映画「御法度」ネタバレ解説|ラストの意味、沖田の行動の動機、伏線回収など! | 映画鑑賞中。

映画「御法度」ネタバレ解説|ラストの意味、沖田の行動の動機、伏線回収など!

スリラー

映画「御法度」の疑問に関する解説・考察をしています!

1976年に世界進出を果たした大島渚の最後の監督作品で、松田龍平のデビュー作。
日本アカデミー賞新人俳優賞、他様々な賞を受賞している。
幕末、新選組内で巻き起こった同性愛騒動を描いた作品。

制作年:1999年
本編時間:100分
制作国:日本
監督:大島渚
脚本:大島渚
原作:短編小説集/司馬遼太郎『真選組血風録』より”前髪の惣三郎”、”三条磧乱刃”

出演者・キャスト&キャラクター紹介

(引用:http://www.beebooks.net

土方歳三ビートたけし
新選組副長。
「新撰組は歯向かうものを斬るための集団」と考えていて、人柄は重要視せずに剣術の上手い者だけに入隊を認めたものの、その考えが間違っていたのではないかと悩む。
隊員が多く、全員の名前と顔を把握していない。

 

(引用:https://www.pintscope.com

加納惣三郎(そうざぶろう)松田龍平
父親が師範代を務める道場の三男として生まれた18歳の青年。
誰もが目を見張るほどの美少年。
新選組の剣術試験で土方と近藤に認められて入隊した。

 

(引用:https://girlschannel.net

田代彪蔵(ひょうぞう)…浅野忠信
加納と一緒に剣術試験に受かり、新選組に入隊した男。
年齢は明かされないが、恐らく20~23歳位。
加納と同様、剣術に長けている。
衆道(男色)の気があり、惣三郎に惚れる。

 

(引用:http://www.beebooks.net

沖田総司武田真治
真選組一番隊隊長。隊内で一番の剣術使いであるが、まだ子供っぽさが抜けきらない美男子。
子どもたちと遊んだり読書が好きで、男色や士気が乱れるのは嫌いだと本人が語っている。

(引用:http://k-onodera.net

近藤勇崔洋一
真選組の組長(トップ)。左が近藤、右は伊東。
2人きりの時は土方を”トシ”と呼ぶほど土方を信頼し、弟のように思っている。
加納惣三郎をやけに気に入る。

 

(引用:http://www.beebooks.net

山崎烝(すすむ)…トミーズ雅
真選組 監察隊の長。
土方から惣三郎の衆道の気を直せと命じられ、奮闘する。

・その他のキャスト
伊東甲子太郎(真選組参謀)…伊武雅刀
篠原泰之進…菅田俊
武藤誠十郎(惣三郎に斬首された男)…田中要次
武田観柳斎(五番隊組長)…藤原喜明
井上源三郎(六番隊隊長)…坂上二郎
湯沢藤次郎(惣三郎に惚れた隊員)…田口トモロヲ
菅野平兵衛(肥後訛りの男、不逞浪人)…的場浩司
不逞浪人(菅野の連れ)…梅垣義明
隊の小物(密偵係)…寺島進
輪違屋の店主…桂ざこば
おまつ(輪違屋のおかみ)…吉行和子
錦木太夫(惣三郎の相手をした遊女)…神田うの ほか

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あらすじ紹介※ネタバレなし

1865年の京都。新選組は新たな隊士を募ることにした。
入隊試験はメインの剣術試験と簡単な身分調査のための書類審査だった。
その日行われた試験で、新選組のトップ近藤勇(崔洋一)と副隊長の土方歳三(ビートたけし)の目に留まったのは加納惣三郎(松田龍平)と田代彪蔵(浅野忠信)の2人だけだった。
近藤は惣三郎をやけに気に入り、小姓(身の回りの世話係)に欲しがるのを見て、土方は「この人に衆道(男色)の気はないはずなのに…」と不思議に思ったが、しばらく様子を見ることにした。

この時代の男は思春期を迎える頃になると髷を結ったり総髪にして、前髪は無いのが普通だった。
だが惣三郎は18歳にもなって前髪を垂らしたままで、はたから見れば衆道の気のある者に「誘ってくれ」と言わんばかりの髪型だった。
美男子の惣三郎はたちまち噂の中心人物になり、まだ男も女も未経験(童貞)ということや、五番隊隊長の武田観柳斎(藤原喜明)を始め、数人の隊員が惣三郎を口説こうとしていることなど、色々と噂になっていた。

入隊後まもなく、田代は惣三郎に手を出そうとして惣三郎から避けられるようになるが、数か月が経つと何が起きたのか、惣三郎は田代と付き合うようになった。
土方は惣三郎と田代の稽古を見て、2人がデキていることをいち早く見抜いていた。

やがて惣三郎は田代だけでなく、言い寄って来きた隊員の湯沢藤次郎(田口トモロヲ)とも周囲に内緒で関係を持つようになった。

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解説、考察や感想など※ネタバレありき

新選組”局中法度”の現代語訳

新選組には局中法度という、隊内における決まり事があります。
本作にも登場していたので、訳をのせておきます。

■原文
一、士道ニ背キ間敷事
一、局ヲ脱スルヲ不許
一、勝手ニ金策致不可
一、勝手ニ訴訟取扱不可
一、私ノ闘争ヲ不許
右条々相背候者 切腹申付ベク候也

□訳
士道に背きまじき事
(侍の道理に反する行動を取ってはいけない)
局を脱するを許さず
(勝手に組を辞めてはいけない)
勝手に金策いたすべからず
(許可なく借金してはいけない)
勝手に訴訟を取り扱うべからず
(許可なく他人の揉め事の仲裁をしてはいけない)
私の闘争を許さず
(個人的な理由で喧嘩をしてはいけない)
右の条々にあい背き候者は切腹申し付くべく候なり
(これらの決まりに違反した者には切腹を命ずる)

 

加納惣三郎と田代彪蔵

田代に小刀を向ける加納(引用:https://www.pintscope.com

隊内で衆道の嵐を巻き起こした中心人物である加納には「田代とデキている」と噂がありました。
当初、加納は田代を拒絶していたのに どうやって田代が加納を落としたのかは描かれていませんでした。
個人的にはそこもぜひ詳しく知りたかったです。。

土方は沖田から、剣の腕は田代より加納が上と聞き、その後 実際にそれぞれと手合わせをして沖田の言葉通りだと実感します。
ところが加納と田代を手合わせさせた際、田代の気迫に押されて加納が負けるという事態が起きました。
これを見た土方は、加納と田代がデキていると確信します。
見た目からも何となく想像はつきますが、湯沢と加納のラブシーンで加納は受け身だったので、それは田代と加納の場合においても当てはまることになります。
そして剣術で加納が田代にひるんで負けるということは、プライベートにおいても田代が加納を支配していることが想像できます。

しばらくして、加納は自分に惚れている隊員の湯沢とも関係を持つようになります。
しばらくはセフレ状態が続いたようですが、次第に湯沢に嫉妬心や独占欲が芽生え、田代と別れるように迫ります。
それに対して加納は「縁は切れない」とつまらなそうに答えています。
これは、加納も田代が好きだからと言うよりは、田代が怖くて自分から別れを切り出すことが出来ないと加納が思っていることを示します。
そういったやり取りの数日後、湯沢は加納に殺されます。
加納は湯沢が本気になり、重荷になったので殺したのでしょう。

加納と田代の対戦の際、加納は剣を抜いてからニヤッと笑ったり、田代を何度か斬りつけていたことから、加納は田代を殺したいほど嫌っていて、むしろ殺すことに楽しんでいる様子が見て取れます。

(田代を斬る前の加納 引用:https://twitter.com

加納がピンチの時、土方と沖田には聞こえない声で田代に何か囁いていました。
これ、音をかなーり大きくしたら「もろともに」と言っていたのが聞き取れました。
『もろともに』は現代語だと『一緒に』という意味です。
この時は「一緒に死のう」という意味になり、加納に惚れていた田代が手を止めて考えてしまうのもわかります。
沖田が言っていたように、閨での睦言(ねやでのむつごと※セックスの際にかけ合う言葉)としても普段から言っていたのでしょう。
ちなみにその際は「一緒に果てよう」的な意味になります。

加納がいつから歪んでしまったのかは明かされませんが、
入隊した翌日の介錯(=切腹する人の首を切る役)を平然とやってのける加納を見て、土方が「人を切るのは初めてじゃないな」と気づくことから、加納は新選組入隊前からすでに人殺しだったと推測できます。

加納惣三郎と山崎烝

監察官の山崎は土方から命じられて、加納に女を覚えさせるために遊郭に連れて行こうと何度も加納を誘います。
しかし、加納はこれを「そういう意味で山崎に誘われている」と勘違いし、最終的には加納から山崎を誘惑しています。
加納の誘惑には、ノンケで遊郭常連のはずの山崎ですら心が揺れてしまうものがありました。
この描写には、ノンケだったはずの隊員たちも加納に惑わされてしまうという、加納の持つ魔力(魅力)と隊員たちに与える影響が示されています。

加納を理性で何とか振り払った山崎は、その後、加納に襲われて(性的な意味じゃなく)、加納が用意していた偽の証拠である田代の小刀を掴まされます。
加納がどういう意図で山崎を誘惑したのかわかりませんでしたが、単純に湯沢(セフレ)を殺してしまって性欲を持て余していたか、もしくは、加納は田代を殺そうと企んでいたので、山崎を自分に惚れさせて田代を陥れるのに協力してもらおうと考えたのかもしれません。
どちらにしろ加納は誘惑に失敗し、顔を見られるかもしれない危険を負って山崎を襲い、田代の小刀を落として拾わせました。

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加納惣三郎と沖田総司

加納の本命が沖田だったということは終盤で明らかになります。
終盤で加納が前髪に願掛けしていると発言したり、沖田の『菊花の契り』の話が伏線です。
加納は田代を殺せと命じられた後、沖田に愛の告白をする決意をして沖田を呼び出したのでしょう。
加納が田代を倒した後、沖田が土方を置いて川辺に戻るシーンを見ると、加納は「田代に勝ったら2人きりで会ってほしい」とでも伝えていたのかもしれません。
沖田は「衆道は嫌い」と発言している通り『そっちの気』は無かったのでしょうが、加納の気持ちを知ったことで沖田は衆道について少しは思いを巡らせてみたのだと思います。
それが沖田が『菊花の契り』を読んだ理由です。

加納惣三郎と近藤勇

土方と近藤2人だけの会話のシーンで、近藤が「惣三…加納君は」と下の名前を言いかけて名字で言い直す場面があります。
これは、近藤が加納に魅了されていることを表すシーンでもあります。
この場面を見たとき、加納の初体験の相手は実は近藤だった→加納が修道に目覚めた→田代にも体を許した
という流れを想像したんですが、皆さんはどうでしょうか(笑)

「修道の嵐が吹き荒れて士気が乱れては困る」と言っていた近藤自身も、実は加納に魅了されて仕事に身が入らなくなっていました。
それは、近藤が広島に行く理由が理解できなかった土方が声を荒げていた場面からわかります。

もしかしたら近藤は加納への気持ちを落ち着けるために、あえて広島に行ったのかもしれません。
それでも近藤の気持ちは収まらなかったのか、加納への執着が変な方向に向き始めます。
それが「加納に女を教えろ」と命じたり、田代を斬る役を加納にやらせたり、といった行動です。
田代を斬るのを加納にやらせろと言ったときの近藤さんの顔、結構いっちゃってましたし。

集団はトップに立つ人間が乱れると、その影響で集団全体がおかしくなってしまいますよね。
新選組のトップである近藤が加納に魅了され、その影響が近藤→土方→沖田→その下という風に乱れていく様子も見られます。

沖田が土方と別れて行った先は?

加納と田代の斬り合い前の会話で、湯沢殺しと山崎を襲った真犯人は加納だと明らかになります。
2人の斬り合いの後、沖田が土方を置いて言った場所は加納との待ち合わせ場所です。

そして、沖田はそこで加納を斬り殺しました。
土方は沖田に「加納を殺せ」と命じていませんが、土方が近藤のことで加納に嫉妬していたのは明らかです。
それをいち早く察知していた沖田は、土方のため(トップが不安定になると士気が乱れるから)と、衆道の嵐を鎮めるために加納を始末しました。

加納は局中法度を犯しているので切腹モノではありますが、
事件の真犯人が加納だったと近藤に報告しても、加納に魅了されている近藤は適当に理由を付けて加納を許すかもしれません。
今殺してしまえば、わざわざ近藤に報告して指示を仰ぐことなく「田代と相討ちになった」とか適当に言えば済みます。
土方が唾を吐いた後の加納の「沖田さん…ギャー」や、土方が斬った桜の木も、加納を殺す暗示と解釈できます。

土方歳三について

(引用:http://www.beebooks.net

土方は加納を入隊させた際、加納の美しさどうこうよりも、近藤が加納を気に入っていることの方が気になっています。
平たく言えば、土方は近藤が大好きで、誰にも2人の仲を邪魔されたくないと思っているからです。
恋愛感情ではなく、母子家庭で育った息子のような心境でしょうか。
例えば母親が息子の知らない男と結婚することにでもなったら、お母さんを独り占めできなくなる息子は不安や寂しさを感じるでしょう。
母親=近藤、息子=土方、結婚相手=加納や伊東などの、2人の間に入る可能性のある人間です。
土方と近藤、土方と沖田の関係はそんな感じです。
沖田に置き換えると母親=土方、息子=沖田になります。

土方は、近藤が加納の話をするたびに「気になるのか?」と近藤の心を探ろうとしたり、参謀の伊東が近藤と距離を縮めようとすると土方は不機嫌になります。
これらは土方の近藤に対する執着を表しています。

また、土方と沖田の川辺での会話では「沖田が加納に嫉妬しているのではないか」と土方が疑ったことにイラ立った沖田が、「土方さんと近藤さんの仲はどうなんです?
2人の間には誰も入れないけど、たまに誰かが入ろうとしたり、近藤さんが入れようとする。
それを、いつも土方さんが斬る
と言って、「あんたも嫉妬してるじゃないか」という意味の返しをしています。
言われた土方は怒っているので図星だったと言えます。

沖田が言いたいのは、友情や信頼関係、恋愛感情は、道は違えど同じフィールド内にあるということでしょうか。
嫉妬や独占欲も、恋人だけでなく友人や家族に抱く人も大勢います。

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土方の想像シーン

(引用:https://bibi-star.jp

加納と田代が川辺に来るのを待つ間、土方が沖田と話しながら想像(妄想)していたシーンの意味を考えます。
最初の想像の『白い袴姿の加納』は、土方が加納に対して抱いていたイメージを映し出したものだと感じました。
土方は加納を『ねんね』と言っていました。
ここでいう『ねんね』とは『赤ん坊、世間知らず』という意味です。
土方は加納をまだ10代の世間知らずのガキで、衆道は覚えてしまったけどこれからいくらでも軌道修正できる、そんな存在だと思っていたことを表しているのだと思います。

一方で、加納を見るたびに土方はどこか違和感のようなものを感じていたのも事実です。
沖田との会話でだんだん加納のことが分かってきたのか、2回目の想像は「沖田が待っている場所に赤い袴姿の加納が現れる」という想像でした。
加納の服の色が白から赤に変わっています。
赤い服は鬼や血を連想します。
これは、加納が土方が思っていたようなただの『ねんね』ではなく、人をためらいなく斬れることや、好きでもない他の隊員を誘惑するといった、加納が土方に見せた別の側面に焦点をあてて想像したのが、すでに軌道修正しようのない、心に狂気(鬼)が宿ったバケモノで、それを表すための赤い袴だったのかな?と思います。
そして、その化け物が沖田の心も体も食おうとしていると。

土方が桜の木を斬った意味

(引用:https://unsplash.com

屯所へ戻る途中で沖田が川辺に戻っていった後、土方が桜の木を斬ります。
このシーンは、原作小説では「土方は思わず桜の木を斬ったが、何を斬ろうとしたのかは土方自身にもわからなかった」という意味の言葉で締めくくられています。
なので『木を斬った理由は土方本人にもわからない(読者がそれぞれ答えを見つけてほしい)』というのが答えかもしれません。

一応、私個人の考えを記してみます。
斬られた桜の木は、前述した『加納の死の暗示』だけでなく、土方が沖田に言われて自覚した、近藤が加納を気に入っていたことによる加納への嫉妬心や、加納に抱いた同情や哀れみ(新選組に来て衆道を覚えさせられ、その果てに18歳の若さで殺されることに対する哀れみ)の感情を断ち切る意味があったのではないかなーと、私は感じました。

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