映画「御法度」ネタバレ解説考察|ラストの意味、沖田の行動の動機、伏線回収など! | 映画の解説考察ブログ - Part 2

映画「御法度」ネタバレ解説考察|ラストの意味、沖田の行動の動機、伏線回収など!

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加納惣三郎と沖田総司

加納の本命が沖田だったことは終盤で明らかになります。
終盤で加納が前髪に願掛けしていると発言したり、沖田が『菊花の契り』を読んだという話が伏線です。

『菊花の契り』は雨月物語の話のひとつで、男2人が意気投合して家族になり、まるで夫婦のようにお互いを慕い合うという、どことなく同性愛を思わせる話です。

沖田は「衆道は嫌い」と発言している通り男好きの気配は無かったですが、加納の気持ちを知ったことで衆道について少しは考えてみようと思い『菊花の契り』を読んでみたと思われます。

これらの伏線や加納と沖田の行動から推測すると、恐らく加納は田代を殺せと命じられてから実行するまでの間に、沖田に愛の告白をしていたと考えられます。

加納が田代を殺した後、沖田は土方を置いて加納に会いに行きました。
先に去ったはずの加納が隊に戻っていないこと、そしてどこにいるのかも沖田が知っていたことから推測すると、加納は事前に『もし田代を殺して生きて帰ったら付き合って欲しい(もしくは2人きりで話がしたい)』などと沖田に伝えて川辺のどこかで待ち合わせしていたのでしょう。

加納にとって田代を殺すことは『沖田に対する愛の証明』で、だから加納はあんなにあっさり田代殺しを引き受けたのです。(沖田には伝わらなかったですが)

 

加納惣三郎と近藤勇

『衆道の嵐が吹き荒れて士気が乱れては困る』と言っていた近藤自身も、実は加納に魅了されて仕事に身が入らなくなっていました。
それは、近藤が広島に行く理由が理解できず土方が怒っていた場面からわかります。

そもそも近藤は加納が入隊した直後から「小姓にしたい」などと言っているので、最初に魅了されたのはもしかしたら近藤だったのかもしれず、近藤が広島に行きたがったのも、加納と距離を置いて冷静さを取り戻したかったからだったのかもしれません。

また、土方と近藤2人だけの会話で、近藤が「惣三…加納君は」と下の名前で呼びかけて名字で言い直す場面があります。
これは、近藤が加納に魅了されていることが確定するシーンでもあります。

この発言を聞いたとき『加納に衆道を覚えさせたのは実は近藤だった(加納の初体験の相手が近藤だった)』『加納が隊内の誰かの色子になっているという噂の相手は実は近藤だった』という可能性を妄想したんですが、皆さんはどう思われますか?

そう考えると近藤が「加納に女を教えろ」と命じたのは、近藤自身が色子の噂の張本人であることを土方に悟られないためのあえての発言だったり、田代殺しを加納にやらせたのは、近藤が実は田代に嫉妬していたからという可能性が考えられます。
近藤さんの表情の何となくいっちゃってる感じは、完全に加納に魅了されて近藤自身に衆道の嵐が吹き荒れてしまい、それを土方には隠さないといけなくて必死だったからあんな変な顔になっていたのでは?という風にも見えました。

集団はトップに立つ人間が乱れると、その影響で集団全体がおかしくなってしまいますよね。
新選組のトップである近藤が加納に魅了され、その影響が近藤→土方→沖田→その下という風に乱れていく様子も見られます。

 

沖田が土方と別れて行った先は?

上の項目にも書いてしまいましたが、加納が田代を殺した後、沖田が土方と別れて行った場所は加納との待ち合わせ場所です。
そして、沖田はそこで加納を斬り殺しました。

土方は沖田に「加納を殺せ」と命じていませんが、土方が近藤との関係で加納に嫉妬していたのは明らかです。
それをいち早く察知していた沖田は、土方のため(士気の乱れを防ぐため)と、衆道の嵐を鎮めるために加納を始末しました。

加納は局中法度を犯しているので切腹モノではありますが、「湯沢殺しも山崎を襲ったのも加納だった」と近藤に報告しても、近藤は加納に魅了されているので何かと理由を付けて加納を許してしまうかもしれません。

それに今殺してしまえば「田代と相討ちになって死んだ」とか事後報告で適当に言えば済む状況です。
加納の「沖田さん…ギャー」や、土方が斬った桜の木も、沖田が忖度して加納を殺した(加納に死んでほしいと一番思っていたのは土方だった)ことの暗示とも解釈できます。




土方歳三について

御法度

©1999 松竹/角川書店/IMAGICA/BS朝日/衛星劇場

土方は加納を入隊させた際、加納どうこうよりも、近藤が加納を気に入っていることの方が気になっています。
平たく言えば、土方は近藤が大好きで、誰にも2人の仲を邪魔されたくないと思っていたからです。

大好きといっても恋愛感情ではなく、母子家庭で育った息子のような心境に近いように感じました。
例えば母子家庭の親子がいるとして、母親が再婚することになったら、息子の多くはお母さんを独り占めできなくなることで不安や寂しさを感じるでしょう。
『母親=近藤』、『息子=土方』、『母親の結婚相手=加納、伊東などの2人の間に割り込む人間』にあてはめてみると結構しっくりくる気がします。
これを土方と沖田に置き換えると『母親=土方』、『息子=沖田』です。
つまり、ここで言う『息子』は『母親の恋人』を排除して、できればずっと母親と2人きりで居たいのです。

土方は、近藤が加納の話をするたびに「気になるのか?」と近藤の心を探ろうとしたり、参謀の伊東が近藤と距離を縮めようとすると不機嫌になります。
これらは土方の近藤に対する執着を表しています。

また、土方と沖田の川辺での会話では、土方が「沖田も加納に嫉妬しているのではないか」と言うことにイラっとした沖田が「土方さんと近藤さんの仲はどうなんです? 2人の間には誰も入れないけど、たまに誰かが入ろうとしたり、近藤さんが入れようとする。 それを、いつも土方さんが斬る」と言います。
沖田は「あんたも嫉妬してるじゃないか」と言いたいのです。
言われた土方は怒るので図星だったのでしょう。

沖田が言いたいのは、「好き」に嫉妬はつきものであり、友情も恋愛感情も親子の愛情も、ベクトルは違っても本質は似たようなものということでしょうか。
嫉妬や独占欲も、恋人だけでなく友人や家族に抱く人も大勢います。

 

土方の想像シーン

御法度

©1999 松竹/角川書店/IMAGICA/BS朝日/衛星劇場

加納と田代が川辺に来るのを待つ間、土方が沖田と話しながら想像(妄想)していたシーンの意味を考えます。
最初の想像の『白い袴姿の加納』は、土方が加納に対して抱いていたイメージを映し出したものだと感じました。

土方は加納を『ねんね』と言っていました。
『ねんね』とは『赤ん坊、世間知らず』という意味です。
土方は加納を10代の世間知らずのガキで、衆道は覚えてしまったけどこれからいくらでも軌道修正できる、そんな存在だと思っていたのではないでしょうか。

一方で加納の言動を見るたびに、土方はどこか違和感のようなものを感じていたのも事実です。
沖田との会話でだんだん加納の正体が分かってきたのか、2回目の想像では「沖田が待っている場所に赤い袴姿の加納が現れる」という想像でした。
加納の服の色が白から赤に変わっています。
赤い服は鬼や血を連想します。
これは、加納は土方が思っていたような『ねんね』ではなく、すでに軌道修正しようのない、心に狂気(鬼)を宿したバケモノで、それを表す赤い袴だったのかな?と思います。
そして、その化け物が沖田を狙っていると。

 

土方が桜の木を斬る理由


(引用:https://unsplash.com

屯所へ戻る途中で沖田が川辺に戻っていった後、土方が桜の木を斬ります。
このシーンは、原作小説では「土方は思わず桜の木を斬ったが、本当は何を斬ろうとしたのか土方自身にもわからなかった」という意味の言葉で締めくくられています。

なので『木を斬った理由は土方本人にもわからない(読者がそれぞれ答えを見つけてほしい)』というのが答えかもしれません。

一応、私個人の考えを記してみます。
斬られた桜の木は、前述した『加納の死の暗示』だけでなく、土方が沖田に言われて初めて自覚した、近藤への執着、加納への嫉妬心や、加納への同情や哀れみ(新選組に来て衆道を覚えさせられ、その果てに18歳の若さで殺されることに対する哀れみ)の感情を断ち切る意味があったのではないかなーと、私は感じました。

以上です!読んで頂きありがとうございました。
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