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おばあちゃんの人形
キリ子の家で眞人が寝ていた時、眞人の周りをおばあちゃんたちの人形が取り囲んでいました。
下の世界は色んな世界にまたがっていると言われていたので、この人形は上の世界(現世)と下の世界の繫がりを示すアイテムのひとつだったと思われます。
おばあちゃんたちは白雪姫に出てくる小人のようでとても可愛かったので、彼女たちの活躍ももっと見たかったです。
眞人が夏子を母さんと呼んだ理由
夏子が上の世界に戻るのを拒否したとき、眞人は初めて夏子を「母さん」と呼びます。
眞人は夏子が「あなたなんか大嫌い!」と叫んだときに、夏子が上の世界に帰りたくないのは眞人自身の態度が原因だと気付いたのです。
あの時眞人は恐らく夏子を本心から母親と認めたわけではありませんが、一緒に上の世界に戻るために「母さん」と呼んであげることが必要(寄り添う気持ち)だと判断したのでしょう。
今まで眞人は夏子を母だと認められないから「母さん」とは呼ばず「夏子さん」と呼んでいましたが、そういう所が夏子を傷つけていたことに気づき、最大限配慮したのです。
眞人のこういった優しさや気遣いは、人間関係をうまく構築する上でとても重要です。
眞人と夏子の関係からは、相手の立場になって動くことの大切さや、優しい嘘も時には必要だということが示されていた気がします。
夏子と眞人の関係や性格から見えること
夏子と眞人の性格や行動から見えてくるのは、社会的な価値観も時代と共に変わりつつあるということです。
一昔前は仕事でも学校でも、上司や教師に認めてもらおうと奮闘する姿勢だったり、スパルタに負けず頑張る姿が美徳とされてきましたが、精神をすり減らして無理してまで頑張ること(=やり過ぎ、頑張り過ぎ)は古い価値観になりつつあります。
今では会社や学校に縛られず、個人個人の心と体に合う生き方を築くことが重要視されます。
夏子が眞人から逃げて閉じこもってしまう行動には、そういう価値観の移り変わりが込められていたように感じます。
また、もしも夏子が眞人の説得に応じず下の世界に残っていたら、夏子はキリ子、姉ヒサ子、大叔父、生まれて来る子どもと下の世界でまた役割を見つけて暮らすことになったのでしょうが、そっちはそっちならではの楽しい生活ができる気がしました。
そもそも夏子が産屋で大切にされたのは「石」と大叔父が彼女を認めた(求めた)からで、夏子の子どもが大叔父の後継者候補のひとりだったからではないでしょうか。
夏子はどっちを選んでも良かったという状況は、辛い環境から逃げることは選択のひとつであって「負け」ではないということや、価値観の合わない人たちと無理して一緒にいる必要はないというメッセージも感じました。
下の世界でキリ子が若かった理由
眞人が下の世界で再会したキリ子は若返っていて、さらに若いキリ子は下の世界でずっと暮らしている様子でした。
恐らくキリ子はむかし眞人の母ひさ子が下の世界に入ってしまった時も、一緒に下の世界に行っていたと思われます。
現世では眞人の母(とキリ子)が行方不明になった時は、1年後に何事もなかったように帰ってきたと言われていたので、ひさ子とキリ子はそれぞれ下の世界に役割を見つけて長期間暮らしたのです。
キリ子はもしかしたら長期間下の世界で過ごしたために、上の世界のキリ子も下の世界のキリ子も同時に存在するような状態になっていて、上の世界のキリ子が下の世界に行くと、下の世界のキリ子と同化する感じになっていたのかな?と想像しています。
アオサギの正体
個人的な推測ですが、アオサギはアオサギを着ぐるみのように着ていて中身は人間らしかった点と、話し方などから元々は大叔父の執事や使用人のような人だったのではと思っています。
アオサギは大叔父と一緒に下の世界に行って使用人として仕え続け、大叔父が後継ぎを求めていたからアオサギに化けて上の世界を定期的にチェックして見込みのある人が来るのを待っていたのです。
眞人の選択から見えるメッセージ
眞人は恐らく大叔父に似て頭がよく、性格も似ていたから後継者に選ばれたと思われます。
眞人がもし下の世界の後継者になっていたとしたら、ペリカンやインコのことを考えてより良い世界に作り替えていたでしょう。
しかし、眞人は異世界の神になるよりも現世で生きることを望みます。
大叔父の存在は現役引退する宮崎駿本人を彷彿とさせていて、大叔父が作った下の世界は「後継者がおらず失われていく技術や伝統」にも見えます。
大叔父が作り上げた世界は貴重であり、大叔父が自分の代だけで終わらせたくない気持ちはわかりますが、技術や伝統を受け継ぐどうかを決めるのは大叔父ではなく若い世代です。
眞人の選択には、先代の教えや古い伝統にとらわれる必要はないということや、自分らしさや信念があればどんな選択も間違いではないということや、若い世代に選ばれず伝統がひとつ消えてしまったとしても、また彼らから新しい何かが生まれるので、何事も諸行無常であるというメッセージを感じました。
眞人の母 久子について
眞人が下の世界で出会った母 久子が幼い姿のままだったのは、初めて下の世界に入った時の姿のままだったからで、キリ子が若返っていたのと同じ理由です。
下の世界では魂の年齢がそのまま反映されているのかもしれません。
下の世界から現世に戻る時、眞人が「戻れば火事で死んでしまうから行くな」と言うと、久子は「私は眞人を産みたいから戻る それに火は怖くない」と答えました。
久子が行方不明になったのは、恐らく当時何か辛い事があって逃げたいと思った結果キリ子と一緒に下の世界にたどり着き、長いこと下に住んでいたのです。
久子が現世に戻るのは下の世界が崩壊するからと仕方なく出て行くのではなく、現世で果たすべき役目が眞人を産むことだと確信して戻りたくなったからなのでしょう。
また、久子の死を恐れない態度には、皆いつか必ず死ぬのだから、死を怖がり過ぎず受け入れることも大切というメッセージが込められていたように思えました。
もしくは宮崎監督が既に死の恐怖を克服していることが現れていたのかもしれません。
久子が下の世界で火を使いこなしていたのは、久子は火と縁が深いからです。
なので久子は火事で死んだ(火に殺された)のではなく、久子が現世で役目を果たし、死ぬときに火が迎えに来た と考えた方が正しいような気がしてきます。
この記事は随時更新中です。読んで頂きありがとうございました!
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感想などお気軽に(^^)
キャスト紹介の指摘です。
菅田さんはアオサギの声を担当しています。
通りすがり さん
意外過ぎてびっくりです!ありがとうございました(;∀;)