憫に思った室田氏が、受付として彼女を雇い、田沼は働き始めたばかりでした。
田沼の夫と室田氏がどういう関係だったかまでは、社内の人間は誰も知らないといいます。

社内では『佐知子も元は室田の愛人だったので、田沼久子は室田の新しい愛人ではないか』という噂が流れていました。

本多は禎子に「このあと田沼久子と会う約束が取れたので行ってきます」と言い電話を切りました。

翌日。田沼久子の自宅で本多が包丁で刺されて殺されているのが見つかりました。
禎子と青木所長は遺体が本多かどうか確認するため警察に行きます。
警察は『宗太郎と本多殺しの犯人は田沼久子で間違いない』とみて、彼女を指名手配しました。

 

あらすじ⑤:田沼久子と夫の曽根益三郎

田沼久子に親族はおらず、彼女と内縁関係だった夫の曽根益三郎(36歳)は、8日に海から遺体が上がっています。
禎子は『曽根益三郎』と憲一が同じ年齢で、憲一の帰宅予定日と遺体発見日が一緒だったので嫌な予感がしました。

禎子は警察署から出たその足で田沼の自宅近くに行き、近所住民に田沼と曽根の話を聞いて回りました。

田沼と曽根は戦後からここに住み始めていて、曽根は金沢と東京を行ったり来たりしていたようだったと近所住民は語りました。

田沼の家に行った禎子は、それが憲一が持っていた2枚目の写真の家だとすぐにわかりました。
家の中に物は少なく、居間に遺骨と線香がぽつんと置かれていました。
床に憲一のお気に入りのキャラメルの箱が落ちているのを見て、禎子は憲一は金沢で『曽根益三郎』として田沼久子と暮らしていたのだと確信しました。

禎子は警察署に戻って米田警部に「益三郎と憲一は同一人物で、別れを切り出された田沼が憲一を崖から突き落としたに違いない」と訴えました。

米田警部は困った顔をして、禎子に一枚の手紙を見せました。
それは田沼の自宅で見つかった益三郎の遺書で、米田警部はこの遺書と、会社にあった憲一の書類の筆跡が一致していたことから、益三郎と憲一が同一人物だと知っていました。
遺書には『久子へ 色々と思うところがあって、生きていくのが辛くなった。
詳しい事情はお前に知らせたくない。
ただ僕は、この※煩悶を抱いて永遠に消えることにする。
これまでありがとう。 益三郎
』と書かれていました。
※煩悶(はんもん):悩み苦しむこと

憲一の自殺に納得できなかった禎子は佐知子に会いに行きました。
禎子は佐知子に「憲一が自殺するとは思えない。田沼久子には遺書があったのに、私には何も無い理由もわからないし、もし私がどうでも良かったのなら憲一が許せない」と訴えます。

佐知子は優しく禎子を抱きしめて「あなたは頑張った。後のことは警察に任せて、東京に戻って休んだ方がいい」と慰めました。

 

あらすじ➅:憲一の前職場周辺の調査

その後、東京に戻った禎子は、憲一が警察官時代に勤めていた立川署に行き、憲一と同僚だった交通課の葉山警部補(小木茂光)に話を聞きました。

葉山と憲一は日本がアメリカ占領下にあった当時の『風紀係』でした。
風紀の乱れを嫌った米軍は、風紀係にパンパンの狩り込み(捕まえて指定の施設に収容すること)を命じていました。

葉山と憲一はアメリカ軍人目当てに集まったパンパンの狩り込みをさせられていたのです。
アメリカ軍人は捕まえた女性を殴ることもありましたが、日本警察は文句が言える立場ではありません。
「そんなあり方を鵜原は悩んでいたようだった」と葉山は語りました。

禎子は田沼久子の顔写真を出して、この女性に見覚えはあるかと尋ねると、葉山は「この女性に見覚えは無いが、室田儀作氏がおととい同じ内容で訪ねてきた」と答えました。
さらに葉山は、この種の女性が集まる『大隈ハウス』という下宿を教えてくれました。

大隈ハウスに行った禎子が管理人の初老の女性(左時枝)に田沼久子のことを聞くと、田沼は当時『エミー』という名前でパンパンをしていたと教えてくれて、田沼が写っている当時の写真も見せてくれました。

そこには華やかな女性達が写っていて、その中に田沼久子と室田佐知子の姿がありました。
佐知子は空襲で両親を亡くして病弱な弟のためにパンパンを始めて、当時は『マリー』という名前で将校の※オンリーをしていたそうです。
※オンリー:特定の人物しか相手にしないこと。
田沼久子と室田佐知子は、ほぼ同時に大隈ハウスを去ったと管理人は教えてくれました。

室田社長は佐知子の過去を調べていて禎子と同じ経緯を辿ったようです。
禎子は血相を変えて金沢行きの列車に飛び乗りました。

 

結末と考察は次のページです!




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